8話 帝国の狂戦士
ん…何かおしりが痛いような…、ん?ここどこだ…薄暗い石レンガの壁…、そうだ教会の地下に似ている…、確か俺はご飯を食べてベッドで寝たよな、そして今教会の地下?にいるのか?…、そうだ皆は…。
勇が立ち上がろうとすると、肩に何か寄りかかってくる、横を見ると肩に寄りかかったのはアンだった。
アンだ…って寝てるし、ロンさんとグオンはここにはいないな、俺とアンだけが移動させられたのか?、それに今気がついたけど手を縛られ地面に繋がれている…もちろんアンも同様に…うーん。
勇がその様に考えていると、隣で寝ているアンが寝言を言う。
「油断したね、ユウ…へへへへ」
…一体どんな夢を見てるんだ?、取り敢えずアンを起こしたほうが良いよな?。
「アン起きて…、おーい」
駄目だ全然起きない…、揺らしてみたりしたけど、起きないな…、てか俺はどれぐらい寝てたんだろ、はぁどうするか。
しばらく経ち何人かの足音が聞こえ、二人がいる部屋のドアが開き、先頭の男が声を上げる。
「おい男が起きてるぞ、どう言う事だ!!」
勇が男に話しかける。
「あなた達の目的は何だ?、はじめから俺達を監禁するつもりだったのか、他の二人はどこにいる?」
集団は勇の質問に答えず、ドアをすぐに閉める、勇は耳を澄ませ、ドアの前の話を聞く。
「シミネルお前、薬をちゃんと盛ったんだろ、何であの男は起きてるんだよ」
聞き覚えのある女性の声が返事を返す。
「知らない、あいつはちゃんと食べてた…、何で…」
老人の声が二人の会話を遮る。
「落ち着け、あやつは状況をわかっておらん、隣におる長耳人族の少女を使い、バギリギのもとに連れて行かなければ」
シミネルはお姉さんの名前だな、まさか薬を盛られてたとは、バギリギははじめて聞く名前?だな、そいつが企てたのか、だけど俺達を監禁する意味はないよな…、あいつらが入ってきて俺が暴れたらアンが危険だな…、はぁしょうがない今は、あいつらの言うことは素直に聞くか…、それにしても耳が良くて良かった。
しばらく集団はドアの前で話し合い、意見がまとまったのか二人がいる部屋に入り、はじめに喋った男が勇に話す。
「おい、男その隣にいる可愛い子ちゃんが大切なら、大人しくするんだな」
可愛い子ちゃんって…、こいつこういうことにはあまり慣れてなさそうだな、まぁアンに何かあったら嫌だしな、大人しく従うしかないよな。
「あぁ煮るなり焼くなりしろよ、けどお前こういうことに慣れてないよな、大丈夫か?」
男が大きな声で「うるさい」っと言い後ろに立っていた、シミネルが勇の目を布で縛り、地面に繋いでた拘束を外し、歩かされる、歩いている途中にシミネルが勇に小さな声で「ごめんなさい」っと何度も呟く。
ごめんなさいって謝るぐらいならはじめからすんなよな、まぁ何か事情があるのかもしれないけど…。
少し歩き勇は拘束と目隠しを外される。
ん?拘束が外れた?、目隠しも…ここは外だな…夜明け前ぐらいか、場所は教会前の広場だな、何でこんなに武器が刺さってるんだ?。
勇が困惑しているとシミネルがアンに何かを飲ませる。
「おい、アンに何を飲ませた?」
勇がその様に言うと、シミネルは静かに答える。
「眠気覚ましの薬です…」
薬を飲まされたアンはすぐに目を覚まし、大きく身体を伸ばし、あくびをする、そして男性が二人に向かって話す。
「やっと整ったか、もう少しかかってたらお前らを殺すとこだった」
その声を聞いたシミネルは体が震え、急いで勇達から距離を取る、勇は声の方向を見る。
この声聞いたことあるような…、ってこいつ教会にいた男じゃねえか、もしかしてこいつがバギリギか?。
