第98話「交渉」
レクタムは、魔王連合の殲滅を目指すボッチェレヌたちとの交渉に臨んでいたが、彼らの存在が自社に危機をもたらす可能性を感じていらいらしていた。"O.W.R.L."は、魔王連合に対しての敵意がないことを示すために、白旗を掲げながら交渉を進めていた。しかし、交渉は難航し、レクタムはその姿勢を見せる一方で、彼らの目的を半信半疑で受け入れつつあった。
「それで、君たちは我々の味方だと?」
レクタムはいらいらしたようすでコーヒーカップをガチャンと置いた。
「ええ。我々の目的は”魔王連合”の殲滅です。ですから、貴社に危害を加えることはありません。」
ルシファーの姿になったボッチェレヌがいつになく丁寧な口調で答えた。
今、ルシファーはその鍛え上げられた体躯に似合う仕立ての良いスーツを着ていた。
デリトはその姿を横目で見ながら、そういえばルシファーの姿のとき、服は毎回変えてるなと気づいた。
<チートキラー>を発動している時以外、何故か強制的に各異世界に合った服装にならざるをえないデリトと違って、ボッチェレヌは魔法で服をいつでも変えられるらしい。
とはいえ今、デリトもいかにもビジネスマンといったウィンドウペーンのチェック柄のスリーピーススーツを着ていた。
やはりこの異世界はかなり”現実世界”と近いらしい。
無人軍隊との交戦を終えたデリトたちはレクタムたちへ敵意がないことを示す白旗を振りながら、少し時間を経て直接の交渉の場へと持ち込んでいたのだった。
目的はもちろん、レクタム商事との協力関係を結びつけ、”魔王連合”との戦いに備えることだった。
各異世界から異世界転生者を呼び集める間、”魔王連合”とは全面戦争を避けたい考えのユークリートはレクタム商事との連携を図ることで相手の出だしを遅らせることが目的だった。
しかし、レクタムとの交渉は難航していた。
最初はレクタムの姿に”O.W.H.L.”の面々は驚きを禁じ得なかった。
みな、しかめっ面になってしまうほどその見た目の醜悪さが気になっていたが、交渉が進むにつれ、その気持ちは緩和され、レクタムも”O.W.H.L.”の立場を理解し、交渉には臨むようにはなっていった。
ただ、”魔王連合”を殲滅するだけだというところは未だに半信半疑な部分があり、さらに通常よりもレクタムはいらいらしていた。
アケミはレクタムがここまでイライラするのを見たことが無かったが、怒る姿も魅力的に移り、日を追うごとに惹かれていく自分にもはや酔ってすらいた。
怒り、つりあがったまゆも整った目元が厳しくなるのも、嫌になることはなくむしろ頼もしいと感じた。
「君たちのせいで我がレクタム商事と異世界”ビジネスライク”は危機に直面しているわけで・・・」
レクタムが再び口を開いたとき、ガチャリとドアが開き、焦った様子でレクタム商事の副社長が飛び込んできた。
「社長・・・!」
「どうした?今、私はアケミ君とともに大事な交渉中だぞ!急ぎでなければ・・・」
「いえ、至急のことで・・・」
制止しようとするレクタムを遮って副社長は耳打ちした。
「なに!?」
レクタムは立ち上がった。
「・・・どうしました社長?」
ボッチェレヌが静かに聞いた。
瞬時にデリトにも目配せし、二人はある可能性を考えた。
「”魔王連合”が、全面戦争を仕掛けてきた。この首都、レクタムンドの東西南北全方位から侵攻中とのことだ。」
「・・・やはりか。」
デリトは呟いた。
実は”管理者の方舟”が異世界”ビジネスライク”に侵入した時点で、焦った”魔王連合”がレクタム商事ごと潰しにかかってくる可能性はユークリートたちと話しあっていたのだ。
本来はレクタム商事と即時提携し、奇襲予定であったが、思った以上に交渉は難航し、時間を食ってしまったのが悔やまれた。
「社長。本日の会談はここまでになさいますか。」
キラリと目が光ったボッチェレヌは語気強めに言った。
その姿をちらりとレクタムは見やり、この可能性も考えていたのか、やられた、と感じた。
「仕方あるまい。君たちがいる限り弊社も安全ではなさそうだからな。」
「お言葉ですが、彼らは我々が来ていなくても御社のことを攻撃したでしょうね。」
ここでそこまで言えるとは、大した度胸を持っているな、とレクタムはボッチェレヌに心の中で賛辞を送った。
否、どこかで、おそらく、前世で失敗した経験を活かしているのだろうか。
「良いだろう。弊社は君たちとの軍事提携関係を結ぼうじゃないか。」
「ありがとうございます!社長。」
ボッチェレヌも立ち上がり、レクタムと堅い握手をかわした。
その瞬間、ボッチェレヌの顔がひきつった気がしたが、すぐにその表情は引っ込められた。
まぁ、私のこの顔では仕方がないだろう、とレクタムは思った。
「早速アケミ君、契約書の発行を。」
レクタムは側で自分の顔を食い入るように見つめていたアケミに声をかけた。
一瞬、話をきいていなかったようにポカンとしていたが、すぐに返事をして顔を赤らめながらアケミは作業へと取り掛かった。
アケミはとても魅力的だ。
全身、むちっとしていて、スーツがパツパツだがまたそれが良い。
ボタンが弾けそうになっているYシャツの胸部分もいいが、特にストッキング越しに見えるパンパンに張った太ももは私の好みだ。
それに私に惚れている。
この魔法のような恋が解けないようにしなければ。
目の前でいびつな青春をしている二人を見ていて、”O.W.H.L.”の面々は困惑の表情をしていることに当の本人たちは気づいていなかった。
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