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095 聖女ティリエ


「被害状況はどうなってるの?」


 ルーミエは冒険者ギルドの中で飛び交う書類に目を走らせながら、ギルドに入ってきた冒険者へと問いかけた。視線すら合わせないその対応に文句も言わず、冒険者は言葉を返す。


「今はまだギルマスとやり合ってるのか、街にはそんなに被害はでていない。だが、避難状況はまだまだだな。せいぜい2割ってところだ」

「そう……うまくいかないわね」


 ルーミエはパサリと書類を机の上に置くとため息をついた。


「ちょっと休憩したらどうだ? さっきまで住民の治療にあたってたんだろ?」

「そうも言ってられないのよ。ギルドマスターがそうそうに失敗したのよ? これで住民にまで被害が出たら……」

「だが、倒れたら元も子もないだろう」

「そうだけど……」


 ルーミエはこう見えても勇者リサと聖女ティリエの間に生まれた娘だ。珍しい聖属性の魔術適正を持っており、治癒の魔術を得意としていた。


 その力を活用し先ほどまで魔王との闘いが飛び火して怪我を負った者たちの治療にあたっていた。街の守護結界が破壊されたことによる住民の混乱は大きく、一部では暴動も起きている。その鎮圧にも回っており、手も足りていなかった。


 訓練場を一時的な診療所兼避難所とし、その対応に追われていた。


 だが、これ以上の収容はできない状態にまで被害は膨れ上がっていた。これ以上の収容には街の中に設けられた地下の避難所に振り分ける必要が生じていた。しかし、各避難所までは距離があり、大人数で移動するのは安全に行くには難しく、危険が伴うものだった。


 騒ぎを鎮圧しながらではとてもではないが、回ることはできなかった。下手をすれば余計に被害が拡大する恐れすらあるのだ。


「どうすれば……」

「きゃはー! ルーミエちゃん! ひっさしっぶりー!」

『ぎゃははは! 元気してたかー!』


 そんな時だ。ギルドの扉が勢いよく開け放たれ、そこからやたらとテンションが高いツインテールの少女がクルクルと踊りながら入ってきた。その少女からは少女とは別の響くような男の声が聞こえた。


「失礼する」

「お待たせしました」


 その後に続くように巫女服の少女と修道服に身を包む少女がギルドの戸をくぐる。


「マ――っ!」


 ルーミエは口から出かかったある言葉をギリギリのところで呑み込むと、最初に入ってきたテンション高い栗色の髪の少女を無視して、後の2人の少女に対し礼儀正しく礼をした。


「お久しぶりです。キサラ様、シュゼリア様」

「あぁ、久しいな。ルーミエ。変わりない様で何よりだ」

「そうですね。元気そうで安心しました」

「はい。この度は要請を受けて駆け付けてくださり、ありがとうございます」

「あれれー? 私は? 私は?」

『無視すんなよなー』


 巫女服の少女キサラと修道服の少女シュゼリアは魔王襲撃に備え、出していた要請に応えた《勇者の楽園(ブレイブ・ガーデン)》のメンバーだった。


 巫女服のキサラは一般的な巫女装束とは異なり、かなり短い丈の緋袴を着ており所謂コスプレの巫女服に近い。長い黒髪をポニーテールにまとめ、髪飾りには鈴がついている。腰には刀をぶら下げており、レクトルがこの場に入れば巫女と刀という組み合わせからサクラと近しいものを感じたかもしれないが、その性格は凛としたもので、どこかのほほんとしているサクラとは似ても似つかなかった。


 対照的に修道服に身を包んだシュゼリアはゆったりとしたどこか優しい雰囲気を醸し出している。長いウェーブがかった金髪をすっぽりと覆うようにベール状のウィンプルを被っていた。その胸には当然のように十字架が煌いている。


