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武器よさらば

作者: uni

「もっともっと精製して、カスを無くして。ヒントはエーテルとアルコールらしいから。充填量を最も多くできるようにして。パウダーでもゲルでもよい。ケース(薬莢)強度考えなくていから。」

最も少量で威力を最大に高めたものがほしい。


試作はモデルがステンMKⅡ、MP40にする。

製造が容易で軽量。

欠点はマガジンが前方なので銃身が短いこと。短機関銃としてしか使えない。

その欠点を補うべく、機構の刷新。


弾丸仕様は、大きさは22ショートほど、威力はNATO弾程度以上が望ましい。わがままな要求だw。


1)チャンバー(薬室)の位置を最後尾近くにする。火薬威力向上したため、それに耐えうるチャンバー、ハンマー(撃鉄)、ロッキングブロック(薬室に弾を入れて後ろを押さえる金属部品)にする。


2)コッキングレバー(装填用のレバー)位置は替えない。ボルト(コッキングレバーを含む部分)とハンマーは別体にする。


3)チャンバーをできるだけ最後尾にするために、ボルトは複座バネをマルチ構造にして短くする。


4)複座バネが強くなったため、ボルト移動に力が必要になるが、もともとコッキングレバー移動量が多いためにそれを変換させる。通常の力で強力な複座バネを圧縮できるようにする。同時にボルトはハンマーをロックするまで押し倒す。


mp40の場合、レシーバーカバー内に、

1)マガジンの弾丸を後部チャンバーに送る機構


および

2)ボルトの移動量を複座バネ圧縮力に変える機構

を収納、


3)少し太くしたグリップ部に、マガジンからの弾丸をチャンバーの送り込む機構のバネ、単・連切り替え+セーフティロック機構など収納。


4)グリップ上方後部にハンマー一式。


5)排莢口はカバーを付け、カバーを開けた時点(銃使用時)で、薬莢を後方下部に飛ばす形にする。

全てにおいて、できる限りシンプルなものにする。精密性を追わないものとする。


こんなコンセプトで制作させている。

ステンも似たような感じで。よりうまくできたものを採用。


だいたい、そこまでの火薬できたら全部リムファイア(薬莢おお尻の中心の丸ポッチがない弾丸)でいいんだよね。そしたらマガジンなんか銃身下部のチューブ式にしてライフルでも十分同じ機構を使える。「シンプルな機構」にさえなれば、だが。前線で使うものに複雑なものはいらない。危険なだけ。

なのでリムファイアにする。




結局、MP40はトリガーガード前部あたりにチャンバー設置できた。なのでマガジン装着部分もそこに移動した。かなり銃身が伸びた。伸びた銃身下部にレシーバーを付けた。銃身長はAK47並はあるだろ。これに長銃身タイプつまり狙撃用も作れる。口径も大きさも変えず、銃身のライフリングだけ少し変えて弾頭に与える回転数を少し多めにし風に強いようにすることは必要だが、製造側でのアドバンテージ最高だろ?。


火薬は想定以上のができたらしい。なので通常弾は装薬量を気持少なめ弾頭を気持長めにできた。

チャンバーとハンマーブロックの鋳造精度のみが注意必要となった。巣があるものは全てNG。



ーー



俺は山本一郎。偽名のようだが本名だ。

21世紀半ばに事故にあったらしく、こっちに飛ばされた。


こっちは100年位?いや、其れ以上?前の世界と同程度の文明度だ。あっちこっちでドンパチやっている。人類だから常に戦争していないと気がすまないんだろう。

で、オタク心が役に立った。


ガキの頃から男児らしく銃器好き。成人し、アメリカに移住しコレクターとなった。欧州にも転々とし、古いモノを探し歩いた。ぼろいものを修復してきれいにして飾るのだ。使えなくてもいいが、使う物、というのは本来の機能が作動してこそ、なので、できうる限り一応使えるようにした。耐久性は全く保証できない程度w。コレクターだからね、完全に動く(使えないけど)、それでいいのだ。

ネジ一本まで、できるだけオリジナルのを磨きまくっていた。ぼろぼろでなければ再生できる。当時にはもう優秀なパテが幾種類もあった。磨いてももう強度的には問題ありありだが、飾る物には問題なかった。

