040 現状整理
「それでどうするの?」
食事を食べ終えた後居間で寛いでいると、ベルが若干責める口調で問いかけてきた。
「そうだな、まずは俺の方でスキルについて色々みてみるよ。それで、よくわからないものがあったら都度聞きたいと思っている。特にベルのはおかしくなってるからな」
「それはいったい誰のせいなのかしらね。でも、それならしばらくは私たちは暇ね」
「なんなら先に風呂に入ってきていいぞ。昨日は初だったから先に入らせてもらったが、俺に対して別に主が先じゃないと駄目なんてことはないしな」
むしろそうしてくれた方が助かる。俺が先に入ると昨日の二の舞になることは目に見えているからな。しかも今は奴隷となったレアとリアもいる。
他の従者が一緒に入っているのに自分たちだけ別という考えにはどう考えても至りそうにない。サクラでもマズいのにリアに至っては10歳だ。もはや犯罪だろう。
……いや子供よりに近づくほど逆に薄れるのか? 銭湯とかでは親が面倒を見るために子供を異性のほうに入れることもあったしな。
ベルは見た目は子供だが、中身がしっかりしているというか、流石に長生きしているだけあって精神年齢が高く見た目に反して子供っぽさが感じられない。何気に神子であるハクナを差し置いて俺の相談役的な立ち位置になりつつある。
逆にサクラは見た目に反して精神は子供だ。まぁ、長い間あんなところに閉じ込められていたことが起因しているんだろうが、悪魔やあんな商人に面倒を見られてよくこんなに純真無垢に育ったものだ。心が壊れなかったのはサクラの内に住まうフェニアのお陰だろうな。
フェニアはベルの魔王核と融合してからはほとんど眠っているそうだ。寂しいけど、いるのはわかるから大丈夫だとサクラが言っていた。食事の時に聞いたが、今日も少しだけ話ができたらしい。
俺がどんどん脱線する思考に意識を巡らせていると、ベルの「はぁ」というため息で現状に戻される。
「あなたは本当に主らしくないわね」
「主らしいってそもそもなんなんだ?」
傲慢にでも振る舞えってことか? ちょっとイメージしてみるが、すぐに首を振る。似合わないったらありゃしない。
「嫌なわけじゃないのよね?」
「何がだ?」
「こうして慕われてたりすることよ」
「そうだな。ただ慣れていないというか、落ち着かないだけだ」
日本じゃこんなことはなかったしな。あっても後輩に頼られたりするくらいだが、それもちょっとした感謝があったりする程度だ。こんな、身を捧げるようなものでは決してない。
「そう。なら、私たちも無理強いはしないわよ。話を聞いている感じでは時間が解決してくれそうだしね。サクラもそれでいいわよね?」
「うん。私もまだ、その、ちょっと、恥ずかしいから……」
サクラが顔を真っ赤に染め俯きつつ答える。
できればその羞恥心はなくさず持っていて欲しいものだ。それに、普段の慕われるのは慣れるかもしれないが、風呂などを一緒に入るのに関しては慣れる気がしない。
こういうハーレムみたいな状況を臆せず楽しめる男というのは、一体どういう精神構造をしているのか甚だ疑問に感じる。
俺には向いていないとしみじみと思う。
「それじゃあ、先に入らせてもらうわね」
「あぁ。どうせならレア達も誘ってみんなで風呂に入るといい」
「え?」
俺がそう言った瞬間、レアとリアが食事の片づけから戻って部屋に入ってきたところだったらしく、驚きの声が上がる。
「そ、そんな。私たちは一番最後で大丈夫です。入らせていただけるだけで私たちにはありがたいことですので、ご一緒なんてそんな」
レアが両手を前に出してパタパタと振り、必死に拒否している。
「別に身分なんて関係ないって言ってるだろ? レア達を奴隷として向かい入れたのは食事と畑の事を任せたかったからだ。他にもいろいろとお願いするかもしれないが、基本的にはそれさえきちんとやってくれるなら後はここに住まうものとしてみんな平等だ」
「で、ですが……」
「ベル、サクラ、あとは頼んだ」
「しょうがないわね」
「うん。いこっ、リアちゃん」
「え? あ、あのベル様!?」
「わわっ」
俺の言葉を受け、レアがベルに、リアがサクラにそれぞれ連行されていく。助けを求めるようにレアがこちらを振り返るが、俺はそれを促した張本人だ。俺は手をヒラヒラと振り、4人を見送った。
それにしても、レアとリアは能力値を見る限りでは元王族だと思うんだが、なんであんなに奴隷としての扱いに染まってるんだろうな。鉱山で働かせていた元主がひどい扱いでもしていたのか?
