21歳の遺書
遺書
『こんにちは。
これは21歳の遺書です。
自分へ
今年は社会人になってから1年目
あまり充実した日々とは言えないし、
去年も書いたとおり一番行きたい会社では
なかったから仕事に関しては…ね?
それこそ失敗だらけだったよ
一番思い出?深いのは
取引先との話し合いの時に上司に向かって
お母さんって言っちゃったことかな笑
あれは恥ずかしかったぁ
今読んでる私もこのこと覚えてるかな?
それとももっーとヤバい失敗してて
今書いたことがちっぽけに思った??笑
私生活についてはね
ボーイフレンドもなし!
気になる人も特別気にかけてくれる人もなし!
友達はいる!
去年と変わんないね笑笑
まあ変わらないのもそれはそれで幸せってとこよ
趣味も続けてるよ、特に手芸!
手芸は本当に楽しい
暇さえあればずっとやっちゃうもん
今の私も好きでいてくれているのかな?
でもね!
最近やり始めたことがあってね!
なにかというとね!!英語の勉強!!!
毎日数単語ずつ覚えてるよ
「継続は力なり」ってね、
これも続いてるのかな?
毎年はこのあとにやってて欲しいこととか
やってることの予想を立ててるよね
でも、今回だけは特別!!
私の本音を教えちゃう♡
(読んでる私も私なのにね)
なんだろう、大きな悩みなんてないんだよね
悩みや楽しみがない分自分の心はすごく空っぽ
悩みっていう色があるおかげで私が形どられるのに、今の私は私からは見えない。
なにか、そうだな。
溺れ死ぬくらい深くなにかに浸かりたい。
恋でもしたい。まあ無理だけど笑
小学生とかのときはさなんの意味もなく生きてた
中学生になって他人のために生きるとか言い出し
高校生になってようやく生きてることの無意味さを知った。
生きろっていう他人の言葉には希望とか救いとかはなかった。
それでもせっかく生まれてきたんだから私という名の人間の最期を見てやろうって思った。
そのためだけに生きていた。
今もそう、将来が気になるから生きてる。
将来があるかどうか保証されない世界なのにね
みんな明日があると思って今日を生きてる。
それは私もだけどさ
いつ死ぬかわからないなら数十年後のためとかそのための目標とかのためより今日だけを考えて、楽しく、心地よく生きちゃえばいいのに
それはみんな気づいてるのも知ってる
許されないことなのも知ってる
じゃあ人間でなくなるしかないよね
でもみんな生きてる
多分死にたくないから生きてるのかな
じゃあ死ぬのって怖いのかな?
唯一人間を捨てる手段である死をできるだけみんながしないように死は恐怖だと思わせてるのかも、この世にできるだけの人間を残すためにとか
もしかして正解かもね
みんなが気づいてたのに向き合わなかった事実
向き合おうとしても強すぎて立ち向かえなかった人間の嘘
解いても誰も得しない問題
自分も所詮はただの人間
他人から見た私も他人なんだ
そっか、
未来の私へ
早く死んでください。』
そこまで読んだ私は21歳の遺書を閉じる。
痺れた足を撫でながらゆっくりと立つ
背中の骨が軋んだ気がした
「生きててごめんね、」
21歳の私に言う何度目かの謝罪
床に水滴が落ちる音が伝わる
涙はいつものように止まることなく流れてゆく
今日も私は他人として無表情に生きてゆく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前書きを書いて世界観に入れなくなるのは良くないと思いましたのでこちらに書かせていただきます。
最初はこの物語についての説明を少し書かせていただきます。
その後に作者について書かせていただきます。
この物語では現在の主人公と共に21歳の時の遺書を読んでゆく、そして最後に現在の自分に視点がいくという構成になっております。
赤の他人というのはかなり突き放した表現ですが、
赤の他人からみた自分も赤色であることについて面白く感じたので制作しました。
人生は自分中心に進んでいくのが当たり前ですので、
他人はあくまで他人ですが他人の人生からみた自分も
他人でしかない、とても単純ですが何故かこんがらがる
そのこんがらがったことこそ、やはり自分は他人を他人としか見ておらず、自分が当事者だと思い込んでるということになります。
この作品を通じてこの当たり前のことについて
少しでも面白いと興味を持ってほしいと思いました。
はじめまして。
がんももどきといいます。
初投稿をさせていただきました。
年齢は13歳の新中学2年生です。
小説を書くことが好きなので拙い文章ではありますが
是非これからも宜しくお願いします。