17話 新たな日
「ュ ウ おき... ユウ 起きて もう昼だよ ご飯食べよ?」
聞き覚えのある言葉だ…、いつだったか昔聞いた…アンの言葉…、そうだ…早く起きないと…、そうしないと俺は永遠に昔の記憶を辿る…。
勇はゆっくりと目を開け起き上がる、勇は昨日の事を浮かべ、悲しい顔を見せる、勇は指輪を思い浮かべ探すために辺りを見渡すと元郎が座っていた、勇が驚き話そうとすると元郎が強引に先に話す。
「ユウ頼みがある付き合え、お前がいないと困ることぞ」
そう言うと元郎は立ち上がり部屋を出て行く、ユウはあっけにとられコクリ頷き、部屋を出て元郎についていく、しばらく村を歩き一軒の飯屋につく、元郎は何も言わずにその飯屋に入り畳に座る、勇も飯屋に入り同じ様に座る、勇は元郎に話す。
「元郎さん頼みってなんですか?、この店で何かするんですか?」
元郎は何も答えず目をつむり何かを待つ、少しして店の人が握り飯を大量にテーブルに運び元郎に「おまたせしました、元郎殿」と言いその場を離れる、元郎は目を開け話す。
「さぁ食うぞユウ、頼みとは共に飯を食うことぞ」
飯を食う…いや流石に量多くない?、それに元郎さんには申し訳ないけどお腹すいてないんだよな…。
勇が食べないと言おうとすると元郎が勇を強く見て話す。
「食え!…、お主は一度確実に死んだ、それにお主は丸一日寝ていたのだ、食わぬとまた死ぬぞ」
勇は握り飯を手に取りそれを食べる、元郎は小さく頷き握り飯を手に取り食べる、二人は腹が膨れ上がるまで食べ、勇が話す。
「元郎さんありがとうございます、けど何でここまでしてくれたんですか?」
元郎はニヤつき答える。
「何でって?…そらりゃ恩人にはこれぐらい、当たり前にするもんぞ」
元郎は勇の顔を見て少しため息をつき続けて話す。
「何だその顔は?、お主が共に戦ってくれんかったら、俺はあの場で確実に死んでいた、だから恩人ぞ」
元郎は真剣な顔を見せ更に続けて話す。
「ユウ…お主これからどうする?、予言とやらと戦うのか?、俺はそれがいいよは思わん、お主さえ良ければ俺と共におれ、この場所…ニチホンはお主らから見たら荒れとるが…住めばなんとやらだ」
勇は少し目をつむり答える。
「俺は昔に戦うことを決めました…、だからこそ俺は何があっても戦い続ける…、本当にありがとうございます…元郎さん、俺は予言と戦う、グオンとティラスには悪いけど一人で東ペルグランデ大陸にいきます、二人には迷惑を…いやもう失いたくない、死んでほしくないから」
元郎は小さく頷き少しニヤつき言葉を返す。
「そうか…俺も共に行きたいが、俺がここを離れるわけにはいかん、俺にできるのはここまでか…、ユウ一ついいか?」
勇は頷き、元郎は真剣な顔に戻り話す。
「俺が言えた義理ではないが、誰かの為…人の為などそれを一番として戦うのはけしからん…、常に自分の為…それだけは決して忘れるれるでないぞ、良いな?」
勇はそれに頷く事ができず、少し悲しい笑み返す、元郎は大きくため息を漏らし、勇に近づき頭を撫でる。
数日たち勇は船の上にいた、珍しく波は穏やかで全く波がないようだった、勇は遠ざかっていくニチホンを見ながら感覚を研ぎ澄ます。
死んでから魔力に敏感になった気がする…、もっとこの感覚を使いこなせるようになって…あの時みたいにならないようにしないと…、指輪ポケットに入ってて良かった…、あの時に買った紐…俺が使うなんてな…。
勇はすぐさま後ろに誰かが来たことに気づき振り返る、振り返るとそこにはグオンとティラスがおり、勇は慌てて首に掛けていた指輪を服の中に入れ、二人に向かって話す。
「何で…いるの?、二人とも無理についてくる必要ないよ、俺一人でも…戦える…」
グオンは目線を外し言葉を返す。
「勘違いするな…、俺はお前が逃げないかを見ているだけだ…、それ以外は…ない」
グオンはそう言うとその場を離れる、ティラスが少し頬を上げ首を横に振る、ティラスは勇に近づき話す。
「ユウさん…僕は案内役ですよ、戦力にならない事は百も承知です、だけど一人で何ては言わないでください、あなたが傷つくだけです」
勇は不安な表情を浮かべ言葉を返す。
「本当に一緒に来るの?、俺と一緒にいたら死ぬかもしれない…、ティラスはティラスの人生があるのに…」