前の主はレア達が元王族であることを知っていたんだろうか? いや、知っていたらあんな使い捨てに近い労働をさせるわけがないか。でも、労力として雇うだけなら成人男性の方が効率がよさそうなもんだけどな。今更そんなこと考えても仕方ないか。
元王族であることを知ってしまった身としては、普通の奴隷すら俺には気が重いのに元王族を本来の奴隷みたいな扱いなんてできるわけがない。逆にゆくゆくは奴隷の身分からも解放させてあげたいと思っているくらいだ。その後も自主的にここで働いてくれると嬉しいが、それはそれで気が引ける気がしなくもない。
「あの、ご主人様、私は……?」
そんなことを考えていると、一人残されたハクナ片手をあげて尋ねてくる。
「ん? 一緒に入ってきたらいいだろう?」
「……なんか、釈然としないです……」
そう言いながらも風呂場の方へ向かって歩いて行った。……知らんがな。
一人居間に残った俺は【情報版】を出現させるとマイページ欄をタッチする。最初は普通のタブレットみたいだなと思っていたが、魔力に溶け込ましてからは空中投影や意識での操作もでき現代機器感はまるでなくなっている。
マイページ欄に表示されたリストを見ていると、入手した当時から項目が増えていた。
・能力値
・取得スキル
・契約
・カード
・アイテム
能力値と取得スキルは前からあった項目だ。契約は想像がつく。カードってなんだ? と思い、その項目をタップする。
「なるほどギルドカードか。そういえば、受け取ったギルドカードも金貨とかと同じで【情報版】に吸収されていたな」
これも“セカイの意思”を活用している恩恵なんだろう。今はギルドカードの表示しかないが、きっとここには証明カード類が登録されていくはずだ。この街に入るときにレイトさんが見せていたのもこのページかもしれない。
アイテム欄にはこの世界でのお金となる貨幣関連の現在の所持数、そして俺が所持している世創道具が一覧で表示されていた。
といっても表示されているのは【知識書庫】だけだ。【宅配の指輪】や【宇迦之御魂】は表示されていない。そういえばまだサクラやレアに貸したままだったな。でもあれはランクBやAだったから、流石に世創道具ということはないだろう。
契約は想像がつく。ただ気になるのは契約の種類とその中身だ。俺は契約の項目に指を触れる。すると、さっきまでの寂しいリストに比べて幾分多い項目が表示される。
‐ハクナミナ・エルト・リュミエール
‐ベルフェゴール
‐サクラ・カグヤ
‐レア・ファレル・シルミア
‐リア・ファレル・シルミア
‐???
「ちょうど今この屋敷にいるメンバーだな。契約名称ではなく、名前でリスト化されるのか。でもこの最後のはなんだ?」
俺は若干恐る恐るその名前? に触れる。
‐???
