21話 過去 勇者
ここは…見たことある、ムリエルとアルブムが住んでいる家だ、てか誰かの体じゃないし意識がはっきりしてる、あと自由に歩き回れる、物とかは持てないな…なんか俺の体少し透けてるし…、この感じ…多分俺を見ることは誰もできないんだろうな。
勇が少し部屋を歩いていると、勢いよくドアが開きアルブムが声を上げる。
「ムリエル!!!…いない、早く見つけないと…、もしかして悲鳴があった場所にいるのか…」
アルブムは不安な顔を浮かべ、急いで走っていく、勇はアルブムを追いかける、少し走りアルブムは物陰に隠れ、ノウムの鎧を着た人達を遠くから見る、ノウムの鎧を着た人達の近くには縄で手を縛られた人が数人座らされており、アルブムは小声で「みんな…ムリエルはいない…ごめん」と言い、再び家に戻る、勇はアルブムを追いかけることはせずに、ノウムの鎧を着た人達に近づき観察する。
ノウムの鎧…けど…多分だけどノウム兵士じゃないな、てか偉そうに座ってる男…どこかで見た顔だな…?。
勇が偉そうに座ってる男を見ていると、ノウムの鎧を着た右目がない中年の男性が偉そうに座ってる男に話す。
「まだ見つかりません、本当にあるんですか?、リカメスさん…」
偉そうに座ってる男は少しため息を漏らし、懐から小さな袋を取り出し地面に放り投げ話す。
「ある…ないなど私は知らない、お前たちは私がいいと言うまで探すだけだ…そうだろう?」
右目がない中年の男性は作り笑みを浮かべ、小さな袋を拾い返事する。
「はい!そうです、リカメスさん、俺も探してきますので」
右目がない中年の男性はそう言いながら何度もお辞儀をしてその場を離れる、勇は小さな袋が少し気になり右目がない中年の男性の後を追う、少し歩きノウムの鎧を着た人達が何人かいる場所につき、その中にいる鎧を着ていない低い声の男性が話す。
「おいあの馬鹿はなんて言ってた?、ってその袋お前な…そんな金で頷いたのか?」
右目がない中年の男性は返事をする。
「仕方ないでしょ…お頭、笑顔で頷くしか方法がないんですから、はぁ…なんでこうもマッコーリカの人間は人使いが荒いんでしょう」
マッコーリカ…もしかして…ティラスの親父さん?…、前にティラスが言ってた、5年前一つの村を滅ぼし虐殺したって、ここのことなのか?、まじかよ…。
低い声の男性が少し笑い「確かにな」と言うと、変なヒゲの男性が少し慌てたように話す。
「あのヤラコラさん…、ササナチュが死にました、ですがあの人最後に剣の在り処を知る女がいたと、少し赤毛の…」
ヤラコラは変なヒゲの男性を見て「は?」と言い、置いてあった武器を取り話す。
「お前ら早くいくぞ、ちゃんと弓も持ってけよ」
そう言いヤラコラ達はムリエルとアルブムの家に向う、その後は以前見た記憶と同じでムリエルが死にアルブムの声に気がついたノウムの鎧を着た人がアルブムを強引に偉そうに座ってる男の場所につれていき、偉そうに座ってる男は連れてこられた人達に話す。
「私は聖剣ルミナスを探してこのく…村に来た、知っているの者はいるか?」
リカメスがその様に言うと男の子が泣き、それを見たリカメスはゆっくり近づき、剣を素早く抜き斬り殺す、近くに座っていた体つきのいい男性が立ち上がろうとすると、リカメスが少し顎を上に上げ、それを見たヤラコラが体つきのいい男性の足を切断する、リカメスは冷たく死体を見ながら話す。
「私は嫌いなんだ…、お前たちみたいな魔族と暮らす糞共は…、もう一度聞く…聖剣ルミナスはどこだ?」
こいつ…終わってんな…、人間のクズじゃん…、もしも会ったら斬り殺しそうになりそうだな…、あ…もう死んでたっけ。