ティラスは勇の不安な表情を突き飛ばす様な顔をして答える。
「僕の人生でこの旅は最も重要なものです、僕はあなたと一緒にいく、たとえ死が近づいたとしてもあなたみたいに勇気を持って…進む!、それに僕だけじゃない、グオンも一緒です、あんな態度を取っていますけど、あの人すごくユウさんを心配していましたよ」
勇は2回頷き言葉を返す。
「ありがとう…ティラス、俺…心が折れてたよ…いや今も変わらないけど…、俺にとってアンは家族みたいなもんだった…いやそれ以上に大切な人だったのかもしれない…けど俺にはまだ仲間がいる…だから頑張るよ」
ティラスは「はい!」と言い頷く、勇はティラスに一つ質問をする。
「そうだティラス、何で二人は俺が一人で行くと思ったの?、もしかして元郎さんに聞いた?」
ティラスは笑みを浮かべ答える。
「いえ元郎さんには聞いてませんよ、グオンです、グオンがユウなら一人で行きかねないって言って、船に向かったんです、そしてユウさんが乗り込むのを見て二人で乗ったんです」
勇は少し笑い頷く。
グオン…やっぱりお前は…、てかあいつ俺がいないとこでユウって呼んでんのかよ、何だよ…ふ〜ん。
勇達は25日ほど波に揺られ東ペルグランデ大陸に上陸する、ペシルと言う港町に到着し勇達はこの先に待ち受ける戦いに心して船から降り大地に足をつける。
「さっむ…!!、やばい体が震える…、どどういうこと??、船の上は一切寒くなかったのに…」
勇が体を震わせあまりの寒さに言葉を漏れ話す、グオンは船酔いと寒さでこの世で一番ひどい顔をしていた、ティラスが答える。
「本当にすごいですよねここは…、ユウさん宿にいく前に服を買いましょう、このままだと死んでしまいます」
勇は何度も頷き服屋を探す、ほんの少し歩くと人が多くいる店を見つけ、その中にいる人のほとんどは勇達と同じ船に乗っていた人だった、勇達はそこが服屋だと思い店に入り各々服を買い、ティラスに案内され宿に向かい、その宿で1日が終わる。
10日港町に滞在し、レクス国に向けて出発した、雪が足首まで積もっており、今までよりも歩きにくく寒く過酷な道だった。
やばいな…流石にキツイ…、暖かい服を着ているとはいえ…寒いな、レクス国までは20日ほどで着くみたいだけど…このペースじゃもうちょっとかかりそうだな、本当やばいな…この大陸…、この大陸にあるっていう帝国ってすごそうだな、まぁこの旅では立ち寄らないけどいつから行ってみたいような…。
勇達は何日か歩きレクス国に進むにつれて、道が過酷になるのを感じた、さらに何度も魔獣と戦う羽目になり、これまでにないほどの過酷でキツイ道になっていた、さらに数日歩き雪と地面を少し掘り壁を作りテントを張り夜に備えていると、誰かが声を上げ近づいてくる、勇達はそれに気づき少し顔を出しその人物を確認する。
は?…、あの人…鎧付けてない?、この寒さで鎧とか頭おかしいだろ…、まぁ胸だけだけど…いやそれでもやばいだろ、あれは関わったら駄目なやつだ、けど向かって来てんだよな…。
鎧を着た頭のおかしい男性は、勇達とまともに会話ができる距離に近づき、話しながら勇達を見る。
「あの少しいいですか?…、あ…当りだ、あのあなた…その背中に剣を背負ってる人、勇者様…ユウ シンドウさんですよね、そろそろこの大陸に着くと思いペシル港町まで迎えに行ったんですけどいなくて…、出発したと聞いて僕たちレクス国の兵士数名で探してたんですけど…、いや…もうこんなとこまで来てたんですか早いですね、あぁその食べ物美味しいですよね、僕好きなんですよ、あのよかったら後で僕にもくれませんか?、僕お腹空いちゃって…あぁもちろんタダでくれなんて言いませんから、けどそれぱさつきますよね、飲み物もくださいね、あぁそうですもうちょっとで隊長たちが来ると思いますよ…」
こいつめっちゃ喋るじゃん…、てかこいつの言っている事が本当なら移動速度やばくない?、ペシル港町に行ってから探してんだろ?、流石に嘘だな…魔王軍?、いや流石にないか。
勇は苦笑いをしながら鎧を着た頭のおかしい男性に、言葉を返す。
「お前嘘言うなよ、俺達が大陸に着くことを知ってたとしても流石に距離的に無理があるだろ?、お前本当はなにもんだ?」
