第51話「王都炎上」
邪竜ジャドドとガレステリア王国軍との戦いがついに始まる。
ドラゴンの大群は王城ガレステリア・キャステリスに向かうように見えたが・・・。
王都ガレステリア・セントラスの上空には、ドラゴンの大群が飛んでいた。
「あれは、邪竜ジャドド!」
大群はもちろん、邪竜ジャドドの引き連れてきたドラゴンたちだった。
「なるほど、”魔人の食べ残し”から現れたのは奴らの陽動・・・!数も多く、目立つ本隊は空から現れるというわけか・・・」
エライトは大剣を空に向けた。
「ガレステリア王国軍!邪竜ジャドドは空だ!矢を構え、攻撃に備えろー!」
ジャドドたちは空高く飛んでおり、通常は弓矢や大砲は届かない距離だったが、もう少し近づいて飛距離を 伸ばす魔法をかけることで攻撃はできそうだった。
「・・・ドラゴンといえど、あの距離から攻撃はできないでしょうな。」
兵士のひとりがエライトの横で呟いた。
陽動として王城を地下から直接狙った攻撃で、王国各地の軍は同様させられ、ドラゴンたちの本隊も気づかぬうちに王都上空へ侵入させてしまった。
だからといってエライトがいる限りドラゴンが王城を攻略できることはないはずだった。
しかし、上空を滑空し、王城へ向かっていたようにみえたドラゴンたちは突如として体を斜めに傾け、王都へと降下していった。
「なんだ・・・?」
兵士のひとりが手を額の上に当て、遠くを見るために目を細めた。
「まさか、あれは・・・!」
そう言ってエライトは王都のほうへ飛んだ。
ドラゴンたちは王都へ降下していくと、一斉に炎を吐き出した。
「なんてことだ・・・!」
「まずい、奴らの目的は王城だけじゃない!王都そのものだ!」
王城の兵士たちはまたしてもドラゴンの攻撃に騒ぐことになった。
王都のあちこちで火の手が上がり、王都中が混乱しているのが分かった。
「エライト様!お一人では危険です!」
心配する兵士の声を背に受けながら、エライトはすぐさま王都と王城を繋げる1本の橋に向かって走り出した。
「皆のものは持ち場を守れ!もしかするとこれもまた陽動かもしれない!」
王城ガレステリア・セントラスに主力部隊が集まっているとはいえ、こういった事態を想定して実は王都各地にも精鋭たちを集めていた。
ただ、まさか敵の本隊が王都そのものを攻撃するとまでは想定していなかったため、その戦力差を補うべくエライトは王都へ走ったのだった。
「さすが、”光の異世界転生勇者”様じゃ・・・」
何百年も生きるドワーフの老兵が目を見張った。
エライトは100年ごとに入れ替わる異世界転生者の中でもっとも強い異世界転生者であることは間違いなかった。
まるで疾風のようにエライトは走り、魔法を使ったとしても常人では到底追いつけないスピードだった。
エライトの”権能”、つまり光の速さで行動する能力は体力を消耗するため、まだ発動していなかったが、それでも異世界転生者たるチートな速さの走りぶりだった。
そして、エライトは気づいていなかったが、彼のことを一人の男が透明化の魔法を駆使しつつ、後ろから追っていた。
王都では今、まさに母娘が1匹のドラゴンに襲われようとしていた。
「お母さん・・・お母さん・・・」
まだ15歳にもならない娘は震えながら母にしがみついていた。
「大丈夫よ・・・!」
既に、母娘ともに恐怖で身がすくみ、動けないでいた。
「ギァァァ!」
ドラゴンが唾をまき散らし母娘にかぶりつこうとしたその時、頭に矢が刺さってドラゴンが倒れた。
「またせたな!」
現れたのは王都を防衛していたガレステリア王国軍の弓兵たちだった。
「やれやれ、どこもかしこもドラゴンだらけだ。」
弓兵の一人が辺り一帯に散らばる死体や瓦礫を見て気持ち悪そうに言った。
「ありがとうございます!」
母娘は弓兵たちに礼を述べた。
「いいってことよ!王都を守るのが我々の使命ですからな。」
弓兵たちは陽気に笑った。
この状況に彼らも恐怖していたが、国民たちを元気づけるための笑みだった。
あたりでドラゴンたちは炎であぶり出した人間たちを思うままに食い散らかしていた。
抵抗しようものなら食べるのを諦め、炎で灰にしていた。
「危ない!」
先ほど、倒したと思ったドラゴンが起き上がり弓兵に噛みつこうとした。
「こいつまだ生きていやがったのか!」
弓兵もドラゴンとの戦いにおいてはそれなりに熟練で、硬いうろこを持つドラゴンの弱点である目に矢を射ることでそのまま脳まで攻撃し、倒したはずだった。
瞬間、辺りに一閃の光が煌めきドラゴンの首を切り落とした。
「大丈夫か!」
兵士たちが顔を上げると、ドラゴンの死体の上に立っていたのは、大剣を掲げるエライトだった。
「勇者様!」
「油断するな。敵も今回ばかりは本気で我らが王国を滅ぼすつもりらしい。 」
「はっ!かしこまりました!」
エライトはすぐさま次に向かったが、弓兵と母娘はその姿を尊敬を込めた眼差しで見送っていた。
「さすが”光の異世界転生勇者”様だ・・・!」
この異世界でエライトは正真正銘の勇者として讃えられているのだった。
「あれは・・・!”白銀のユーグメール”!」
一段と大きい銀色のドラゴンが王都の中心部にある広場にいるのが見えた。
ドラゴンの中でも最大級の体を持ち、ジャドドに負けて配下になるまでは”黒き邪帝ジャドド””白き空帝ユーグメール”として並び、大陸中にその名を轟かせるような存在だった。
エライトは広場に走り、ユーグメールの前へ立ちはだかった。
「貴様は”光の異世界転生勇者”!我が古傷がうずくわけだ・・・!モルバッキン大森林で貴様にこの傷つけられてから忘れたことはないぞ!」
ユーグメールがエライトに気づき氷のブレスを勢いよく吹きかけた。
白銀の大ドラゴンの顔の左側には、以前、エライトと戦ったときにつけられた大きな傷跡が残っていた。
「さすがに俺でも一人だと時間がかかるか・・・。」
エライトがユーグメールの氷のブレスを避け、”権能”を使おうとしたその時、広場の奥から何かが飛んでくるのがエライトの視界に映った。
「あれは・・・」
飛んできた”それ”は魔法で造られたミサイル弾で、目にも止まらぬスピードで接近するとユーグメールの右目、 つまり、エライトの傷つけたほうとは逆側に突き刺さり大爆発した。
「グァァァ!!」
「・・・じゃあ、うずく古傷を反対側にもつくってあげるわよ。」
勝ち気なその声はエライトがよく知る人物だった。
「メリオノーラス!」
そこに立っていたのはキャノン砲を持った王国第一騎士団長のメリオノーラスだった。
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