第43話「第六天魔の王面」
第六天魔の王面は刀子を操りながらデリトに襲い掛かる。
デリトは刀子の言葉を思い出し、ある決断をする。
「此奴自身もまだ引き出せていなかった必殺技を見せてやろうか<一閃連撃・無限>。」
一瞬、第六天魔王は”神怒”を鞘に収めると、即座に引き抜きデリトに向かって無数の光の斬撃を浴びせた。
その光を目の前にした時、全てがスローモーションのようになった。
そして、刀子の言葉を思い出した。
『私、敵が多いほど、がんばるぞー!ってなるんだよね。やっぱり負けず嫌いというか。
だから私、負けない。
心だけは最後までって。死ぬ前はずっとそう思ってた。』
「・・・そうだ。」
デリトはくるりと振り返り、壁に向かって走り出した。
「逃がすか!」
「<ダイヤモンド・バリア!>」
斬撃がデリトにふれそうになった瞬間、バリアを何重にも重ね防いだ。
しかし、斬撃の勢いはとどまらず、直撃を免れながらそのままデリトは壁にたたきつけられた。
そのまま壁は無数に繰り出された斬撃によって破壊され、デリトも崩壊する壁とともに天魔城の下へと落ちていった。
「ちっ、何を考えておる、あん小僧は。」
刀子の体を支配した第六天魔王は壊れた天の間の淵に立ち下を見た。
どうやらデリトは魔法を使って着地し、無傷のようだった。
「逃げるのか!ふぬけが!」
第六天魔王はデリトのもとへ飛び降りた。
既にデリトは城の周囲で警戒していた魔王軍の兵に囲まれていた。
「愛する女子を置いて逃げるとは。貴様、男の風上にもおけん愚か者よ。
興が冷めた。死ね。」
第六天魔王は”神怒”を構えた。
「・・・逃げたなど。俺は刀子を守る。約束したんだ。」
デリトは第六天魔王を睨みつけた。
迷いは既に無かった。
「言ってろ小僧!<一閃連撃・無限>!」
第六天魔王は再びデリトへ攻撃を繰り出した。
その攻撃は周囲にいた魔王軍の兵も一緒に巻き込みデリトの全身を引き裂いた。
「ふはは!あっけない終わりだったな!」
しかし、すぐに第六天魔王は目を見開いた。
なぜなら後ろにデリトがいたからだった。
「<異世界転生殺し>。」
静かに、デリトは”権能”を発動し拳銃から発射された一発の弾丸が第六天魔王の刀子の胸を貫いた。
「が・・・なぜ・・・!」
第六天魔王が胸を抑え、その場に膝をついた。
「<インフィニット・ウェポン>。」
魔王軍の兵士たちは動揺を顕にしていたが、デリトの技によって瞬時に一掃された。
「刀子の弱点は”権能”と表裏一体だった。
刀子の”権能”はおそらく”敵が多くなればなるほど強くなる能力”。そして、”味方が多くなればなるほど弱くなる能力”なんだ。
だから刀子は”異世界転生無双”だ。通常の異世界転生者のチートステータスに加えて、ピンチであればあるほど、敵が多いほど強さがどんどん増していく。」
「このワシが・・・異世界転生者の”権能”の弱点を把握できておらんかったとは・・・」
「そうだ、侵食して自由を奪う。意識を奪うだけだ。
本当のところを何も理解できていないんだ。
技や動きなど自分の約に立つ情報しか貴様は分からない。」
「何だと・・・!ワシは此奴らの技を・・・」
「技は使えていたよ。それこそ刀子以上に。
しかし、明智の”死屍王” の弱点を知っていたか?刀子の”権能”の弱点を知っていたか?