縛られた人達は恐怖で体を震わせる、その中アルブムが声を上げ話す。
「まず聖剣ルミナスってなに?、俺達はそんなもの知らない」
リカメスはアルブムを見た後に舌打ちをして答える。
「聖書に出てくる、神の剣だ…特徴として光を放つと言う、魔族のお前には理解できないと思うがな?」
女の子が震えた声で話す。
「それって…ムリエルの剣?、それだったら…シックラがどっかに持っていっちゃた」
リカメスは女の子に近づき作ったように優しく話す。
「そのシックラくんはどこにいるのかな?」
女の子は涙を流し、その涙を必死に押さえ、始めに斬り殺された男の子を指差す、それを見たリカメスは大声を出しながら怒鳴り、女の子の隣りにいた人を殺す、そして冷静になりヤラコラに向かって話す。
「おいヤラコラ、もうこいつらはいらない、あぁ…そうだその魔族とこの少女は殺すなよ」
それを聞いたヤラコラは頷き、ノウムの鎧を着た人達と共に縛られた人達を殺害する、リカメスはアルブムに近づき縄を斬り話す。
「おい魔族、この少女を連れて早く消えろ」
アルブムはリカメスを少し睨み、少女を背負い森の方に向かっていく。
こいつ…まじで…はぁ…、ん?なんでこの男は弓を構えてんだ?、まさかおいやめ…。
ノウムの鎧を着た男性はリカメスの指示のもとアルブムに向かって矢を放つ、放たれた矢はアルブムが背負っていた女の子に当たり、女の子は地面に落ちる、それを見たリカメスは大きく笑い続けて矢を放つように命令する、アルブムは女の子に覆いかぶさり矢が当たらないようにするが、かわりに多くの矢がアルブムの背中に突き刺さり、近づいてきたリカメスに蹴り飛ばされる、アルブムは立ち上がろうとするがリカメスに首を踏まれ抑え込まれる、リカメスは話しながらアルブムの体を剣で刺す。
「お前ら魔族は本当に頭が悪いな、逃がすわけないだろ、それにそのお前の目…私を苛つかせたお前が悪いんだ」
満足したのかリカメスは振り返りヤラコラに話す。
「早く聖剣ルミナスを見つけろ、新たな国王に献上すれば私は絶対的な土地権を得れる…、フフフ…そうなればお前たちも懐が潤うだろう」
リカメスが笑っている中でアルブムは近くに落ちてある石を右手に取り、歯を食いしばりながら必死に立ち上がり、リカメスに殴りかかる、リカメスはそれにいち早く気づき、アルブムの右腕を切断して腹を蹴り、アルブムは地面に倒れ込む、リカメスはアルブムを見ながら少し苛ついたように話す。
「お前らこの魔族を持ち上げろ、首を跳ね飛ばす」
それを聞いたノウムの鎧を着た人達はアルブムを持ち上げいい感じの体勢にする、そしてリカメスはアルブムの首を切断する、剣に付いた血をアルブムの服で拭き取り、再びノウムの鎧を着た人達に向かって、聖剣ルミナスを探すように命令する、ノウムの鎧を着た人達が探すためにその場を離れようと歩き出したタイミングで辺りが大きく揺れ、上空からガラスを割るような音が鳴り響き、空を見上げると少し空が割れ、そこから黒い霧が出ており、その黒い霧はリカメス達に向かって降りてきていた、リカメス達はその黒い霧を見て恐怖で顔を歪め立ち尽くす、黒い霧は立ち尽くすノウムの鎧を着た人達を飲み込んでいき、それを見たリカメスと一部のノウムの鎧を着た人達は急いでその場から離れる、黒い霧は更に家を飲み込んでいき、死体となったアルブムの体を丁寧に持ち上げ包み込み空の割れ目に運んでいく。
この黒い霧…知性がありそうだな…、飲み込まれた人や家はめちゃくちゃになってるな、アルブムは確実にここで死んだ…けど生きていた、あの時会ったアルブムはまるで別人だった?、もしかしたらこの黒い霧に乗っ取られ出るのかも?…。