<無効>
この契約は現在成立していません
「……なんだこれは? まぁ、気にしても仕方ないか。いずれわかるだろう」
よくわからないものは取り合えず置いておく。悩んでも答えなんて出る気がしないからな。そして次に、まずハクナの名前に触れる。
‐ハクナミナ・エルト・リュミエール
<親愛の契約>
「親愛の契約……か。ベルが言っていた通りだな。問題はその中身か」
俺はさらに契約名称に触れる。そこで契約内容がわかると思っていたが、表示されたのは俺の予想に反するものだった。
<親愛の契約>
・魔力譲渡枠:10%
・命令強制力:0~100%(込める意思により変動)
・思考伝達率:5%
・契約強度域:世界全域
・命令実行数:1回
……なんだこれは。なんか本当にゲームのステータス画面みたいな内容が表示された。これだけでは結局どういう契約かわからない。
やっぱり契約内容を知るには【知識書庫】か。俺はアイテム欄に戻ると【知識書庫】を別画面にて起動させると検索をかける。
<親愛の契約>
・契約者同士の無意識下の繋がりをセカイの意思が汲み取り、自らを犠牲にしてでも相手を助けたいと思う心の結びつきを形にする。それは愛情、友情、信頼、敬意などその思いの種類は問わない。無意識下の思いを読み取る為、契約者本人の意思は含まれない。また、その心のつながり、相性次第では主に新たな固有の力を呼び起こすことがある。
・効果:命令権(主)、魔力供給(従)、意思疎通(共)、位置認識(主)、固有スキル発現(稀:主)
……おいおい契約者本人の意思は問わないとかえらく物騒だな。でも、無意識でそう思ってるんだから嫌じゃないだろってことなんだろうか。
それにしても自らを犠牲にしても助けたいと思う心か……確かにあの時はハクナの命を助けるために手を貸した。でも代償となるのがすぐ回復する魔力だったからだ。そうじゃなかったらどうしたんだろうな。
闇の神との闘いについては拒否したが、なんだかんだハクナには助け、助けられている。あの時はいきなり異世界に飛ばされて藁にもすがる思いだったし、無下にはできなかっただろう。流石に死んででも助けるなんてことはないが、できることはしてやろうとは思ったかもしれない。
まぁ、ハクナも色々あったみたいだし、この世界での生活に慣れてきて安定したら手を貸してやらないこともない。もちろん、闇の神と戦う事以外のことで、にはなるけどな。その時は創作世界の力で最高の装備でも創ってやるかな。
それにしても、命令の実行回数? が1回か。一体いつのがカウントされたのかと考えて気づく。そういえばサクラが閉じ込められていた牢を壊すように命じた時に何かが発動したような感じがあったな。頭に血が上った時は周りが見えなくなる傾向がある。今後は気を付けたほうがよさそうだ。
俺は同じようにベルやサクラ、レアにリアの欄も確認する。
‐ベルフェゴール
<親愛の契約>
<誓いの約束>
‐サクラ・カグヤ
<親愛の契約>
‐レア・ファレル・シルミア
<隷属の契約>
‐リア・ファレル・シルミア
<隷属の契約>
ベルだけ2つあった。どうやらサクラを助けるために交わした誓約とやらが表示されているようだった。それにしても誓約なんて大層な名前をしていると思ったら、意味は“誓いの約束”の略だったのか? 流石に誓約と約束では意味合いに差がありすぎるだろう。
でも、セカイの意思を通しているので、意味合いはあまり変わらないのかもしれない。サクラの親の顛末を考えると、その効果は重い。誓約を反故にした場合に返ってくる反動はその誓約内容によるらしいが、俺かベルが破った場合はどうなるんだろうな。
お互いの誓約内容が“サクラの命を助ける”や、“ベルの代わりの命の源の提供”、そして“安全を保障する”という生死に関わるものばかりのため考えたくもない。
でも、親愛の契約とやらが成立しているということはある程度ベルのことも信頼できると思っていいんだろうか。
……いや、これだけ色々と頼っておきながら今更それはないよな。少なくとも、ハクナより信頼できるのは確かだ。なにせ、創作世界での創作物持出枠がハクナより多い2つだからな。愛想をつかされるまでは、これからも頼りにさせてもらおう。
レアとリアにあるのは奴隷契約である<隷属の契約>だけだ。サクラにはないところを見ると、やっぱりサクラ自身はその身分からは解放されているみたいだ。主が死んでからのレア達との違いはなんなんだろうな?
まぁ、今考えても仕方がない。俺は少し画面を戻り、後回しにしていた能力値欄を表示する。サクラに力で劣っているということが既に判明してしまっているが、実際どれくらい上がっているのか気にはなっていたが怖くて見れなかった。
せめて全部2桁には届いてほしいという弱気な祈りを込めながら画面を開く。
○名前:レクトル・ステラマーレ 人族 16歳 ♂
○称号:“異世界の旅人”、“セカイに選ばれし者”、“水神子の契約者”、“東の地の支配者”
○Rank:U(1)
○ステータス:
・体力:52/52
・魔力:23,188,092-(30%)/33,125,846
・筋力:12
・守力:13
・理力:46
・護力:23
・速力:312
おおう、よ、よかった……でも、相変わらずアンバランスな能力値だな。魔力と速力が抜きんでていて、それ以外がからっきしだ。というか、魔力の数値がもはや異常の領域にある。3千万とかこのままいけば軽く億は超える。どこまで表示されるか気になるところだ。カンストはあるんだろうか?
