表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/189

112・元Sランク冒険者と再び戦うことになった

 その後、俺は特に問題もなく勝ち抜いていった。


「どうやらララも負けてないようだな」


 試合の合間にララの戦いも見ていると、彼女は華麗な魔法で目の前の敵を次々となぎ倒していった。



「おいおい、あの可愛い女の子! メチャクチャ強いぞ!」

「見たこともない魔法を使いやがる!」



 うむ。

 俺はともかく、ララのような女の子が勝ち上がっているのを見るのは、想定外だったようだな。


「まあ俺は予想していたことだがな」


 俺がララに魔法を教えるようになって、日も長い。

 きっとマリーズがこの大会に出場したとしても、同じような結果となっていただろう。


「さて、俺の方も向かうとするか」


 次は準々決勝である。

 名前を呼ばれ、ステージに上がった。


「ガハハ! まさか次の相手はクルトだとはな!」

「デズモンド……?」


 舞台上には、木剣を持って肩をポンポンと叩いているデズモンドの姿があった。

 言わずもがな、元Sランク冒険者でもあり、そしてロザンリラ魔法学園の先生でもある。

 デズモンドは口元に笑みを浮かべ、こう続けた。


わしもこの祭りを楽しみたくてなあ。そうすると面白そうな大会がやってるじゃねえか。というわけで参加したみたのだ」

「……これは想定外だったな」


 頭を掻く。

 戦いのスケジュールが過密だったこともあるが、ララ以外、他の人達の戦いにあまり興味を抱けなかったのだ。


「まあ良い。早く戦おう」


 クイッと手招きをする。


「ふっ、教師相手にそのような態度とはな。これには少し教育が必要なようだ」


 そう言って、デズモンドがスペアの木剣を俺に放り投げてきた。


 手に取る。

 これで戦え……とでも言いたいのか。


「デズモンドと戦うのは入学試験以来だな。あれから、どれだけ強くなっているか……もしくは弱くなっているのだ?」


 なんせ今まで先生業務をしていたのである。

 腕が鈍っていたとしてもおかしくない。


 そういう意味で言ったのだが、デズモンドは「ククク」と笑いを零し、


「舐めるな。儂は魔法学園に来てから」


 デズモンドが木剣を構える。


「——さらに強くなった」


 地面を蹴り、デズモンドが俺に向かってくる。


 うむ、なかなか速いな。

 今までの出場者と比べたら段違いだ。


 体当たりのように木剣を振るうデズモンドに対して、俺も手に持った剣で応じる。

 つばぜり合いが起こり、デズモンドの顔がすぐ前まできていた。


「ほう、これだったらまあまあ楽しめそうだな」

余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だな。儂相手なら、いつでも倒せると思っているのか」

「どうだろうな」


 剣で押し、デズモンドと距離を取った。

 それにしてもさっきの速さと強さ……ただ、身体能力に任せているだけではないようだ。


「身体強化魔法をしっかり身に付けているようだな」


 俺が言うと、デズモンドはニヤリと口角を釣り上げる。


「ああ、お前に教えてもらってから、影で身体強化魔法を特訓していたのだ。そのおかげで——」


 デズモンドが剣を振り上げ、


「儂の剣は()の速さとなった」


 無数の剣筋で俺に襲いかかってきたのだ。


「うむ、どうやらハッタリではないようだな」


 一回戦で戦ったノーマンとは、明らかにレベルが違う。

 光速の剣の応酬を、俺は感心しながら剣でいなしていった。



「なにが起こってるか分からねえぞ!?」

「速すぎて見えない!」

「レベルが高すぎる戦いは、普通の人には理解不能ということなのか……」



 そうしながら耳を傾けると、観客の方からもそんな声が聞こえた。

 無理もない。

 戦闘に長けていなければ、俺達がなにをしているのかを観測することさえも不可能だろう。


「ガハハ! どうだどうだどうだ!」


 デズモンドはこれだけ剣を繰り出しているというのに、息切れ一つ起こしていない。

 身体強化魔法で、持久力も増している証拠だ。

 特訓してきたというのは本当か。


「しかしな、デズモンド」


 剣を躱したり、自分の剣で受け止めたりいなしながら、こう語りかける。



「なにを光の速さになったごときで調子に乗っているのだ?」



「ああ?」


 剣を振るいながら、デズモンドは怪訝そうな顔つきとなった。


 俺は握っている剣に魔力を込め、


「光の速さが相手なら、それを超えればいいだけのことだ」


 と言ってから、光をも超える速さでデズモンドを一閃したのだ。


「ぐはっ!」


 たった一発の斬撃。しかしそれは必殺の一撃となった。


 デズモンドが後方に吹っ飛ばされる。

 時間をも超越した一撃をくらってなお、デズモンドは床に手を付きながら、戦意を失っていなかった。


「はあっ、はあっ。やはり、お前は儂の愛弟子だ。そうこなくっちゃ……面白くないってもんよ!」


 叫び、デズモンドが力の限り剣を振るう。


 先ほどの一撃をくらってもまだ立ち上がるとはな。

 デズモンドの剣が()に直撃。

 これが真剣だったら、身体強化魔法の恩恵を受けたデズモンドの一撃で、キレイに両断されてしまったことであろう。


 しかし。


「それは()じゃない」


 ()の姿が煙のように消えていく。


「なっ……! これは!」


 驚愕しているデズモンドに背後に回り込み、俺はその首筋にトンと木剣を当てた。


「戦場ならあんたはここで終わりだ。まだ戦いを続けるか?」


 入学試験と同じことを問うと、デズモンドは持っていた剣を落として、


「……儂の負けだ」


 そう項垂れた。

 同時、爆発的な歓声が巻き起こる。


「奇しくもあの入学試験の時と同じ結果になってしまったか。儂もまだまだだな」

「そんなことはない。ここに至るまでの過程かていが全然違う。もう少し自信を持て」

「やれやれ。どっちが教師なのか分からなくなるのお」


 とデズモンドは呆気に取られた様子で、溜息を吐くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

マガポケ(web連載)→https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13933686331722340188
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000349486

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新3巻が発売中
3at36105m3ny3mfi8o9iljeo5s22_1855_140_1kw_b1b9.jpg

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