父が魔物と契約をして5人いた娘の内一人が婚約者になるはずだったのですが…後に生まれた6番目の娘である私がいつも私をいじめるお姉さまたちにその役目を押し付けられました。絶対に婚約破棄させて見せますわ!
「ローゼ、お前だけが婚約者が決まっていないのだよ」
「いえ聞いてませんわ!」
「しかし魔物との契約は絶対で…」
私は子爵の家の6番目の娘ローゼリアですわ。
上の5人の姉たちはすべて結婚し、婚約者が決まり、私だけが決まっていなかったのです。
でも私まだ12歳なのですわ。
お姉さまたちとは年が離れてますのよ。
「14年前にな…私はある魔物のが住む森とやらに迷い込み…」
「それは聞きましたわ。そこから出してくれた魔物が5人の娘のうち一人を婚約者にといったのですわよね。私その時生まれてませんわ!」
「しかしな…あの子たちはすべて婚約が決まってしまって」
「魔物の婚約者がいやだから逃げたのですわ!」
私はお父様に頼むと土下座までされて…魔物との契約を果たすことにしたのですけど。
私にその役目を押し付けたお姉さま方、この恨みはらさでおくべきか!
「…空飛ぶ鳥が迎えに来るなんて思いませんでしたわ」
「主様の婚約者殿はまだお小さいのですね」
「はあ」
大きな鳥が迎えに来て、私はその鳥に乗って魔物が住まう森とやらに連れていかれたのです。
「お前何歳だ?」
「12歳なのですわ!」
大きな城が現れ、そこから魔物という人が出てきましたが、大きな狼が二本足で立ってお洋服を着ていますわ。思ったよりは怖くありませんわね。私犬は好きなのですわ。
「…いや14年前の契約によれば婚約年齢に達する娘をと…」
「私はあの後生まれた6番目の娘なのですわ!」
「私は幼女好きではないのだが…」
「後3年たてば婚約可能年齢ですわよ!」
私は頭を抱える魔物さんに大丈夫ですわと微笑みかけました。
割と人間臭い人ですわねえ。
「…まあいいか」
割と適当みたいですわ。魔物さんは名前はルークと名乗りました。
魔物って言われるのは嫌だって言われましたもので。
城は割と立派でしたわ。うちの家の調度品などよりはよっぽど立派ですわねえ。
うちは貧乏ですし。
「…ローゼリア・リオラムですわ。よろしくお願いいたしますルーク様」
「後3年待つ、だから安心してここに滞在してくれ婚約者殿」
私はふわふわの毛を触りたくてうずうずしていましたわ。すると触っていいぞとルーク様が言ってくださったのでモフモフを触ってうわあと私はそれを堪能したのです。
「変わった子供だな」
「…私モフモフが大好きですの!」
「そうか」
私はルーク様に部屋まで用意してもらって、使用人達も紹介されました。
使用人達は姿が見えない人たちでしたわ。幽霊みたいな感じ。
でも食事やお洋服などもすべて用意されていました。
「…しかし、こんな幼い娘を送ってくるとは…」
「私、いつも割を食うのですわ。お姉さまたちにはいじめられ、お母様が死んだのはあんたのせいだっていつも言われておりましたの」
「そうか…」
私は豪華な食事を食べながら、ついついこれまでの愚痴を話してしまいましたわ。
大変だったんだなと魔物にさえ同情されてしまいましたわよ。
ふっかふかのベッド、豪華なお部屋、私は家にいるよりはいいかななんて思い始めてましたわ。
でも…流石に魔物の婚約者っていうのは将来が危ぶまれますわ。
婚約破棄をしてもらう方法を私は考えてきましたの。
ルーク様はよい人みたいでしたので良心は傷みましたが…。
「おーほほほほほ、こんなちんけなドレスを用意しかできないなんてダメダメですわねえ」
一番上のお姉さまの物まねです。使用人に恐れられているので悪役令嬢とまで言われてましたわ。
よく結婚できたものですわ。
「…すまない、好みを教えてくれ」
「おーほほほほ、その好みを考えて用意するのが殿方の役目です…あうあう舌を噛みましたわいひゃい」
「おい大丈夫か?」
私はお姉さまの毒舌は真似できないようで…あうあう、ルーク様に心配されてしまいましたわ。
これは失敗ですわ。
うーん次は二番目の…。
「…動くのは疲れる。もう部屋にこもっていたいからここで生活できるようにして…疲れた」
「おいどうした具合でも悪いのか?」
「…お腹がすいた。すぐ用意を…」
二番目のお姉さまの真似をしてみましたが、部屋にこもるのは3日で飽きてダメでしたわ。
