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14話 足音

はぁ~暇だ…尻も痛いし肌寒い…、はぁ…舐めてたな山、雨が降らなかったらこんなことにはならなかったのにな。

その様に考えながら勇は焚き火に手を向ける、勇達はベルンス国を出て40日ほど歩きマディドゥム山脈まで来ることができたが、山道を歩いている途中で大雨にあい、岩陰で雨宿りをしていた、ティラスが話す。

「雨やみませんね…、雨の時期は当分先のはずなんですけど、このまま雨が降り続けると焚き火の火が持ちませんね」

それを聞いたグオンはバックから赤色の線が無数に乱立する石を一つ取り出し、それを片手で握りつぶし焚き火に投げ入れる、焚き火の火は瞬時に強まり辺りが温まる、少し沈黙が続き、老爺が静かな声で話す。

「この雨は当分やまん、魔力の雨だからな、この雨は時期とは関係なくどこぞから湧いてくる、めんどくさい」

魔力の雨…そんなのあるんだな、てか当分やまないのか…まずいな、焚き火の火持つかな…ん?。

勇は老爺を見る、それに気づいた老爺は勇を見てニヤつき立ち上がり話す。

「すまんな人がいたから覗きにきただけだ、お前らここにいるのも嫌だろ?、近くに俺の家がある雨がやむまで泊まってけ」

グオンがすぐさま立ち上がり言葉を返す。

「お前誰だ?、いつからそこにいた!」

なんだこのじいさん…いつから…、てかグオン剣抜く勢いなんだけど。

勇も立ち上がりグオンの横に立ち、グオンの剣を押さえ話す。

「じいさん本当になにもんだよ…、全く気づかなかったし、剣を向けられそうになっても動揺の一つもない」

老爺は静かに笑い話す。

「カカカ…ただの年寄だよ、警戒するのは良い…が、ここにいてはお前ら凍えるぞ?」

老爺はそう言うと傘をさし歩いていく。

まじでなにもんだよ…、どうするか…確かにここにいたら危険だよな、だけどあのじいさんについていくのもリスクがありすぎる…。

勇が悩んでいるとアンが老爺についていき、グオンがそれを追いかける、それを見たティラスは勇に話しかける。

「あのユウさん…、皆さん行っちゃいましたよ、僕たちも行きますか?」

勇は困惑した声を出し返事をする。

「え?!みんな行った??、あぁほんとだ…ティラス俺達も行こ、バラバラになるのは良くないと思うし」

ティラスは頷き歩き出す、勇は火を消しティラスについていく、少し歩き少しボロい平屋につく、アンとグオンは縁側に座り二人を待っていた。

何か懐かしい感じ…あぁ日本の建物ぽいのか、てか二人普通に座ってるし、あのじいさんはどこいったんだろ?。

勇とティラスは二人が座っている縁側に行くと、タオルを持った少女が部屋の奥から歩いてくる、そしてタオルを勇とティラスに渡し話す。

「どうぞこれで体を拭いてください、家に入る前に靴脱いでくださいね」

勇とティラスはそれを受け取り礼を言い体を拭く。

靴も脱ぐのか…まじで日本?、てかこの子動物の耳と尻尾が生えてる…猫の耳と尻尾かな?、すげぇ…触りたいな。

勇が少女を見ているとアンがジト目で勇を見つめ低い声で話す。

「ふぅーん、ユウってこういう娘がいいんだ、ふぅーんなるほどね…」

こういう娘がいい?、どうしたんだろアンいきなり?、何か怖いし…。

「どうしたのアン?そんな怖い声出して、もしかしてお腹すいたの?」

それを聞いたティラスは苦笑いを浮かべ首を横に振る、グオンは勇を見つめため息をつく、アンは「別にー」とすねたように言いそっぽを向く、勇が体を拭き終えると老爺が勇に話しかける。

「坊主少し付き合え、老人の暇つぶしにな」

またこの人…いつからいたんだよ、老人の暇つぶしか…なんだろ将棋かな?、まぁこの世界にはないと思うけど。

「いいですよ、あと俺の名前はユウ シンドウです」

老爺は左手を少し上げ歩いていく、ティラスが「僕もついていきますよ」と言い、勇は頷くそして勇とティラスは老爺についていく、道場の様な場所につき、老爺は杖を手に取り話す。

