第75話「殺し殺され。」
入鹿の前世を覗き見たデリトは勝利の確信をつかむ。
お互いの”権能”が打ち消しあう中でデリトは・・・?
「おい、入鹿 直道真とか言ったか。お前のことは俺がちゃんと殺してやる。
ずっと、死に場所を探してたんだろ?」
「・・・はぁ?何を言ってる・・・!僕は、”異世界転生殺し”を殺したいだけだよ。ナイフの殺人鬼」
入鹿 直道真は魔法で上空にナイフを出現させてデリトに刃の雨を降らせた。
先ほど背中を貫いたナイフはこの魔法だったか、とデリトは思った。
「いっちょまえに魔法も使えたとはな!」
「させない!」
ナイフの雨の前にゾーレが立ちはだかり双剣を素早く振るってそれを弾いた。
やはり、ゾーレの能力、特にスピードは異世界転生者にも比肩するくらい速くなっているようだった。
さらに”魔族”であるゾーレは”人殺し”の影響を受けない。
おそらく、ナイフは入鹿の”権能”<人殺し>によってデリトの急所に当たれば致命傷になりかねない。
「くそっ、何回やっても同じ・・・!」
次の攻撃に移ろうとした瞬間、入鹿 直道真の目の前にデリトが現れた。
「ぐっ・・・!」
入鹿 直道真は素早く避けたが、放たれた弾丸がほほをかすめた。
その後、デリトと入鹿 直道真の戦いは、ゾーレを交えながら続いたが、<ゼロリサーチ>前と比べて明らかに様相が違ってきていた。
入鹿 直道真の前世での弱点は簡単に言えば「殺したいという欲と殺されたいという願い」という矛盾した考えが露見してしまうことにあった。
殺されてしまえば殺すことはできなくなるが、殺されなければ殺しを続けてしまって罪の意識が深くなり、今以上に精神の崩壊が進んでしまうジレンマを抱え、このままでは怪物になっていってしまうという恐怖があった。
デリトはただ「殺してやる」という自分の気持ちやただの暴言ではこうはならないことを理解していた。
入鹿 直道真の弱点である「殺されたい」という秘めた思いを知った上で”救い”の手段として「殺すこと」を認識させることで”異世界転生殺し”を発動し、お互いの”権能”を打ち消し合うようにしていたのだった。
打ち消しあいの証拠として、入鹿 直道真の攻撃は致命傷を与えられなかったし、デリトは<異世界転生殺し(チートキラー)>の発現の証である黒い二丁拳銃を出現させられていなかった。
つまりは、この戦いにおいて重要なのは”権能”が実質、封じられた状態での単純な能力値の差である。
「<インフィニット・ウェポン>!」
「ぐっ・・・」
とはいっても戦いの決着はすぐについた。
デリトの重火器類が入鹿 直道真の体を貫き、致命傷を与えたのだ。
つまりは、ナイフを軸にした稚拙な攻撃と大したことのない魔法程度しか持たぬ入鹿 直道真と、<インフィニット・ウェポン>を始めとする高度な魔法スキルを持ち、身体能力でも勝るデリトとでは勝負にならないのは当然であった。
ここは長年”異世界転生殺し”として異世界転生者と渡りあってきたデリトの経験値の勝利だった。
「がっ・・・がっ・・・!」
地面に倒れ、ゴボゴボと血を吐きながら入鹿 直道真は喋ろうとしている。
なぜ、デリトが形勢逆転できたのか知りたいのだろう。
「すまない。」
デリトはひとことそう言うと<インフィニット・ウェポン>でショットガンを出現させ、撃った。
入鹿の力が弱まったため、<異世界転生殺し(チートキラー)>が発現していた。
苦しむ時間を短くするための、せめてもの礼儀のつもりだった。
ちなみに<インフィニット・ウェポン>は多種多様な重火器類を出現させられるが、一番弱そうな拳銃だけはなぜか<異世界転生殺し(チートキラー)>が発言しない限りは出現させられなかった。
悲しき殺人鬼の最期は”反逆の女神”ウルレカッスルの突然の手助けにより思った以上に早く終わった。
入鹿 直道真の命の灯火が消えるとほぼ同時に大きく地面が揺れ始めた。
「何・・・!?」
地面に踏ん張ろうとするが辺りの地面が地割れを起こしていくのが見えた。
「くそがぁぁぁ!!!このビチ○ソどもがぁぁ!!!」
遠くで叫んでいたのは赤い肌をして腕が6つある巨大なモンスターだった。
「あれは・・・見覚えがある・・・!」
デリトが目を細めた。
「まさか、”美食魔王”?」
ゾーレも見えているようで驚きの声をあげた。
そう、そのモンスターは異形となった異世界”イート・イン”の”美食魔王” 喰神母雨"だった。
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