第78話「勇者と魔王」
ユークリートはすらりと長い、白く透き通ったつややかな足を組んだ。
「私はね。異世界転生者を集めてハーレムを作りたいの。」
「「殺すぞ。」」
デリトは<インフィニット・ウェポン>で重火器を出現させてユークリートに向け、エライトは聖剣ゴールドシルバーを向けた。
「うそうそ!冗談!冗談だーって。半分本気だけど。」
「「おい」」
「あー、はいはい。ごめんなさいね。説明します。説明しますって。」
ゴホン、とユークリートはわざとらしく咳払いすると話し始めた。
「何から話せば良いかな。うーんと、そうね。まずはこの異世界という存在からかしら。」
「異世界ってのは俺らがもともといた・・・前世?地球?宇宙?とは別の次元の世界とかではないのか?」
エライトが言った。
「そう。その通り。あなた達がいた宇宙、いわゆる”現実世界”と呼んでいるものとは別の次元にあるのが”物語世界”。
でも、2つは別の次元というだけではなく、お互いに干渉しあっている。
異世界ひとつひとつは惑星のような存在だと思えばわかりやすいわ。そして、各異世界は”物語世界”と呼ばれる大きな次元の中に存在する。」
「なるほど、俺らがもともといた宇宙という次元とは別の次元で”物語世界”が存在する。
そして、その”物語世界”という次元の中に各異世界があるわけだな。」
「”物語世界”は”現実世界”にも干渉するのか。」
「そう。”現実世界”のヒトの発展には必ず想像力が必要。
その想像力を生み出すのがこの”物語世界”なの。”物語世界”は”現実世界”においてヒトが誕生し、想像力を得た瞬間にできたと言われていて、”物語世界”で起きたできごとが”現実世界”のヒトの想像力に影響を与え、ヒトならではの進化を促進していく。」
「なるほどな。それは何となく分かった。だが2つはお互いに干渉していると言っていたな。おそらく、”現実世界”から何かしらのパワーをもらうことで”物語世界”も存在することができる、とかそんな感じだろう?」
デリトが言った。
「細かい所は省けばそんなところね。簡単に言ってしまえば”現実世界”と”物語世界”はお互いに持ちつ持たれつって感じかしら。」
「もちもたね。」
ボッチェレヌは心の傷が癒えたようで茶々を入れてきた。
「でも、気になるのがなぜ”物語世界”と呼ばれるんだ。そういうことなら”想像世界”とか”創造世界”とか呼んでもいいものなのに。」
少し黙ってからユークリートは話しだした。
「そこが実はキモなの。”物語世界”には必ず物語が必要なの。始まりと終わりが。」
「なるほど、各異世界に物語が必須だから”物語世界”と呼ばれるのか。」
エライトは納得が言った気がした。
今聞いている話は戦いに赴く前、簡単にユークリートから聞いただけだったが詳細に説明され、色々と腑に落ちた。
「しかし、物語の始まりと終わりとはなんだ?」
デリトは少し考えてから言った。
「確かに。」
「それが・・・。あなた達に話していいものか、迷ったところ。」
先程まで陽気に見えたユークリートは考え込んでいる。
「話せ。俺が貴様を信用するかどうかが決まる。」
デリトは再びユークリートに武器を向けた。
まだエライトのこともユークリートのことも信用したわけではなかった。
「・・・分かったわ。物語の”始まりと終わり”。つまり、それは”勇者と魔王”のことよ。」
「どういうことだ?」
「各異世界には必ず異世界を支配する悪い魔王がいる。そして、その魔王を倒すために異世界転生者という勇者が現れ、圧倒的な力をもって魔王は打倒される。」
「なるほど。それはよく分かるな。異世界転生モノって感じがする。というより、古くからの物語とかRPGって感じだな。古典的な物語の形だ。」
ふむふむとデリトは頷いた。だが、そこが今回の話の核心ではないのだろう。
「そう、古典的でテンプレ通りだけど、”物語世界”における異世界では勇者と魔王の戦いが起こることによりエネルギーが生まれ、魔王を倒した瞬間に最もエネルギーが多く生まれる。そのエネルギーは異世界そのものの維持に使われる。」
「そのテンプレの物語しか無いのか?」
「ええ。紆余曲折とか題材とか、平和な時代があるとか無いとか色々違いはあるけどそこは変わらない。
ほら、車とかのエンジンって燃料を燃やしてシャフトが一回転してタイヤとか推進するでしょ。
”物語世界”はその燃料が、『勇者と魔王という絶対的な力を持つ両者の戦い』って感じね。」
「・・・その例えは、なんだかあまり、良い気持ちはしないな。」
デリトが過去の戦いを思い出しつぶやいた。
明確な命のやり取りがただの”燃料”だったなどと到底受け入れられない。
「ユークリート。言うべきことがもうひとつあるだろう。」
エライトが言った。
ある程度は聞いているようだ。
「・・・ええ。
『勇者=異世界転生者』というのはご存知の通りだけど、実は魔王も、もともとは勇者として召喚された異世界転生者なの。」
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