表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

続編のない短編達。

私、悪役令嬢。今、戦場にいるの。

作者: 池中織奈

「――ガブエナ・ミゼッラ!! 貴様のような悪役令嬢とは、婚約を破棄する」



 そんなことを言われて、婚約破棄をされたのはつい一年前のことである。

 私は謂れのない罪をあげられ、王太子であった婚約者から婚約破棄をされた。正直言って、青天の霹靂だったし、どうしてこんなことになったのだろうかと疑問でいっぱいだった。



 そして反論する暇もなく、私はそのまま戦場に連れていかれた。



 何で公爵令嬢なんて立場である私が、戦場に投げ出されたかといえば、私に魔法の才能があったからだろう。というか私は寧ろ王太子の婚約者の立場から解放されて喜んでいた。魔法を使うことも大好きだったし、身体を動かすことも好きだったから。


 でも正直言っていきなり戦場に連れていくなんて中々鬼畜の所業よね。それにしても私への罰として私を戦場にやったみたいだけど、それも意味が分からないのよね。私が王太子と仲良くなった令嬢に酷い真似をしたとか言われたけど、そんなこと正直言ってしてないし。

 大体本当にどうにかしたいって言うのならば、魔法で秘密裏に殺した方が断然いいわ。それなのにみみっちい嫌がらせなんてするわけないじゃない! って正直思っているわ。


 私の事を甘く見すぎよね?

 極悪非道って言うのならば、そういうことだってやるのが当然じゃない。こちらを非道なんて言いながらみみっちい嫌がらせをすると思っているあたりでおかしいと思うわ。





 

 さて、戦場で私は――思いっきり楽しんでいる。





「姉御!!」

「姉御、今日もすごかったです」

「おーほほほほ!! 私に跪きなさい!!」




 社交界に居た頃には信じられなかったことであるが、私は戦場で姉御呼ばわりされて、戦場で戦っている傭兵たちや騎士たちには大変慕われている。

 この辺境の地は、魔獣の森と呼ばれる場所がある。そこから溢れた魔獣とこの土地の人々は戦っている。私は魔獣を倒す、生きるか死ぬかの戦場が合っていたようなのだ。



 今まで長く伸ばしていた髪をばっさりと切って、動きやすいようなズボンをはいて、うん、本当に社交界に居た頃の私からは考えられないわ。

 でもめちゃくちゃ楽しい!!






「姉御みたいないい女を振るなんて王太子は見る目がないですね!!」

「ええ、そうよ! 私はいい女なの! 私を振った男は見る目がないわ!!」



 私は自分に自信を持っている。婚約者に断罪されたとはいえ、私は私自身に誇りを持っているのだ。だからこそ私は寧ろ王太子に見る目がないって思っている。だってここに来て結構、そういうのを誘われてるもの。まぁ、私は安い女じゃないから男遊びはしていないけれど。

 未来の旦那様にいつか出会えるといいわね! なんだろう、婚約破棄されて私は未来への選択肢が広がって、とても楽しくて仕方がないわ。



 私が王太子殿下の婚約者であったことはこの場所では何も関係がない。

 ただ強くあれば、それで許される。強いものが全てなので、私がこの場所で影響力を高めることが可能だったのよね。下手に違う所に追放されるよりも、此処に来られてよかったなと思っているわ。




 そんなこんなで楽しく過ごしていたら、何故だか王太子からの使いがやってきた。

 今頃、私に用って何かしら??



 なんて思っている私。ちなみに彼らの対応は私はしなかった。というか私は戻る気もないしね。

 対応してもらった男に聞いたら、どうやら王太子は立場が悪くなっているらしい。正直どうでもいいけど。それでなんか私を連れ戻そうって動きが出ているんだとか。


 自分で断罪しておいて、戻ってこいって何を言っているのだろうか??





「おーほほほほ、それにしてもいい気味だわ!! 私を捨てた王太子が私に戻ってこいなんて言うなんて。でも情けないわね。ああいう情けない男と結婚しなくて済んでよかったわ!!」

「姉御、凄い高笑い似合いますよね」

「姉御、あんなやつのところに戻らないでくださいね!!」

「ええ、ええ。当然だわ!! この場所の方が断然楽しいし、私に跪く下僕たちも沢山だし? とことんここで好きに生きてやるわよ!!」




 そうやって話し込んでいれば、急にその場に慌ただしく一人の男がやってくる。





「ドラゴンがやってきた!! 討伐に行ける者、今すぐ来てくれ!!」



 こうやって、魔物がやってきたと人が慌ただしく飛び込んでくるのは日常茶飯事なことである。



 私はその言葉に立ち上がり、



「行くわよ!! ついてきなさい!!」


 と周りに声をかける。



 そうすれば、周りにいる男たちも私の後ろに続いて、ドラゴン退治へと向かうのであった。




 私は悪役令嬢などと言われて断罪された。そして断罪されて、戦場で暮らしている。私は此処での暮らしをとても気に入っているのだ。

 私はきっとずっとこの戦場で生きていく。目指すはこの土地でもっと私らしく幸せになること!! それまで魔物を倒して倒して倒しまくるわ。




 ――私、悪役令嬢。今、戦場にいるの。

 (断罪されて、魔獣の森で楽しそうに悪役令嬢は暮らしている)



タイトル思いついて何となく書いてみようと思い立って書いたものです。

楽しんでもらえたら嬉しいです。


キーワード間違えてたので、修正してます

書きながら、書くつもりだったのからずれたものになっていたので。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 悪役令嬢ってなんだっけ?
[良い点]  悲壮感全く無く己が道を見出した事。 [一言]  やっべえこういう話すっげえ好き!  ありがとうありがとうm(_ _)m  楽しかったです!
[一言] 姉御は顔の産毛をコンロで焼いで処理するタイプwww貴族社会で御令嬢として生きるには神経図太過ぎたんだなwww謎の疾走感で駆け抜ける爽快なお話でしたwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