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12話 英傑

「はぁ~緊張するよ…、ユウはラグルス王に会ったことがあるんだよね、怖い人だった?」

アンが少し体を震わせ勇に質問する、勇はそれに答える。

「大丈夫だよ、ラグルスさんはそんなに体を震わせるほど怖い人じゃないから…」

勇は隣に立っているティラスを横目で見て、続けて話す。

「ティラス大丈夫?、また暗い顔になってるけど…」

ティラスは無理やり明るい表情を作り返事をする。

「はい…大丈夫です…、はい…大丈夫…」

んーティラス大丈夫そうじゃないな、流石におかしいよな、どうしたらいいんだろ…。

勇が悩んでいると豪華な鎧を着た男性が前から歩いてくる、男性は勇の目の前に立ち話しかける。

「ユウ様それと皆様方、おまたせしました、俺…私に続いて入ってきてください…」

男性はティラスの顔を見て、少し険しい顔を浮かべ、小さくため息をつきティラスに耳打ちをする、それを聞いたティラスは男性を見て目を丸くした後にホッとした表情を浮かべる。

何だ?さっきの険しい顔…、まぁティラス大丈夫そうになったから良かった…のかな。

「まさかみんなの分の服を作ってるとは…、それに何か派手過ぎない?」

それを聞いたグオンは何度も頷く、アンが答える。

「けどすごくいいよ、この服…着心地もいいし、それにすごく可愛い」

ティラスが続くように話す。

「きっと国王陛下が派手にするように言ったんだと思います、気になるのでしたら、上着を脱げば落ち着いた感じになりますよ」

豪華な鎧を着た男性が咳払いをして4人に早くするように急かす、4人はそれに気づき男性に続いて歩く、少し歩き玉座の間に到着する、豪華な鎧を着た男性が扉の前に立っている兵士に開けるように伝え、扉が開き男性は中に入っていく4人もそれに続いて入っていく、玉座の間はそれなりに広く外から十分に日が差し込める構造になっている、だが玉座の間は明るく照らされ開放感があるが重圧感を感じる場所になっている。

ここが玉座の間…、雰囲気悪いな…いや中は明るくて綺麗だけどこの空間にいる人達がこの悪い雰囲気を作ってるんだろ、ラグルスさんも以前話した時とは雰囲気が違う、きっとあれがラグルス王なんだろうな。

前を歩いていた豪華な鎧を着た男性はいつの間にか壁沿いに立っていた、代わりにティラスが一番前を歩いており、ある程度の玉座との距離に近づくと片膝をつき頭を下げる、それを見た勇とアンとグオンは同じように片膝をつき頭を下げる、周りからクスクスと笑い声が聞こえる。

…何か笑ってね、ティラスがやってたから流れでやっちゃたけど間違ってたのかな?。

ラグルスが一言「面をあげよ」と言い、4人は顔を上げ立ち上がる、ラグルスの右側に立っている男性が話す。

「ユウ様アン様グオン様そしてティラス、来てくださったことに感謝を、ただ先程の片膝をつき頭を下げる行為は王の騎士が行うものです、あまり恥をさらす行動は控えて欲しい」

こいつ言葉強くね…、何かゲムマ村を思い出すな、ちょっと間違っただけじゃん。

ラグルスが右側に立っている男性に向かって話す。

「メシクロ本題に入れ、私達はそれほど暇ではない」

メシクロがそれに答える。

「ですが国王陛下、我々ノウム大王国に関わる事なので…」

ラグルスは右手を少し上げメシクロの会話を止める、そして話す。

「英傑達よ、君たちはこれから魔がひしめく戦場に向かうことになる、君たちは自身が持つ力を用いて、ノウム大王国に勝利をもたらしてくれ」

ラグルスが言い終えると拍手が鳴り響く、勇とティラスはラグルスに向けて深く頷く、少しして拍手が静まり扉側に立っている一人の男性が手を上げる、それに気づいたメシクロがその男性の名前を言う。

