6話 人類の脅威とチン事件
「んー…、みんな休憩はここまでにするよ、今日はあの…」
と言いロンは遠目からでも大きく見える木を指差す。
「木まで行きたいから、二人とももう少し頑張ってね」
ロンがその様に言うとアンとグオンは弱々しくはあるが力を込めて返事を返す。
流石に二人とも疲れてるな、俺とロンさんは何か知らないけど以上に体力があるんだよな…、太陽が上まで来てるな、朝にゲムマ村を出たから、結構歩いてる。
巨大な木に向い4人は歩き出した。
休憩してからかなり歩いた気がする、二人は…まぁ頑張ってるな、ここらは見渡しが悪いな、それに足場も良くない、ロンさんは一度この道を通ったことがあるらしいけど、以前は見渡しもよく足場も良かったと言っていた…、こうも地形が変わるものなのか。
勇が考えながら歩いていると近くの草むらから草をかき分ける音が聞こえる、勇は立ち止まり音の方向に注意を向ける、音はどんどんと近づいてき、音の主が姿を見せる。
「魔獣?!」
勇がとっさに声をあげる、出てきた魔獣は小型犬ほどのサイズではあるが、恐ろしいほどに牙をむき出しにしている、声を上げた勇に向けて、殺意を持って飛びかかるが、勇の声に即座に気づいたロンが魔獣に向けて、団子のようなものを投げ、魔獣はそれに辺り少し飛ばされ、すぐに立ち上がりとてつもない勢いで走り去っていく。
危なかった…、まさかノーモーションで襲いかかって来るとは、やっぱあいつらやべぇーやロンさんが助けてくれなかったら怪我してたな。
「ロンさんありがとう、この辺り魔獣の縄張りかもしれないから迂回したほうがいいんじゃない?」
ロンが質問に答える。
「確かに縄張り入ってるかもしれないね、多分だけど結構深くまで来ちゃってるから、引き返す方が危ないかも、取り敢えず今はあまり距離を開けない様に歩くよ」
4人は距離を詰め歩き、無事巨大な木にたどり着く、たどり着くと皆少し休み、テントを張り夜に備える。
ふぅ…、取り敢えず皆テントは張り終えたな、やっぱ魔獣除けに焚いてる煙臭いな…、始めに決めていた目的地とは少し離れているけど、別に急いで大王国に向かわなきゃいけないわけでもないし大丈夫だろう、それにしてもかなり歩いたな日が傾いてきてるし、ゲムマ村が完全に見えなくなっている…、そうだ日が沈む前にご飯を準備をしないとな…ってもう出来てるじゃん。
アンが勇に向けて話す。
「ユウご飯できてるよ、日が暮れる前に食べないと」
アンの隣に座っているグオンが続けて話す。
「シンドウ早くしろ、食事の準備をしなかった、だけにとどまらず俺達を待たせるのか?」
グオンがその様に言うとアンがグオンに向かって話し、勇は苦笑いをしながら3人のもとに向う。
「またそうやっていじわる言って、ホントにユウに嫌われちゃうよグオン?」
グオンは「ふぅ」っと鼻で言う、そして4人はご飯を食べる。
意外と保存食美味しいな、まだ日が落ちそうにない…、ん?何だあれ…走ってきて…る?。
勇が走っている何かを見つめていると、ロンが勇に話しかける。
「なるほどね、その考えはいいと思うよ、ユウはどう思う…、ユウどうした明後日の方向を見て…」
ロンは慌てて焚いてあった魔獣除けを消し声を上げる。
「って皆、戦闘準備…魔獣が全力でこっちに来てるよ」
あれ魔獣なの…てか魔獣除けしてるのに何で一直線で来てるんだ?。
ロンの言葉を聞いて3人は戦闘態勢に入り、魔獣の襲撃に備える、勇はロンに疑問を問いかける。
「魔獣って魔獣除けしてたら近づいて来て、来ないって言ってましたよね、何で一直線でこっちに来てるの?」
勇の疑問を聞いたアンは同じ疑問を抱いていたのか何度も頷き、グオンは干し肉を咥えた!、そしてロンは勇の疑問に答える。
「もともと魔獣除けは魔獣のニオイを使って、魔獣を除けているんだよ、魔獣は人なら見境なく襲うけど、魔獣同士になると自身よりも強い魔獣は襲わず逃げる習性があるんだよ」
ん?…じゃあ今こっちに向かって来てる、魔獣はかなり強い個体って事になるよな…、待てよまだロンさんは魔獣除けを持ってるよな、あいつがここに来たらそれを使えば逃げてくれるじゃん。
