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異世界転生殺し-チートキラー-  作者: Michikazu Sashie
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第0話「ブラック企業で長時間労働の末、過労死して異世界転生したらチート能力とか魔王を瞬殺するほどの力が与えられただけでなく前世からのコミュ力の高さのせいで世界中の女性が僕に求婚してきて困ってます。」

 異世界タンファージに転生してきた僕、ブラックウィンドはチートなステータスと特殊なスキル”権能”を使って、世界中の女性を魅了しながら、圧倒的な力で100年近く続いた魔王軍との戦いをわずか1年で終わらせる。

 そして、魔王討伐後、魔王城で仲間のパーティたちと冒険の終わりを祝福していると、突如としてしょぼくれた黒スーツを着た男が目の前に現れる。

 男は目にもとまらぬ早さで僕に近づいて素早く銃を取り出し、僕の額に突きつけると・・・?

挿絵(By みてみん)

「あーあ、こんなもんですか・・・」


 まったくもって退屈だ。


 魔王マクスガムの放った炎が轟音をあげて僕の頬をかすめたが、痛くも痒くもない。そもそも当たりすらしないので熱さすら感じない。




「私の最大魔力を全て注ぎ込んだ最強の炎魔法がかすりもしないだと・・・!?」

ムカデのような見た目をした魔王は驚き(おのの)いた。


 僕の目の前に立っている魔王が驚愕しているのがわかる。

それもそうだ、この世界最強と謳われた魔王の最大魔法は僕に当たり判定すらしないのだ。


最初はヒト型だった魔王マクスガムも既にムカデのような第五形態になっているがどの形態だろうと僕の前では大して強さの違いなどなかった。




 前世でゲームが趣味だった僕には異世界というものはかなり馴染みやすかった。


 なぜなら転生した異世界は得意だったRPGゲームのように、ステータスやスキル、技などが存在しているのだった。


とはいえ、あまりにも敵が弱すぎて、RPGというより無双系をやっているような感覚だった。


魔王すら弱すぎて爽快感を通り越してつまらない。


そもそも僕の攻撃は、異世界転生した時から攻撃力が高すぎてどんなモンスターでもほとんど一撃で即死だ。



「やれやれ、僕もあんまりイジメとか好きじゃないんですけど・・・。」


 そう言うと僕は右手に持っていた黄金に輝く剣を魔王に向けて振るった。


剣から放たれた光が魔王の体を切り裂いてゆく。


「ぐぁぁぁ!私の体が・・・夢が消えてゆく・・・。」


 僕のたった一撃で魔王は限界値を超えるダメージで死んだ。


魔王城の大広間の壁ごと吹き飛ばして魔王は塵も残らず消え去ってしまった。

それにしても体が消えるってはわかるけど夢が消えるって大げさでダサい断末魔だったな。


 大広間にポツンと取り残された格好になった僕はバツが悪くなって頭を掻いた。


「これで魔王も倒したし終わりだよな・・・。さてさて、良いエンディングを見させて頂きますか。ゲームっぽい異世界なんだからエンディングがあるんでしょ?」


 前世では、就職を機に東京に上京してきてというもの友達もおらず、家族も疎遠だったためか、それとも就職したブラック企業で骨の髄まで訓練されたおかげか尊敬語や丁寧語が抜けない。


なんとか一人称は「私」から「僕」にカジュアルダウンできたけど。「ワタシ」でもなく「ワタクシ」とか、「弊社では~」とか言っていた時が懐かしい。




「君はさすがだね。」


「すごすぎるよー!!!ブラック!」


「まさか一撃で魔王を倒してしまうとはね。惚れ直したよブラックウィンド。」


「さっすがあたくしのブラちゃん!大好きよ!」


 物陰に隠れていた僕のパーティたちが飛び出してきた。


 孤独に戦っていた企業戦士としては、仲間には憧れる。

例え、僕が魔王の第五形態も瞬殺するような強さを持っていたとしても、だ。


 それに・・・この世界の一級の美女、美魔女、美少女を集めた僕のパーティは一言でいえば最強のハーレムだ。


「ブラックウィンド」は僕が昔はまっていた、とあるRPGゲームで使用していたプレイヤーネームだった。


ちなみに「君」と呼んでくれたのが白い肌と黒髪が綺麗な正統派ヒロインなイライ、「ブラック」と呼んでくれたのはおてんばだけど元気な美幼女メリメ、「ブラックウィンド」と呼んだのがカタブツだけど実は1番女の子っぽい褐色な南国戦士のユルユ、「ブラちゃん」と呼んでくれたのがエルフの美魔女カレカ。


みんな心の底からいい奴で、頼んでもいないのに色々してくれる。


色々って何のことかって?色々は色々だ。


世界中の女をモノにしたいという僕の夢は異世界に転生してきたこの1年でとっくに叶っていた。


僕は前世たる現実世界の東京でブラック企業社畜として働いていたけど、訳あって転生してきた。




訳といっても、トラックに轢かれて目の前が真っ暗になって死んだのか、と思うや否や、急に超絶美人な女神が現れて、ファンタジーゲームのような剣を持たされ、「魔法の世界に転生して世界を救ってほしい」と言われただけだけど。