「お前バギリギか、何で俺達を監禁した後にこの場所に連れてきた?、それと他の二人は?」
男性が答える。
「何も聞いてないのか…、ハハそれはいいな、お前らは今から俺と闘う、そして俺に殺される、他の二人は知らねぇよ、ほらさっさと武器を取れよ、下等人種」
何だよこいつ、話が通じてそうで通じてないような、闘うって何で?、取り敢えず逃げるか。
「アン…逃げるよ、全力で」
状況を理解できていない、アンは困惑しながらも勇に返事をして、同じ方向に走り出した、男性の方からミ゙チミ゙チと音がなり、ドォンと何かを蹴る音が聞こえた瞬間、勇の目の前に大きな二足歩行の狼が右手の爪を立て、勇に向けて振り下ろした、勇はそれを間一髪で回避する、続けて二足歩行の狼は勇を強く蹴り飛ばし、勇は後方に大きく吹き飛ぶ、勇は土煙を立てながら何度か転びすぐに立ち上がり、二足歩行の狼の方に視線を向ける、二足歩行の狼はアンに攻撃を仕掛けようとしていた、勇はすぐさま刺さっていた剣を抜き、力いっぱい踏み込みとてつもない速度で近づき、二足歩行の狼に攻撃を仕掛けるが、それに気づいた二足歩行の狼はすぐさま攻撃をやめ、距離を取り勇の攻撃を回避する。
何だあの魔獣?、どっから現れた…それよりこいつ…強い、逃げることが不可能なぐらい…、やばいな。
二足歩行の狼が勇に向かって話し出す。
「お前、いいな早いし力強い、少しは楽しめそうだ」
マジか…この声さっきの男の声?、魔獣?だったのか、いや待て…そういやケモノビトって言う人種がいたはず、多分それな気がする、だって魔獣の外見は見るに堪えない感じだしな。
二足歩行の狼は勇に攻撃を仕掛けようとするが、風の斬撃を受け、それを行ったアンに注意を向け、再度撃たないことを確認して、アンとの距離を詰めようとするが、その前に勇が二足歩行の狼の目の前に出てくる、そして勇は二足歩行の狼に斬りかかる、二足歩行の狼は右手の爪で斬撃を弾き、左の爪を立て勇に攻撃する、勇は体勢をすぐさま整え、左の爪の攻撃を力いっぱい弾き飛ばす、辺りに凄まじい音が響き、二足歩行の狼は少し後ろに下がり距離を取る。
ふぅ…ひとまず防げたけど、こんな無茶な剣の使い方をしていたら折れるな…、多分あと少しでアンの魔術の詠唱が終わる、それまで足止めだな。
勇が踏み込み左手を前に出し一言「炸裂しろ」そう呟くと、勇の目の前が瞬時に光で満たされる、その光に浴びた二足歩行の狼は数秒動きを止め、勇に右足を斬られたことによって再び動き出す、二足歩行の狼の左側に立っている勇に向けて、二足歩行の狼は右手の爪を立て大振りではあるがこれまでとは比較にならないほどの速度で横に振る、勇は即座に後ろに飛び、アンの居る場所に着地する、それと同時にアンは風の斬撃を二足歩行の狼に浴びせる、勇は構えを取り二足歩行の狼の方に向かおうとした瞬間、アンが勇に声を上げる。
「ユウ、お腹!!…お腹」
え?お腹?…はぁ何か出てる?、あぁこれ腸だよな…さっきの攻撃を避けれてなかったのか…、やべ足に力が…。
二足歩行の狼は大きく口を開き牙をむき出しにして笑みを浮かべ、姿勢を低くして前に出る体勢を取る、アンがそれを見て勇の目の前に立ち、守る体勢を取る。
やばい早く立ち上がらないと、このままじゃアンが殺される、息を大きく吸え、踏ん張れ。
二足歩行の狼が狙いすまし、突撃しようとした瞬間、二足歩行の狼に向かって槍が凄まじい勢いで飛んでくる、二足歩行の狼は飛んでくる槍を避け、飛んできた方向に視線を向けた瞬間、二足歩行の狼は腹を斬られる。
ロンさんだ…、それにグオンもいる、あいつの腹部を斬りつけたけどめちゃくちゃ浅い…、取り敢えず助かった。