「じゃあロンさん、あいつがここに来たら、ロンさんが持ってる魔獣除けを使ったら、あいつは逃げて行きますよね」
ロンは勇の質問にすぐに答える。
「残念だけど私が持っている、魔獣除けで一番強いのはさっき焚いてあったヤツだね…、多分だけど今向かって来てる魔獣はこのニオイに釣られて走ってきてる、消しても来るってことは私達に気づいてるね、あれは…」
ロンが話し終えるとグオンが一言大きな声で「来たぞ」っと声を上げ、皆に伝え咥えていた干し肉が地面に落ちる、それと同時に魔獣も大きな声を上げ、咥えていたものを落とす。
デケェ…、えっこいつ人間を咥えながら来てたのかよ、
やべぇ手が震える…。
ロンが3人に強く声をかけ、魔獣に向かって進む。
「しっかり!!、私が前に出て攻撃を引き受けるから、隙を見て攻撃を仕掛けて、今はこいつを倒すしか他にないよ、明るいうちに倒しきらないと、夜が来るよ」
そうだ…戦うしかない、こいつから逃げるのは無理だ、さっきの走ってた速度的に…、それに俺はなんのために戦うすべを学んだ。
魔獣は前に出てきたロンに向けて、右前足を振り下ろす、その攻撃をロンは盾で受け止める、魔獣はロンに向かって噛みつこうとするが、勇が魔獣の首を斬り、素早く魔獣の間合いから離れる、魔獣は勇に向かって攻撃を仕掛けようとするが、ロンが魔獣の左前足の指を切断し、魔獣の注意がロンに向う。
カッッタ…もっと深く斬ったと思ったけど全然切れなかった、ロンさんの攻撃は全然通ってるから多分首周りがやたら硬いと見た。
魔獣はロンに向かって、背中を使ったタックルを行う、ロンはそれをうまくかわす、魔獣は地面に大きくぶつかり大きく砂煙が中を舞う、その隙を逃さなかったロンと勇は魔獣に攻撃を仕掛ける、ロンは魔獣の左目に向かって剣を突き刺す、勇は魔獣の腹に向かって剣を縦に振り斬る、両者の攻撃を同時にくらい魔獣は大きく体を転がし、勢いよく起き上がる、ロンは二本目の剣を抜き魔獣に向う、ロンの突撃にステップを行いロンの後ろを取ろうとするが、風の斬撃が数回、魔獣に襲いかかり、魔獣は転げる。
何だ今の…ってアンの魔術か、グオンの奴全然動いてないと思ったらアンを守ってたのか。
魔獣はすぐに起き上がるが、勇が先程斬った腹の切り傷が広がり、腸が外に出る、ロンが首下に入り幾度か斬り込む、魔獣はあまり効いてはいないが、ロンから距離を取ろうとするが、勇が魔獣の後ろ左足を斬りる、その攻撃が深く入り魔獣の左後ろ足に深い損傷を与え、魔獣は大きく声を荒げる、勇は続けて飛び出ている腸を斬り、素早く魔獣の間合いから出る、魔獣は勇の方を向こうとするが、ロンが盾で魔獣の顔を叩き注意を向ける、ロンは勇に向けて話す。
「ユウ、こいつの左側面の首を斬るよ、集中して狙って」
勇は返事を返し、魔獣の隙をうかがう、ロンは魔獣の左側面の首を斬りながら首下に入り、魔獣の右前足を斬り魔獣の前に出る、魔獣はロンに向かって左前足を横に振るが、盾で受け止められる、それと同時に勇が左側面の首にめがけて大きく剣を振り下ろし深く斬り裂く、魔獣は勇に向かって体重を込めたタックルを行う、勇は当たりそうになるが風が勇を引っ張り、タックルの攻撃の外に出るが勇は引っ張られた勢いで転がる、魔獣は大きく体制を崩し地面に横たわる。
あっぶなかったぁ、これも多分アンの魔術だよな…、魔術ってすげぇ…、魔獣は地面に倒れ込んだのか、さっきから思ってたけどあいつ単調な動きしかしてないよな、まるで知性がないような…。
魔獣は起き上がろうとするが上手く立つことができず、足をバタつかせている、ロンはゆっくりと近づき魔獣の首に剣を深く突き刺し、突き刺した剣に体重を込めて切り広げ、魔獣は絶命する、ロンは周りを確認してから声を上げる。
「良し…、終わったよ、取り敢えずこいつを燃やして魔獣除けにしようか、それと食べられてた人を埋めてあげないとね」
皆は安堵の声を漏らし、後始末をする。
……この人ミミナガビトかな…ほとんど形が残ってないけど、少し耳が長いような…。
勇達は倒した魔獣を燃やし、原型がない人を埋め、各々のテントに行き、眠りについた。
日が上がり朝が訪れる、昨日倒した魔獣は黒く燃え尽きており、辺りに魔獣のニオイが充満していた。