「じゃあ坊主付き合ってもらうぞ、お前は真剣でいいから本気で打ち込んでこい」

え?!…え?、暇つぶしとは?、何か言って聞かなそうだし、力抜いてやるか。

「わかりました、けど怪我しても知りませんよ?」

老爺は鼻で笑い、勇は背負っている剣を鞘ごとティラスに渡し、腰に下げている剣を抜き構え、勇は走り出し老爺との距離を詰め横に斬る、老爺はその攻撃を一歩下がり剣先ギリギリで避る、勇が続けて攻撃をしようとすると老爺が勇の右肩に杖を押し込む、勇はたまらず距離を取ると、老爺が話す。

「坊主そんなもんか?、そう心配すんなお前の攻撃なんてかすりもせんわ」

は~んじいさん言うね…、別に剣に絶対的プライドはないけど言われると少し来るとこがあるな。

勇は息を吐きリズムを整え、老爺との距離を急速に詰め攻撃を行うが、老爺は軽々と避る、勇はさらに速度を増して攻撃を何度か行うが、すべて軽々と避けられる、勇は意地になり攻撃を行おうとすると、意識外から杖の押し込みを複数回当てられ、勇は後ろに転げすぐに立ち上がる。

何だ今の?、どっからきた…見えなかった、てか本当にじいさんかこの人、途中本気でやったのに当たる気がしなかったんだけど…。

老爺は嬉しそうに話す。

「見込んだとおりだ、ユウ坊強いな…体の力だけでそれほどできるとは」

ユウ坊…体の力?、何か見込まれてたのか…けど全然だったけど?。

「じいさん俺全然強さ見せれてないと思うけど?、てか本当にじいさん?、軽々と動き過ぎだと思うんだけど?」

老爺は答える。

「十分に見れたわ、もちろん俺は60代の年寄だぜ、軽々と動けるのは体の力に魔力を使ってるからだ、歳を重ねれば体の力は落ちるが、魔力は生まれたときからほとんど変わらん、軽々と避けれるのは魔力を読んでるからだ」

体の力に魔力を使ってる??、言っていることがわからない…、ままぁ魔力を使ってるから強いってことだよな、魔力を読むって優れた魔術師ができるってやつか?。

老爺は続けて話す。

「ユウ坊…さてはわかってないな、まぁいい身を持って一端を見よ」

老爺はそう言うと杖を床に捨て構えを取る、勇も構え攻撃に備える、勇が瞬きをした瞬間勇の目の前にいた老爺は姿を消し、勇の体は中に浮いていた。

え??消えた?、てか俺転倒仕掛けてる?、と取り敢えず受け身を…、え?指が目の前にある…俺の額を狙ってるな…、やばくね?早く避けないと…、てかこの指ビリビリ音がなってるし速いし…あぁこれ絶対避けれないや…。

