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3話 結果と不思議

「ロンさんどう、めちゃくちゃ強そうに見える?」

ロンが勇の質問に答える。

「強そうかどうかは少し分からないけど…、とても似合っているよ」

剣の稽古を始めてから2年の時が経った、その間俺はこの世界の言葉を喋れる様になった、そしてこれから俺は運命を賭けた闘いをする、負ければあの飯が鬼不味くて、何も教えずただ永遠にボコしまくるあのボケカス爺の下に行かなきゃいけなくなる、そして勝てば今まで通りにロンさんの下で生活をする事ができる、これは俺の人生に置ける最も重要な場面の一つだと思う、まあ今から行う闘いは長に見せる模擬戦ではあるが俺は必ず勝利を掴む。

勇が考えに浸っていると、ロンが話しかける。

「そうだこれ、アンがユウに渡してくれって言ってたよ」

ロンが勇に小さい枝で編んだ細長い布のような物を渡し、ロンはにこやかに続けて話す。

「これはお守りだよ、怪我が無いようにアンがユウに編んだもんだね、これ中々作るの大変なんだよ」

確かに丁寧に作られているな、アンありがとう、俺絶対にあんなクソジジイのとこになんて行かないよ絶対。

「このお守り剣に付けても問題ないよね?」

ロンが質問に答える。

「確かに問題は無いけど…、ユウの相手ってグオンだよね、だったらあまり見せないほうがいい思うよ」

ん?グオンってこういうお守り嫌いなのかな、あいつ結構わからない性格してるし、服の中に入れておくか。

勇はお守りを懐にしまい、ロンと話していると一人の男性が近づいて来て勇に話しかける。

「ユウ様会場の準備が終わりました、すぐに来てください」

勇は了承して、ロンに「勝ってくるよ」と言い手を振り会場に向かう。

模擬戦を行う場所はかなり前に俺がグオンにボコボコにされた広場もといゲムマ戦士の修練所で行われ、俺がどれほど戦えるかを見せるものになっているが、正直俺からしたら勝てばロンさんと居られて負ければハン爺の所に行くだけでしかないと思っている…、さてそろそろ会場に着くな、気合い入れて行くか。

勇は男性に連れられ会場に着く、会場には多くの人がおり、村の外の人も多くいる、勇の対戦相手は既に会場におり、決闘を行うステージの近くで話をしていた、勇はそのままステージに立ち長に挨拶をする。

「長様今日はこの様な機会を設けていただきありがとうございます、ここで行う決闘、自身が持つ全力の力を持って行わせてもらいます」

勇の言葉を聞いた長は、一言「そうか」と言い模擬戦を始めるように促す。

この爺は本当に俺に冷たいよな、俺が召喚されたから予言が本当だと思って、忌み嫌われてるんだよな、結構この村でこの爺と同じように思ってる奴が多いんだよな。

模擬戦は相手を殺害する、または地面に膝を突く、または自身が持っている武器を地面に落とす、などすると敗北になる、模擬戦の時が近づき、勇とグオンはステージの中心に立ち、お互いに剣を抜く、模擬戦の始まりの合図は長が「始め」と言ったら始まる、グオンが勇に話しかける。

「シンドウ以前ここでお前がどのようになったか覚えているか?、今日この場で以前のように俺がお前を圧倒するだろう」

こいつまじで変わんねーな、確かに2年前はボコられたけど、こいつ俺が以前よりも強くなったこと知ってるよな、多分こいつなりのパフォーマンスなんだろうけど…、はぁ仕方ないし乗ってやるか。

「確かに俺は以前、お前に完膚なきまでにやられた、だがそれは以前の俺だ、今回は俺が必ず勝つ」

勇の言葉を聞いたグオンは少し笑みを浮かべ、構えを取る、勇もつられるように構えを取る、お互いに今か今かと合図を待つ...そしてその時が訪れ模擬戦が始まる、合図とともに勇はグオンとの距離を詰め剣を振り下げる、グオンは攻撃を剣で受け流そうとするが、勇の攻撃が早く剣で受け止める、グオンは受け止めた攻撃を弾き返そうとするが腕力が足りず後ろに下がる、それを見逃さなかった勇は再び攻撃を仕掛けるが、上手く攻撃を防がれる、お互いに間合いの外に出て構えを取り直し様子を伺う。