ぶっちゃけ最初は正直戸惑った。




そもそも僕は死んだのか!とかその辺を驚く暇も無かったけど、ブラック企業で社畜として育てられた僕は軍隊も真っ青なくらい命令に忠実だ。


かくして、女神の命令に即答し世界を救うべく転生したと言う訳だ。


・・・本当は、転生の女神様は命令ではなく懇願(こんがん)してきたので、断れなかったというのが実態だ。


正直、女神様からのあれやこれやのご褒美も期待していたけど、女神様だけはそういうのはなかったみたいだ。残念。




転生初日、なぜか自分が15歳くらいの姿だったことも驚いたけど、何よりも驚いたのは僕に備わっていた能力だ。


前世の知識や記憶だけでなく、魔物も真っ青なチート能力を持っていた。


初期ステータスやレベルアップによるステータスの上がり幅の高さは言わずもがな、相手の能力をコピーしてさらに追加の能力まで得られるというまさにチートの中のチートだった。


個人的にはもう少しのんびり異世界生活を楽しみたかったところだけど、みるみる強くなっていくのであっという間、1年で魔王まで討伐してしまった次第だ。


魔王は魔王なりに正義があって世界を支配しようとしていたけど、自分勝手すぎたために転生の女神さまや世界の民に恨まれてしまったわけだ。


魔王の信念に従う手下達は数あれど、僕の敵ではなかった。




そして、これは嬉しい誤算だが、どうやら恋愛ゲーム的な要素もこの世界にあったらしく、魔王討伐の片手間に(といってもどちらが片手間だったか怪しい)この世界の美女たちの攻略にも勤しんでいた。


今や、厳選した美少女達100人をパーティとして同行させていた。


中には他の男を殺して奪い取った人妻や、親から奪い取ってきた少女もいるが、みんな”魅了”されている。


奪い取った後の旦那や親は皆殺しにしたけど、周りの村人たちも”魅了”したから何も問題は無かった。



さっきから”魅了”、”魅了”ってうるさいって?

それは申し訳ないので説明すると”魅了”というのは僕の”権能”のことだ。


転生の女神様の話では前世で得意なことなどが異世界転生者の唯一無二の特殊スキルや必殺技として反映されるらしく、それが”権能”というらしい。


前世はブラック企業の営業マンとして培ったコミュニケーション能力が、異世界では「人や植物、動物など命あるものを魅了する」権能として備わっていたらしい。


そんなわけで世界中の美女をモノにしたってわけだ。


この世界の全ての男に恨まれているかもしれないが、襲いかかってくるやつはチート能力で叩きのめしてしまおう。


”権能”が無くても、戦車でさえ真っ二つにしてしまうくらいの腕力やあらゆる刃物や銃弾、砲弾もはじき返してしまうほどの防御力が僕にはある。


正直、僕はめちゃくちゃ良い気分だった。


異世界転生マジ最高!




「おいおい!そこ喧嘩しないでください!帰りましょう!」


とっくみあいになっているパーティに僕は声をかけた。

やれやれ、都に凱旋する時に誰が僕の隣に立つかで揉めるなんて・・・。


いつも美少女たちは僕の心を手に入れるために争奪戦になる。異世界はまさに楽園だ。




ふと、背後に気配を感じた。


振り返ると、自分の喉元にぐっと差し出されたナイフが目に入った。


「・・・お父さんの仇!」


鋭い眼光で魔族の少女が俺の首を刈ろうとナイフを振ったのだ。


それにしても・・・どこから出てきた?


一瞬の刹那、僕は周囲を見渡した。




・・・成程(なるほど)