鎧を着た頭のおかしい男性は少し驚き手を上げ、降伏を示す仕草を行う、勇はため息をつき壁の外に出ると、遠くから自動車の様なものが勇達に向かってくる、自動車の様なものは近くに止まり、男性が一人降り少し怒った様に話す。
「ミーンなに勝手に降りてんだ…、て勇者様?、おぉ出来したミーン、あのバカ達から金を巻き上げれる」
男性はそう言うとミーンに近づき背中を叩く、そして勇に近づき話す。
「勇者様迎えに来ました、さぁ自動車に乗ってください、事情はそこにいるミーンから聞きましたよね?」
勇が顔を横に振ると男性は大きくため息をつきミーンの背中を思いっきり叩き話す。
「ミーン?!、なんで説明してないんだ??、お前見つけたまではいいが…はぁ~、まぁいいミーンお前先に自動車戻っとけ」
男性がその様に言うとミーンは何度か頷き、自動車に乗る、男性は勇に話す。
「勇者様失礼しました、あのミーンはどこまで言いましたか?」
勇は少し警戒しながら返事を返す。
「俺達を探していた事と自分はレクス国の兵士だと…、だけど明らかにレクス国からペシル港町に向かった後に俺達を探すのは、移動速度的に不可能だと思ったからミーンって人に問いただしたら手を上げたんだよ」
男性は少し頷き返事をする。
「なるほど…ミーンのやつ意外と説明していたな、失礼少し言葉が足りませんでしたね、私達東ペルグランデ大陸の者はあの…」
と言い男性は自動車に向けて指を指し続けて話す。
「グルパグルと言う乗り物で移動しているんです、あれはケントルム大陸にあるグルパよりもう段違いな速度が出るんですよ、あぁそれとこれを」
男性は勇にバッチの様な物を渡し話す。
「これは私達がレクス国の兵士である証です、どうでしょうか?、これで信じてもらえないですか?」
ん~…自動車の名前ってあったんだ…グルパか…、てか俺バッチ渡されてもわかんないけど、まぁティラスならわかるかな?。
勇はティラスを呼びバッチを見せて本当か確かめる、ティラスはそれを真剣な顔で見た後に話す。
「えぇこれは本物です、この人は間違いなくレクス国の兵士だと思います」
それを聞いた男性はホッとした顔をして話す。
「では自動車に乗ってもらえますか?、そろそろ日もくれそうですし」
勇は頷きバッチを男性に返し、荷物をまとめ自動車に乗り込む、中は広く馬車の中みたいだが暖かかった、自動車は走り出し勇達は座り体を休める、勇は少し眠気に襲われそれを耐えていると、視線に気づき視線の方を向くと、勇達を見つけたミーンが勇を見たり見なかったりしていた、勇は少しミーンを見つめていると、ミーンが少し怯えた様に勇を見る、勇は少し困惑しながらミーンに話す。
「あの?…なんですか?そんなに見て…、それになんで怯えてるんですか?、何か怖いことでもありましたか?」
ミーンは小さな声で答える。
「い…いえ…なんでもないです…、すいません…あの食べないでください…」
は???、この人今食べないでくださいって言ったよな…、この人は俺を何だと思ってんだよ、確かにこの人には少し言葉を強めに言ってたような気がするけど…流石に…な。
「流石に怯え過ぎじゃない?…、そんなに俺酷かった?、ごめん」
それを聞いたミーンは勇をじっくり見た後に話す。
「いえ…僕もあがっちゃてすいません…、その…失礼ですけど本当にシンドウさんは…人間ですか?」
えぇ?…人間ですかって、何だよその質問…どう見ても人間でしかないと思うけど…、この人から見たら俺変なのかな?。
「いや…普通に人間だけど、ミーンさんは俺のこと何だと思ったの?、さっき食べないでとか言ってたけど?」
ミーンは話すか迷っていると、勇と先程まで話していた男性が答える。
「私はあなたが私を疑った様に見ている時に、魔獣の様な視線を感じましたよ、ですけど少し…いえかなり魔獣とは違いましたけど」
魔獣??俺そんな…酷かったのか…、次からは気をつけよう…、ん…魔獣か…はぁ…魔獣か…。
勇が少し悲しそうな顔を浮かべているとミーンが気遣ったように話す。
「でででも…すすごく威圧感があったって言うことですよ、特別ですごく…すごくて特別で…」
