第71話「美食魔王と光の転生勇者」
天下一武料理大会はついにクライマックスを迎える。
”伝説のグルメクリーチャー”たちが会場に放たれるがなぜかどんどんと倒れて・・・?
それから、1stステージでは多くのバトルコックがブラッククロウゴーレムに喰われていった。
たとえ、グルメクリーチャーを倒すことができても料理が美味いと判断されなければ処刑されてしまう恐ろしいシステムだが、
デリトたちが応援するヤンチスは時間はかかったものの1stステージを突破することができた。
「ああ、良かった・・・。」
ゾーレは胸をなでおろした。
ヤンチスは自分がもともといた異世界”タンファージ”で魔王軍の料理人としてゾーレをかわいがってくれていた
ガムチスという魔物に少し似ていたので死んでほしくなかった。
一方、デリトはそんなゾーレの気持ちなど知る由も無かったが、なんだかもやもやとしている自分の気持ちを感じていた。
続く2ndステージはグラコロの場外でグルメクリーチャーを狩り、お題に合わせた料理をつくるというものだったが、
それも多くの処刑されるバトルコックが多い中、危ういところでヤンチスは切り抜けた。
そして、いよいよ、”異世界転生料理人”を含む数名とともに最後の3rdステージへと新米バトルコックのヤンチスがファイナリストとして進んだのだった。
「さぁ!やって参りました!これがfinalステージ!我らが”美食魔王”との直接対決です!」
ダララララ、とどこからともなくドラムロール音が響いてくる。
「食の絶対王者!”イート・イン”の支配者!グランキッチンコロシアムの総料理長!”美食魔王” 喰神母雨様のご登場~!」
ダダン!とドラムの音とともにスポットライトが当たり、ステージの中心から豊満な肢体のセクシーな女性が現れた。
椅子代わりにしているのは筋骨隆々の男性たちだった。
「ハァーイ!皆待ってたー??」
「「「ウオォォ!!!」」」
美食魔王の登場により会場はここ一番で盛り上がった。
「あなた達が、ワタクシへ無謀な料理対決を挑んだボウヤたちね。
馬鹿なコたち。私が調理して、食べてア・ゲ・ル❤」
ぶちゅっと音がしそうな濃厚な投げキッスを挑戦者のバトルコックひとりひとりにしていったが、喰神母雨は下に見えるモレネに目を留めた。
「あら、あなたも私に調理されに来たのね。”食のスーパールーキー”と聞いていたからボウヤかと思ったらお嬢ちゃんだったわ。また、身が滾るような熱いバトル・・・期待してるわ。」
「喰神母雨 ・・・!私はあなたを許さない・・・!」
モレネは喰神母雨に何かしらの因縁があるようで珍しく緊張を忘れて上を睨みつけた。
「フム、”異世界転生料理人”は”美食魔王”に何かしら因縁があるようだな。
それにしても、どの異世界にも魔王とそれに対抗する異世界転生者や勇者が必ずいるというのは興味深い・・・。」
デリト達と観客席に座るライゼレはぶつぶつと独り言を言いながら何か思うところがあるようだった。
「さぁ!3rdステージは”伝説のグルクリ”のハンティング&フルコースの調理対決!」
司会のキュリエスが手を挙げると、ステージ全体が動き出し、ファイナリストと美食魔王の載っているステージが離れていき、ステージが一部下に下がっていくと同時にいくつもの巨大な檻に入った何かがせり上がってきた。
「なんだあれは・・・!」
デリトは檻の中に入っているものに目を見張った。
「皆さん御覧ください!檻にぎゅうぎゅうに詰められ(パッキングされ)ているのは、世界で1匹のみと言われる”伝説のグルクリ”たち!
この”イート・イン”を形作りし神なるものたちの成れの果てです!」
それまで歓声が響いていたグラコロ中が静かになり、ひそひそ、ざわざわと話す声が至るところから聞こえるようになった。
「あれが・・・”伝説のグルクリ”・・・!」
「なんとまぁ恐ろしい・・・。」
「おお・・・神よ・・・」
「皆さん恐るることなかれ!このコたちはワタクシが世界の果てを旅して捕まえてきた神獣たち・・・!
食べればその味を一生忘れることはできないという”伝説のグルクリ”たちです・・・!
一部の選ばれし観客の皆さんにはワタクシ達の作った”伝説のグルクリ”のフルコースを食べて頂き、どれが最も美味しかったのか、判断して頂きましょう・・・!」
喰神母雨が両手を広げて観客たちに訴えかけると、それまで静かになってしまっていた観客たちはだんだんと熱を取り戻し一斉に叫ぶようになった。
「「「喰神母雨!喰神母雨!」」」
会場中に響く歓声を両手で受け止めているようなポーズをする美食魔王からは明らかなカリスマ性があった。
彼女(彼?)がただ強いだけでなく、そのカリスマ性で”異世界イート・イン”の覇者となったのだと感じさせるものだった。
「それでは、”伝説のグルクリ”をステージに放ちます!
このグルクリたちは今まで戦ってきたBクラスやAクラス、そして、ほとんど皆さんが出会ったことのないSクラスやSSクラスよりも
遥かに、圧倒的に、絶対的に強い、強さの測定不能なXクラスのグルクリとなります!
心して・・・調理開始!!!」
キュリエスが腕を振ると、一斉に”伝説のグルクリ”が詰め込まれた檻が解かれ、バトルコックたちに襲いかかった。
「おーっと!これは”伝説のグルクリ”の中でもすっきりとしながら濃厚な甘みを持ち、
食べれば100歳の肌を1歳の肌質にするほどの驚異的なコラーゲン質を持つという八つ首のヘビ型巨大グルクリ、トゲクラゲヤマタノオロチだー!」
バトルコックのひとりが即座にトゲクラゲヤマタノオロチに噛みつかれた。
ただ、そこは歴戦のバトルコック、トゲクラゲヤマタノオロチの首を切り取って再び現れた。
「強い!さすがこの3rdステージまで生き残ったバトルコック!強いー!」
しかし、次の瞬間、トゲクラゲヤマタノオロチの別の首達が噛み付き、バトルコックの体を引き裂いた。
「な、なんと・・・!」
あまりのスピードに司会のキュリエスですら驚きの声を漏らした。
3rdステージは2ndステージまで圧倒的な強さを誇ったバトルコックたちが無残にも”伝説のグルクリ”たちに敗北し、食べられていく。
「見て!ヤンチスも危ない!」
ゾーレが指差した先にデリトたちが応援しているバトルコック、少年ヤンチスがトゲクラゲヤマタノオロチに追い詰められていた。
背後には大きな岩があり、どこにも逃げ場がない。
「ここまでか・・・」
トゲクラゲヤマタノオロチの残った7つ首の同時攻撃にヤンチスが覚悟を決めたとき、空中から突然何かが現れ、”伝説のグルクリ”の7つの首を同時に切り取った。
ヤンチスの前に軽やかに舞い降りたその人物はまばゆく輝く金髪と、少し黄色がかった美しい白い大剣を掲げていた。
「まさか・・・!」
デリトはその姿を見て席から立ち上がった。
少年ヤンチスを救ったその人物は”光の異世界転生勇者”エライトだった。
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