さすがにパーカッションリボルバーは見つけたことはなかったが、コレクションに加えたいと思っていた。中折実包式のウエブリーも。


で、

こっちに来たらパーカッションが主流な場所もあるというほどだった。


俺が来た国は今は実包式どころかブローバックが主流になりつつあった、というところで、こっちじゃ技術先進国最先端だ。


ただ、そういう国って大体小さいから技術に重きを置く風潮になっている。ここも小さい。

大国に挟まれ、どっちつかず。今は理由が在り国境を閉じて鎖国している。海に面しているので、遠くの小国連合と細ぼそと貿易やら交流やらしていると。

運搬具の動力は精製油=ガソリンや軽油。自動車も戦車も船も。航空機はプロペラ式一枚翼。いなか国では未だに二枚羽らしい。

らのべによくある魔法は無いらしい。なので魔獣などもいない様子。まぁだから人間同士戦争しているんだろうけど。


ーー


ヘルメット形状も少々変更させた。

試作品を作って撃ってみせたら即変更しはじめた。

瓦礫などの飛散から頭を守るヘル→+弾丸を逸らせるヘル、になったわけだ。


「戦車も同じだよ?」などとサジェスチョン与えた。

同じ鋼板なら、角度を付けるだけで、受けるか弾くか、全く違う結果になる。

更に、最初から砲塔は可能な限りでかいものを。重心は低く。搭載弾丸数の少なさは、補給部隊を編成に入れておけばよいだけ。

どんだけ砲弾積んでいても、破壊されちゃ終わりだろ?

より遠くから、より強い砲弾を、を目指せばいい。

更に言えば、防御が強ければ、少数でも多数を撃破するのは難しくない。罠に気をつけられるリーダーがいれば。




もともと、この国は大国間の貿易で潤っていた。

大国同士が国境を閉じているので、この国を経由して貿易するわけ。


だが、その大国同士がかなり険悪になったので「さあ!どっちに付くんだ?!!」と双方から脅された。

が、どっちについても捨て駒にされ、最終的に併合される。併合されても民が幸せで王家が生き残れるならいいかな?と王も一瞬思ったが、いかんせん両大国は支配層が我儘勝手もいいとこ。だからこのように脅迫しかできない。


なので会議で

「謀略で、我が国から最も遠いところで開戦させ、両国がわが国にかまけていられない状況を作り出し、どうにかのりきろう」

とか企んだ。

そこそこ上手く行った、開戦まで。


が、

逆の方向から攻めるのは戦の常法。なので、この国の位置から、互いに相手に攻め込みたい、なので占領する、

今ココ状態。一周回ってもどちゃった、テヘペロ?みたいな。


こまったもんだね♪

なってみなければわからんことも多いのだ。仕方がないっちゃーないがなー。




ーーーー




俺がこの世界に来た時のことだ。

俺は気がついたら森のハズレにいた。

で、どここれ?知るわけがない。なので状況を確認するために、人間の居る場所に行くべきだろう。

まぁ、接触する前に安全な奴等かどうか隠れて確認は必要だがね。


で歩いていたら、銃声?

なんかしょぼいかな?ちょっと湿気た弾でも使っているのかな?みたいなー

欧州の戦場跡から掘り出されたお宝に一緒にあった弾丸を使うと、大半は駄目になっているが、タマに発火する。でも大半はこんな湿気た音。


騎兵隊?数人。

と思う以外どう思えば良いんだか?

先込めライフル?短銃はリボルバーみたい、

劣勢で、、、

相手は?

森から撃ってくるので不明だが、銃撃音が多いので、倍くらい居る?


地形を見る。

うん、劣勢側の後方が気持こんもりしている。


そこに走り、

「ここに後退しろ!!負傷者は引きずってこい、体を低くして走れ!!!」

と呼びかけ、


隊のトップがいるのか負傷か死んだのかわからんが、皆すなおに俺の言葉に従う。

敵は流石に森から出てこない。

俺がいきなり現れ、防御陣地になる場所に誘導した、つまり援軍?と普通思うよな?w


「この隊の隊長は?」

「彼です」

脇腹から血を流している。

「弾丸は?」

「抜けています」

「止血帯は?」

あ!という顔。、、、経験なし達か?