本さえあればどんなところでも過ごせるお姉さまの真似なんて無理でしたわどのみち…。
ううう、三番目のお姉さまは…。
「ほらほらほら、ここまで登ってきてごらんなさいよ! どんくさいわね!」
私はなんとか木のてっぺんまで登って、ほらほらここまでおいでなさいとやってみました。
お転婆でしられるお姉さまにはお手の物でしたが…私は降りられなくなり、ルーク様に下ろしてもらう羽目になりました。
「…あうあう…」
「おい、大丈夫か?」
「はい…」
四番目のお姉さまの真似をして薬の実験をしてみましたが、私は調合に失敗して爆発させてしましました。けがをしてしまったのをルーク様が手当をしてくれています。
うう五番目のお姉さまの真似は嫌ですわ。でもよくあれが婚約できたなといわれる子爵の家の5人の娘といわれるお姉さまたちの真似をすれば婚約破棄をしてもらえるはず…。でしたのに。
「いい男じゃないと婚約はしませんわ! あんたみたいなモフモフと婚約なんていやよ。ハンサムで性格がよくて頭がいい男じゃないといや、お金はあったほうがいいわ! 完璧な男じゃないといやよ!」
私は床に転がって駄々をこねる子供みたいに暴れてみました。
「首飾りも耳飾りもすべての装飾品は最高品じゃないといや! どうしてうちは貧乏なのよ!」
ああ、上のお姉さまの装飾品を5番目のお姉さまが盗んで喧嘩になった時のことを思い出しますわ。
「おい大丈夫かローゼ?」
私は転がりすぎて床に頭を打ち付けてしまいましたわ。
痛い痛いと言っていると、ふうとため息をついて好みのものを用意させようとルーク様が笑ったのです。
ダメダメですわ。
私、モフモフは好きですし、もうこのままでいいかななんて思ってしまいましたの。
「…あらこんな立派なお城でうわあこの装飾品、ドレスも素敵ね!」
「すごいすごいわ、こんな所に住めるなんて! 図書室の本がたくさん! うわあ」
「木登りし放題だわ、というかすごーい、うわ自然がたくさん、それに景色もいいわ!」
「…実験し放題だわこんな広いところなんて」
「装飾品やドレス…それに…こんな立派なお城なんて聞いてないですわずるいですわずるいですわ!」
いえ…お姉さまたちがどうしても私の様子を見たいと訴えたらしく、大きな鳥さんがお姉さまたちを連れてきてくれましたの。
お父様がどうしてもとルーク様にお願いをしたらしいのですが…。
「…凄まじい姉上達だな」
「…はい」
圧倒されるルーク様。子爵の家の5人娘は婚約結婚はできるまいといわれていましたが、世の中物好きはいるもので…。なんとかできたのですわ。
「…ローゼお前でよかった」
「…はあ」
お姉さまたちが暴れまくる姿を見て、私はああ魔物たちよりもお姉さまたちのほうが恐ろしいかもと思いましたわ。
「…流石にこれ以上荒らされるのは見てられませんわルーク様…」
「そうだな…」
ルーク様がもうお帰りを! といっても帰ろうとしないお姉さまたち、あんたがこんな良い暮らしをしているなんて! お母様はあんたを生んだから死んだのよといつもの大合唱が始まり…。
「私の婚約者に無体をこれ以上するのなら私にも考えがあるが?」
ルーク様に凄まれて、さすがのお姉さまたちも怖気づいたのか、帰っていきましたの。
「しかし…あれが姉上達とは苦労してきたんだな」
「いつものことですわよ」
苦笑する私に笑いかけるルーク様、ルーク様はハウンドという魔物でしたが、森の迷い込む男の娘のうちの一人が番だということがわかり、婚約者にしたいと申し出たそうですが。
「番がだれかわかりませんの?」
「そうだな…占いをしてくれた婆が死んでしまってな…」
「私でもいいじゃないですか、あれと婚約したいですか?」
「お前でいいローゼ」
私はルーク様に寄り添いました。魔物でもなんでいいじゃないですか、優しい人と一緒にずっと幸せに暮らせるのなら…。
婚約破棄をさせようとしたことはわるかったですわ…。
そしてお姉さまたちはあの性格が災いをして、いずれも離婚、婚約破棄をされて実家に戻され、私と変わりたいと言ってきたそうですが、ルーク様がお断りをしたそうです。
あんなのが一番いい嫁ぎ先を見つけるなんて! と悔しがるお姉さまたちを水晶玉経由で見てざまあみろと思いましたわ。
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