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異世界転生殺し-チートキラー-  作者: Michikazu Sashie
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第19話「元・海兵隊員の巨人討伐戦記。」

ハイペリオンを倒したレギオンによって牢の中にとらわれたデリトやゾーレの元に総団長のベイスレたちがやってくる。


彼はデリトを異世界転生してきた者と見抜き、何も答えようとしないデリトとゾーレを問いただそうとするが、その時突然あたりが大きく揺れ始め・・・?

挿絵(By みてみん)

「おーい、話聞いてくれよー!俺らぁ悪いことなんもしてねぇのによー!」


デリトは田舎者のフリを続けながら外に助けをもとめた。


デリトとゾーレは今、不審な要注意人物としてレギオン総団長ベイスレの命によって牢に閉じ込められていた。


牢といっても船団と縄でつながれた粗末な船の上に、雨ざらしの中、放置された、ただの(おり)でしかなかった。


デリトたちがいたのは、かつて最も危険な罪人を入れておくための檻だった。

死刑執行(しけいしっこう)の際には、檻から出す時に逃げられないように、縄を切り落として、檻の乗っている船ごと巨神(ギガント)に食わせるように仕向けるということもされていた。




しかし、最後のギガントであるハイペリオンを倒したベイスレ船団にとってはいきなり現れた謎の二人組をとりあえず船団から隔離するための場所に過ぎなかった。


デリトはしばらく叫んでいたが、何の反応もなく、デリトたちにかまける時間はないとばかりに、あたりには夜の(とばり)が降り、天空には(まばゆ)いばかりの星が舞い散っていた。



「さて、どうやってここから出るか・・・。こんな檻くらい折って出ていくのは簡単だが、まだ異世界転生者だとベイスレにバレたくはない・・・。」

「うーん、魔法を使って檻をすり抜けるとか?」

デリトが諦めてゾーレと脱出の計画を練っていたところへ数人の船団員を引き連れたベイスレがやって来た。


「やぁ、居心地はどうです。」

ベイスレはカンカンと槍で檻を叩くとデリトににっこりと笑いかけた。


「・・・最高だね。こんな良いところに閉じ込められたのは俺ぁ生まれてこのかた、初めてだ。」


デリトは皮肉を返した。


「それは良かったです。ところで、あなた方は巨神(ギガント)ハイペリオンのの背に住んでいたとか。」


「その通りだよ。俺と娘のゾーレはだーれもいねぇ、ド田舎に2人だけで住んでいたからな。世の中のこと何も知らんでよ。何が起きているのか教えてくれねぇか。」


この異世界に来てからデリトが田舎者のふりをし続けているのはこのためだった。自分たちがおかれている状況が分からないため、行動や言動のしようがなかった。


「ふむ。それならば教えて差し上げましょう。この異世界は”ギガントオケアノス”と呼ばれています。」


「”ギガントオケアノス”。」


そもそもギガントってドイツ語だろ、でもオケアノスはギリシャ語・・・などとデリトは思っていたが、口には出さなかった。

異世界では現実世界の常識が通じないのはいつものことだ。



「”ギガントオケアノス” は広大な大海原にぽつぽつと島が点在する島世界です。ハイペリオンのように大きめな島も10個ほどありましたが、ほとんどは小型の島で、大陸と呼べるものはありません。そこで人類は各種のモンスターとともに平和に暮らしていました。」


「なるほど、なるほど。」

うんうんとデリトは目を瞑って聞いていた。

今ハイペリオンが島だといったように聞こえたが気のせいか?