俺に返事したものが副官らしく、

「負傷者の手当をしろ!出血がひどい場合を除き弾丸は抜け。それから止血をしろ。」

皆従う。

「手が開いているものは、他のものの銃に弾込め!」


こちらに向き直り

「ありがとうございました、、、なにしろ、」

「あー、いい、見ればわかる。大変だったな」

「、、はい、、」

で、だ

「敵の勢力は倍程度か?」

「多分、そのようかと。」

「騎兵は見たか?」

「いえ、敵国からあの森を通り抜けて来るのに馬は無理です」

「幸いだな」

「まぁ、、」



銃が全て使用可能か確認し、

聞くと二列での連射ができる程度には早く弾込めはできるとのこと。

残弾は、まだ余裕。接触直後だったらしい、俺が来たのは。



「火薬袋をの半数を集めてくれ。

で、射手は二列にせず、前に射手、後ろに弾込め係。射手ひとりにひとりつけろ。」

持ってきた火薬袋を見ると、まだ満杯だ。そのままいけるかな。

導火線あるか?無いという。


藁を編んだ紐を持ってきてもらい、10センチ程度に切ってもらう。

一本を両端から押して編みを緩めていく。で、火薬を結構まぶす。

火を付けてみると、5秒位?

まぁこんなもんか。同程度のを10本程度作る。

火薬袋をきつくしばったが、ぶにゃぶにゃ、、

・・・酒の空き瓶あるか?

一人が酒をすてて空き瓶をくれた。

マッチで日を付け中のアルコールを飛ばす。

冷ましてから火薬を突っ込み、太い棒で加減しながら固める。まぁ、黒色だからそう簡単にいかないはず、、、知識のみだがw


で、いっぱいに入れたら真ん中くらいまで固まった火薬を導火線の太さに掘って、その藁紐の太い代用導火線を突っ込む。で、少々固める。

蓋、どうしょう?紙?藁でいいか、突っ込み、ほどほどに、火薬が漏れない程度に。

2個作った。皆酒瓶1本づつ持っているのかな?


で、それぞれに細紐をしばる1m超くらいの。振り回してみるとちょうどいいかな?


2mくらいあったらどうかな?

と一つ試しに

2mのほうがいいや、方向性が出やすい気がする。


で、ここまでで半時経つか経たないかなのだが、時代が時代でのんびりなのか、まだ攻めては来ない。

この紐を使って狙って投擲できる距離は30mくらいか、、、


腰くらいまでの草むらはまぁ、街道まで続いているけど、結構前で30mになるので、安全距離は取れる?


射手3人、、銃を二本ずつもって、付いて来い。

「副官、俺はこれから爆弾投擲に行ってくる。相手の出方に合わせろよ?」

「爆弾?」

あ?無いわけないわな、黒色があるんだから。一般的ではないのか、、使ったら不味いかなー、、でもココで使わないと逃げられないよなぁ、、


「すごい音がするかもしれんから、驚かないでいいぞ?」

3人を従え、這う感じで30m付近まで行き、草むらから腕を伸ばし、導火線に火を付けて、酒瓶を必要なそこそこの速度で振り回し、

ひょういっと投げる。


森の入口付近に届いた。

少々待つ、、あれ消えちゃった?

ドーン!!!


ぱらぱらぱら、、木切れが降ってくる。


もう一回やる。

ドーン!! これもうまくいった。


「「「「「「うっわーーーーーーーー」」」」」」

わらわらと大勢が逃げていく音が森から轟く。


俺らも走って戻り、「撤退!静かに、素早く!!」

「撤退していることを敵に感づかせるなよ!!」


負傷者を背負った者も、腰を低くし、左右から補助が付き、足早に逃げる!逃げる!逃げる!!


小一時間走ったろうか、、


「もう大丈夫だろ?けが人の様子確認。再度手当てが必要なものには行うように。

で、副官、君たちの拠点は?」

「?ここから半日かからないところの街ですが、、、あなたはそこからじゃないんですか?」

「わけありでなー」

「はぁ、、」

助けてくれたんだから味方には違いないだろう、と思っているのだろう。




拠点に付くと、

「すこし休んでください。」

と、テーブルと椅子のある大部屋で、水と茶を出してくれた。

その後、

街の外にある砦の守備隊長のところに案内された。

俺を休ませている間に報告したのだろう。


「この砦の隊長、ダンコランだ。」

まっちょおっさんを想像していたが、真逆。貴族かな?