勇は乾いたような笑いを出して、ミーンはしょんぼりした顔で黙り込む、勇達は自動車で揺られ数十分でレクス国に到着する、辺りは少し暗くなりかけており勇達はミーン達に案内されレクス国で最もいいとされる宿に泊まった。
翌日になり朝早くからティラスが城に一人で呼ばれ向かっていた、勇は宿の近くの広場で剣の鍛練をしていた。
ふぅ…まだまだだな、もっと踏ん張りを強くして剣を振ってる時も集中を絶やさずに…魔を読む、ん?何か視線感じるような…、試しに魔力を感知できるか試してみるか。
勇は目をつむり集中力を高め違和感を探る、勇は目を開き少し違和感を感じた方にゆっくり歩いていく、勇が向かった先は、箱が積み重なっておりちょうど一人隠れれそうな空間が奥にあった、勇は警戒心を高めながら箱の奥を見ると、女性が一人少し震えながら隠れていた。
この人…レクス国の兵士か?…、多分この人が見てたんだよな、て…また怖い顔してるな俺、これ多分癖になってるな。
「すみません…何かようがありましたか?、俺のこと見てた様な気がしたんで来たんですけど」
女性は少し足が震えながら、恐怖した顔を平然のように装い返事をする。
「なんでもありません…、すごかったんで見惚れてただけです…」
ん…何だ…この違和感…この人嘘ついてるような…、まぁいいか別に殺意とかはないし…、てかこの人の俺を見る目…めちゃくちゃ探るような感じで見てくるんだけど…、多分だけどこの人上の人に命令されて俺を見る様にとか言われたんだろうな。
「そう…ありがとう、それとごめんね話しかけて、じゃあ俺はこれで」
そう言い勇は元いた場所に戻り、鍛練の続きを行う、夕方になり勇が宿に戻ると、ティラスが少ししょんぼりした顔で座っていた。
どしたんだろ?、しょんぼりしてるような…、まぁ取り敢えず話聞いてみるか?。
「ティラスどうしたの?、元気なさそうだけど?、レクス国の兵士の人達に何か言われた?」
ティラスは答える。
「元気なさそうでしたか…そうですか…、ユウさん…僕はここまでのようです、元々僕はユウさん達をサンと言う第3前線拠点まで案内するのが、イソルク大団長からの任務でした、ですけど今朝城に行った時にイソルク大団長から手紙があると言われ、それを読んだんですけど、ユウさん達の案内を止めて、レクス国の兵士をできるだけ連れて第3前線拠点まで連れて行くようにと書かれていました」
え?…ってことはティラスとお別れってこと?、ん…けど別に俺もレクス国の兵士の人と一緒に行けばいいじゃん。
「なるほど…けどティラス、別に俺も一緒に行くのは駄目なの?、一緒に行ったほうがいいんじゃ…」
勇が話している途中でティラスが話す。
「ええ…そうですね、けどイソルク大団長が僕にユウさん達の案内を止めてまで、レクス国の兵士を連れて行くように言うってことは、あちらはそれほど大変ってことです…」
ティラスは真っ直ぐな目で勇を見て続けて話す。
「ユウさんは英雄です…、ユウさんの到着が遅れれば遅れるほど、戦場にいる人達はそれだけ地獄を見ます、だからこそユウさんは進まないと…僕に構わず…、すみません」
ティラス…なんでそんなこと…、英雄か…そうだな、俺は英雄にならなきゃいけない、だからこそ戦場に向う…、けど俺には仲間が…。
勇は噛み締めた顔を見せながら話す。
「あぁ…わかったよ、次に会う時は戦場だ…、それとありがとう、ここまで本当に助かったよ」
ティラスは少し笑みを浮かべ頷く、勇は腰に差してある剣を鞘ごと抜き、ティラスに渡し話す。
「これあげるよ、俺の大切な剣だけど、そこら辺にある剣より強いから」
ティラスは驚き受け取るのを拒むが、勇の真剣な表情を見てそれを受け取り話す。
「ありがとうございます、僕には似合いませんけど、次に会う時にはこの剣が似合う男になっていますから、楽しみにしていてください」
勇は笑みを浮かべ強く頷く、その後勇とティラスは他愛も無い話をして、ご飯を食べ各々の床についた。
…………………
