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異世界転生殺し-チートキラー-  作者: Michikazu Sashie
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第25話「業火の鑓」

段々と劣勢に立たされるデリト。ベイスレは手を緩めることはなく、彼の必殺技ともいえる仮称SSクラスの大技<業火の鑓>を繰り出し、その技はデリトの体を焼き焦がす。

「よしっ、仕留めたね。犬ころ、あんたに恨みはないけどさ、我らが総団長とギレオンのために身を捧げておくれ。」


ニアッカは地面にボテっと落ちたボッチェレヌを見ると、構えていたロングレンジライフルを降ろしてニヤリと笑った。


ニアッカはいくつもの武器を軽々と使いこなす女性だった。


「ボッチェレヌをよくも!」


ゾーレは素早くニアッカに向かって走り出した。


「お前ら!あの女の子を止めな!」


ニアッカに指示されたギレオン兵がゾーレに向かって走ってきたが、ゾーレは素早く動きながら近づき、手に持っていた双剣を素早く投げつけた。


「ぐぁ!」


双剣は二人のギレオン兵の太ももに刺さり、ギレオン兵はバランスを崩した。


並んでバランスを崩したギレオン兵の背中を踏み台にし、ゾーレは高く飛び上がった。


正確な狙いが必要なニアッカのロングレンジライフルでは素早い三次元的な動きに対応できないと考えたのだ。


「やるじゃないか!私の愛銃の(きょ)をつくとは!でも、迂闊(うかつ)だったね」


ニアッカはしゃがむとブーツから小型の銃を二丁取り出した。


「くっ・・・!」


辿り着く前にニアッカは銃でゾーレのことも撃ち抜こうとしていた。


「<綿詰め殺法(ふわふわアサシン)>!」


ボッチェレヌの声とともにニアッカの口の中に突如として綿毛が現れ、喉をつまらせた。


「うがっ・・・あが・・・」


ニアッカの銃口から弾丸が放たれたものの、綿毛に喉を詰められ、あらぬ方向へと撃ってしまった。


その一瞬の隙を縫って、ゾーレは新たに出現させた魔法の刃を振り下ろした。


「ぐぁ・・・あ・・・」


切りつけられたニアッカはそのまま綿を喉につまらせ失神した。


綿は数秒で消えるものだったが、倒すことに成功したようだった。


「・・・・・・ボッチェレヌ!生きてたの!?」


失神したニアッカの前でゾーレは驚いて振り向いた。


ボッチェレヌは撃たれて落ちた場所からふわふわと飛んできていた。


「へっへっへ。あっしは綿毛の精霊みたいなもんなんすよ。だからこのとおり、体もぬいぐるみのような借り物ってわけです。」


ボッチェレヌの体にはロングレンジライフルによる痛ましい穴が空いていたが、体の中には何も詰まっていなかった。


「そ、そうなの・・・!?」


「ご心配なさらず、体は完全な飾り。入れ物でやんす。まぁ、でも頭には魂を入れる器が入っているんで頭だけは常時魔法で守っているわけでやんすが・・・。」


「そうなんだ・・・」


「体があるのは単純にモノとか掴みやすかったり、魂の定着がよかったりと色々理由があるんですよぅ。


でも頭を守っている強力な魔法のせいであっしは本来の力を出せないんですがね・・・。」


「ニアッカ様とガルレ様が殺された!お前らかかれぇ!」


倒れていたり、流れ弾に当たらないようニアッカ自身によって離れたところで見ていたレギオン兵たちが、一度にゾーレたちに襲いかかった。


「かかってきやがれ!」


ボッチェレヌは再び力をためた。






「どうした!デリト!やっと楽しくなってきたところだぞ!」


ほんの少しの間とはいえ、同じ異世界転生者として共に冒険をしてきたデリトに対してベイスレは友情に近いものを感じていた。


デリトとベイスレ、どちらかの死が戦いの終着点とはいえ、この状況は異世界において本当の意味での友がいなかった彼にとって喜ぶべき事実だった。


タイタンの真実が明らかになるまで、猜疑心(さいぎしん)が強く、どこか孤独を感じさせるベイスレの姿に、デリトも自分と同じものを感じていたが、 今は確実に敵として全ての細胞が警告を鳴らしていた。



デリトの<無限重火器インフィニットウェポン>ではベイスレの炎魔法に即座に溶かされてしまうため、主にデリトは水魔法で応戦していた。


「やはり異世界転生者は尋常ではない魔力を持っているのだな!