流石はグオンだな、身体能力任せの攻撃だけじゃ倒せないよな、さてどうするか...攻撃を流して隙ができたとこを狙って剣を弾いてみるか。

勇は構えを変え相手の攻撃を誘う、グオンは少し踏み込みを強くしてタイミングを整え斬りかかる、勇はその攻撃を受け流し、カウンターを仕掛けるがグオンはその攻撃を間一髪で躱す、思わず勇が言葉を漏らす。

「まじかよ!!」

その一言にグオンはすぐさま言葉を返す。

「いまのがお前の全力なのか?、それなら俺には勝てない」

なにドヤ顔で言ってんだよ、お前も内心動揺してんだろ、まあ確かにあれを躱すのはすげーけど。

勇が強く踏み込み距離を詰め、横ぶりの重い一撃を繰り出す、グオンはそれを後ろに下がり回避するが勇が避けた先を狙い攻撃を行う、グオンはその攻撃を剣で受ける、勇は受け止められた剣を押し込むことはせずに別側面から斬り込むがそれも受け止められる、勇は休むことなく先程行った攻撃を行うがまたしても受け止められる、その攻防を3度繰り返し勇に隙が生まれる、そこを狙いグオンは重い一撃を繰り出すが、勇はその攻撃を受け流し、グオンの剣を弾く、弾かれた剣は中を舞地面に突き刺さる、グオンは剣を強く弾かれたことによって体勢を大きく崩し、地面に膝を突く、それと同時に長が「そこまで」と大きな声で闘いを終わらせると同時に周りに居た人達が一斉に喚声を上げる、勇は手をグオンに差し出す、グオンは少し不服そうではあるがその手を取り立ち上がる、長の隣にいる長髪の男性が声を上げる。

「皆のもの静まりなさい、この勝負ユウ シンドウの勝利とします、ではユウ長様のそばに来なさい」

勇はその言葉を聞き、言われたとおりに長の前に行った、少しの間沈黙ができ長が勇に向けて喋る。

「予言の子よ、見事な闘いだった、これならば魔獣共と戦うことができるであろう、あと数年はこの村にいることにあるだろうが引き続き鍛錬を怠らないよう」

勇は返事をして会場から立ち去る。

廊下を歩いていると後ろから男に話しかけられる、その声で勇はロンだと気づく、振り返りロンの話を聞く。

「ユウよく勝った、私はユウが勝つ事は当たり前だと思っていたけど、やっぱり勝つとこを見たら嬉しくてたまらないよ、さあ家に帰ったらユウが好きなユウタケをふんだんに使った料理をいっぱい作ろうね」

ロンがその様にニコニコで話していると老人の大きな声が廊下中に響き渡る。

「ユーウ!!!!!実に良い剣だったぞ、だがあまりにも不完全!!、だからこそお主にはわしの剣であるデスキン流がふさわしい、さあ今からわしと共に森に行き我がものとせよ!!!!ガッハッハ」

うわぁハン爺だ、取り敢えずロンさんの後ろに隠れとくか、なんとなく予感がしてたけどこの人勝っても負けても剣教えようとしてたよな。

勇がロンの後ろに隠れるとロンがハンに話しかける。

「ハン、ユウは私が育てるので問題はない、それにあなたは誰かを育てるのには向いてないよ」

ハンはその言葉を聞きロンが居ることに気づき言葉を返す。

「何じゃ貴様おったのか、わしが育てるのに向いてないとは言うようになったのぅ、わしには実績があるんじゃぞい」

それを聞いたロンは少し引いた顔をして言葉を返す。

「フヘンは確かに実績と言えるね、ただフヘン一人しか教えらてませんよ、それに何十人もの戦士を駄目にしているよね、それが最も駄目だと思うけどね」

ハンがすぐに答える。

「そやつらはわしの剣について来れなかっただけじゃ、それに今からユウを合わせて二人目になんじゃ、はよう行くぞユウ、まずはオーリス森林の主を倒すとこからじゃなハハハハハ」