勇は指にとてつもない速度で押され、後方に吹き飛ぶ、壁を突き破り勇は雨が降る外の地面に転げる、ティラスがすぐに勇に向かって声を上げる。

「ユウさーんだだ大丈夫ですか???、返事してください」

イテテ…飛ばされた割にはダメージなかったな、てか何だよあのビリビリ??。

「大丈夫だよー、ティラス」

老爺が縁側に出てきて勇に話しかける。

「どうだ?見えたか?わかったか?ユウ坊、ただすまんなつい勢いあまって飛ばしすぎた」

勇は首を横に振り「すごいな」と呟く、老爺はニヤつき声を上げ「幼?幼??」と誰かの名前を呼ぶ、すぐさま勇とティラスにタオルを渡した少女が来る、老爺は幼に話す。

「ユウ坊を風呂に入れてやれ、なるべく低めでな」

幼は頷き勇を風呂場に案内する。


勇は思わず「ふぅーー」と声を漏らす、それを聞いた幼は勇に話しかける。

「ユウ坊湯加減はどうですか?、お湯なんて浸かったりしないでしょ?、もっと下げましょうかユウ坊?」

何でこの人までユウ坊って言ってんだよ?、まぁいいけどいや~良いなお風呂。

「ありがとうちょうどいいよ、俺昔は毎日風呂入ってたから」

幼は興味がなさそうに返事をした後に少し得意げに話す。

「それよりユウ坊、鉄じいの幻雷流はどうでした?、すごかったでしょ?」

やっとあのじいさんの名前がわかった…鉄じいって言うのか、てか幻雷流か…本当に凄かったな、俺が戦ってきた会ってきた人の中で一番強かった。

「凄いなんてもんじゃないよあの人、俺が会ってきた中で一番だった」

幼はとても嬉しそうに話す。

「そうです鉄じいは一番ふふ、ユウ坊見る目あるね」

勇が風呂場から出ると辺りは暗くなっており冷たい風が火照った体を冷やす。

ここ寒いな…あぁ山だからか、あと雨もあるか、んー本当に雨やまないな、いつまで降るんだろ。

幼が裏手から出てきて勇を客室に案内する、客室にはアン グオン ティラスが既におり話していた、ティラスは勇が来たこと気づき話す。

「ユウさんどうでしたお風呂と言うものは?、僕たち雷鳴さんに聞いて気になってたんですよ」

勇は部屋の中に入り、幼は静かにどこかに行く、勇は返事をする。

「良かったよお風呂けどみんなには熱すぎると思うよ、雷鳴さんって鉄じ…じいさんのこと?」

ティラスは答える。

「はいあのおじいさんです、雷鳴 葉雲鉄之介と名乗っていました、きっとあの人はニチホンの人だと思います」

グオンが立ち上がり勇に近づき小声で話す。

「シンドウやっぱり怪しい油断するな、ティラスから話は聞いた、あのジジイはただもんじゃない」

勇はグオン見て頷く、その後4人は他愛も無い話をする。


30日ほど経ち勇達はこの家での生活に慣れ、平穏な毎日を暮らしていた、勇は毎日葉雲と鍛練をし、着々と何かをつかんでいた、勇は葉雲との鍛練を終え道場から出ると珍しく雨が降っていなかった、勇は少し辺りを歩き見て回る。

珍しいな雨が降ってない、けど夜だし雲があるせいで暗い、だけどいつもより明るいな、こんなふうになってたのか、いつもは霧がかかってて見えなかったんだよな。

少し歩いていると誰かが座っている、勇は目を凝らし見るとその誰かはアンだった、勇は近づき話す。

「どうしたのアンこんなとこで、アンも雨がやんでるから見て回ってた?」

勇はそう言いアンの隣に座る、アンは顔を勇に向けず返事をする。

「うん雨がやんでたから…あと魔力が見えたのキラキラの」

アンは勇の方を向き続けて話す。

「勇こそどうしたのこんなとこに来て?、鉄じいと鍛練してたんだよね」

勇は少し笑みを浮かべ答える。

「そうさっきまで鉄じいと鍛練してたよ、何かつかめそうなんだけど、何か足りない感じがして歩いてみよっかなーて」

勇がそう返すと雲が少し晴れ、月明かりが夜を照らしアンの姿がしっかりと見える、アンは穏やかな表情を浮かべ話す。

「後ちょっとだねユウ…、ねぇユウ…少し変なこと言うね、これはただの独り言…、私占いとかはあんまり信じてないんだけど、旅立つ前にテインおばさんに占ってもらったんだ」

月明かりがアンの周りを強く照らしキラキラと輝いていた、アンは心なしか嬉しそうに勇を強く見つめ続けて話す。

「そしたら私死んじゃうんだって…、だけどユウがいたら死ぬなんてありえないよね…、はぁ~何言ってるんだろ私」

え…?アンが死ぬ…、いやそんなはずあるわけない、だってアン元気じゃん…、アンは何で死ぬかもしれないのに旅についてきたんだ…、それに何で心なしか嬉しそうなんだ?。

「アン…アンは絶対に死なせないよ、何があっても絶対に…」

それを聞いたアンは可憐な笑み浮かべる、アンの周りがキラキラと輝いていてなのかアンの可憐な笑みはいつもより可憐に見え、勇はその笑みに釘付けになる、アンは勇の目線に気づき耳を赤くして顔を背ける、少しの間沈黙が続き、勇が口を開く。

「グオンもティラスもすごく頑張ってる…、アンにはいつも助けられてばっかりだよ、それにアンに貰ったフォークのお礼もまだできてないし」

アンは顔を真っ赤にしてすぐに言葉を返す。

「おお礼なんていいよ、私だっていっっぱい助けられてるから…」

勇は首を横に振り話す。

「いやちゃんと渡すよ、フォークを…あぁそれとアンが欲しそうなものも」

アンは顔を真っ赤にしながらとても嬉しそうに返事をする。

「うん…わかった、楽しみにしてる…、けど受け取ってばっかりは嫌だから、私もとっておきを用意しとくね」

二人は少し近づき他愛も無い話をする、しばらくして再び雨が降り出し、二人は急いで家に帰る。


さらに20日ほど経つ、勇は布団から起き上がり布団を畳む、3人はまだ寝ており勇は静かに部屋を出る、勇はいつものように道場に行き、剣を手に取り素振りをする、しばらくしていると葉雲が訪れ話す。