勇は以前会ったアルブムを明確に思い出すために目をつむり深く考えていると、いつの間にか過去から戻っていた、ティオネルは少し不思議そうに勇を見ていた、勇は自身の体が元に戻っていることを確認して、ティオネルに話しかける。
「ありがとうティオネル、みんなは見つかった?」
ティオネルは答える。
「大体目星は付けれました、後は私がその場所に向かって戻すだけです」
勇は少し笑顔を浮かべ、言葉を返す。
「本当にありがとうティオネル、俺はここで待ってるよ、少し考えたいことがあるから」
ティオネルは少し驚いた顔を見せ、返事をして向かっていった、数時間ほど経ち勇が倒木に座り待っていると、ミルルハとミットルが警戒しながら合流し、勇が二人に向かって手を振るとミルルハが剣を向けて話す。
「あんた誰だ?、俺が知っている勇者様はそんなことしない」
それを聞いた勇は痛いところをつつかれた顔を浮かべ、ミルルハに言葉を返す。
「確かに感じ悪かったよな…、ごめんミルルハ、ちゃんと俺だよ…真堂 勇だ」
そう言うと更にミルルハは警戒し敵意を向けるが、隣にいたミットルが勇に近づき、潰れたような声で話す。
「本物ダ…、変ワッタ…勇者様」
それを聞いたミルルハは言葉の内容よりも喋った事に驚き話す。
「ミットル?!お前喋れたのか??!、てか意外といい声してんるなお前」
ミルルハが驚いていると後ろからアルハスが歩いてきて、勇を見て警戒してミルルハに話す。
「ミルルハどういう状況ですか?、あの勇者様は本物?」
そう言うとミットルが答える。
「本物ダ…アルハス様…、腕ニチャント付ケテル」
それを聞いたアルハスは「そうですね…、様はやめてください」といい、勇に近づいていく、ミルルハはアルハスに驚きながら話す。
「アルハス…ミットルが喋ったんだぞ、驚かないのか??!、喋ったんだぞ?」
アルハスが振り返り返事をする。
「ミットルは喋れますよ?、知らなかったんですか?、はぁ…かなり一緒にいたのに知らなかったんですか…ミルルハ?」
そのように話しているとグオンが合流する、グオンは勇を見て目を見開き、少しして隠すように笑みを浮かべる、勇は立ち上がり辺りを少し見る。
ティオネルは…いないな、まぁまた会えるだろ、ユウ シンドウとしての旅はここで終わりだ、この先は俺の…真堂 勇としての人生だ…。
勇は4人の方を見ながら話す。
「さぁ行こう、みんな」
勇はそう言い歩き始める、グオンは小さく頷き勇に続き、3人は少し困惑した表情を浮かべついて行く、少し歩き勇は少し後ろが気になり振り返り後ろを見る、勇の目線の先にはティオネルが静かに手を小さく振っており、その隣にはムリエルとティラスそして知らない長耳人族の男性がこちらを見ていた、勇は笑みを浮かべ前を向き歩き出す。
数十日歩き勇達はティオネルの森を抜ける、少し寒さを感じるが過ごしやすい気温で、薄っすらと巨大で広い山々が見えていた、アルハスが勇に近づき話す。
「ユウ様ここから先は魔獣や魔物と出くわす可能性があります、あの…今薄っすらと見えている山の奥に小人族の国があるのでそこを目指します、道を教えますので…」
アルハスが話している途中で勇が話す。
「大丈夫、アルハスを信じてるし、絶対に守るから、教えなくてもいいよ」
そう言い勇は後ろにいる疲れている、グオン達を見て「休憩しよ」と言い、グオン達を休ませる、それを見たアルハスは少し首を傾ける。
更に数十日歩き勇達は山に入ろうとしていた、足場が少しずつ悪くなっていき、風が荒々しく吹く。