「タキオンス卿何か言いたいことが?、でしたら後ほど私に言ってください」

タキオンスが一歩前に出てラグルスに向かって話す。

「国王陛下…このこど…英傑達は本当に役に立つのでしょうか?、それに魔王軍との戦争が悪化している今どのようにして国王陛下は終戦なさるおつもりなのでしょうか?」

こいつメシクロって人の言葉を無視して話してるし、そう言う話は俺達がいないときに話してくれよ、まぁ関係あるけどさ。

メシクロが答えようとするとラグルスが再び右手を少し上げメシクロを止めるそして話す。

「英傑達は確かな強さを持っている、それに戦場までは英傑達のみで行く、たどり着けたのなら確かな強さの表しになると思うが?、魔王軍との戦争の件だが、私が決めれるものではない、奴らが終戦を拒んだのだから戦い続けるしかない、確かに悪化はしているが決して我が国が危機に陥っているわけではないのだ…」

終戦を拒んだ?それに悪化しているのか…何か大変そうだな。

ラグルスは少し笑い続いて話す。

「タキオンス卿…もしや魔王などという噂を信じているのか、決してそんなものは存在しない、それに魔王軍は幹部を一人失っている…、今はノウム兵団に任せるだけだ」

魔王を信じている人はやっぱりいるんだな…、!?幹部を一人失っている?、魔王軍が何人幹部がいるかわかんないけど以外と魔王軍って押されてるんじゃ?。

タキオンスは納得してはいない顔を浮かべながらラグルスに会釈をして一歩後ろに下がる、タキオンスが下がるとタキオンスがいる列の一人の男性が手を上げ一歩前に出て話す。

「国王陛下、少し前に宝物庫の魔器のほとんどが使えなくなったと言う噂は本当でしょうか?、私達の一部貴族は宝物庫に魔器を納めました、国王陛下に渡した物なので騒ぐ気はないのですが、規模が規模と聞きましたので」

…宝物庫、魔器が何かわからないけど、多分俺のせいだな、だってどう考えてもやらかしてたし。

ラグルスは少し息を吐き答える。

「確かに原因不明の何かが起こり、宝物庫内にあった魔器の九割が破損した、だが貴重な魔器は無事だ心配ない」

男性は勇を見ながら話す。

「それは良かったです…ただ噂になっていますよ国王陛下、そこにいるユウ シンドウが宝物庫内で何か力を使い、多くの魔器を破壊したと…」

やべぇ…後ろからすごい視線が、謝っても許してくれなそうだな、ただここはちゃんと謝ら…。

ラグルスがユウの顔を見てすぐに言葉を返す。

「クスリストル卿、それは所詮噂だろう?、そのような事実は決してない」

クスリストルはラグルスの顔をじっくりと見た後に軽く会釈をして一歩後ろに下がる、再び同じ列にいる男性が手を上げ前に出ようとすると、ラグルスが話す。

「また後にしてくれ、今この場は英傑達の旅立ちを見送るものだ、終わってからにしてくれ」

ラグルスがそう言うと男性は手を下げ、メシクロが話す。

「では…英傑の皆様方、国王陛下並びに王家 貴族 名商の方々からの贈り物があります、ぜひ旅にお役立てください、それでは国王陛下お願いします」

それを聞いたラグルスは椅子から立ち上がり話す。

「ユウ アン グオン ティラス、君たちの旅が無事に終わり、ノウム大王国に勝利をもたらしてくれる事を祈る、再びこうして君たちに会うことを楽しみにしている」

ラグルスは言い終えると席に座り直し、玉座の間の扉が開く、勇達は流れるように部屋を出ていき、贈り物がある部屋に案内される、4人は旅に必要な物を選別した。


はぁ~まさか誰も自動車運転できないとは…、そのせいで昨日悩んで選んでた贈り物のほとんど持ってこれてないし、てかベッドとか絶対に旅に持っていけないものを贈り物にしたやつはおかしいだろ…。

勇は辺りを見渡す。

魔獣はいないな、一応確認…結構歩いたけど魔獣は一匹もいないな、まぁ今いる場所ってノウム大王国の中だからかな、ノウム大王国に来るときに会わなかったのは単に運が良かったみたいなんだよな。