ロンが大きなため息をつき少し暗くぎこちない声で喋る。

「ハン殿...あなたがとっても好きなミンが会場にいましたよ、ミンもハン殿にとても会いたがっていましたよ、さあ早く今すぐ、とても早く会いにいってくださいよ」

ロンの言葉を聞いたハンは素早く言葉を返す。

「なんじゃと、ミンちゃんが会いたがっているなら、はよう言わんか」

ハンがそう言うと凄まじい速度で「ミンちゃん〜」と言いながら会場に向かって行った、ハンが居なくなるとロンは再び大きくため息をつき顔に手を当てる、そして勇に帰ろうと言い、勇を2度頭を縦に振り家に帰る。


数日が経ち俺は自宅の庭で剣の稽古をしていた、ふぅ…まあ取り敢えず休憩っとそろそろ昼飯時出しな、ロンさん今どこにいるんだろうな、何か頼まれ事をされたって言ってから3日は経ってるよな、もしかして何かあったのかな?。

勇がそのように考えに浸っていると、少女が声をかけてくる。

「ユーウ一緒にご飯食べていい?」

その声はアンの声だとすぐわかる、勇は返事をする。

「いいよ俺も今食べようとしてたし、それよりアン、ロンさんが帰ってきてないんだけど何か知ってる」

二人は家に入り、アンが勇の質問に答える。

「ロンさんなら確かミンに頼まれて、マブセイって言う希少な植宝を取りに行くって言ってたよ、でも最近魔獣も増えてきたみたいだから少し心配かも、だけどロンさん強いし大丈夫だよね」

確か植宝って特定の植物に実る、結晶みたいなもんだっけ、ロンさんは大丈夫だと思うけどやっぱり魔獣増えて来てるんだな。

アンが少し悩んだ後に続けて話す。

「ねえユウ…、ユウがもしも良かったらさ、魔術学んでみない?、ユウ結構才能あると思うんだよ、それに最近言葉の勉強も終わったんでしょ?」

まじか俺、魔術使えたりするのか、確か魔術って才能ある人しか使えないとか…、まぁもちろん教えて貰うに決まってるけど。

勇が食い気味で返事をする。

「ぜひ教えてください、アン師匠」

アンが嬉しそうに話す。

「やっ...ゴホン、じゃあ昼ご飯を食べ終わったら魔術の習得をしよ、けど私基礎ぐらいしか教えられないけど」

二人は昼ご飯を食べ終えると勇の部屋に行き、魔術の習得を行う、二人は地べたに座り、アンが勇をまじまじと観察する。

「ふむふむ、なるなる、やっぱり...うんいけそう」

観察し終えるとアンが喋り始める。

「じゃあユウ、一つ質問するね、ユウは自分の体に何かフワッてした何かを感じない?」

フワッとした何か?、それはよくわからないが俺はこの世界に来たときから自分の胸のあたりが何か変な感じだったんだよな、この感覚でもいいのかな?。

「フワッとはわからないけど、確かに胸のあたりが変な感じはあるよ」

アンは納得した様な顔で返事をする。

「なるほど、じゃあユウ右手を前に出して手のひらを上に向けて、あぁ別に右手が嫌だったら左手でもいいからね、でその胸の変な感じに集中して、漂えって唱えてみて」

勇はアンに言われるがままにそれを行うが、何も起きなかった、勇がアンに喋りかける。

「アン…もしかして俺、魔術使えなかったりする?、何も起きなかったし、何も感じなかったけど…」

それを聞いたアンは少し微笑み答える。

「大丈夫、ユウは魔術使えると思うよ、いや使えるね、まぁ何か変な感じだったけど…、でもユウは気がついて無いけどさっき唱えた詠唱もちゃんと機能してたよ、それに魔術って体内の魔力を使っうんだけど、魔術の一番難しいとこは自分の魔力を外に出す事だから、それさえできれば後は簡単だよ」