風強いな…俺は全然平気だけど…、みんなはキツそうだな、まぁゆっくり行けばいいか、ていうかこの辺り見たことあるな、ムリエルの記憶で見たことがある…、って事は小人族の国も見たことがあるな。
勇は後ろの4人を意識しながら歩いていると、前方から魔物 魔獣の気配 魔力を感じ、立ち止まり後ろの4人に知らせ、すぐに隠れる、少しして魔物と魔獣の部隊のようなものが現れ道を塞ぐ。
なんだあいつら…もしかして俺らが来ることを知ってて、塞いでるのかな?。
アルハスが勇に小さな声で話す。
「ユウ様、別の道をいきましょう、あの魔物達はおそらく私達が来るのを知っています、きっと他の道も同じ様に塞いでると思いますけど、道が入り組んだ場所ならまだいないと思います」
それを聞いた勇は首を横に振り、立ち上がり物陰から出て話す。
「そんな遠回りしなくても大丈夫だよ、全部俺が倒すし、みんなは俺が守るから」
勇は背負ってる剣を素早く抜き、グオン達は各々「は?」と言うような、驚いた声を漏らし、一匹の魔物が勇に気がつき大声を上げる、勇は「纏え…ルーメン」と言い、剣身に光を纏わす、そして消えたように一瞬にして魔物と魔獣達の場所まで移動し、剣を大きく横に振り、視覚的に見える巨大な光の斬撃を前方に大きく放ち、多くの魔物と魔獣が斬り捨てられ絶命する、一部の魔物はそれを間一髪で避けるが、勇が消えたように一瞬にして一匹の魔物の背後を取り、剣に光を転々と灯、「貫け」と呟き剣を振るうと、光の直線が剣から凄まじい速度で放たれ、何匹かの魔物を貫き殺す、一瞬にして魔物と魔獣の部隊は壊滅し、勇は目をつむり辺りを警戒する。
まだなんかいるな…魔物か、地面の下にいるのか?、動きがないってことは隠れてるのかな?、まぁこいつらが隠れるとかは想像できないな、俺が油断するのを待ってるんだろう、多分だけどこいつグオン達を狙ってるな…。
勇は目を開け剣を鞘にしまい、グオン達から離れるように歩き始める、少し歩くと地面の下にいた魔物が釣られグオン達の後ろに現れ、大声を出し言葉を発する。
「馬鹿が勇者!!、お前の弱点はこの下等種族共だ!!」
その様に言いながら出てくるが、勇は既に地面から出てきた魔物の目の前におり、剣に光を転々と灯、「纏え…ルーメン!」と言い、剣を少し上向きで横に強く振ると、視覚的に見える巨大な斬撃がとんでもない速度で放たれ、勇の目の前にいた魔物の上半身が跡形もなく消え、その魔物の後ろにある山の崖端を斬り裂く、勇は左手を前に出し「強く震わし、弱く広がり、消えろ」と呟くと、目の前にいる体が半分消し飛んだ魔物が触手を生み出し、高速で勇を貫こうとするが、触手は勇の体に触れる前に、勇の魔術によって消し去られ、魔物の残った下半身も跡形もなく消し去られる、勇は再び目をつむり、辺りを警戒して目を開けグオン達の方を向き話す。
「さぁ行こう、ゆっくり安全に…この先の道は険しくなるから」
4人はあっけにとられ各々コクリと頷き、死んだ魔物 魔獣を横目に見ながら歩き始める、勇はそれを見て前を向き歩き始めようとするが、再び後ろを向きティオネルと別れる時にいた、長耳人族の男性が勇を見て満足した顔を浮かべゆっくりと消えていっていた、勇は前を向き4人に合わせて歩きだす。
勇達は数十日ほど足場が悪く足を滑らせばただでは済まない山道を歩き、小人族の新たな国 独創確に到着する、周りは高い山に囲まれており日が差し込むには難しく、魔力で灯した光が国を照らしていた。