現状の値が減っているままなのは、サクラ、ハクナ、ベルにそれぞれ10%ずつ魔力枠を譲渡している関係みたいだ。現在値の右にある(-30%)をタッチすると内訳が表示された。でもすでに3割か。今後があるのかは知らないが、これだけ魔力量と回復力があるんだ。与えるのは0.001%とかでも全然問題なさそうだし、そこは相談させてもらおう。
でも、魔力と速力以外の能力値も何かしら上げる方法を考えないとな。特に体力や守力、護力といった生き残るために必要な力は早い事上げておきたい。
ゲームとかでよくある状態異常耐性や属性耐性なんかもあるのか気になるところだ。特に状態異常は対策が何もないと厄介極まりないからな。
そんなことを考えながら画面を眺めていると、それ以外にも増えている項目があることに気付く。
「……“東の地の支配者”?」
なんだこれは。他のと違って全く心当たりがない。いや、“セカイに選ばれし者”という称号にも心当たり自体はないが、この世界に呼ばれた事自体を指していると言えるかもしれないし、最初からあったものだ。
でも、“東の地の支配者”なんて称号はなかった。後からついたにしてもその原因がわからない。
俺は取り敢えず“東の地の支配者”の称号に触れる。何か理由がわかるかもしれないからだ。
・称号:“東の地の支配者”
東の地を支配する魔王よりその地の支配権を譲り受けた者に与えられる称号
効果:東の地支配権獲得、スキル【支配特権】取得
「……………………は?」
予想外の内容に思考が停止してしまう。いつの間にそんなものを譲り受けたんだ? 犯人はどうやらベルのようだが、ベルからは特に何も聞いていない。もしかしてベルの主になったからこっちに支配権が委ねられたのか?
冗談じゃない。サクラたちの主ってだけで頭を抱えるほどなのに、東の地の支配者なんてやれるわけがない。そもそも東の地ってどれだけの範囲を指すんだ? まさかこの世界の1/4なんてことはないよな。
何も魔王だけが支配する大地ではないはずだ。人間が住まう国もある。
それに、ベルは今まで封印されていたんだ。それで問題なく世界は回っていた。なら、放置でも問題ないよな? これはレア達にあった称号と一緒にスルー案件確定だな。
ベルに問い詰めでもしたら、それはそれで面倒なことになりかねない。主になったんだからと押し付けられるのは目に見えている。そんな地雷を自分から踏みに行くことはない。うん、そうするか。
俺は“東の地の支配者”の詳細画面を閉じる。それにしても称号に効果なんてあるんだな。他の称号も見てみるか?
俺はさっき見たものを忘れるために、気分転換も兼ねて他の称号へと指を走らせる。
称号:“異世界の旅人”
この世界とは異なる別の世界から渡ってきた者に送られる称号
効果:スキル【魔術適正:無】、魔術:【言語変換】取得(常時発動)
「……なるほど、称号の力で得ていたのか。まぁ、このおかげで助かってはいるな。次だ、次」
称号:“セカイに選ばれし者”
世界アーステリアを管理する“セカイの意思”に選ばれた者に送られる称号
効果:能力値熟練度上昇EX、スキル熟練度上昇EX
「これは……!」
間違いなく当たりの力だ。称号が何故手に入っているかは結局何ひとつわからなかったが、その効果は絶大だった。流石、星の管理人? たる“セカイの意思”に選ばれたというだけのことはある。
魔力値があれほど異常な値にまで上昇しているのもこの効果が影響しているのかもしれない。しかもスキルもか。これなら頑張れば割とすぐに【省略詠唱】も取得できるじゃないか? 今日か、明日出かける前にちょっと頑張ってみるのもいいかもしれない。
いや、その前に現状のスキルの確認だな。もしかしたら既に取得済みなんて嬉しい誤算があるかもしれない。
俺はスキルの画面に移ろうとして、もう一つ称号があることを思い出す。
「一応見ておくか」
称号:“水神子の契約者”
水神子と主従を含む契約を交わした者に送られる称号
効果:スキル【水神子の加護】、【神術】取得
うん、何も新しい情報はなかったな。ちょっとばかし期待していた自分が恥ずかしい。
さて、次はスキルだな。【省略詠唱】があることを祈ろう。
・固有スキル
【無限湧魔】
【我が内眠る創造の拠点】
+派生:【疑似拠点】
+派生:【夜の帳】
【能力共有】
・契約スキル
【神術】【水神子の加護】
・付与スキル
【支配特権】
・スキル
【魔術適正:無】(【魔術適正:星】)【魔力感知】【魔術制御】【索敵】【並列制御】【高速詠唱】【気配察知】【精神耐性】【魔力集束】【威圧】【認識阻害】【魔道具生成】【空間認識】【魔力収集】(【魔力解析】)
思いのほかスキルが増えている。残念ながら目的の【省略詠唱】はなかったが、明らかにそれの下位互換となる【高速詠唱】がある。つまり、もう少し詠唱を繰り返せば【省略詠唱】も問題なく取得することができるかもしれない。
それに、知らない固有スキルが2つも増えている。ハクナの話では固有スキルは同じスキルが同じ時間に2つ存在することはないらしいレアなものだ。おそらくベルやサクラと契約したことで発現したんだと思うが、親愛の契約の説明にも稀って書いてあったのに流石に発現しすぎじゃないか?