いま、僕の周囲には、僕のパーティの美少女が100人いる。その中に紛れていたわけか。


魔族は子供の時から多少の変身魔法には馴染みがあると聞いたことがある。


見たところ魔族の少女はとても美人で、肌の色を白く変えて、僕のエルフの愛人の1人にこっそりと化けていたわけだ。


「お父さんの仇」という言葉と今いる場所を鑑みるに、この魔族美少女は・・・。


ふむ、紫色の肌が魔王マクスガムにも似ていて、いかにも魔族らしい。

魔王の娘ってことね。


推察の一瞬が終わり、魔族の少女のナイフは僕の首に勢いよく刺さったように見えたが、僕には傷一つついてなかった。




「・・・な、なにをしたの!?」


親子だけあって、リアクションが似ている。


大きく鋭い目はまん丸に開かれている。肌はつやつやとしていてみずみずしく、若さを感じた。鼻筋もすっとしていて綺麗だった。


人間だと14歳とかその辺だろうか。


「この異世界最強の僕にはどうやっても、ただのかすり傷すら君にはつけられないよ。」


そういうと僕は指先を軽く振って、魔族の少女のナイフを弾き飛ばし怯えている少女の首をつかんだ。


「ぐ・・ぐぁ・・・」首をつかまれながら体ごと持ちあげられた少女は苦しそうな声を絞り出した。


「さっきお父さんと言っていたが、君は魔王の娘かい?・・・はぁ、このままだと君は危険だからね。気が進まないけど、死んでもらう。」


そこでふと自分の中の邪悪なモノが頭をもたげた。

良いこと考えたぞ。


「・・・と、思ったけど、君はすごく美人だし、魔王の娘を味わえる機会はもう二度とないからね。君の気を失わせてからゆっくり味わってあげるよ。」


自分の笑みが少し邪悪になるのが分かる。


魔王を倒した僕は今や、この異世界の覇者となった。


だから僕は何をしてもいい。そうだよね。


「や、やめ・・・」魔王の娘は手を伸ばしたが、その細く美しい手は僕には届かない。


失神したのか僕に首をつかまれたまま宙に浮いていた少女は声を出さなくなった。


すらりと細い少女の腕はだらんと力なく下に垂れ下がった。


「ハハハ、アハハハハ!」

あたりには、これは僕のだろうか。高い笑いが響いていた。

なんだか自分の声なのに他人の声に聞こえるなぁ。




「おい、クソ野郎。」


「は?」

魔族の少女の首を絞め、(えつ)(ひた)っていたブラックウィンドは突然、現実に引き戻された気がした。


どこからか聞いたことがない低い声がした。 男の声だ。


あたりを見渡すと魔王を吹き飛ばした跡に立ち昇っていた粉塵の中に、ひとり立っている男が見えた。


まさか、魔王がまだ生きて・・・いや、魔王は第5形態まで倒したし、気配も完全に消えていた。


それはない・・・とすると、裏ボスか?

い、異世界に裏ボスなんているのか?


なんにせよ、僕にとって敵ではない。


「おーい、そこの裏ボス?真の魔王さん?何でも良いけど僕には絶対勝てないから諦めた方がいいですよ〜!」


返事はない。


しょうがない、魔王と同じように消し飛んでもらうか。


それにしてもこの距離からも分かるやる気のない目。


黒スーツと黒髪のオールバックって・・・今ドキ、ヤクザとかでもやらないんじゃないか?

昭和の銀行マンって感じだな。


裏ボスにしても、覇気がなさすぎる。まぁ、裏ボスの第一形態ってところか。裏ボスくらいの実力なら気配を察知できなかったこともうなずける。


とはいっても魔王ですら瞬殺の僕には、裏ボスでも朝飯前ってところだけどね。




「汚いスーツのおじさーん!覚悟しててくださいねー!」


フラグも無かったし、どうせゲームで言う強プレーヤーを満足させるためのぽっと出の裏ボスといったところだろう。


ああいうの何の脈略もなく出てくるから()えるんだよなー。


それにこれはゲームではなくでマジのリアルな異世界なんだから激萎えだね。




一応、声はかけたし、ぶちのめして差し上げよう。


強そうなやつに一発かますとやっぱり気持ちいいんだよなー!




と、思った瞬間。


僕の目の前にその男の姿があった。


瞬間移動・・・?


あの距離からどうして。


数百メートルくらいなかったか。


僕の視力は前世の現実世界でいうと6.0以上、動体視力も人間をはるかに超える領域だ。


その僕が追いきれなかった、何故。




既に僕の手から魔王の少女は奪い取られていた。


まだ失神していなかったのか床に横たわりゲホゲホとせき込んでいる。


次の瞬間、僕の額に男のもつピストルの銃口が突きつけられていた。


「え、はや・・・」


僕は剣の柄に手をかける。


反撃の余地はあるはず・・・


「この距離だぞ?」


男はなぜか疑問形でつぶやいた。


銃を突き付けている男の顔と思えないような戸惑いにも近い表情をしている。


そんなに僕の行動おかしかったか?


主人公たる者、やはり最後まであきらめない心が大事だ。


しかし、僕が反応する間もなく、銃口から弾丸は放たれた。




衝撃で後ろに弾かれる感覚とともにパーティの美少女たちから悲鳴があがるのが聞こえた。


自分が倒れる感覚、響く”他人”の悲鳴、男のほとんど無感情な目としかめっ面、無精髭(ぶしょうひげ)、困惑しているような申し訳なさそうに下がったまゆ。


全てがスローモーションで見えた。


意外と走馬灯って見えないもんだな。


でも大丈夫だ。


きっと次もすぐ転生できるだろう。早く現れてくれ女神様。


次はそうだな、ファンタジーは十分楽しんだんだから、サイバーパンクな世界とか面白いかもしれないな・・・。


冷たい床に倒れこんで自分の体温が奪われていくのを感じながら、謎の男がブラックウィンドこと、元ブラック企業社員の僕を見下ろしながら言った言葉が朧げに聞こえた。


「残念だが、俺に殺されたなら次はねぇ。転生終了、“ゲームオーバー”だ兄ちゃん。ゴメンな。女神はもうお前の前には現れねぇよ。」


僕は――ブラックウィンドは、そこで絶望とともに悟った。


目の前に見える、この暗闇が命の終わりなのか。

挿絵(By みてみん)

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