第54話「新兵器ドラゴスレイス」
デリトに助けられたメリオノーラスは新兵器をジャドドに対してためすことにする。
その威力は絶大で・・・?
「行くわよ!王国第一騎士団の誇りにかけて、邪竜ジャドドを倒すわよ! そして、反逆者エライトを捕らえるわ!捕らえるだけよ!殺さないで!」
王国第一騎士団を背に従えて、団長のメリオノーラスは新兵器を構えた。
メリオノーラスが殺さないと言ったのには2つ理由があった。
1つは、デリトと同じく、エライトの様子がおかしいので救えるのではと思ったからだった。
もう1つの理由はメリオノーラスの胸の内に秘める想いからだった。
異世界最強の存在である異世界転生勇者を殺さず捕らえろなどと、通常の異世界人には不可能に限りなく近い命令だった。
が、無茶振りは今までいくらでも団長から受けてきた王国第一騎士団員達はやれやれといった感じだったが、毎度、何とかこなしてきた自信があった。
「イエッサー!」
その命令を精鋭揃いの王国第一騎士団の中でも特によりすぐりの精鋭でメリオノーラスの側近が集まっている”中枢部隊”の団員達は2つ返事で受けた。
そもそも、王国の辺境部隊で”ナマケモノ(ヌトリー)”と呼ばれていた彼らを王国の第一騎士団の”中枢部隊”まで押し上げたのは団長メリオノーラスと異世界転生勇者エライトだった。
今や、他の騎士団員に命令を下す上官にもなっている彼らだったが、恩義のある2人を守るためには何でもする所存だった。
まずは邪竜ジャドドとの戦いに入った。
とはいっても、この異世界においてエライトの次に強いであろうジャドドと戦うにおいて、慣れた武器を失ったメリオノーラスと”中枢部隊”のみで戦うのは厳しい戦いだった。
勝つどころか、負傷されられるかどうかというレベルだった。
実際、戦い始めたものの、既に数分で何人かの第一騎士団員と”中枢部隊”が死亡していた。
ガレステリア王国では最も強い部隊にも関わらずだ。
しかし、そこでメリオノーラスは第一騎士団専属の武器開発者リーグレットに叫んだ。
「リーグレット、例のものは用意している!?」
「はっ。あちらに!ですが、あれはまだ試作品段階でさすがに邪竜との戦いで使えるかどうかは・・・?」
「いいから、よこしなさい!それとも私をナメてるのかしら?」
「ひっ!持ってきます!」
リーグレットはいつもメリオノーラスに脅かされながらも武器を開発し、戦場にともに赴いて提供していた。
ただ、そのお蔭で彼は戦いながら開発も行う稀有な存在になったし、武器開発の技術においても王国トップクラスとなり、王国全体の武器開発責任者のひとりとなったのだった。
そんな彼がメリオノーラス専用の新しい武器として開発したものがあるのだった。
「団長、こちらでいかがでしょうか?」
「ありがとう!」
メリオノーラスはニコリと笑った。
なかなか笑うことがなく、ツンツンしているメリオノーラスだが、エライトと話す時と新しい武器を試す時はニコリと笑うことも多く、いつもとのギャップで恋に落ちる人も多かった。
実はリーグレットもなんだかんだいってその一人だった。
「さて、試してやろうじゃない?展開せよ!<ドラゴスレイス・ガンデ>!」
メリオノーラスがリーグレットから渡された武器の名を呼ぶと、大きな繭のような形の<ドラゴスレイス>が展開し、尖った形が特徴的な巨大な大砲の形になった。
「<ドラゴスレイス・リガレ>!」
再びメリオノーラスが声を上げると今度はガトリング型に変形した!
この異世界には魔法が使える者、通称”ウィザドラ”と使えない者”パワメント”が明確に分かれていて、”パワメント”は魔法が使えない代わりに身体能力が優れていたりする。
そのため、パワメントが魔法を使いたい場合にはマジックアイテムと呼ばれる魔力を込めた道具や武器を使用するのだが、
効果を持続するために、魔法の効果はどうしても薄くしないといけなくなる。
大型になると魔法の効果を濃くすること、つまり攻撃力などを強くすることができるが、その分重くなる。
結果として、携行できる通常のマジックアイテムは軽い分、効果は薄いので普段の戦闘を補助するためにつかい、重いマジックアイテムは効果が濃い分、持ち運びや取り回しはしづらくなってしまうのだった。
しかし、メリオノーラスはパワメントとしての力を極限まで引き上げることで、並の異世界人では持ち上げることすら困難な重いマジックアイテムを軽々と振り回し、数々の強敵を打ち破ってきた。
それでもメリオノーラスが充分に動けて攻撃力が高いマジックアイテムというのは限界があったのだが、 今回、リーグレットは魔力を凝縮する技術を開発し、<ドラゴスレイス>というマジックアイテムを作り上げた。
<ドラゴスレイス>は重すぎず、かつ圧倒的な攻撃力を持っていたが、その代わり魔力を凝縮する技術はこの異世界では初めて開発されたものだったので暴発したり、使えない可能性もあった。
とはいえ、メリオノーラスにはそんなこと全く関係なかった。
「ちょうどいいわ。新兵器の試し打ちの場所が欲しかったのよ。」
メリオノーラスは興奮でぞくぞくしながら<ドラゴスレイス>を邪竜ジャドドに向けた。
以前使っていた武器よりも軽く、メリオノーラス好みの武器に仕上がっていた。
この異世界最強のモンスターである邪竜ジャドドを前に、試し打ち、などと言ってのけることができるのは異世界転生勇者エライトを除けばメリオノーラスだけだった。
なお、エライトは主に近距離用の攻撃が中心になるので、中・遠距離攻撃という観点で言えばメリオノーラスはこの異世界の人類の中では最強と言ってよかった。
「まずは<ドラゴスレイス・リガレ>ね!」
ジャドドは少し距離をとったメリオノーラスに対して炎のブレスを吹きかけようと準備したが、その前にドラゴスレイスが火を吹いた。
「グァァァ!!!」
ガトリングガンタイプの<ドラゴスレイス・リガレ>から次々と放たれた大粒の魔法弾はジャドドに直撃し、小さな爆発を次々と引き起こした。
ジャドドは深刻に捉えて無かったが、メリオノーラス自身も驚くほど強力な新武器に仕上がっていた。
「ははははは!」
弾を無数に打ち出しながら高らかに笑うメリオノーラスの姿は見方からみても恐怖と狂気を覚えるくらいだった。
ジャドドが弾をよけるため身を翻すと、メリオノーラスは素早く近づいて跳んだ。
「<ドラゴスレイス・ガンデ>!」
ガチャガチャと音を立てながらドラゴスレイスはガトリング砲のリガレ形態からキヤノン砲のガンデ形態へと変化した。
「死ね!トカゲ!」
平時で聞くと笑ってしまいそうな幼稚な悪態をつき、メリオノーラスは引き金を引いた。
轟音とともに魔法を硬めた弾頭が発射され、ジャドドの顔面に着地した。
ドォォン、という爆音とともにジャドドの顔面は破壊され、その場に竜の死体が広場中の建物を破壊しながら倒れた。
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