「山本一郎、姓が山本、名が一郎だ」

「ああ、東方の者なのか、、、訳ありだと聞いたが、よかろう、、行くところもないんだろう?」

「ああ、こっちは初めてなので、何も、、、」

「決まりだな、うちの領の食客ということでいいか?」

「こちらこそよろしく頼む」

握手はこちらでもあるようだ。


その後、この国の窮地である状況と、産業、工業、などを聞いた。何を聞いても、その質問をなぜするのか?すら俺に問わず、何もかも即座に答えてくれた。

この男もすごいな、全て知っているのか?と内心びっくりしていたら

「何、驚くほどでもない。我が国は小国だ。全部把握していないと領地経営もできやしまい?」

なるどほなぁ、、

いや、この男が俺の顔色でそれを悟ったところが、なるほどなぁ、、

おもしろい男だ。


「だいたい大まかにわかった。

で、とりあえず、他の産業の進み具合に比べ、武器の発展が遅れているように見える。

多分戦争好きがそれほど多く存在しない地域なのだろう、両大国もこの国も。

それはとても良いことなのだが、この国の現状にとっては”そこが付け目”とすることをできるかもしれない。

乗るか?」


「・・・・・・聞いてからで、よいだろうか?」

「勿論」


レシプロエンジンまで開発生産できているのに、先込め銃?がこの世界。

車を全金属製にし、装甲車に改造。

銃を新開発。カートリッジタイプの銃弾を使うものにする。重心にはライフリングを刻んでもらう。

飛行機は強力なエンジンにして、1枚翼で胴体は金属製に。これは素材から新開発が必要なので、時間がかかるだろう。全て機密にする必要は当然ある。


戦車を開発すること。

「戦車は、もう両大国にある。無限軌道を履いて、土があるところならどこでも走れるほどだ」

ほう、なるほど、、

「んじゃ、ある程度情報あるな?」

「勿論」

「じゃそれを進化させる。敵の戦車の情報が集まったら見せてくれ。」

流石にそういうのは日常的に必要なものではないので、用意はしていないだろうと思った。

「わかった、明日にでも見せられるだろう」

何この優秀なイケメン貴族?




で、、

情報を見せてもらったら、この国でももう戦車を作り上げ、量産開始らしい。

新型図面を見せてもらったら、4号戦車?みたいな、、歩兵のおまけタイプだな。

敵のは第一次大戦レベルのだから、今は余裕だろう、が、あっちもガタイでかいから大きい砲を載せられるんだよなー。だが、森を力で通り抜けるほどのものではない。二次大戦レベルには足元にも及ばない。だからあの森にはいなかったのだな。

大型戦車も作るように指示。デカイエンジン、頑丈なミッションは必須。できうる限りのデカイ砲。燃費と積載砲弾数は考えなくて良いと。


装備品も見せてもらったが、ヘル以外は過不足なし?

で、ヘルの改良にあわせて、戦車の改良のサジェスチョンをしたのだった。







でな?