アンが二人の到着を確認すると、すぐさま勇の治療を始める。
「ユウ回復させるから、出てる内臓を中に戻すよ、痛いと思うけど我慢だよ」
イッテ…、やばいなロンさんとグオン苦戦してる、早く俺も合流しないと殺られそう…、ん?…何かロンさんいつもより踏み込みが強いような、それにこっちの様子をうかがってるような…、ロンさんらしくない感じたな、もしかして捨て身で足止めをするじゃ…。
「アン傷が開かない程度でいいから、早めに治して、何か嫌な気がする」
それを聞いたアンは不安そうな顔を浮かべ、渋々頷き回復を早める、それと同時に痛みが増す。
ふぅ…もしもロンさんが捨て身で足止めをするのなら、チャンスは一度きり…、精神を感覚を研ぎ澄ませろ…。
ロンは勇の傷が塞がるのを確認して、二足歩行の狼に無茶な攻撃を仕掛けだす、そしてロンの腹部に二足歩行の狼の左手の爪が深く突き刺さり、腹部を貫通する、ロンは唸り声に似た声を押し殺しながら発し、爪が腹部から抜けないように、さらに深く差し込む、それを見た勇は凄まじい速度で二足歩行の狼に近づく、二足歩行の狼は右手を使いロンを引き離そうとした瞬間、勇が視界の目の前に現れ、二足歩行の狼の左側面の首から斬り裂いていくが、脊髄があまりにも硬く勇の剣が砕ける、二足歩行の狼は右手を使い勇を振り払う、勇はとっさに左手をクッションにしてダメージを抑えて後方に吹き飛び、華麗に着地する。
クソ切れなかった、無茶に剣を使ってたからだ…どうする…考えろ逃げるか…いや駄目だ…、待てロンさんまだ諦めてない、ふぅ…あいつの動脈は確かに切った、だがそれだけじゃすぐには死なない、早くしないとロンさんが死ぬ…あいつの首を切断するのは不可能、どうするなにか使えるものは…槍、あいつの下顎から脳に向けて突き刺せば殺せるんじゃないか…、次で最後…何があっても絶対に決める。
勇は再び二足歩行の狼に向かって走り出し、グオンに向かって大きな声で「グオン、槍」っと言い受け取る構えを取る、それを聞いたグオンは近くに刺さってある槍を抜き、勇に向けて投擲した、勇はその槍を受け取り、二足歩行の狼の懐に入ろうとする、二足歩行の狼は後ろに下がろうとするがロンがそれをさせない、仕方なく右手を前に出し爪を立て突き出す、勇は勢いを殺さずにそのまま懐に潜り込む、二足歩行の狼の下顎にめがけて、右手に握っている槍を投擲する、投げた槍は深く突き刺さる、そして突き刺さった勢いで二足歩行の狼は後ろに倒れる、二足歩行の狼は人の形に戻っていく、それと同時にロンと勇に突き刺さっている爪が抜けていき、大量に出血しだす。
やったか…、やべぇめっちゃ腹にデカい穴空いてるんだけど…、何か不思議と死ぬ気しないな、まだ闘い続けれる力があるような。
グオンとアンが急いで二人に近づく。
アンどっちから治療する気なんだろ…、取り敢えず俺はまだ元気だと伝えないと、ロンさん意識なさそうだし…。
「ハァハァ…、アン俺は大丈夫だから、ロンさんから治してあげて」
勇がその様に言うとグオンが大きな声を上げる。
「駄目だ!!、シンドウからだ」
勇はすぐに「アン」っと声を上げ、それを聞いたアンはロンの方に駆け寄り、治療を始める。
勇は徐々に意識がもうろうとしだし、必死に意識を保つ、アンがロンを治療しだしてから数分が経ち、アンが勇の治療を始める、アンが何か勇に話していたが勇は、意識がはっきりしておらず何を行っていたかわからなかった、だがとてつもない痛みに襲われ勇の意識がはっきりする、この先味わうことのないような痛みに勇は数分間襲われ、痛みが緩和された瞬間勇の意識がなくなった。
