第97話「天動」
巨大な音に驚いたアケミは、裸のレクタムを目撃し、慌てて指摘する。レクタムはシャワーを浴びた後で、気にせず外を眺めると、空に浮かぶ巨大な物体に気づくレクタムは冷戦中の敵の援軍の可能性を考える。
一方、異世界“ビジネスライク”に降り立った“管理者の方舟”の一行は、かつて住んでいた世界に似た光景に戸惑い、嫌な記憶を思い出す。
「どうした!」
巨大な音を聞きつけ、ドアを開けてレクタムが入ってきた。
「レクタム見て、空から・・・」
と、アケミは言いかけて後ろを振り向いたが、ある1点を凝視してしまい顔を赤らめた。
「・・・どうした?」
「あ・・・あんたハダカ・・・」
アケミが震えながらレクタムの股間を指差した。
「ん?・・・ああ、すまない。シャワーを浴びていたものでな。」
レクタムは悪びれることもせずニカッと爽やかな笑顔を見せた。
「もう、少しは隠しなさいよバカッ!」
アケミが思い切り投げたマウスはレクタムにスコーンと軽快な音を立てて当たったが、当の本人は何事も無かったように窓から外を見た。
「なんだ?あの巨大な物体は・・・」
そう言いかけて、レクタムはハッとした。
「いや、見たことがある。あれは・・・色や細かい部分は違うが、”魔王連合”の”ジェネシス・フォートレス”だ。」
「・・・そ、そそ、そうね。」
アケミは返事をしたが、隣にたつ裸のイケメンにドギマギしてしまい、ほとんど何も考えられてなかった。
「まさか、”魔王連合”の援軍か?」
”魔王連合”とレクタム商事はここ最近冷戦状態だったため見せていなかったが、レクタムは久方ぶりに魔王らしい厳しい表情をした。
空から異世界”ビジネスライク”に突入した”管理者の方舟”及び、”O.W.H.L.”の一行は眼下に広がる光景に目を奪われていた。
とはいっても、その景色が美しいものだったからではない。
むしろ、その逆だった。
そう、異世界”ビジネスライク”は最も”現実世界”から近い世界のため、一行の目の前にはかつて自分たちが住んでいた世界と同様に、
多くの人とコンクリートジャングル、行き交う車やトラック、まるで下手くそなCGのように同じ四角の形をしたビルが並んでいたのだ。
それはかつて自分たちが生きた世界、その時代と非常に酷似するものだったが、逆に誰もが見たことあるようで見たこと無いような光景だった。
「「嫌なことを思い出させる光景だぜ。」」
デリトとボッチェレヌは記憶を共有するため、ほぼ同時に嫌な記憶を思い出して呟いた。
会社では毎日のように上司と衝突してたっけ。
その時、街中に警報が響き渡った。
低く唸るようなウー、という音が響く中、ビルというビルに取り付けられたランプが赤く染まり、突如として地面が割れた。
否、正確には地面が割れ、中の巨大なスロープを進んで地上に戦車の車列が現れたのだ。
「おいおい、まさか軍隊のお出ましってことか・・・?」
エライトは汗を垂らした。
その時、スピーカーから音声が聞こえた。
「不審な未確認飛行物体よ。貴様らに警告する。敵でないという意思が確認できぬ場合、
レクタム商事及びレクタムインダストリアル社の自動操縦戦車隊によって迎撃を開始する。」
「おいおい!待ってくれい!俺らは敵じゃない・・・とも限らないか。レクタム商事って何だ?」
ボッチェレヌがユークリートに聞いた。
「エルレケネンの話によると、”魔王連合”と敵対しているこの異世界の魔王レクタムの組織のようですが・・・」
「なるほどなぁ。御礼のハグ!」
そう言ってボッチェレヌはユークリートの豊満な谷間に突っ込んだが、バチンと大きな音を立てて平手打ちされてしまった。
完全にボッチェレヌが悪いのは間違いないが、この2人に雪解けは無さそうだった。
そんなことをしている間に戦車は車列を整え、地上に展開した。
ローター音が聞こえ、遠くには軍用ヘリも見えた。
「回答が無かったため、敵とみなして攻撃する。」
おそらく自動音声と思われる男の声がすると、戦車は一斉に射撃を開始した。
「待て待て待て!」
飛んでくる砲弾にビビってボッチェレヌはルシファーの姿になった。
爆音とともに無数の砲弾が”管理者の方舟”に被弾した。
「仕方無いな、あの軍隊は無人だと思われるし・・・俺らも反撃するぞ!