夢を見た…いやこれは誰かの何かの記憶だ、幸せが満ちる部屋、少女は青年になり、白髪で赤い瞳の少年も青年になっていた、きっと二人は婚約したんだろう、そう思える雰囲気だった、二人の声は聞こえない、口元も見えず何を喋っているかも見えない…、視界が暗転し夢に変わる、俺の記憶…ゲムマ村での記憶、戦いを知らずただひたすらに平和な日、ロンさんがいてアンがいてグオンが俺に文句を言う、そして最後に村が焼け俺が一人で灰の上を歩く、何回目だろう…この夢を見たのは…、きっと俺は後悔をしてるんだろうな…、あの時俺は戦うことを選んだ、それが苦難な道とは知らずに、だけどもう引き返すことはできない、俺はひたすらに前に進むしかないんだ…、もしも止まったり戻ったりしたら俺は俺じゃなくなる、この選択は決して変えられない…、俺はあの時なぜ油断したのか、それだけが俺の心を狂わす…、もしもあの時俺が油断さえしなければ、こんな未来にはならなかった…。
勇が黒い気持ちを抱えながら深く落ちていく、その中で懐かしい声が微かに聞こえ、それと同時に一人の女性の声も聞こえる。
「君もそうやって落ちるの?、違うでしょ?、君は折れないし負けない、ひたすらに前を向き進む…、だから私は君に託した、君の旅はまだ続く、落ちちゃだめ折れちゃだめ、起きなさい勇!!」
……………………
勇はやるせない気持ちで起き上がり息を吐く、ティラスは居らず荷物がなくなっていた。
ティラスもう行ったのか…、はぁ…次会う時は戦場か…、ん?…てか俺とグオン二人だけでサンまでいかないといけないじゃん…、普通にやばくね…まぁ一応ティラスから道は聞いてたけど、聞いたからって普通にいけるわけじゃないよな…。
勇が少し難しい顔をしていると、トントンとドアから音がなる、勇は少し警戒しながらドアに近づきドアを開ける、ドア前には3人立っており、先頭にいる女性が話す。
「おはようございますユウ様、私達はティラス様の代わりにユウ様達をサンに案内するよう、レクス国の王であるマリッコ ミルサーキ三世様に言われたので、ユウ様達に報告に来ました」
マリッコ ミルサーキ三世??、この国の王様ってそんな名前だったの?、てかこの人昨日俺を見てた人じゃん、後ろの男二人は…知らない顔だな、まぁ一人は顔隠してるけど。
勇は3人をしっかり見た後に話す。
「わかりました、取り敢えず中に入って自己紹介でもしませんか?、しばらく一緒にいますし、お互いを知ってたほうがいいと思いますし」
女性が返事をする。
「自己紹介ですか…わかりました、では失礼します」
そう言い3人は部屋に入っていく、グオンだけが座らず4人は座り、勇が始めに自己紹介をする。
「じゃあ俺から、ユウ シンドウです、ラルグス王に言われ第3前線拠点に向かってます」
次に先頭にいた女性が話す。
「私はアルハス メトゥスです、私は二人とは違いレクス兵士ではなく、ノウム兵でラルグス陛下の騎士の一人です」
続いて顔を隠していない中年の男性が話す。
「俺はミルルハ べルッソ、誇り高きレクス兵士の一人で獣人族の血を引いている、よろしく頼む勇者様」
アルハスが顔を隠した男性の代わりに話す。
「ユウ様この者はミットル ハハライです、幼い頃に顔と喉を潰したそうで、喋ることはできなく、顔をこの様に隠しているんです、ユウ様どうかご理解を」
勇は頷きグオン見る、グオンは少し不服そうにアルハスを見ながら話す。
「グオン メキン…お前らと馴れ合うつもりはない」
はぁ…グオン…お前そう言うとこだぞ、馴れ合うつもりはないって…本当に言う奴がいるんだな…。
アルハスがグオン少し見た後に話す。
「自己紹介も済んだので私達はこれで失礼します、あぁ一つ確認を第3前線拠点に出発するのは10日後で変わりないですか?」
勇が答え質問する。
「変わりないです、あの10日後にメトゥスさん達が来てくれるんですか?、俺とグオンがメトゥスさん達が決めた場所に行ったほうがいいですか?」
アルハス達は椅子から立ち上がり、アルハスが質問に答える。
「この場所に待っていてください、10日の朝方に迎えに来ます、第3前線拠点まではグルパグルで行くつもりなのでよろしくお願いします、では失礼します」
勇は頷き、3人は軽く会釈をした後に部屋を出ていく、少ししてグオンが部屋を出ていき、勇は一人になる。
移動は楽そうで良かった…、けどあの人達を信用していいのか…、まぁいいか警戒は緩めない、襲って来るなら殺せばいい、そうすればいい…そうすれば…うん。