もはやギガント数体分以上・・・異世界転生者はバケモノといわれるわけだ!」


初めてギガントに勝った時、若かりしベイスレはその力ゆえにバケモノと言われ、レギオンに迫害されたのだった。


そのバケモノじみた力を持つ同じ異世界転生者であるデリトに喜びすら感じていた。



「だが、私はバケモノという評判を覆した!この力と揺るぎないこの意思で!」


「へぇ、それはすごいな。<孤独な管理者ローンリィアドミニスター>」


デリトは<孤独な管理者ローンリィアドミニスター>で全身を強化しながら策を考えていた。


このままでは”異世界転生殺し”を発動する前に・・


「ぐはっ・・・!」


突如としてデリトの体を痛みが貫いた。

ベイスレの槍によって攻撃されたのだ。


いまや、圧倒的だったデリトのスピードや早さも逆転してしまっている。



ベイスレが静かに歩いてくる。


奴は魔力切れや疲れがないのか。


「・・・楽しい時間だったが終わりにしようデリト・・・。 私にはこの異世界を救う使命がある。<業火の鑓(ごうかのやり)>!」


呪文を唱えるとベイスレの槍が燃え盛る巨大な炎柱へと姿を変えた。


ごうごうと燃える(ほのお)は離れたところに立っているデリトのもとへも灼熱を届けた。




「私は炎魔法だけしか使えない。しかし、逆に言えば、炎魔法は大得意だ。」


ベイスレが槍を構えるとデリトは即座に危険を察知し、ベイスレの頭上へ跳び、回避しようとした。




ベイスレは高速で槍を頭上に向け、デリトのほうへ突き出した。


回避したため、ベイスレの攻撃は当たらないかと思ったが槍のまとう炎が大きく、巨大な業火の槍がデリトを襲った。


「ぐぁぁぁ!!!」


空中に舞っていたデリトの体を爆炎が貫き、宙へ燃え上がった巨大な炎の柱は天井へと届き、あたりのタイタンの体の粘膜を蒸発させた。




「ははは!対応を誤ったなデリト!」


ベイスレは焼け焦げて、うずくまっているデリトへと歩いていった。


ギガントや通常の人間なら灰になって散っているところだが、そこは異世界転生者。 まだ生きていると踏み、反撃を警戒しながら近づいていった。




「どうした、お前の力はそんなものか異世界転生者。」


ベイスレのよびかけにデリトはうずくまったまま答えない。


「<業火の鑓(ごうかのやり)>は我が”権能”あってこその技だ。私のSクラススキル<業火の槍>を強化し、


本来は存在しないSSクラスレベルまで威力を高めたこの異世界最強の槍技だ。」



「そうか、その炎も母なる海の前ではどうかな。<スパイダーストリングス>!」


ベイスレが気づかぬうちにデリトが後方へ現れ、ベイスレの体を魔法で作られた鋼鉄の糸で縛り付けた。


「お前・・・いつの間に・・・!」


「<静かなる侵入者(サイトサイレンサー)><実体なき姿イルミネイト・イリュージョン>を使って、俺の姿と焼け焦げた姿を誤認させたのさ。


お前が俺が会った中でも最強の異世界転生者であることは間違いないかもな。」


「こんな姑息な魔法を使ったところで俺に勝てるなどと思うな。」


「・・・それは重々承知のうえだ。だが、上を見ろ!」


ベイスレは聞いたこともない轟音(ごうおん)が頭上から(とどろ)いてくるのに気づいた。


見上げると、尋常(じんじょう)ではない量の水が頭上に降り注いでくるのが見えた。


デリトを攻撃しようとしたベイスレの炎の槍がタイタンの体を貫き、タイタンが潜んでいる深海の水が体内に流れ込んだのだった。




「母なる海の水の中じゃ炎魔法も大した効果がないだろう!」


「それなら・・・”権能”の力で全ての水をも蒸発させる炎を出すまで!」


「<スパイダーストリングス>で縛られてるのにどうやって魔法を出すんだ?