やっと使い所が来たって感じだな・・・<インフィニット・ウェポン>!」
デリトは重火器を空中に出現させ、ミサイルランチャーや対戦車砲などを駆使して戦車を打ち抜いた。
「チッ、しょうがねぇ。幻術が使えないなら拳で語り合うのみ、いざ!」
ボッチェレヌはアニメとかによくいる武闘派のかませ犬みたいなことを言って走り出した。
「あ、わ、私も!」
遠距離攻撃が基本的には無いに等しいゾーレはボッチェレヌに抱きかかえられ地上に飛び降りた。
「そういえば、”ジェネシス・フォートレス”に撃っていた砲台は使えないのか?」
エライトは”管理者の方舟”の側面に無数に並んだ砲台を指差した。
「”管理者の方舟”はあくまでも異世界を転移するための異世界です。
”ジェネシス・フォートレス”は”管理者の方舟”に似せてつくった擬似的な異世界ですので攻撃しても問題ありませんが、
この異世界”ビジネスライク”のような本当の異世界を攻撃した場合の予測がつきません。」
ユークリートが残念そうに答えた。
「そういうものか。」
「ええ。何も起こらない可能性もありますが、最悪、”管理者の方舟”ごと”ビジネスライク”が崩壊して消滅する可能性もあります。」
その時、軍用ヘリや戦闘機が”管理者の方舟”に近づき、攻撃を仕掛けてきた。
「チッ、厄介だな。ガイデンラーフェ、モレネ!俺を飛ばせるバフはかけられないか!」
「多少浮かせる魔法ならあるけど・・・」
「あたしの調理でその魔法の効果を数倍にしつつ、跳躍力を増すことなら!<ファステスト・キッチン>!」
モレネが答えて早速調理を始めた。
「へっへーん!おっさきー!遅いよ!エライトちゃん!」
その時、セクタスネが”管理者の方舟”を勢いよく跳びたち、向かってきたヘリとヘリを飛び移りながら破壊した。
「くそ・・・ムカつくやつだ・・・。」
「よし、できた!グラインドビーフのタンシチュー!」
「う・・・うまい・・・!力が・・・みなぎる・・・!」
エライトはモレネのシチューを食べ、目を見開いた。
「口の中に煮込んだ牛の柔らかくとろけるようなタンの旨味がじゅわっと広がる・・・!」
何故かエライトの目は光り輝き、ビームのようなものを発していた。
「それじゃあいくよ!<フローティ>!」
ガイデンラーフェが呪文を唱えるとエライトは少し体が軽くなった気がした。
その時、はるか遠くから戦闘機が音速で近づいてきた。
「行くぞ!」
エライトは足を踏ん張ると”管理者の方舟”の甲板を蹴り、勢いよく空に飛び出した。
そのまま、エライトの速度は光速を超え、瞬時に戦闘機を破壊した。
一方、地上でレクタムたちは自社開発した無人戦車と戦う突如現れた異世界転生者たちの強さに驚いていた。
「なんだ・・・あいつらは・・・」
流石のレクタムもあっけにとられているのを見て、アケミはまた新しい顔が見れたと心の中で喜んだ。
「な、なんでしょうね。あいつらは・・・エフンエフン。」
しかし、その嬉しさを押し殺し、異世界転生者たちのことは知らんぷりをした。
アケミはデリトたちのことや”O.W.H.L.”については知らなかったが、どう考えてもこの強さは通常の異世界人ではないことは容易に想像がついた。
やがて、地上に着陸した”管理者の方舟”の周囲には砕け散った無人戦闘機や無人戦車の残骸が山となって積み上がっていた。
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・異世界転生殺し
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