とすると、デリト達が暮らしていたところにいたモンスターのことを聞かれるだろうと予想し、思い出していた。しかし、異世界転移してきたあの島にデリト達以外の生き物の気配があっただろうか。


「それはもちろんご存じでしょうが、1000年前、島が急に立ち上がり始めたのです。」


「そ、そんなことがあるんか!・・・それがあの巨神(ギガント)だと。」

少し大げさに驚いてみたが、思っていたよりも変わった異世界だと思った。


それよりも1000年前だと?こちらの情報の方がまずいかもしれない。デリトは目を瞑りながら思考を巡らせた。


「その通り。我々人類が島だと思っていたものは全て、はるか昔に眠りについた巨神(ギガント)だったのです。彼らは背中に住んでいた人々を振り落とし移動し始めました。

そして、1000年前、巨神(ギガント)と人類との戦いは始まりました。」


「そうだよな。そうだよな。」

デリトがうなづく姿をベイスレはじっと見つめている。


「・・・・・・。そして、我々生き残った人類は一致団結し、動き始めた巨人たちに対してレギオンという大船団を組織して対抗し始めたのです。

そして、我々、全人類は船の上で一生を過ごすことになったのです。」


「なるほど、それがレギオン。」


「そしてついに本日、最後にして最初の巨神(ギガント)。10柱の頂点巨神(ギガント)ハイペリオンを討伐せしめたのです。」


「・・・・・・。」

デリトは何も答えなかった。最後にして最初?どういうことだ。


「あなた方の故郷を奪って申し訳ない。しかし、あなた方がハイペリオンにずっと住んでいたとは考えられない。


・・・なぜならハイペリオンは1000年前、最初に目覚めた巨神(ギガント)であり、その強さと因縁ゆえ、我々が最後に討伐しようとしていたものだからです。」


「い、いや俺らはハイペリオンの背中にずっとしがみつくように住んでいたわけで・・・。」


デリトは思案した。

ベイスレの言うように1000年前に動き始めた巨神(ギガント)に住んでいて今聞いたことを知らないはずがない。それに・・・


「それはおかしい。ハイペリオンは常に動き続けていた。レギオンも1000年間ずっと戦っていたのです。砲弾も撃ち込み、ハイペリオンの背に生えていた森や山は既にほとんど無くなっていたはず。しかし、その戦いにもあなた方は気づかなかったと?」


「そ、それは気づいていたけど、実は地下に住んでて・・・」


それまで黙っていたゾーレが困った表情をしているデリトを見て慌てて話を合わせようとする。




「・・・地下ならあり得ますね。

しかし、ハイペリオンを始め巨人(ギガント)は活動し始めてからものすごい体熱を発していました。長い間眠って貯めていたエネルギーを急激に燃やして消費したため、彼らの体、つまり地下はかなりの高温になっていたはず。」


デリトとゾーレの二人が黙ってしまうとベイスレは少しして口を開いた。


「まぁ今聞いたことも全てレギオンの団員から聞いた話です。私は日本という異世界からほんの十数年前にやってきた異世界転生者です。もしかすると、レギオンの団員から聞いたことが全て嘘で、ハイペリオンはずっと眠りについていたのかもしれませんしね。

ただ、私が10年かけて信頼を勝ち取ったレギオンに裏切られるとは思えませんが。」


デリトが最初に言った皮肉に返すような形でベイスレはにっこりと笑って皮肉めいたことをいった。


やはり異世界転生者だったかとデリトは思った。


「おや、私が異世界から来たというところは驚かないのですね。

私は前世で死んだあと、巨神(ギガント)討伐において名家とされるアルテール家に生まれました。


嫡男ではありませんでしたが、私の異世界転生者としての能力によって伝説の巨神(ギガント)殺し、ベイスレの名を継ぐことができました。」




ベイスレは意地悪な自分の腹違いの兄の事を思い出していた。


異世界転生者である自分と違って、純粋な異世界人の子供として生まれアルテール家の嫡男として生を受けた兄ムルガルは、かつてレギオンの団長だった。


そして、ベイスレがレギオンに入団した後、とある討伐遠征で邪魔なベイスレのことを殺そうと画策し、結果的にはベイスレに返り討ちに合って死んだのだった。


実際的にも事故のような形だった。


本当はベイスレは兄ムルガルを殺そうとしたわけではなかったのだが、戦いの中で反撃しようとしたベイスレの攻撃が、ムルガル自身の罠の暴発のせいで彼の急所に当たったのだった。