勇がその様に考えながら後ろを見る。

アンとグオン疲れてるな、以外にティラスは元気なんだよな、やっぱりノウム兵士ってちゃんと鍛えてんだな。

「みんなそろそろ休憩しない?、疲労したまま歩いてたらペースも落ちるし」

アンが嬉しそうに「休憩しよ」と言い、グオンも後ろで何度も頷く、ティラスが答える。

「わかりましたユウさん、このペースで行けばベルンス国まで40日ほどで着くと思います」

4人が少しの間休憩していると何台もの自動車が4人の近くに止まり、一人の小太りの男性が4人に近づき話し始める。

「いやーもうこんな場所まで、流石英傑の皆様方だ…」

ティラスが立ち上がり少し考えた後に話す。

「貴方は確か…、青い血宝石を中心に商売をしている…、クリリストンさんでしょうか?」

男性は驚いた顔を浮かべ答える。

「まさか私のような者の名前を知っているとは…それに扱っている商品も知っているとは…」

何か用がありそうだな、青い血宝石って確か魔獣から取れるやつだっけ?…、もしかして倒した魔獣から取って送れとか?。

勇が立ち上がりクリリストンに話しかける。

「クリリストンさん、何か用があるんですか?、なければ先を急ぎたいんですけど?」

クリリストンは嬉しそうな顔を浮かべ答える。

「貴方が勇者…、用があるわけではないんです、貴方方の役に立ちたい、私はベルンス国に用がありまして、そこまでなら自動車で連れて行くことができます」

よっしゃ歩かなくて済む、これは乗せてもらおう…うんそうしよう。

勇が嬉しそうに言葉を返そうとするとグオンに引っ張られ小さく話す。

「シンドウ駄目だ、この男怪しい、何かあるに違いない」

勇が首を横に振り、クリリストンに返事を返す。

「ありがとうございます、クリリストンさん、運賃はどれぐらいですか?」

クリリストンは首を何度も横に振り言葉を返す。

「必要ありません、貴方方から金を取るなんて、さあこちらにあまり良い乗り心地ではないですが」

4人はクリリストンに案内され自動車に乗り込む。

広いな…それに今までの自動車と比べて格別に乗り心地が良い、クリリストンさんありがとう。

自動車が走り出し小さく揺れる、グオンが近づき話す。

「シンドウ…ハルレン村の事を忘れたのか?、あの男俺達から金を取らなかった、さらに怪しくなった」

まぁ確かにグオンの言っていることも理解できる…、けど歩きは疲れるから自動車の方がいいだろ、それに襲ってくるなら返り討ちにすれば良い。

グオンが勇を睨み続けて話す。

「返り討ちにすれば良いとか思ってるだろ、はぁあの男がハルレン村に居た奴より強かったらどうする?」

確かにバギリギより強かったらやばいよな…、けどそれだったら会った瞬間に襲うだろ。

「それはないだろ、もしも強かったら始める会った時に襲いかかってきてるだろ、グオンは心配性だな」

グオンは大きくため息をつき、入口の方に座る。


20日ほど経ち順調に旅を続けている、グオンが考えていた事は起きることはなく、魔獣などに会うこともなかった、それと俺達以外にも人がいた事に驚いた、まぁ快適で平和な旅だ、明日にはベルンス国に着くみたいだし。