「おう、なんだ?」

ダンコランとはもう俺お前の仲。


「銃器が揃ったら、うちの領の隊、装備完全だよな?」

「ああそうだな、おかげ」

「いや、ここからだから。で、うちの部隊だけで両大国をたいらげる。という、試案をしてみたい。

地図と戦力評価表などを用意して、そうだな、3日3晩討論できる用意も。ダンコラン領部隊主要メンバー全員必要かな?」

「とりあえず呼んだほうがいいだろ?」


で、戦略シュミュレーション会議。



1) 侵攻速度は無限軌道車の巡航速度とする

2) 敵は出てくだろうが、主な時間消耗障害は障害物や橋梁の破壊によるものと想定する

3) 基本的に補充は補充部隊からしかしない

4) 敵対しない相手に対しては攻撃をしない。相手が武器を持っている場合は武装解除をさせる

以上かな、これを基本として、試案を出してくれたまえ。


で、当然

「敵が抵抗しないと見ているんですか?」

「いーや、今のうちの戦力からすりゃ、敵の我が方への攻撃は痛くも痒くもなく、侵攻の妨げにならない、と見ているだけだ。」

・・・・・・・


「第一機動部隊隊長、君は、今の敵の武器で、君の部隊の侵攻をどう阻止できると思うか?」

「・・・・・難しいですね、、、穴を掘って?でかい堀を作っておく?」

「そのような場合、君の部隊はどう対処する?」

隊長も気付いたようだが、副長も気付いてめをキラキラさせている。

「副長に答えさせてもよいぞ」

「では、いいぞ副長」


「はい!堀を確認した時点で、堀の手前と向こうを崩し、傾斜にします。数発の消耗で済むと思います。

堀は、基本、対騎馬、対人なので、さほど深くないはずですが、深い場合でも砲撃回数を増やせば可能です。

また、水が引かれている場合、給排水の場所が見つかれば、砲撃破壊します。ぬかるみ程度なら問題ないです。

更に、排水門が見つからない場合、一箇所に集中砲撃を加え、埋めます。

その場合、ぬかるみが広くなるでしょうが、先頭の無限軌道車をうしろから次々に無限軌道車で押していけば、スタックしません。敵兵による攻撃も、車内にいれば問題は無いはずです」


「OK満点だ。が、もし、油を車の上から撒かれて火を付けられたら?」

「・・・・・そこまでは、考慮していませんでした」


「隊長は?」

「兵たちが新型銃で敵兵を牽制し、砲撃で掘り返された土を被せれば消えますな。多分、ガソリンはさほど多く貯蔵はしていないでしょうから。敵は自動車を運搬具として使うだけで、戦車の台数は限られています。また、戦車がある場合、戦車が通れないように堀を作らないでしょう」

「OK,追加部分満点だ。

が、

あれだ、砦を遠距離から砲撃をするだけして、降伏勧告すりゃ、すぐ下るんじゃないかな?」

「まぁ、、実際はそうなるでしょうけど、、」

「あはは、そうだなシュミュレーションだから意地悪くやらんと意味ないわな」


というように、底意地悪く進めていく。


結局、

今の自分らが考えつかないような奇策でも無い限り、進行速度はそこまで弱められない、と結論が出た。

で、計算し余裕を持ったら、補給部隊が本体並になった。

近代戦なかそんなもんかもしれない。



ダンコランの部下達が作った侵攻試案。上手くできていた。少し意地悪したいところもあったが、実際上問題ないところなので惑わせるようなことはしないほうが良いのでしないでおく。

そのまま侵攻計画になった。

で、

最も重要なのが補給。首都陥落までさせられなければ意味がない。一部地域を占領支配する兵力はないのだから。我が国に組み込んで、初めて安寧が訪れる。

かといって、我が国兵力に最新装備をさせれば大丈夫か?といえば、それでも人数の絶対数が足りない。占領地は元敵国だ。すなおにすぐに従うわけがない。


2つの大国の一報を陥したら、もう一方の大国は契機だと思って攻めてくるだろう、なので消耗戦になるくらいなら逃げる。最小限の消耗で相手を潰さねばならない。

気付いたら陥ちていた、くらいが望ましい。


補給部隊が生命線になるわけだ。



     ーーーーー



進行開始。

ガンガン進む。

ここは”東の王国”。 そういう国の名前なのだから仕方がない。

ちなみに西は”西の帝国”。ネーミングセンスとか無いと見える。

そして俺がいる国はダンコラン王国。ちなみに現王はダンコラン五世。この何世というのが王の証であり呼び名となる。王太子はダンコラン五世ジュニアもしくはダンコランだけ。姓は無い。

ということで、俺を引き取ってくれたのは王太子なわけだ。

だからこそ、自分の領地軍だけで外国と戦争できてしまう。まぁ彼には王との交渉力があったのだろうが。



こちらは敵国首都までほとんど障害は無い。川が1本。山岳部、湖沼地帯なし。街道もしっかりしている。


偵察機で撮った写真によると、敵の軍は最初の一群しか配して居なかった様子。もし装備が同じであったなら、東の王国に蹂躙され尽くすだけの量はあった。が、実際敵ではなかった。「的」でしかなかった。


街道から敵陣一キロほど手前から車両を横に広げ進軍させ、射程距離に入り次第自由砲撃。できるだけ敵陣後方を砲撃し退路を防ぐ。前方から主に装甲車の銃撃。重機関銃なので一気に片付く。その背後から、兵員輸送車から降りた歩兵が落穂ひろいのはずだったが、全く仕事ナシ。