結果として兄ムルガル、つまりレギオンの先代団長の死は事故として処理された。


ベイスレ自身、もともと異世界転生してアルテール家で生まれた時はベイスレではなく、ビサールという名前だった。


アルテール家で代々受け継がれてきた伝説的巨神(ギガント)討伐者ベイスレの名を受け継ぎ、ビサールはベイスレ14世または、ベイスレXIV=レイスハラン=アルテールと呼ばれるようになった。


レギオン内でも政治的な厄介事に巻き込まれたが、チート級スキルやステータスを活用しながら今や若くしてレギオン総団長として上り詰めたのだった。


レギオンの副団長としてベイスレの兄ムルガル派閥だった大男ガルレ=ティランジー、最も美しく最も強い女海賊として恐れられていたエルフのニアッカも傘下に加え、ベイスレは史上初、何人もの団長を従えるレギオン総団長として船団を率いていたのだった。



くるりと振り返りベイスレは部下に言った。


「ここに牢屋番をおいてください。この人たちから絶対に目を離さないようにしてください。もしかすると巨神(ギガント)と関係があるかもしれません。」


チート級の能力が与えられ、レギオンの総団長として上り詰めたベイスレは見た目こそ少年の姿だったが、中身は研ぎ澄まされていた。


思った通り、デリトとゾーレという不審な人物はこの異世界のことを知らないようだった。


一体何者なのだろうか。

ベイスレは思った。


巨神(ギガント)を全て打倒したベイスレにとっての新たな試練なのだろうか。


今、ベイスレやデリトたちは”監獄船”とよばれている檻の船にいる。

そこから離れたところに停泊させている、レギオンの旗艦” (あずま)”では巨神(ギガント)全体討伐の祭りが開かれているというのにベイスレは嫌な予感がしていた。




そう思った時、突如としてあたり一帯に大きな振動が響いた。


すぐさまベイスレはあたり一帯の見張りたちに状況を報告するよう伝令を出した。


なおも揺れが続く中、伝令の一人が戻って来た。

「状況は!?」


「分かりません!ですが、ここの周囲が以上に波立っているようです!」


「我々の知らぬ新たな巨神(ギガント)か・・・!?」


地響きは秒単位で大きくなり、レギオンは混乱で浮足立っていた。




「おいおい、ただごとじゃねぇな!ここらへんじゃ、よくあるのか!?」

デリトとゾーレは鉄格子に捕まり、揺れに耐えていた。


急に起こった揺れにデリトも動揺し、いつの間にか田舎者の演技も無くなっていた。


「くそっ、こんな大きな地震、並大抵の巨神(ギガント)でも起こせるものか!」

いつもは温和なベイスレが珍しく悪態をついた。




それまで恐ろしいほど静かだった辺り一帯の波は大きく揺らめき、船団の船の中で小型のものはなすすべも無く転覆してしまった。


船団の全ての船には軽度ながら転覆防止の魔法がかけられているにも関わらずである。




「レギオン!この辺り一帯より緊急退避・・・」


ベイスレの言葉は途中で途切れた。


デリトを始めベイスレやガルレは自分の体がふわりと浮くのを感じた。




「キャー!!」


同じく宙に浮いたゾーレの悲鳴を聞いてデリトはとっさにゾーレの体を抱きしめて衝撃から守ろうと体を丸めた。


「うぉぉぉぉ!」


眼下に突如として現れた暗く大きな穴の中にデリトの雄叫びは遥か地中へと吸い込まれた。




”その現象”を遠くから見ているものたちがいた。


「あれを見ろ!飲み込まれていくぞ・・・!!!」


デリトたちのいる監獄船から一番離れて停泊していた第三師団以下、

レギオンの大船団の一部は自らも揺れや高波に耐えながら”その現象”を成すすべもなく見つめていた。




デリトやベイスレたち”その現象”の中心にいた者たちは知るすべも無かったが、

デリトやベイスレのいた監獄船の真下の海がパックリと文字通り口を開けて辺りの海水ごと、第一師団、第二師団をはじめとしていくつもの船団を飲み込んだのだった。




海が真っ暗な口を開けて辺りの海水を、船を、人を、誰も知ることのない異世界”ギガントオケアノス”の深部へと招待したのだった。


それがそのまま文字通りの現象だということはまだレギオンもデリトたちの誰も知らない。



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