勇は3人に「ちょっと寝るね」と言うと、アンがそれに答える。

「まだ昼だよ?、どこか調子が悪いの?」

勇が眠そうに答える。

「いや体調はいいよ…けど暇すぎて…」

アンが軽く頷き、自身の太ももを軽く叩き話す。

「枕になるよ、ここって寝にくいでしょ、それに枕がないと首痛めちゃうよ」

なんだろう…いけない感じだな、まぁアンの言葉に甘えさせてもらおうっと。

勇が「ありが…」と言葉を途中でやめ、グオンの視線に気づく。

なんだ…グオンの視線…、やっぱりバックを枕にするか。

「気持ちは嬉しいけどやめとくよ、膝枕したらアンも動きたい時に動けないし」

アンが残念そうに頷く。

断ったのにグオンの視線が痛い…、まぁ寝るか。

……………

少女が山道を歩いている、危険で足を滑らせば怪我どころか死に繋がるような道を、少女は何を思い歩いているのか…。

記憶が暗転して鍛冶場の様な場所に変わる。

少女は背負っていた聖剣ルミナスをコビトに渡す、コビトは感心したように聖剣ルミナスを受け取り話し始める。

「これは…すごいな、お前さんこれをどこで手に入れたんだぁ?」

少女はそれに答える。

「昔私が小さかった頃に体の大きな金色の瞳の魔獣から貰ったんです、その時はその剣光ってたんですけど、それ以来光らないんです」

コビトは自身のヒゲを撫でながら答える。

「金色の瞳…、この剣はきっと壊れてはいない、力を発揮できていないだぁけだぁ、お前さんにこの剣を渡した奴は…、多分だぁがパトルウスと言う、俺ら鍛冶師の神だぁ」

コビトは聖剣ルミナスを少女に返し続けて話す。

「だぁとすればその剣は神器だぁな、お前さんその剣に名前はあるのか、あるんならその名前を呼んでみな、そうすればその剣も力を貸してくれるはずだぁ」

少女は返事を返す。

「そうですか…、あぁ確か私を育ててくれた人がこの剣の名前を教えてくれたっけ…、確か名前は…■■■■」

少女が剣の名を口に出すと、剣は光で包まれていく…。


なにかの誰かの声が頭に響く「起きろユウ」と勇はそれを聞くと次第に目を覚ましていく。

…………………

勇が眠りから覚め目を見開く、明かりが目に差し込み、勇は目を強く閉じ、あくびをしながら再び目を開ける、それを見ていたアンが微笑みながら「おはよう」と言う、勇は同じように言葉を返し話す。

「おはようアン…、何か誰かに起こされた気がするんだけど、誰か起こそうとした」

アンは不思議そうに首を横に振り、ティラスも首を横に振る。

んー何だったんだろ…、グオンは…寝てるのか、てかあの記憶の最後の名前、聞き取れなかった…何かに阻まれた様な…んー。

勇が考え込んでいると外から何か大きなものがぶつかったような音が響く、その音でグオンが眠りから覚め「敵か?!!」と言う、勇が自動車の後ろの幌を開け外を確認しようとした瞬間、勇が乗っている自動車が何か大きなものが横からぶつかり大きく転倒する、勇とグオンは横転した後にすぐに外に出て周りを確認する。

イッテ…何が起きたんだ?…、って魔獣?!てか一匹じゃない?、おかしい魔獣は群れないはず。

勇が少し考え用とすると、視界の端に自動車を連れ去る大きな影を捉える。

魔獣をコントロールできるのは魔物だけ…、あの影か?。

勇はグオンに向かって「頼んだ」と言い、凄まじい速度で影を追いかける、グオンは勇を止める様な言葉を返すが勇はそれを無視して追いかける。

あの影…速いな…、この世界に来てから足には自信があるんだけど、茂みに入る気か…逃さないからな。

茂みに入ると勇はすぐに影を見失う、勇は耳を澄ませ探していると、複数人の助けを呼ぶ声が聞こえる、勇は聞こえた方向に走り自動車を見つける、周りを警戒しながら近づいていくと、草が何かに当たる音が小さく聞こえ勇が音のなった方を素早く見ると、凄まじい速度で触手が勇に向かって襲いかかる、勇はそれを避け背負っている剣を抜き構えを取る、再び触手が勇の背後から襲いかかるが勇はそれを切り裂き対処すると、それを狙っていたかのように再び背後から触手が襲いかかってくる、勇は無理な体勢でそれを切り裂き自動車の方に転がり自動車を背にする。

っあっぶな、何だあの触手知性があるように襲ってくるし…やば、まずいな俺が今背にしている自動車の中に人がいるんだよな…、よし前に出るぞ。

勇が前に出ようとした瞬間、大きく草木が揺れ茂みから人の形をした何かが勇の目の前に現れる、その人の形をした何かは低く唸るようでいて人が普通に話すように勇に向かって話す。

「お前すごいな、流石予言の子とか言う奴だな…いや今は勇者と言ったほうがいいか?、見つからないように攫えたと思ったんだが…お前目も良いのか勇者…ハハハ」

何だこいつ魔獣みたいな見た目なのに普通に喋ってるし、てか俺のこと知ってるのか?、予言の子とか勇者とか言ってるし、攫えたとか言ってるから悪いやつだとは思うけど、話し通じそうだし取り敢えず話し合いで解決できないかな?。

「何で人攫いとかしてんだよお前?、それといきなり攻撃とかしてくんなよ危ないだろ」

人の形をした何かは男と女の声が混じった声を出し笑い答える。

「攻撃するなだとハハハ、お前は…ハハハ、まあいいだろ何で人攫いをしているか教えてやるよ、俺は魔王軍クロトド様が率いる部隊の1つの駒だ、私はクロトド様にケントルム大陸での情報収集を任された、だからこうして人を攫っている」