弱点はお前は知らない。分からない。異世界転生者たちが必死に守り続けている最後の秘密までは立ち入れないんだ。
だからお前はいつまでも異世界転生者を乗り換え続けていた。」
「貴様は何も分かっておらんな!この小娘がだめなら貴様に乗り移ってしまうまで!」
第六天魔の王面が刀子から外れ、デリトのほうへと飛んできた。
「何!?」
デリトは刀子を救うことしか考えておらず、その後のことまで考えてはいなかった。
何より、刀子の弱点の目星がついているといっても合っているかどうかは分からなかったというのもあった。
「ひひひ!わしはいつでも異世界転生者に乗り移れるわけでもなく、異世界転生者にしか乗り移れない!
だが、寄生した異世界転生者が死にそうな瞬間だけ他の宿主へと移ることができるのだ!」
第六天魔王に乗り移られていた刀子の体はバタリと倒れた。
「終わりだ!」
「くっ・・・」
デリトは覚悟して目を瞑った。
しかし、すぐに目をあけると何も状況は変わっていなかった。
「・・・ぬ?乗り移れん・・・!なぜだ・・!貴様何をした!?」
「・・・?何もしていないが・・・。」
デリトは自分に乗り移ろうと周りをうろうろしている第六天魔王の王面を掴んだ。
「自分から弱点を言ってくれてありがとう。俺はもともとは異世界転生者だが、今は異世界転移者となっているからな。だからだろう。」
「何!?そんなはずはない・・・!否、異世界転生者であるはずがない・・・貴様は一体・・・」
「・・・何を言っているか分からないが。消えろ。外道。」
デリトはそのまま力をこめて第六天魔王の本体である王面を全力で握り潰した。
硬い王面を無理やり握りつぶしたことでデリトの手からは血が溢れ出たが、構わずにバラバラに砕いた。
「ぐぁぁぁぁぁ・・・!」
耳の奥にのこるような絶叫をあげて第六天魔王は消滅した。
そして周囲には誰もいなくなった。
すぐにデリトは刀子のほうへ駆け寄り抱き上げた。
刀子はまだ息をしている。
「・・・すまない。俺が守ると言ったのに。守れなかった。お前を・・・」
「ううん。デリトは私を守ってくれた。私が大切な人を、デリトを殺しちゃう前に私の願いを聞いてくれた。」
「違うんだ・・・自分のためにやったわけでは・・・すぐに魔法で助ける!」
刀子はゆっくりと回復魔法を唱えるデリトの頬に手をやった。
その手に涙が伝っているのが見えたことでデリトは自分自身が泣いていることに気づいた。
「分かってるよ。私を助けるためにしてくれたんでしょ?
大丈夫だよ。私が頼んだことだもん。」
「でも・・・!」
回復魔法を必死にかけながらデリトは刀子を見つめた。
「これしか無かった。そうでしょ?」
「・・・・・・。」
デリトは答えられなかった。
まだ何か方法があったのではないか。
そう思わずにいられなかった。
「・・・最後に聞きたいんだけど。デリトは一体何者なの・・・?」
「俺も異世界転生者だ。だが、実は俺は・・・”異世界転生殺し”だ。悪い異世界転生者を葬ってきた、正真正銘の殺し屋だ。」
「そっか、じゃあ、良かった。悪い異世界転生者の私を倒してくれて・・・これで・・・。」
「違う!刀子、お前は違う・・・!お前は何も悪くない。だから、死なないでくれ。今度こそ俺が守るから!」
「ふふ、優しいねデリト。ありがとう・・・。」
「刀子!しっかりしろ!さっきから回復魔法をかけているから、第六天魔王を倒すには一度お前に致命傷を与えないといけなくて、でも即死になる急所はずらしたから、まだ・・・」
しかし、デリトの弁解は刀子に届かなかった。
既に刀子は死に、魂は消滅していた。
もし、よろしければ「ブックマーク」や「評価」をしていただけると大変嬉しいです。
ほんの少しでも面白い、続きが早く読みたい!と思いましたら、
広告↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★をつける評価があります
ブックマーク、評価は作者の励みになります!
是非お願いします!