まぁ、ないよりはある方がいいので文句はないが、後々トラブルの元にならないかが心配だ。
創作世界の力で創作したスキル類は括弧内に表示されている。これは創作世界でしか使えないからだろうが、【疑似拠点】についていないのは持ち出しに登録しているからだろう。
ふと思い出し確認すれば、俺の持ち出し枠には後5つも登録する余裕ができていた。ベル、サクラ、ハクナ、レア、リアの全員分だ。どうやらサクラのみ1人で2つ分増えている。いつの間にか信頼度? があがっていたらしい。
そういえば、サクラやベルに装備を作ったりしたが自分の装備を作っていないことに気付く。今着ているローブもこの世界に来た時に着ていたもののままだ。これだけ余裕があるなら何か創ってもいいかもしれない。
それからも取得しているスキルについて色々と見ながら内容を確認し、何ができるか考えていると風呂からレアたちが上がってきた。
俺もバタバタしてそれなりに疲れていたので、一旦スキルの確認や作戦立案は切り上げ風呂に入ることにする。
「あ、あの、お風呂ありがとうございました。とても、気持ちよかったです」
「きれいだった!」
すれ違う時にレアが申し訳なさそうに頭を下げる。リアは夜景を満喫したようだ。
「奴隷の身でありながらご主人様より先に入るなんて……」
「俺がいいって言ってるんだから気にするな。遠慮するようなら命令するだけだ」
「そ、そんな……すみません」
「まぁ、こういう性格なんだと諦めてくれ。俺も風呂に入ったら寝るから後は好きにしてくれていいからな」
「はい。ごゆっくりどうぞ」
俺はヒラヒラと手を振って立ち去る。サクラとベルも、ハクナも上がったようだ。
「サクラやベルもお休み」
「今日はどうするの?」
「ん? あぁ、サクラか。大丈夫そうなら一人でもいいが、まだ不安なら済まないが待っててもらえるか。まぁ、先に寝てていいけどな」
「待ってる」
「……わかった。湯冷めしないように気を付けるんだぞ。じゃあ、ベルとハクナはお休み。明日はちょっと早く起きて魔術の練習をしたら西の森にある教会にいくつもりだから、夜更かしせずゆっくりと身体を休めるんだぞ」
「まるで保護者ね」
「これだけ子供が多ければ実質そうだろう」
「自分の事、鏡見たほうがいいわよ。それじゃ、お休み」
「あぁ」
そういえば、俺も今は少年の姿になっているんだったな。まだ、この若い身体にもなれないな。というか、普段見えないものだから忘れる。これもいずれ慣れるだろう。
その後は風呂から上がると自分の部屋へと戻る。
サクラはどうやら待ってる間に寝てしまったようだ。布団をちゃんとかぶせて俺はサクラとは別の自分のベッドに入る。疲れがたまっているからか眠気はすぐにやってくる。
明日の依頼が終わったら、この世界でゆっくり休もうと心に決めそのまま眠りについた。
次回10/20更新予定です