良かった、俺ホントに魔術使えるんだ、けどまじでアンに言われないとわかんなかったな、自分の魔力なのに自分でわからないってやばいんじゃないか、てかこの世界に来て感じた違和感って魔力だったのか、元の世界に魔力って言う概念がなかったから?多分違和感を感じたんだろうな。

「アン、自分自身の魔力を感知出来ないって結構深刻なんじゃ…」

アンが首を横に振りに答える。

「そんな事ないよ、この世界中を探しても、魔力を完璧に感知できる人なんていないと思うし、それに魔力を感知することだって並の魔術師でも無理なんだよ」

そうなんだ、魔力って結構未知なもんだったりするのかな、てかアンって俺の魔力を感知出来てそうな感じだよな…、って事はアンってめちゃくちゃすごいんじゃない。

「アンは魔力を感知できてそうだけど、もしかしてアンってすごいんじゃ...」

それを聞いたアンは自慢げな顔を浮かべて話す。

「ふんふーんこれは、私の特殊的な能力何だよ、まあ生物だけだけど」

なるほど特殊的な能力なのか…、それって普通にやばくね、そういやアンが少し前に言ってた、何か変な感じってどう言う感じで変だったんだろう。

「アン、俺が漂えって唱えた時に、何か変な感じって言ってたけど、どんな感じに変だった?」

アンが少し悩んだ顔を浮かべ勇の質問に答える。

「んーなんて言ったらいいのか、わかんないんだけどユウの体内にある魔力が胸のあたりに多く集まってるんだよ、何か行き場所がなーいって感じで…、だから何かおかしいなーて、けど詠唱を唱えた時にちゃんと体内魔力が循環してたから魔術は使えると思ったんだよ」

胸のあたりに魔力が多く集まってるのが変な感じって事は本来は別の場所に集まってるか、体中に広がっているかだよな、てか変な感じって普通に人体の健康的にまずいんじゃないか、もしかしたら魔力を使わないと爆発したらして...。

「あのアンさん、正常な体内魔力ってどんな感じ何ですか?」

アンは少し首を傾げて勇の質問に答える。

「正常な体内魔力は一箇所に多く集まったりはしないよ、あとユウそんなに怖がらなくても大丈夫だと思うよ、一箇所に多く集まっても死んだりはしないと思うし、それにユウのは普通の人間よりも多くの魔力を蓄積できるだけだと思うよ、まあ私もあんまり詳しくはわからないけど、もっと詳しく知りたかったら魔術学院でちゃんと学んだ人じゃないとわかんないと思う」

魔術学院でちゃんと学んだ人か、まあ今は体の異常は無いし大丈夫か...大丈夫だよなうん。

こうして勇はアンの教えの下、数日に渡って魔術の訓練を行った。

今日で9日目、毎日5時間ぐらいはやっているが未だに始めに習った魔術を使う事はできていないが、今日こそは必ず成功させてみせる。

勇は右手を前に出し、目を閉じ深く集中する、そして一言呟く、「漂え」そう勇が唱えると、前に出している右手から一瞬光が出る。

何かさっき出たような気がする、もしかして成功したか。

勇は目を開けアンに出来たかを確認する。

「アンもしかして俺、成功した?」

アンは驚いた顔をして答える。

「成功したと思う...、けど私が教えた魔術と全く違う現象が起きたよ、どういうこと??」

あれアンがめちゃくちゃ混乱してる、ん?教えた魔術と違う…それやばいんじゃ…。

アンが混乱しながらも話す。

「本来教えようとしてた魔術は光ったりしないんだよ、あとあんな光を放つ魔術も無いし、多分再現出来ないと思う、けど似せようとすると複雑な魔法術式が要求されるはずだよ、それに教えようとしてた魔術は言葉通りで、薄黒い煙みたいなもんが漂うだけなんだけどどどどういうこと????」

もしかして俺はアンの様な得意的な能力を持っているかもしれない…のか???。

こうして勇は魔術を覚える事に成功した。

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