すごいにぎわいだな…、それに鍛冶屋?がたくさんある、ここに住んでる人達は魔王軍に故郷を奪われた人達なんだよな…けどみんな楽しそうにしてる…すごいな、そういえば俺…ルーメンの手入れを一度もしてないけど大丈夫かな?、いや大丈夫なわけ無いか、もう一本の剣は結構やばいんだよな、買い替えたくもないし、手入れでも頼もうかな、待てよノウムの金使えるかな?。
勇が考えているとアルハスが話しかける。
「ユウ様はどうしますか?、宿を探すのは少し時間がかかると思いますけど」
勇はすぐにアルハスの方を向き答える。
「剣を直してくるよ、ある程度したらここらへんにいるから、それとアルハス…様はいらないから、勇だから勇」
アルハスは少し笑みを浮かべ、返事をする。
「そうですか、ではまた後ほどユウ様」
そう言いアルハスとミルルハそしてミットルは人混みに向かって歩いていく、勇はグオンを見て話す。
「グオンはどこいくの?、アルハス達についていかないってことはどこかいくんだよね?、なにか欲しいものでもあるの?」
グオンは目線を合わせ答える。
「特にいきたいとこはない…、俺はあいつらが好きじゃないんだ」
勇は数回頷き言葉を返す。
「じゃあ一緒に行こう、一人で歩いてたら暇だし、グオンがいたら楽しいだろ」
グオンは鼻で笑いそっぽを向く、勇はグオンの背中を軽く叩き歩き始める、グオンは勇について行く、二人はしばらく話しながら歩き中央から離れた場所にある一軒の武器屋に入り、勇は店員に話しかける。
「あのここで武器を手入れしてくれるって聞いたんですけど、お願いしてもいいですか?」
店員が答える。
「できますよ、ちょうど親方の休憩も終わって暇にしてますし、すぐですよ」
店員がそのように言うと、店員の後ろから一人の小人族の男性が現れ声を上げる。
「なにが暇してるだぁ?、俺は急がいんだぁ、手入れはお前がやれよ」
勇は背負っている剣と腰に差してある剣をカウンターに置き、店員に話す。
「この2本お願いします、俺ケントルム大陸の金しか持ってませんけどいいですか?」
店員は困った顔を浮かべながら、勇に了承して小人族の男性に小さい声で話す。
「親方無理ですって、俺手入れなんてやったことないんですから、それに親方ならすぐにでき…」
店員が話し切る前に小人族の男性は店員の足を叩き、笑い「やればできる」と言い、近くの椅子に座りタバコのような物を吸う、店員は勇の顔を覗きながらカウンターに置かれた剣を手に取り鞘を抜く、店員がルーメンを手に取り鞘を抜くと小人族の男性が大きく咳き込みすぐに勇達に近づきルーメンをじっくりと見た後に話す。
「まさか…師匠が言ってた神器に会うとはな…、もう一本は長耳人族の剣か、ちょうど暇になったし、俺が直してやるよ、だぁがこの剣は問題ねえ」
そう言いながらルーメンを勇に近づけるようにカウンターに置く。
神器…か…まぁ普通の剣じゃないとは思ってたけど…、結構雑に使ってたんだけど本当に問題ないのか?。
勇が少し眉をひそめていると小人族の男性が不満そうに話す。
「なんだぁ?兄ちゃん?、俺の言葉が信用できないか?、なら他のとこに頼みに行くか?」
勇は返事を返す。
「探すのも面倒なんでここで直しますよ、確かに疑いましたけどそれだけ俺が雑に剣を使ってたんですよ」
小人族の男性は「そうか」と言い、もう一本の剣を手に取り、鍛冶場に向かおうとすると勇よりも一回り大きい眼帯をつけた女性が店に入ってくる、そして小人族の男性に話しかける。
「相変わらず人がいないなプタナコ、いい加減店の名前変えろ」
小人族の男性は足を止め振り返り、言葉を返す。
「今日は二人おるだぁろ、それにお前鉱石買うなら別の所で買え」
眼帯をつけた女性は勇に近づき返事をする。