「ユウ坊やっているな、そろそろつかむか?魔を読む力を!」

勇は素振りをやめ返事をする。

「もちろん今日こそはつかむよ、それどころか鉄じいに防御させてみせるから」

葉雲は笑い言葉を返す。

「カカカ…そのいきだ、さぁユウ坊かかってこい」

数時間ほど戦い、勇は葉雲に完敗した。

んー駄目だな、やっぱり見えない…いや見ようとしてるから駄目なのかな?、あと10日ほどで雨がやむって鉄じいが言っていた、あと10日しかないそれまでに魔力を読む力だけは習得したい、鉄じいが言っていた事が本当ならこの先、鉄じいより強い奴と戦うことになる、そうなると俺は確実に死ぬ…俺だけじゃないアンも…グオンもティラスも。

勇が考えているとアンが道場に入ってきて話す。

「今日の鍛練終わった?、じゃじゃーん私特製のパンを作ってきたよ」

あぁアン特製か…、別に美味しくないわけではない…どちらかと言うと美味い…けど見た目が絶望的にやばいし、明らかに入れないであろう食材が入ってたりする…。

勇は少し笑い、葉雲がアンに近づきアン特製のパンを見て話す。

「アンよ…なぜ木の枝が刺さってるんだ?、それにパンの色が青色…どのようにしたらそうなる…」

アンが答える。

「どうって…普通に作ったけど?、何で鉄じいそんな顔してるの?」

葉雲は笑みを浮かべ、アン特製のパンを手に取り食べる、葉雲は驚いたのか「以外に」と言葉を漏らし、もう一つアン特製のパンを手に持ち、神棚に置き手を合わせる、アンはそれを不思議そうに見つめ、勇はアンから一つアン特製のパンを貰い食べる。

美味いんだよな…、今回はパン自体より刺さってた木の枝が美味いのか…、今更気づいたけど神棚あったんだ、何かあの神棚…不思議な感じたな。

3人は食事を終え、勇は葉雲に話す。

「鉄じい続きいい?、時間もなくなってきてるから早くつかみたいから」

葉雲はニヤつき答える。

「俺は老人たぞ…まぁよいが、本気でやれよユウ坊、そうでないとさっきみたいになるぞ」

勇は頷き剣を手に取り構えを取る、葉雲は杖を床に突き勇の攻撃を待つ、勇はタイミングを整え前に踏み込み、葉雲との距離を詰め斬りかかる、葉雲はそれを難なくかわす、勇は続けて2度斬りかかるが軽く避けられ、葉雲の杖の攻撃をくらい後方に吹き飛ぶ、勇は上手く受け身をとり葉雲を見ると杖を捨て、以前勇の額を狙った攻撃と同じ構えをとる、勇は息を大きく吐き目を深くつむり構えをとる、葉雲が急速に距離を詰め勇の足を払おうとするが勇は後ろに飛び避け着地した瞬間凄まじい速度で葉雲の背後をとり斬りかかる、葉雲はそれにいち早く気づき勇を投げ飛ばす、勇が持っていた剣は空中を舞床に転げ、勇は床を転げ仰向けになる、アンが勇に駆け寄り、葉雲が話す。

「ユウ坊…ついに読んだな魔を、それも十分に」

勇は少し残念そうに返事をしながら起き上がる。

「だけど鉄じいに投げられて持っていた武器まで飛ばされたけど」

葉雲は笑い話す。

「カカカ何を言う、投げる直前にそれを察知して受け身に入っただろ、俺はユウ坊を外まで飛ばす気で投げたぞカカカ」

勇は立ち上がり話す。

「よし…鉄じいもう一回お願い、次は完璧に避けてみせるよ」

葉雲はニヤつき頷く。

こうして勇は葉雲と鍛練を続け10日が経ち雨がやむ、勇達は旅立つための準備終え、出発しようとしていた、葉雲が勇に話しかける。

「ユウ坊元気でな…、そうだこれを着けてけ」

葉雲もそう言いお守りの様な物を勇に渡す。

お守り?、何か家紋?みたいなのが入ってるし、めちゃくちゃ高価そう…。

「ありがとう鉄じい、鉄じいも元気でね」

葉雲は頷き、勇の背中を叩き送り出す、勇は手を振り歩き出す。

次の目的地はクス村、クス村に着いたら船に乗って、鉄じいの母国のニチホンに行く、ニチホンでまた船に乗り東ペルグランデ大陸に行き、雪の大地を歩きレクス国に行く…まだまだ道のりは長いな。

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