臭いな…テントに居ても少しニオイが入って来てたけど、外は臭すぎる…、はぁ最悪の朝だ…。
4人は少し寝不足のまま最初の目的地であるイー港にむけて歩きだす。
道中廃村や古い遺跡、あと旅をしている人にも何人か会った、あとは何度か魔獣に襲われたが、全て魔獣除けで撃退することが出来た、そして1ヶ月ほど歩き遂にイー港に付くことが出来た。
「おーすげー…、めっちゃ家あるし、何より船がデカい!遠くから見てるのに…、港ってよりもう町じゃん!」
勇が感動していると、後からロンが話しかける。
「確かに名前は変えるべきだと私も思うよ、ユウがこの世界に来た時ぐらいの頃は、こんなに発展はしてなかったんだけどね、それとユウ…」
ロンが軽く何度か後ろに指差す。
「二人を待ってあげないと、イー港が見えてから結構ペース早めだったよ」
っと言いロンは少し笑うが、笑ってはいなかった。
ロンさん…笑ってるのに笑ってない…、ワクワクしすぎて歩くの早めになってたのか、次から気をつけないとな。
4人はイー港に入る、多くの人で賑わっており、屋台がいくつもある、ロンが3人に向かって話す。
「じゃあ私は船の予約をしてくるよ、ついてきてもいいけど、3人共イー港を歩きたいよね」
勇とアンは何度も頷いた、ロンは続けて話す、「うん…じゃあこれ」っと言い通貨が入った袋を勇に渡し話す。
「盗まれないように気をつけてね、あと旅の邪魔になるような大きいものは買わないように、待ち合わせは今いるこの場所にしよう、じゃあ行ってくるよ」
3人はロンを送り出し、屋台を歩き回った。
結構買ったような…調理器具に食器あと調味料と…モリみたいなやつ…金属製のスプーンも探したけどいいのはなかったな…、てかグオンめデカいもん買うなって言われたのに、モリみたいなやつ買いやがって、絶対巻き沿いで怒られるやつじゃん…、はぁ何かお腹空いたな。
アンが勇に話しかける。
「ねぇユウ、あそこの屋台で御飯食べない?、ちょっとお腹すいちゃって」
勇は「いいよ俺もお腹すいた」と言い、アンが指を指した方に向かう、アンが指を指した屋台に近づくと屋台の店主が勇達に話しかける。
「おう、あんたら何か小腹がすいて来たんだろ、だったらここが一番いい店だよ」
勇は店主に何かおすすめはないか聞く、店主はそれに答える。
「んーおすすめね、兄ちゃん旅の人だよね…、だったらこのチンだね」
チン……ってチ○チ○じゃァねえかこれ…、どう見ても形がそれなんだが?!!、いやまて違う可能性もある、ある!!。
「あの店主さん…これ、いやこのチンって奴、肉っぽいけどどこの…」
勇が言い切る前に店主は答える。
「あぁ魔獣の陰部だよ、旅の疲れも吹っ飛ぶから良いよ、あと夜の…」
勇が店主の話しを遮る。
「あーー、店主さん他に何かそうこれとか」
店主は驚くが冷静に答える。
「どどおしたの?、あぁこれはタマだよ、部位は魔獣のきんた…」
再び勇は「あーー」っと店主の話しを遮り、話そうとするが、アンが勇に話しかける。
「ユウどうしたのそんなに店主さんの話しを遮って?、陰部?ってのがそんなに変だったの?」
アンがその様に言うと、グオンが続けて話す。
「そうだぞシンドウ、店主の話しを遮るのは失礼だぞ、陰部?がそんなに変なものなのか?」
まじかよ…、アンはともかく??グオンお前何でわからないんだよ、お前の股にそっくりなものがぶら下がってるだろ、とととにかく今はこのチンとタマから話しをそらして別のものを購入する…これが今できる解決方法???。
「て店主さん、ここのキノコ…クダサイ」
店主は困惑の表情を浮かべ答える。
「あぁわかったよ?、ハチキレキノコだね、3つでいいかな?」
勇は店主の言葉に頷き、通貨を渡しハチキレキノコを受け取り、その場から逃げるように去っていく、アンは勇を心配そうに追いかけ、グオンはチンを購入してから二人を追いかける、3人はあまり人気がない海岸にたどり着く、アンが勇に話しかける。
「大丈夫?具合が良くないの、何かチンを見てからのユウ変だよ?」
勇は振り返りアンを安心させる為に言葉をかけようとするが、その前にグオンが食べているとものに目が行き、グオンに向けて「グオン!!」っと大きな声を出してしまう、それを聞いたグオンはびっくりした顔で話す。
