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異世界転生殺し-チートキラー-  作者: Michikazu Sashie
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第70話「前世で料理とか絶対にしないと誓っていた干物コミュ障女子が異世界ファンタジーに転生したと思ったらグルメバトルモノでした。」

異世界転生料理人モレネはなんなく1stステージをクリアするが・・・?

挿絵(By みてみん)

「なんだコレ・・・」


デリトはあっけにとられて呟いた。


今まで多種多様な異世界を渡り歩いてきたが、その中でもここは異質だった。




人の命を何とも思わないような悪人はいくらでもいたが、この異世界では誰もが人の命より料理のほうが重要なようだった。




1stステージで多くのバトルコックが命を失ったのにも関わらず、誰も動揺してはいなかった。




「文字通り、食の”異世界”というわけだね。デリトくん。」


いつの間にか、デリトくんと呼称していたライゼレが言った。


彼も同じことを感じていたようだ。




「料理バトルのことはひとまずおいといて、彼・・・いや、彼女かな?”異世界転生料理人”の強さを見たか?」


ライゼレがモレネのことを指し示した。


「・・・ああ。単純に強い。それに、奴はただ力が強いとかスピードが早いとかいう単純なチートステータスだけではなく、


正確にグルメ・・・モンスターだっけか?」


「グルメクリーチャーな。グルクリ。ここはグランキッチンコロシアム。グラコロ。」


「あれ、グルメスタジアムじゃなかったっけ?」


大歓声の中、2人の会話を耳ざとく聞いていたボッチェレヌが横槍を刺す。


「そう、グルクリの急所を的確に突き、素早く仕留めていたようにみえた。単純に知識として知っていただけかもしれないが・・・


それとは何か違うような気がする。」


デリトはボッチェレヌの茶化しを無視して続けた。


その時モレネはライゼレとデリトのことを静かに見つめた。


「ああ・・・イケメン二人が私のことを見てる・・・。じゃなくて、やはりいたわね。デリトとライゼレ。彼(点々)から聞いた通りの風貌で分かりやすいわ。」


モレネは前世看護師だったため、多くの患者を診てきた経験から名前と顔は一瞬で覚えられるようになっていた。


転生女神長ランスホルダーユークリートに見せられた二人の顔はばっちり覚えていた。


それにしてもなんて恐ろしい異世界へ転生してしまったのだろうか。


美食の異世界だと最初は聞いたから平和なお料理スローライフをイメージしたのに、とんでもなく物騒な異世界だと気づいたのは怪物、いや、グルメクリーチャー、通称グルクリに襲われてからだった。


しかし、そこで自分自身のバトル能力と前世で一切できなかったはずの料理能力の高さに驚いたのだった。



「見て!ヤンチスも調理を始めたよ!」


やっと若手バトルコックのヤンチスや他のバトルコックも調理を始めたようだった。


それから数十分後、”料理侍”のロクエモンと”ミートハンマーのドガス”が同時に調理を終え、審査員の前に料理をだした。


「おっと!!!これは同時に調理を終えたー!さて、二人とも2ndステージに進むことができるのか!?


ロクエモンはパイナップルワームの刺し身、グロッキーカエルのソース添え、ドガスはブリッブリブロッコリー牛のパイナップルワームソースだー!」


司会のキュリエスが会場の視線を二人に向けさせる。




「ふむ、良い香りだな・・・。」


”東のゴジベエ”が早速二人の料理を試食した。


他の審査員もそれぞれ二人の料理を口にふくんだ。




「む!・・・これは・・・!」


侍のような和服姿の主審査員ゴジベエは目を見開く。




「・・・・・・。」


他の審査員は何も言わず札をあげた。


裏表にそれぞれ○印と×印が書かれたその札は実はモレネの判定のときにも用意されていたが、問答無用で合格となったため使われていなかった。




「こ・・・これは・・・札での判定か・・・!」


ゴジベエも札をあげたが、その札には他の審査員と同じく×と大きく青い絵の具で書かれていた。




「今度は札で判定するのか?」


デリトが少し身を乗り出した。


モレネのときは審査員もノックアウトされて有無を言わさず1stステージを通過していたが、今度は厳密に審査が行われるらしい。






「審査が下りました!ロクエモンとドガス、二人共1stステージ突破ならずー!!!」


キュリエスが拳を突き上げると、会場の観客たちが拳を突き上げた。


「「「「処刑!処刑!」」」」


観客たちが一様に叫び始めた。






「これは・・・?」


ゾーレやライゼレも周囲の異様な雰囲気に同様していた。




ゴゴゴゴゴという大地を揺るがす地響きがしたかと思うと、ステージの外側、堀に当たる部分から青くどす黒く光る何かが出てきた。


それは、巨大な鳥の形をしていたが、空を自由にとびながら、金属と金属の擦れるような耳障りで奇怪な鳴き声を発していた。




「出ました!ブラッククロウゴーレムです!”美食魔王”の絶対的な部下にして、全てを喰らい尽くす巨大なカラス!」


キュリエスがそう言うと会場には「ゴーレム!ゴーレム!」と大合唱が響いた。




数匹のブラッククロウゴーレムは怯えるロクエモンとドガスの方へ飛んでいった。


2人はそれぞれ武器を構えた。




「くっ・・・我が美食武士道はここで終わるわけにはいかぬ・・・!」


「俺には愛する娘がいるんだ、ここで終わるわけにはいかねぇ!てめえらなんか鳥の丸焼きに・・・グェア!」


ドガスの言葉は途中で途切れた。


ブラッククロウゴーレムがとてつもない早さでドガスの上半身を食いちぎったのだ。




「なっ・・・ドガス・・・ギィエ!」


続いて他のブラッククロウゴーレムがロクエモンの頭に噛み付いて首元から引きちぎった。


もう数匹のブラッククロウゴーレムも二人の死体にガツガツと食いついている。




「処刑完了ー!ブラッククロウゴーレムは人間の、しかも負けたバトルコックの脳みそが大好物!


これが天下一武料理大会の醍醐味です!他の皆さんも、くれぐれもマズい料理は作らないでくださーい!


美味い料理こそ正義!不味い料理は悪!!!」


「「「ウォォォ!!!」」」




盛り上がる会場でデリトたちだけがその狂気におののいていた。




「この異世界は・・・狂ってる・・・!」

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