第64話「双子の魔王」
「それで、”魔王連合”はどこに向かってるんだ?異世界”ジェネシスフォートレス”は異世界間を移動する戦艦なんだろう?」
デリトは隣にいるライゼレに聞いた。
「そのとおりさ。私がヤ●ト発進!とか言えば南国のビーチでも北極のオーロラでも見に行けるよ。」
「残念ですが、ライゼレ様にその権限はないので黙っていてください。それにそのギャグは普通におもしろくないです。あと、北極とか南極は異世界にはありません。」
秘書のレーゼがピシャリと言うと、ライゼレはしょんぼりとして黙った。
”魔王四天王”の第一天、ライゼレはつかめない男だった。
エライトと戦っていた時には圧倒的な強さを感じたが、今はこのように情けなさを感じつつ、飄々とした雰囲気が変な感じのする男だった。
「ええ、厳密に言うときちんとした異世界ではなく異世界の卵のようなものを改造したものなのですが・・・。それで、次は異世界”イート・イン”に行きます。」
後ろからウルレカッスルが歩いてきた。
「なるほど。というか、ウルレカッスルが俺ら全員を異世界転移させればいい話なのでは?」
デリトは当然の質問を投げかけた。
「異世界転移もかなりの力、神力を使用するのです。かといって異世界転生も同じ力が必要なので、異世界転生をやめてしまうわけにもいかないのです。転生をやめてしまうと私達の存在意義は無くなり、存在が消失してしまうと考えられていますから。」
「存在が消失!?」
そういえば、転生の女神自身について聞くのは初めてだった。
神力も初めて聞く名称だった。
「神力は無尽蔵ではなく、前世のさまよえる魂にチートスキルや”権能”を付与して新しい存在として命を与えるわけですから絶大な神力の消費が必要となります。
また、異世界転移も大きな神力の消費が必要になります。
神力はあなたがた異世界転生者、魔王や一般の異世界人が魔法力を持っている代わりに私たち女神に与えられた力です。」
「なるほど。なるほど。」
ふわふわの綿毛のような姿のボッチェレヌがうんうんと頷いた。
本当にわかっているのだろうか。
「デリトのよく言う、前世、我々は現実世界と呼んでいますが、そのジアースの宇宙に存在する星々のように異世界も虚空に転々と存在しているのです。”ジェネシス・フォートレス”は神力を使わずに異世界の間にそんざいする虚空に溜まったエネルギーで異世界を転移することができるのです。」
ウルレカッスルが簡単な魔法で模型を作って説明した。
「エネルギーね・・・異世界でもエネルギーなんて言葉聞くとはな・・・。そのエネルギーってのは魔法力か?」
「厳密には神力や魔法力の痕跡の集積が虚空のエネルギーですが、その考えで問題はないかと。」
デリトはため息をついた。理系科目は大の苦手だ。
それに前世、つまり地球のある次元のことを現実世界と呼ぶとは初耳だった。
ストレートに地球という意味のようだが、本当は違う由来でもあるのだろうか。
そういえば、ウルレカッスルの言う通りなら無数の異世界のあるこの虚空のことは何というのだろうか。
「ウルレカッスル。その神力というのは生まれた時からあったのか?」
「ええ。私が絶対神に生み出された時に。」
「絶対神・・・?」
初めて聞く名だが、絶対神は転生の女神の上位存在ということか・・・?
まだデリトが知らされていないことがあるようだ。
そのことを聞こうとしたとき、ウルレカッスルは話題を変えた。
「さぁ、次の異世界に近づきました。
全員は不可能ですが、デリト、ゾーレ、ボッチェレヌ、そして、魔王四天王から2人行ってもらいましょう。」
ウルレカッスルはそう言うと、魔法でテレパシーを送り、魔王を2人呼んだ。
奥の扉が開き双子の姉妹が歩いてきた。
胸元のパックリと開いたドレスのようなものを着ていて、すらっとスレンダー体型の2人は妖艶な雰囲気を醸し出していた。
「あら?貴方が”異世界転生殺し”ね!なかなかハンサムじゃないの。好み!私の名は魔王四天王が第四天キ・ラ、よろしくね!」
見た目の割に口ぶりが古風な感じのする黒いドレスを着た少女がデリトの体をつー、と撫でた。
「・・・それはどうも。」
デリトは少女と目を合わせず、義務的に礼を述べた。
「ほんとね。私もすごく好み。どう?異世界に転移する前に私達と良いことするのは?ちなみに私の名前は魔王四天王が第三天イシ・ム。」
もう片方の白いドレスを着た少女も同様にデリトの体を撫でた。
自分をエライトのもとから救ってくれた恩があるので、魔王四天王の2人をデリトは邪険にできずにいたが、そこにゾーレが割り込んできた。
「そ、それより早く異世界に転移しましょう!ほら、さっさと異世界転生者を殺しに行くよ!デリト!」
ゾーレは一生懸命デリトのスーツの裾を引っ張っていった。
デリトはなぜそんな強引に連れていかれるのかわかっていなかったが、ゾーレは デリトに悪い虫がつかないよう必死だった。
ただでさえ、ウルレカッスルと話しているのなども気になるのに・・・。
この感情は何なのだろうか。
ゾーレのいた異世界”タンファージ”のみならず、異世界”ゴールド/シルバー”でも助けてくれたデリトのことは今まで以上に気になっていることに彼女自身は気付いていなかった。
「あらあら、可愛いわねぇ。若いって素敵!」
「あらあら、私達も若いわよ!・・・何歳だったっけ?」
デリト達がくすくすと笑う2人のもとから離れたところで、ウルレカッスルは珍しく微笑みながらセフィロトの杖を振り上げた。
「さぁ、異世界転移を始めます。お願いします。”異世界転生殺し”デリト。
今度もまた厳しい戦いになるでしょうが・・・。」
ウルレカッスルの声が全て聞こえるか否かのタイミングで、光がデリトたちの体を包んだ。
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