敵軍総数の半分、5万ほどいたらしいが、今は一人も残っていない。

ああ、もしかしたら一人くらいは残っているかもしれんが。

つまり、東の王国は近日中に我が国に侵攻し、そのまま西に侵攻する予定だった、ということだ。北西の前線に半数を配置し、残りを南西にということだったのだろう。

まとまっててくれたおかげで、あれから一発も撃たずに済んでいる。



「副官、あとどのくらいだ?」

「この調子で、あと二時間ほどで川に到達します。橋が無事ならそこから二時間ほどでしょう」

「先行の偵察は?」

「連絡を密にしていますが、全く軍の気配すらないとのことです」

「ありがとう、そのままたのむ」

「了解」


副官は先頭の戦車の車長をしている。本当は俺がやりたがったのだが、ダンコランに阻止された。命令で先頭にでるなと。



橋は無事だった。というか、警備兵一人すらいなかった。

何だこの国は?





王城の守りは数千はいたろうか?

可哀想なほどあっけなく片付け、驚愕の表情が解けない王達、軍の重鎮達を拘束した。


北西部で西の帝国と戦っている部隊のコントロールを奪った。

北西部は膠着させておけばいい。時間はこちらのためにある。


更に言うなら、今でもダンコラン王国では最新装備の生産は続いている。

そして、開発も進んでいる。特に航空機は完成間近だ。試作品でも使えればいい。10機ほどとそれを扱えるパイロットがいれば、あとはもう政治家の仕事しか残らなく成るだろう。


ダンコランには強く言ってある。

大国に軍備は必要ない、と。

ガタイが最も大きいマチョな男に、更に武器を与えてどうする?

武器を必要としているのは、そういう奴等から見を守る必要がる小さく非力な者達だけだろう?

ただ、武器を持って良い者には資質が必要だ。理性と聡明さが必要最低条件。

ガンコラン王国にそれが無くなった場合、世界はまた凶暴な獣以下に成る。




2ヶ月もたったろうか、

こちら元東の王国首都でもダンコラン王国のラジオ電波を捉えることが出来るので、ニュースはつけっぱなしにしている。

帝国首都を爆撃。政府を壊滅させた。と。

迎撃機が多数上がってきたが、爆弾を抱えたままの攻撃爆撃機が全て撃墜し、味方の損害はゼロ。

それほどの機能性の違いが有るのだ。性能の差だけならなんとかなるかもしれない、

だが、洗濯板と洗濯機では全く違う、ということだ。




ダンコランは帝国が下った直後、国王になった。大陸制覇したのは彼だ。その前の王ではない。



彼は帝国と東の王国を完全武装解除の上、ひとつひとつがダンコラン王国の半分の規模以下になるくらいまでに解体した。

腹心達を新たな全ての王国の王に据え、彼らの腹心としてダンコラン領軍から5名貸与(この貸与は強制で永続する、その王国がなくなるまで。つまりその王の最も頼りになる腹心でもあるし、ダンコラン領軍からの監視でもあるということになる)。


ダンコラン王国軍から100名の兵士たちに旧式武器をもたせ、、、つまり中世の剣と弓の時代の装備のみ許可し、各領地を与えた。与えた意義は、領地に対する完全な責任をもたせること。雇われとオーナーではその根底が全く逆になるのだ。その事実を知る者は生前の国ではほとんどいなかったが。


だもんで、ダンコラン領軍には下士官さえもほぼ底をついた。大国2つを細分化したら、そりゃ1000以上になるだろう。

だが、もう当分戦争はない。少なくとも俺達の世代では。

戦争を起こすことに同調する者達は、戦争を知らない世代なのだから。




俺達がやることは、この世界で大戦争を行なえるような武器を作ることをさせないことだけだ。

だからダンコラン王国軍の兵士たちを鍛え上げ、仕官クラスを育て上げ、自分たちの存在意義を理解させ、世界に散って、各地を剣と弓の世界であるように維持させることだけだ。


ダンコランは、この大陸以外にも小さな大陸や島々にも人々が住み、国になっているところもある。そういったところと、交易をし、時には国交を持ち、武装が発展しないように監視していくつもりだ、と言った。


これら絶対的な力が悪用されたらとんでもないことに成るが、少なくとも俺とダンコランのどちらかが生きているうちにはそうはさせない。今だけは。


俺とダンコランの死んだあとは、かならず、また繰り返しになるだろう。が、そこまで面倒見きれない。おれとダンコランが面倒見てやると決めたのは今のこの時期の世界だけなのだから。


人類が使っていい武器ってーのは、刃物と弓だけだ。






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