「プタナコが選んできた鉱石が一番いい…、後たまにタダだからな」
それを聞いたプタナコは店員を睨み大きくため息をつく、眼帯をつけた女性は勇が持っているルーメンを見て話す。
「神器…珍しいな、しかも見たことない素材で作られてる、なぁあんた少し見せてくれないか?」
勇は了承し眼帯をつけた女性にルーメンを渡す、眼帯をつけた女性はルーメンを手に取ると真剣な表情で見つめ、プタナコが話しかける。
「お前の目にはなにがみえるんだぁ?、お前の先祖の姿でも見えるのか?」
眼帯をつけた女性はプタナコを無視してルーメンの剣身を指でなぞると光が少し生み出され、眼帯をつけた女性は少し笑みを浮かべる。
光が出た?、前にみんなに渡して光が出るか試したことあったけど、誰も光を出せなかったんだよな、もしかしてこの人ルーメンを使えるのか?。
眼帯をつけた女性は勇にルーメンを返し、勇は「なんで光を出せたんですか?」と尋ねると、眼帯をつけた女性は答える。
「俺のはただの残り滓だ、その剣は悲しいな…主を失い、行きたくもない場所に連れて行かれ…閉じ込められ…、けど今は幸せそうだ…、だがあんたもう少し優しく使ってやれ」
勇は少し眼帯をつけた女性を見た後に頷く、それを見た眼帯をつけた女性は店員の方にいき鉱石を購入し、店から出ていく。
てか手入れってどれぐらい時間かかるんだろう?、プタナコって人がさっきのコビトのおっさんだよな、いなくね…鍛冶場に行ったのかな?、まぁ待ってたら来るだろ。
それから少しして勇とグオンが話しているとプタナコが戻って来る、剣を店長に渡し店長は剣を丁寧に箱にしまう、勇はグオンとの会話をやめて店長がいるカウンターに向かい話しかける。
「あの俺の剣って手入れ終わったんですか?、箱にしまってましたけど」
店長はそれに答える。
「終わりましたよ、ですがこの国では手入れなどが終わったあとは休ませるために箱に入れているんです、なので7日後にまたお越しください」
店長はそう言い頭を下げる、勇は店員に手入れの金額を聞き、支払いを済ませ店を出ようとすると、プタナコが呼び止める。
「なぁ兄ちゃん?、その首にかけてる指輪…少し見せてくれないか?」
勇は立ち止まり少し迷った後にプタナコに指輪を渡す、迷っている勇を見たプタナコは手を自身の着ている服で拭き丁寧に受け取る、少し見た後に勇に返し話す。
「ありがとよ、大切なもんなのに俺なんかに渡してくれて、すごいなそれ…完全じゃねえが神器だぁぜそれ」
勇は指輪を見て驚いた顔を浮かべ首にかける、プタナコは続けて話す。
「今言うことでもねえが…がんばれよ、じゃあちゃんと取りに来いよ」
勇は頷きグオンと共に店を出る、辺りは店に入る前よりも暗くなっていた、二人は待ち合わせの場所に向かうと、アルハスが座っており爪を眺めていた、二人はアルハスに近づき勇が話す。
「おまたせ…結構待たせたよねごめん、二人は宿にいるの?」
アルハスは急いで立ち上がり少し身なりを整え答える。
「いえ大丈夫です、二人は買い出しに向かわせています、ではいきましょうか」
そう言いアルハスは歩き始める、二人はアルハスについて行く。
なんか…アルハスぽくないような、多分結構待たせたな…アルハス怒ってんな…、アルハスってなんか好きなもんとかあるのかな?、今度聞いてみるか。
宿につくと既に食事が用意されており、5人はそれを食べ話をし、数日間勇達は独創確と言う国を満喫した、そして勇達は魔王軍の本拠地である魔秀国を目指し出発する。
それにしても驚いたな…、手入れを頼んだだけなのに別格に変わってた、まぁ見た目は変わってないけど…、良かったな…あの国また訪れよう。