まじかよ魔王軍…それにクロトドかこれは覚えていたほうが良さそうな…、てかこいつめちゃくちゃおしゃべりだな、普通こういうのってペラペラ言うもんじゃないよな。

「お前結構おしゃべりだな、俺が今まで戦った奴らはそんなに喋ったりしなかったけど?、まぁ話がわかるなら良かったよ」

勇がその様に言うと人の形をした何かは自身の体を変形させていき話す。

「勇者ハハハ、お前はバカだな、話がわかる?何をほざいてんだヨ、俺がお前に何で人攫いをしているかを答えてやったのは、ここでお前殺すからだよ」

人の形をした何かは触手を凄まじい勢いで横に振る、勇はギリギリで跳び上がり回避するが、凄まじい音を鳴らし自動車の側面が削られ中にいる人達が悲鳴をあげる。

あっぶな…やべ自動車の中に人がいるの忘れてた…中にいる人に当たってないよな、取り敢えず今はあいつに近づかないと、後ろの人達に被害が及ぶ。

勇は着地するとすぐさま人の形をした何かとの距離を詰める、人の形をした何かは自動車をえぐった触手を切り離し、複数の触手を自身の体から生やし、それを巧みに動かし接近してくる勇に向かって「これならどうだ勇者!!避けてみろよ」と言い叩きつける、勇はさらに速度をつけて人の形をした何かとの距離を詰める、向かってくる触手を剣で斬り避け流して、剣で斬れる間合いに入る、勇は踏み込みを強くして斬ろうとした瞬間、人の形をした何かは自身の体を大きく変え、口の様な姿になり口を大きく開け勇を噛みつこうとする、勇はそれにいち早く気づき回り込み、少し距離を取る。

何だよこいつ…気持ち悪いな、ただでさえグロい見た目なのに口になったよ、まぁ取り敢えず自動車と距離を取れた、こいつが狙わない限り大丈夫だな、あいつとの距離ができた…どう詰めるか、よし魔術を使って一瞬足止めして詰めるか。

勇は左手を前に出し「炸裂しろ」そう呟く、すると一瞬にして勇の目の前が光で満たされると人の形をした何かが「イッテェェ!!?」と苦痛に満ちた声を出す、勇は走り出し距離を詰め間合いに入る、光がなくなると人の形をした何かの体が確認でき光を浴びた体の表面が崩壊していた、それを確認した勇は最も崩壊している場所めがけて剣を差し込みえぐる、人の形をした何かは唸り声をあげ剣を差し込まれた付近から骨のトゲ生み出し勇につきたてる、勇は剣を抜き再び距離を取る、人の形をした何かは守りを固め苛立ったように話す。

「何なんだ…何なんだよ今の光は、答えろ勇者!!」

めっちゃキレてるし…、まさか俺の弱々魔術が役に立つとは、あいつにはかなり有効的だな、これを中心に攻めてくか、だけど体内魔力の消耗が激しいんだよな。

勇は構えを取り再び左手を前に出し距離を詰める、人の形をした何かは身を固め光に備える、勇は魔術を使わず距離を詰め再び間合いに入り、剣を両手で持ち崩壊している場所を縦に斬り裂く、人の形をした何かは守りを緩め手の様なものを勇めがけて横に振るう、勇は後ろに跳ぶことでそれを回避して、左手を前に出し「炸裂しろ」と呟くと勇の目の前が再び光で満たされる、再び光を浴びた人の形をした何かは苦痛に満ちた声をあげる、勇は声を聞いた瞬間に前に進み光の中に入ると、左腹部を何かに殴られ大きく吹き飛び木にぶつかり勇は素早く起き上がる。

イテテ油断した、あいつ叫んでるくせに普通に殴ってきやがった、けど全然力がこもってなかった…てことはちゃんと効いてるってことだな。

光がなくなり人の形をした何かが姿を見せる、体のほとんどが砕けており、今にも消えて無くなりそうになっていた、勇が息を「ふっ…」と吐きながら言うと自動車の方から人の叫び声が聞こえ、勇は慌てて視線を向けると自動車の周りにさっきの人の形をした何かを思わせるような肉の塊が多く張り付いており、勇が急いで向かおうとした瞬間、肉の塊は自動車を捕食する、バリバリとゴキゴキと激しく音を鳴らし肉の塊は食べれなかったのか木片や鉄くず血で滲んだ服を外に出し、肉の塊は次第に先程の人の形をした何かに変わっていき、勇の方を向き笑みのような顔を浮かべる。

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