「何だよシンドウ、いきなり大声で俺の名前なんか言って…」
グオンは何かわかったような顔をして続けて話す。
「シンドウ貴様、このチンを狙っているんだろ、欲しいのなら自分で買ってこいよ」
勇はグオンの言葉を無視して近づき話す。
「俺はそんなものいらないよ、それよりグオン少し二人で話さないか?」
グオンは勇のあまりにも真剣な表情に黙って勇についていっく、勇はアンに話す。
「アン…ちょっとグオンと話があるからここで待っててくれない?」
アンは「わかった」っとだけ言って、二人を見送った、二人は近づき勇は小さな声でグオンに話す。
「グオンそのチンが何か知ってて食べてるの、もしかして俺が知らないだけでそれは当たり前に食べられているものなの?」
グオンも勇に釣られて小さな声で質問に答える。
「このチンは魔獣の陰部?て言う肉を使った、塩漬けの干物だろ、一般的に食べるかは俺は知らないが?、何だよ小さな声で話してそれが聞きたかったことなのか、なら俺はアン様のとこに戻らせ…」
勇はグオンが喋り切る前に話す。
「じゃあお前、陰部って言葉理解してる?、それとこのチン何かに似てないと思わない?」
グオンは不思議そうに質問に答える。
「陰部って言葉は知らないが多分隠されたとこだろ?…、確かにチンの見た目は男性器に似てるが…そんなもの食い物として販売する奴がいるわけ…」
勇は大きく息を吸いそれを吐き、小さくだが確実にグオンに聞こえるように話す。
「チンは紛れもなく…、魔獣のチ○チ○だ!!…、そして陰部ってのは性器の事だ!」
グオンは目を丸くして勇に問いかける。
「シンドウ貴様今…何と言った…魔獣のチ○チ○と言ったように聞こえたが…!?」
勇は深く頷き、それを見たグオンは海にチンを投げ捨て、グオンは海に向かって吐く、あらかた吐き終えるとグオンは話す。
「なんて…事だ…そんな…、シンドウ1つ質問だ、あの店主が途中まで言いかけていた、タマと言うものは…キン…なのか…」
勇はコクリと頷き一言話す、「食べた…?」とそれを聞いたグオンは首を横に振る、そして二人はアンのもとに戻った、3人はロンと合流し、ロンが話す。
「どうしたの何かくらい顔だね、そうそうこれ皆に3つずつあるから」
ロンはそう言うと小さな包みを皆に渡す、アンは受け取るとロンに質問する。
「ロンさんこれ何ですか?、何か小さい棒みたいですけど?」
ロンが答える。
「これはチンって言う薬だよ、船に乗ると視界がグラグラするからね、飲んどかないと大変だよ」
ん?チンだと???、けどこれは見た目がただの棒だな、けど何か服用したくないんだけど…。
アンが思いついたように、ロンに話す。
「そう言えばこれと同じ名前の食べ物があったんですよ、ロンさん知ってます?、この二人それを見てから何か大人しくなっちゃて…」
ロンはアンの話しを聞くと、少し考え3人に問いかける。
「もしかしてその店の店主、はじめの会話で「何か小腹がすいて来たんだろ」って言ってなかった?」
3人は言ってたと頷いた、続けてロンが話す。
「じゃあその次の会話で誰かおすすめを聞かなかった?」
もしかして俺秘密の注文に成功したって事?、確かにはじめ小腹がすいて来たって言葉ちょっとおかしいと思ったけど…、だってあきらかに小腹がすいて来るような品揃えしてなかったし、それにお腹すいた云々の会話は店主から遠いとこで話してたし…。
勇が「言った」っとロンに言うと、ロンは頭を抱え続けて話す。
「なるほどね、もしかして誰かそれ買って、食べたりしてないよね?」
そう言うとグオンが静かに手を上げ、それに気づいたロンはグオンの肩を優しく叩いた、アンはロンに話しかける。
「あのロンさん…結局その売ってたチンって料理何だったんですか…?」
ロンは優しく答える。
「そのチンは違法な…、キノコ料理だよ、だからそう…グオンには少し優しく接して上げて…ね」
ロンさん嘘言った、まぁ言えるわけないよな、これからしばらくグオンに優しく接してあげよう…。
こうして4人は船に乗り込み、大王国があるケントルム大陸を目指す。