・・・貴様は異世界転生者だ。溺れることないよな?だが、お仲間の方はどうかな!」


ベイスレの攻撃によって穴が空き、タイタンの体外から流れ込んだ大量の水がその場にいた全員に襲い掛かる。


「さっすが、デリトの兄貴!非道な悪役ぅ!」

ボッチェレヌは飛べるので余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)だった。


「ぐ・・・この卑怯者(ひきょうもの)がぁ・・・!だが、それは貴様の仲間も同じ・・・!」


「残念だが、俺はまだ魔法が使えるんでね!<バブルホーム>!」


デリトは魔法を唱え、ゾーレとボッチェレヌ、そして自分自身だけを空気の膜へと取り込んだ。


<バブルホーム>は空気で住空間を作るB級魔法で、主には冒険の際の仮の寝所(ねどころ)を作るために使う魔法だった。


通常は家はもちろん、魔力を注ぎ込めばソファーやベッドまで空気でつくれたが、


今はひとまず、少ない魔力で水から体を守るためにそれぞれの体を空気の膜で覆うだけだった。


デリトが<バブルホーム>でゾーレとボッチェレヌに空気の膜を作ったのと同時に頭上から大量の水が流れ込んできた。


ベイスレの<業火の鑓(ごうかのやり)>は穴を開けた範囲こそ狭いものの、深海の圧力に耐えられるほどの硬度と密度を持つタイタンの何層もの殻を貫いていた。


さすがにデリトも認めるだけの、史上最強の異世界転生者という力だった。


「デリトぉぉぉ!」


ベイスレは頭上からの大量の水を浴びながら絶叫した。


通常の人間なら水圧で即座に押し潰されているところだが、異世界転生者であるベイスレは耐えていた。


「総団長ー!うわっ!た・・・たすけ・・・」


離れていたギレオン兵たちは直撃こそ免れたものの、大量の水に押し流されてしまっていた。


「くそぉっ!」


ベイスレは突如現れた頭上の滝から抜け出ると、仲間たちが流されていった方へ跳んだ。


「・・・悪者になった気分だ。」


デリトは仲間たちを助けようと躍起になっているベイスレを見てつぶやいた。


「・・・旦那はいつだって悪者じゃないですか。異世界の勇者たちを葬って回っている殺し屋なんですから。」


「そんな言い方するな。わかっているさ。だが、異世界を救うために転生者を殺している・・・はずだ。」


それは本当なのか?


ベイスレと出会ってからというものデリトは疑問に思っていた。


今までの好き勝手に悪事をはたらく異世界転生者と違い、ベイスレは真に世界を救おうと願い、仲間を想っている人間のように見えた。




異世界転生者しかタイタンの核になれないという流れの中で確かにベイスレから攻撃を仕掛けてきた。


そして、ベイスレの実力、”権能”共にデリトを上回っていた。


”権能”が何かはまだ推測の域を出ないが、デリトの予想どおりであれば、通常の戦闘においてベイスレに勝つのは不可能といえるだろう。


文字通り、()()()()()()()()()()()()のだから。


だから今、こうしてだまし討ちのような姑息(こそく)な手を使い、ベイスレの力を消耗させ、殺そうとしている。


ウルレカッスルの言う通り、悪い異世界転生者は異世界を救うために殺さなければならない、たしかにそのとおりかもしれない。


だが、ベイスレは果たして打ち倒すべき相手なのだろうか。


ベイスレは今、海水なのか涙なのか、汗なのか分からない水分を流しながら水に流されていった仲間たちを探していた。

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