…………………………
ん…ここどこだ…知らない天井、あぁ俺今ベッドに寝てるのか、ロンさんは無事かな…、周りには誰もいない、けど外からは人の声が聞こえる、取り敢えず起き上がるか。
勇が起き上がろうとすると、腹部から強い痛みを感じて、思わず声を上げる。
「イッッッタ、やべぇちょっと口から血が出た」
その声を聞き誰かが勇のいる、部屋に入ってくる。
誰か入ってきた…、アンだ…何か暗い顔してるな。
「どうしたのアン何か元気ないような?」
アンが真剣な顔で答える。
「大丈夫…、ユウ何か体に違和感がない?、例えば痺れているとか感覚がないとか…」
体に違和感か…、んー特にないな、まぁさっき起き上がろうとして、お腹の辺りが痛かったぐらいか。
「違和感はないけど、さっき起き上がろうとした時にお腹が痛かったぐらい?」
アンは安心そうに返事を返す。
「良かった…、お腹が痛いのは急速に傷を治したからだよ、トイレ行くとき…気をつけてね」
なるほど…トイレ行くとき気をつけるか…、どういうことだろ?、まぁいっかロンさんが無事かアンに聞くかそれと村のことも少し気になるな、俺が今こうしてベッドにいるってことは村の方は大丈夫だとは思うけど。
「ロンさんは大丈夫?、俺と同じぐらいの損傷を受けてたけど…」
アンは悲しそうで悔しそうな顔を浮かべ答える。
「ロンさんは外に出れるぐらい元気だよ、けど…ロンさんの足が動かなくなっちゃた…、私の力不足のせいで…」
アンの後ろからロンが話す。
「力不足なんかじゃないよ、あの外傷で死ななかったんだよ、普通なら死んじゃうよあれ」
ロンがその様に言い、自身の左足を左手でさすり、続けて話す。
「それに左足が少し動くのは、アンの魔術の賜物だよ、ありがとうアン、だからそう悲しまないでよ」
アンは泣きそうな顔を見せ、それを隠すように深く頷く、ロンがさらに続けて話す。
「あぁそうだアン、グオンが君を探していたよ、教会近くにいるから、行ってあげてよ」
アンは頷き、教会の方に向かっていった、ロンはベッドの近くにある椅子に座り、勇に話しかける。
「ユウは体に異常がなくて良かったよ、私とユウはほとんど同じ外傷を負ったけど、ユウが無事なのはユウ自身の生命力が高いからだと思うんだよね…」
ロンは真剣な顔をして続けて話す。
「はぁ…ごめんね、私はここまでだよ、この先ユウと共に行くことはできない」
俺と共に行くことはできない?…ロンさんとお別れ??、何で足が動かなくなったとしても、ロンさんは知識があるし、絶対に旅にいたほうがいい…、それにお別れないて嫌だ…。
「な…何言ってるの、ロンさんここまでって…共に行くことはできないって、確かにその足じゃ戦うことは難しいけど、ロンさん以上に旅に詳しい人は見当たらないよ…」
ロンは首を横に振り、淡々と喋る。
「戦えないそれが最も駄目だ、この世界は足手まといを守りながら戦うなんて無理だよ、私達の敵はそこまで馬鹿じゃないよ、それに私がいなくてもユウはこの世界を知っている…、だって私が教えたんだからね」
守ってみせる…、それに…それに。
ロンが勇の手を優しく握り続けて話す。
「ごめんねユウ、共に最後まで戦うつもりだったんだけどね…、私を連れていけば必ず全員死ぬ、だからここまでだ、それにユウが望むのならまた会うこともできる」
それでも、俺は…。
勇が「いや…」とロンに言いかけている途中で、二人がいる部屋のドアが勢いよく開き、男性の声が部屋中に響き渡る。
「勇〜者〜ハハハ、遂にご対面、ん!実に良いんん、実に」
誰だこのおっさん…ん?、見覚えがあるな…そうだロンさんを待ってた時に会った、酔っぱらいのおっさんだ!!。
