第55話「聖剣の秘密」
デリトは密かに異世界”ゴールド/シルバー”の真実に気づく。
それは聖剣と密接につながっていて・・・?
メリオノーラスの新兵器によって、ジャドドが絶命し巨大な音を立てて倒れた。
「これでエライトはもとに戻った・・・?」
「エライト様が邪竜ジャドドに操られている可能性もありましたが・・・」
メリオノーラスと第一騎士団副団長のツリェがエライトとデリトのほうを見たが、2人は未だに戦っている。
「やはり、エライト様はご自分の意思で戦っているのでは・・・」
ツリェがそう言いかけたがメリオノーラスは強く否定した。
「違う!エライトを誰かが操っているはずよ・・・」
メリオノーラスはギリ、と唇を強く噛んだ。
そこには彼女の願いもあった。
「<インフィニットウェポン>!」
既にデリトはなりふり構わず、エライトに思いつく限りの攻撃を仕掛けていた。
「「そんな攻撃、効かないな。」」
しかし、光の速さで動くエライトの前ではその攻撃も虚しく躱されてしまう。
「「貴様の攻撃など、何の意味もない。なぜ諦めない?」」
地底から響くような声が浴びせられたが、デリトは無視して次の呪文を詠唱した。
と、その時、エライトに銃弾の雨が降り注いだ。
ただ、それも当たり前のようにエライトは躱したため、意味のないことだった。
そう、メリオノーラスがドラゴスレイスで攻撃したのだった。
「エライト、貴方が何故、こうなってしまったのは分からないけど、私は信じてるから。」
「「その割には容赦なく、撃ってるじゃないか。騎士団長のお嬢さん。」」
「・・・やっぱり、あなたはエライトのままだわ。そんな返しできるなんて、敵に操られているだけとは思えない。」
「「・・・・・・。」」
エライトはメリオノーラスをじっと見つめて黙った。
「メリオノーラスといったか。それはお前の言う通りだと思う。
俺の推測によればそいつはエライト自身ではあるが、操られているともいえる。
いや、何というか共存しているというべきか。」
デリトはメリオノーラスに近づいていった。
「共存・・・?」
エライトは黙ったまま動かない。
「そもそも最初からエライト、否、異世界転生勇者たちはこの異世界の魔王とともに生きてきたんだ。」
「それは・・・どういうこと?」
デリトの言葉にメリオノーラスは頭がこんがらがってきた。
「エライト・・・貴様の持っている聖剣”ゴールドシルバー”こそ、この異世界の魔王なんだろう?」
「!」
メリオノーラスは息をのんだ。
つまり、聖剣と呼ばれているにせよ、マジックアイテムでも何でもないはずの大きな剣が意思を持っているというのか。
「俺はこの数日間、この異世界”ゴールド/シルバー”を調べまわった。
全ての古文書を読み終え、たどり着いたのはこの異世界に神によって最初に生み出された存在である聖剣”ゴールドシルバー”と”シルバーゴールド”、その2つが繰り広げる戦いのことだった。」
「もうひとつの聖剣・・・ってまさか!」
「そう、エライトの先代勇者が使っていたという聖剣”シルバーゴールド”だ。
50年前、新しく現れた異世界転生勇者エライトによって打ち倒された魔王だ。
この異世界はそれぞれの聖剣が依り代となる人間を獲得し、お互いに主導権を争い合ってきた世界だと思う。」
「思うって何よ。」
「俺が文献や、賢者と呼ばれる者たちから調べた結果だが、そうなんだろうエライト。
いや、聖剣”ゴールドシルバー”?」
エライトはしばらく黙っていたがやがて大きく不気味な笑い声をあげた。
「ハハハハハ!その事実に気づくものがよもや居ようとは。
全ての痕跡はエライトが正真正銘の勇者になったあの時消し去ったつもりだったんだがな|。さすがは”異世界転生殺し”。なんでもお見通しということか?」
ニヤリと笑ったエライトの目は燃えるようで、その気迫はまるで人間ではないようだった。
「つまりはエライトはちょうど勇者であり、魔王ともなっているということだ。」
「待ってよ!魔王で勇者って意味がわからないんだけど!」
メリオノーラスがあたふたしながらデリトに詰め寄る。
「・・・そのとおり、この異世界”ゴールド/シルバー”は我、聖剣”ゴールドシルバー”と我が姉妹の聖剣”シルバーゴールド”とが互いに支配と奪い合いを繰り返してきた異世界だ。
”ゴールドシルバー”が覇権を確立すれば”シルバーゴールド”の勇者が現れてそれを倒し、”シルバーゴールド”が魔王となれば、それを打倒さんと”ゴールドシルバー”の勇者が立ち上がる。」
「えーとゴールド・・・?」
ゴールドとシルバーが入れ替わりすぎて、メリオノーラスの頭はついていけていないようだった。
異世界転生勇者を除けばメリオノーラスは人類最強といっても過言ではなかったが、オツムのほうは常人よりもだいぶ弱かった。
「まぁ、”シルバーゴールド”側をシルバー、”ゴールドシルバー”側をゴールドと呼称しようか。
シルバーとゴールドはお互いに、約50年ごとにパワーバランスを逆転させながらこの異世界に存在してきた。
そしてシルバーとゴールドはそれぞれ媒体となる異世界転生者がいないと成り立たないようになっているようだ。
50年前の勇者側シルバーに選ばれたのがエライトだった。そうだろ?」
「「そのとおり。50年前、お前の言うところのゴールドの魔王スタンライトをシルバーの勇者エライトが討った。
だが、此奴は今、魔王になりかけている。」」
エライトがひどく真面目な表情で言った。
「え、勇者が魔王になるってどういうこと・・・?そもそも魔王って何?」
メリオノーラスはいまだに混乱が続いていた。
「・・・魔王はその名の通り、この異世界を支配しようと目論む魔王のことだ。しかし、魔王に異世界が支配されてしまうと世界が崩壊してしまう。
だから魔王を倒すための勇者として異世界転生者が召喚されるわけだが、そもそも実は魔王は異世界転生勇者だったんだ。」
デリトがエライト、つまり聖剣ゴールドシルバーの代わりに答えた。
「それって・・・」
「ずっと、いつからか分からないくらい昔からくり返されてきた歴史らしい。俺はこの異世界の様々な資料を読み漁り、深い森に住むエルフの大賢者やエライトによって倒された魔王スタンライトの側近を努めていたドラゴンの子孫に話を聞いた。
魔王スタンライトは100年前、勇者スタンライトとして異世界転生してくると当時魔王だった元・異世界転生者を討伐したらしい。」
「じゃあ、エライトも魔王になってしまうの・・・?勇者は魔王になって異世界から現れた勇者によって倒され、今度はその勇者が魔王にって・・・繰り返されてきたのだとしたら。」
メリオノーラスがエライトを見たが、返事は無く、視線すら合わなかった。
「それに、俺の情報が間違ってなければ魔王スタンライトは異世界転生する前のエライトの実の兄だ。」
デリトが言った瞬間、エライトは意識が戻ったようだった。
「今、なんて・・・」
その顔は聖剣ゴールドシルバーに意識が乗っ取られていた時のものではなく、エライトの素のようだったがまだ暗い顔で俯いていた。
「じゃあ、まさか自分の実の兄をエライトは殺したってこと・・・?」
「だが、殺したこと自体はさほど問題のない点だ。」
デリトがそう言った時、エライトははっと驚いた顔をしてデリトを見た。
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