 先に到着していた貴族の少女カレンディナとメイドのロロットとは別の場所から駆け付けた為、1日のズレが生じていた。


 だが、5人目の話を聞いていなかったルーミエは冷めた目つきで後ろで喚く少女を睨みつける。だが、少女ティリエは気にした様子もなく笑顔で応じる。


「それで……何故、貴方が、ここに?」

「もっちろん! 私の可愛い可愛い愛娘、ルーミエちゃんを助ける為に! だよ!」

『遠慮すんなよなー』

「ちょっ!」


 いきなり暴露された関係性に慌ててルーミエは母親であるティリエの口を塞ぐ。だが、それは少し遅かった。ざわざわとギルドの中が騒めきだす。


「え? あれがサブマスの母親!?」

「わっけー。てか、子供の間違いじゃ?」

「え? それはそれでびっくり何だけど……」

「てか、あれって《勇者の楽園》の……え? てことはサブマスは勇者の血縁なのか?」

「うっそ、マジで!?」


 憶測は憶測を呼び、中には真実すら入交り広がっていく。


「あ、あぁああぁぁぁぁ……」


 そして、ルーミエは全てを諦めた。これ以上この場にいるのはいたたまれ、勇者の仲間一行を別室へと案内する。


「バカを親に持つと大変だな」

「お気持ち、お察しします」

「いえ……」

「えー、私はバカじゃないよー」

『ぎゃはは! いやいやバカだろ! 自覚ねーのか!』

「なっ!」


 まさかの味方であるはずの杖の裏切りに仕返しとブンブンとそれを振り回す。それを横目にルーミエは現状の状況をキサラとシュゼリアに説明する。


「封印はだめだったか」

「えぇ。それだけでなく……」

「街の障壁も破壊された。それも、内部から」

「恐らく、ね。7つある守護聖石の内ひとつが設置された場所と連絡がつかないの。駆け付けた兵士の話では警備にあたっていた者たちが殺されていたと……」

「内通者、もしくは既に敵が内部に侵入していた……。となれば、魔王だけ相手取っていればいいというわけにはいきませんね」

「それに避難もまだ終わってなくて……」


 状況把握が終わると今後の方針を詰める為の会話へ移っていく。親しみの中にも礼儀あり、と最初は敬語で話していたルーミエだが、身内だけになると素に戻る。難しい話は苦手なのか、ティリエはつまらなそうにルーミエの仕事イスに座り、足をプラプラと揺らしていた。


 だが、ルーミエの避難がまだ終わっていないという言葉に反応し、手を上げた。


「はいはい! そういうことならこの聖女ティリエちゃんにお任せあれ!」

「え?」

「あぁ、そうか。確かに適任だな」

「そうですね。ついでにあれもお願いします」

「え? どういうこと?」

「まぁ見てな。あれでもリサと絆を結んだ《勇者の楽園》の一員なんだ」


 仲間の了承を得られ、意気揚々と部屋を飛び出すティリエ。自分の母親ながらいろんな意味で心配で仕方がないルーミエはその後を追う。


 ギルドの外まで移動したティリエは声高らかに杖を天に掲げ、叫ぶ。


「慈愛の心は私の胸に! 夢と希望が私の力! マジカル・シャイン、メイク~アーップ!」

『はっはー! いっくぜー!』


 ティリエだけでなく、杖の声すらベルを封印した時の面影はなく、魔法少女となって長くを過ごし、その性格は大きく変わっていた。だが、変身によって起きる変化は変わらない。


 少女の身体が光輝くと着ていた服がはじけ飛び、新たな服が構成されていく。腕に、足に、腰に、帽子に……最後に背中に大きなリボンが結いつけられると、変身前より豪勢になった武器である杖をクルクルと回し、ビシッと決めポーズを決める。


「マジカル・シャイン・ティリエ! ここに推参! 悪よ覚悟! 【魔法少女世界(マジカルワールド)】!」


 杖の先端より発っせられた光が街全体を包み込むように広がっていく。だが、それは守護聖石の代わりに障壁を形成するわけではない。


 だが、一部の者にはそれ以上の効果をもたらす。日曜の朝に放映されるような幼女向けの魔法少女ものアニメは子供向け故か、街の建物などはあまり破壊されない。また、関係ない者が傷つくこともほとんどない。


 そう、血が流れないのだ。不思議な愛と勇気のパワーで敵と戦い、浄化する。これはその不思議魔法少女空間を現実に投影するものだった。


 この空間内では魔王と戦っている者以外は傷つくことはない。建物もその時は壊れはしても、次には元に戻っている。知らない間に。


「そんなのありなの!?」

「だが、もちろん永遠に、ではない」

「そうね。私たちはカレンたちの応援に行きましょう」

「え? あの、マ……この人は?」

「この人だなんて……ルーミエちゃんママに冷たいなー。ママ悲しいよ。そんな冷たい娘に育てた覚えはないんだけどなー」

「…………………………」

「わーお、怖い怖い」


 しくしくしくと泣きまねをする母親を無言で睨みつけるルーミエ。あまりにもな形相にティリエは視線を逸らす。だが、キサラからは冷酷な言葉が放たれる。


「ティリエは力の発動中は戦えない。ここで預かってもらいたい」

「はい。ちゃちゃっと終わらせてきますから」

「え……」


 なんで、よりによってティリエ……自分の母親が残るのか。


 ルーミエの抗議も空しくキサラとシュゼリアはカレンディナと魔王が戦っているであろう場所目掛けて走り出していった。


 残されたルーミエは母親であるティリエへと視線を移す。


「取り敢えずその服……着替えてもらえます?」


 これ以上の母親の醜態には耐えられないルーミエだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「最初から全力でいきますわよ!」