ロンが話しかけようとすると、おっさんの後ろから男性二人が掴みかかり、二人のいる部屋から強引に連れ出されていく、勇がおっさんに話しかける。
「おいおっさん、酔っぱらってた人だろ?、勇者って俺のこと?、それともロンさん?」
勇の言葉を聞いた男性二人はおっさんから手を離し、おっさんは勇の質問に答える。
「ああそうだお主だ少年、勇敢を語る者、あの怪物との戦いでお主が魅せた、あの勇敢さ…実に素晴らしかった、そして俺はそれを英雄譚として書き記す為に、お主に会いに来たのだ」
このおっさん…、聞いてないことまで言ってるし…、多分酔っぱらいのおっさんだと思うけど、答えて貰ってないんだけど…。
ロンがおっさんに話しかける。
「あなたはユウと知り合いなんだよね?、名前を教えてくれない?」
おっさんは答える。
「すまん興奮してしまい、俺が何者かを言うのを忘れていた、改めて…ノウム大王国で活動している作家だ、名前はマース ホルルス カリメイスだ」
ロンが少し考えた後に話す。
「私はロン ガロン…、マース殿はなぜこの村にいるんです?、大王国で活動しているんですよね」
マースはすぐに答える。
「最近良い出会いがなくてな、ノウム大王国は多くの人がいるが、俺が求める輝かしい人に会うのが難しい、だから俺は各地に訪れ人を見ているのだが…、先に言った様に出会いがなくてな、このハルレン村で酒に溺れていたのよガハハハ」
このマースっておっさん…結構やばい人間な気が…、それにさっきから俺のことめっちゃ見てくるし。
ロンが悩んだ後にマースに話す。
「マース殿大王国に帰る予定はありますか?、それとマース殿は移動手段を持っている?」
マースは答える。
「勇者と話したら、俺はすぐに戻るつもりだ、移動手段は自動車を持っている、なぜ聞く?」
ロンが答える。
「マース殿もしも良かったらユウを大王国まで連れてってくれない?、あなたは道を熟知しているようだからね」
マースは嬉しそうに深く頷き、ユウを連れて行く事を了承する。
勇は3日ほどで自力で立つまで治った、勇はこの3日間でロンが旅に来ないことに渋々受け入れた、それて勇は今、大王国に行くための食べ物や自動車の燃料になる魔石をマースの自動車に積んでいた。
これで最後と…、はぁ本当にロンさんとお別れになるのか寂しいな、けど二足歩行の狼…元いバギリギあいつみたいな奴と戦うことになったら守れない…それ以前に勝つことも難しい…、はぁ強くならないとな…、村の人達も可愛そうだよな、突然来た奴に力で支配されて、定期的に戦わないと駄目だったとか…、この世界はそういう奴が多いのかな…。
勇が自動車の近くに座っていると、ロンが近づいて来て話しかける。
「物資を積んでたんだねユウ探したよ、いよいよ明日この村を出て大王国に向かうんだよね」
勇が答える。
「うん、明日だよ…ふぅありがとうロンさん、ロンさんが教えてくれた事を忘れないよ」
ロンは微笑み答える。
「頑張ってねユウ…、あぁそうだアンをよろしく頼むよ、アン頷いてはいたけど思い悩んでると思うからね、あとグオンはこれからユウに厳しく接するかもしれないけど、許してあげてね」
勇は頷き話す。
「わかったよ、ロンさん俺、色々終わったらゲムマ村に戻るからだから、俺の部屋は残しててね」
ロンは頷き、二人はしばらく話した、そして翌日になり勇達はノウム大王国に向けて歩みを進める。
………………
ロンが勇達を乗せた自動車を見ながら一人で話す。
「すまない…マオン…、君との約束は守れなかったよ、だけどユウは君が思っていた以上に強くいい子だったよ」