第31話「そうだ、凶都へ行こう」
デリトと刀子は第六天魔王がいるという凶都へと向かう。
その道中、ヒデキチという少年と二人は出会う。
「あれがかの有名な”凶都”へと通じる道だよ!」
刀子は”ここから凶都。第六天魔王が都。”と書かれた看板を指差した。
「凶都・・・恐ろしそうなところだな。」
2人は森を抜け街道に出てきていた。
記憶を少し取り戻したデリトの魔法で2人は旅人風の格好となり、街道の旅人にまぎれていたのだった。
ほとんど人のいなかった森の中と違い、大量の人が街道を行き来していた。
「それはもうね、あの第六天魔王がいる場所だから。恐ろしい名前なのさ。」
ニヤニヤとふざけている刀子を見ると、本当にそうなのだろうか、と首をかしげてしまう。
「第六天魔王とはこの異世界を支配する魔王と言っていたが実際どんな奴なんだ?」
「うーん、それが実際に見た人はほとんどいなくて・・・。ずっとこの異世界を支配している悪いやつなんだけど、仮面を被っていて誰も素顔を知らないの。」
「仮面?」
「そう。そもそも第六天魔王自体を見た人自体かなり数が少なくて、仮面を被っているという情報以外は結構人によってバラバラなんだよね。」
「どういうことだ?」
「例えば大男だったとか逆に小さい女の子だったとか、スラッとしてるイケメンとか・・・」
「仮面してるのにイケメンかどうか分かるのか?」
「いや・・・まぁ。見てる人がいないから話に尾ひれがついてるってことだよ。もしくは、姿を自在に変えられる恐ろしい魔物だって噂もあるよ。」
「なんだかはっきりしないな。とにかく不気味なやつだというのは分かった。」
デリトは今まで出会った魔王たちを思い出していた。
ウルレカッスルの指示に魔王を殺せという依頼は無かったので一時期はウルレカッスルが魔王に加担しているのではと思ったことがあった。
しかし、魔王たちは会ってすぐに、もしくはデリトが転移したとき既に”勇者”と崇められる異世界転生者によって滅ぼされてしまっていた。
異世界転生者が魔王を倒して、いよいよ暴挙に出てきたタイミングでデリトが転移しているらしい。
今はまだ刀子は暴走したりとてつもない力があるようには見えないが、これから魔王を倒すほどの能力を持つようになるのだろう。
ただ、異世界を支配する魔王がいるのであれば、異世界を救うために魔王も倒す必要がある。
結果的に刀子と第六天魔王を同時に倒す必要性も出てくるかも知れないと思った。
ベイスレの例もあるので異世界転生者をただ倒すという今までの考えは一旦脇においておいた。
「ところで、何で凶都へ行くんだ?第六天魔王がいるんだろ?」
「そうなんだけど・・・凶都を通らないと東に行けないんだよ。凶都を堺にしてこの国は魔法で防壁が張られているし、歴史で習ったんだけど、ほら、東西を隔てる壁ってあったじゃない?
ベンリールの壁?」
「ベルリンの壁な。冷戦のときの。そんな釣りの便利グッズみたいな名前じゃない。」
「?」
「いや、何でもない。それより魔法が張られているとはやっかいだな。」
異世界人の作った魔法壁ぐらい、デリトのチート級魔法を使えば破壊できそうなものだったが、”異世界転生殺し”の任務遂行のため、派手なことをするのはやめておくことにした。
「第六天魔王がこの国の全てを監視しているんだよ。だから必ず凶都で検問してる。」
「おいおい、なおさらそんなところへ行って大丈夫なのか。」
今更言えないが、デリトは無理して東に行く必要もなかったのでなるべく、事を荒げたくなかった。
「うん、もともと第六天魔王を倒しに行くつもりだったし、私が”異世界転生無双”ってバレたらやばいんだけど、途中までデリトの魔法で変装させてもらえないかなって!」
「なるほど、まぁ変装くらいなら大したことはない。・・・俺も第六天魔王退治を手伝おう!」
デリトは異世界転生者・刀子の信頼を得るために共に魔王退治をするのも一つの手だと考えた。
「え!それはやめたほうがいいよ!第六天魔王はめちゃくちゃ強いんだよ!変装させてくれて第六天魔王のところまでこっそり忍び込む手伝いしてくれば十分!」
「うーん、だが、勝てる算段はあるのか?」
「う・・・あるよ!私は異世界転生者だから異世界最強だって転生の女神様も言ってたし!」
「第六天魔王と戦ったことはあるのか?」
「う・・・。」
刀子は下を向いて黙ってしまった。
「ちなみに転生の女神様ってなんて名前だった?」
「うーん、たしかユークリートって言ってたよ。」
「また、ユークリートか・・・」
「ん?」
「いや、何でも無い!こっちの話だ!」
「・・・?」
「それに大丈夫だ。すこし記憶が戻ってきたような気がする。俺はきっと第六天魔王を倒すために旅をしていたんだ。」
ごく自然にデリトは刀子の頭をなでた。
「ほんと!?」
「本当だ。」
デリトは嘘をついた。
「じゃあ、早速行こう!」
「おう。」
「・・・へへへ、アニキたち。聞きやしたぜ。」
どこからか甲高い声が聞こえた。
「誰だ!?」
刀子との会話を楽しみ、デリトは周囲の警戒を怠っていた。
「まぁ、安心してくだせぇ。あっしはヒデキチ!敵じゃありやせん。しがない商人の子供でさぁ!」
デリトが足元を見ると小さい子供が偉そうに腕を組み、デリトたちを見上げていた。
「ヒデキチだと?どこから現れた。」
警戒を怠っていたとはいえ、先程までは確実にいなかったはずだ。
会話を聞かれないよう街道をすこし離れた小道を二人は歩いていたはずだった。
「あなた、子供でも峰打ちくらいはするよ・・・!」
刀子は既に警戒心もあらわに刀を抜いている。
最初に会ったときから感じてはいたが、戦闘モードになると急に刀子は無邪気で明るい女子高生から冷徹な殺し屋になる。
やはり、この異世界に来てから何かがあったのだろうと予想された。
「ままま、待ってくだせぇ!あっしは敵じゃありやせんって!
話だけでもきいてくだせぇ!刀を納めてくれなんし!」
「確かに、敵なら攻撃してくるか、もう少し泳がせるはずだな。」
「じゃあ・・・」
「刀子はそのまま、なんならこの小僧に刀を突きつけていろ。」
「イエッサー!」
刀子はビシッと敬礼していきなり現れたヒデキチに刀を突きつけた。
「なんでえ!?子供に容赦ねぇ!大人げねぇ!」
「とりあえず話せ小僧。」
「・・・くそっ、あんたがたに話しかけたのは失敗だったか・・・。
しょうがないでやんすね。改めて、あっしはヒデキチ。しがない商人の息子でさぁ。」
デリトはヒデキチの口調にどことなく聞いたことのあるような懐かしさを感じた。
ヒデキチはごほんと大仰に咳をして話を続けた。
「結論を先に言いやしょう。あっしは父ちゃんを救いに来たんですよ。」
ドヤ、とヒデキチは胸を張った。
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