「はい!」


 カレンディナは既に使用していた剣を黄色の宝石に戻すと、今度は右手に赤い宝石、左手に青い宝石を握り、駆け出した。それをメイドであるロロットが追従する。


「我が身に集いし思いよ解き放て! “真紅の剣(フランベール)”! “蒼銀の杖(レギレナスタ)”!」


 宝石が真っ赤な刀身を持つ剣と青白く輝く銀色の杖に変化すると、剣や杖と同じ色の魔力が迸りカレンディナの身体を包み込む。


 それはカレンディナが最初に発動させた宝石、勇者リサの思いの結晶“勇者の鎧(ブレイブリー)”と同じく、手にするだけで所有者に様々な恩恵を与えた。


 それは単なる能力値(ステータス)の増加にとどまらない。思いの元となった者が持つ力の一旦を一時的に借り受けるのだ。


 装備がなければ普通の少女であるカレンディナも、複数の装備を身に纏うことで魔王にすら抗う力を身に着ける。


「抗い足掻く時の牢獄、【減速空間(スローミア)】!」


 ロロットはカレンディナが放つ大技の補助に動く。ロイエンが多用する魔鉱石に込められた力の発現。駆け出した時に魔王オリエンスの周囲に飛ばしたクナイに紐づいた魔鉱石が起動し、オリエンスを時の牢獄へと閉じ込めた。


「これ……は……」


 その力は空間内の時間経過を遅延させる。対象が魔王本人ではなく、空間そのものであるため防ぐことが難しい。ロロット本人の力ではなく、これもカレンディナ同様に他者から借り受けた力だった。


 だが、カレンディナのように相手と信頼関係を築く必要はない。その代わりに高額な費用と、使い切りという欠点が存在する。だが、相手が魔王ともなればこれ以上の相手はそうそういない。出し惜しみをすることなくロロットは次なる手を放つ。


「【絶影】」

「――っ」


 瞬時にオリエンスの背後に移動したロロットは首元目掛け奥義を放つ。それは気配を絶ち、瞬時に移動し対象の首を断ち切る暗器術のLv.10奥義だった。


 メイドと言えばスカートの中に大量の武器を隠し持っており、主を守る為に暗殺すらこなす。勇者リサがとある漫画で得た知識がもたらした力だ。遅延された空間内にあってなお目で追うことすら不可能な速度で移動する。


 だが、その必殺の一撃も強固な守力によって阻まれ、甲高い音を鳴らすにとどまった。それでも、ロロットにとってはそれで十分だった。奥義の効果によって今度は瞬時に元いた場所へと移動する。そして……


「いきますわよ? 【王帝槍(ロイヤルスティンガー)】!」


 キュアっと閃光がカレンディナが持つ剣の先端から迸る。その光は瞬時に魔王に到達すると激しい光を散らせながら幾重に分かれ、魔王の後ろへと駆け抜けていく。その多くは障壁で防がられていたが、何本かが魔王へと到達していた。


 それも当然で、カレンディナが放ったのは“勇者の鎧(ブレイブリー)”から供給される勇者の“瘴気に打ち勝つ力”そのものだった。


「あら、もしかしていけるの?」


 様子を見ていたベルがその結果に期待を膨らませる。自分ではまともにダメージを与えることが出来なかったのだ。流石、勇者の力を身に纏うだけはあると心の中で称賛し、自身も攻撃に参加するために力を溜める。


「な……め、る、なーー!」


 だが、その光が徐々に集束しいよいよ魔王を完全に貫くといったところで【減速空間(スローミア)】を形成していた魔鉱石が砕け散った。制限時間が来たわけではない。内部からオリエンスの抵抗を受けての結果だった。


「ゴミが。こざかしい真似をしてくれる……!」

「知恵を以て大きな力と戦うのが人間ですわ! 舐めないでくださいまし!」

「くっ、勇者の力を他者に譲渡するなど……!」


 今度は勇者の力を剣に宿らせると、直接オリエンスへと斬りかかるカレンディナ。能力値(ステータス)は圧倒的にオリエンスの方が上なのだが、瘴気を元にした力は勇者の力の前では思うように力を発現できないでいた。


 ただの相性と言えばそれまでだが、オリエンスは今日、この日の為に時間と労力をかけここまで来ていた。それをただ勇者の力は魔王に対して絶対優位な特性を持つという理不尽な事実だけで無駄にされては納得ができなかった。


「【暴食(グラ)】」

「甘いですわ!」


 バクンと鍔迫り合いをするカレンディナを食い殺そうと大罪の力を放つ。だが、それすらも勇者の力を纏った緑色の盾に防がれてしまう。


「出鱈目な」

「それはあなたの能力値(ステータス)にも言える事ですわ」


 本来の魔王の能力値(ステータス)は軽く万の単位にあると言われている。それは下手をすると一般的な人間の能力値(ステータス)の約100倍にあたるのだ。


 人がいくら束になろうが叶う相手ではなかった。故に、それを覆す力を持った者が現れた。それが勇者だ。理不尽に対する理不尽。それは人族の希望となった。


 だが、それは人族によって裏切られた。勇者が受けた心の傷は未だ癒えていない。


 今、その希望の思いは代行勇者たるカレンディナに向けられている。


「負けることなど、許されないのですわ!」


 背負う者に思いを馳せ、力いっぱい押し込む。本来のカレンディナの能力値(ステータス)はある程度鍛えたあとでリサと出会ったこともあり、他のコレギアメンバーよりは高かったが、それでも歳相応だった。


 それでも魔王と渡り合える力があるのは一重に勇者装備の恩恵と【貴族の(ノブレス・)責務(オブリージュ)】による思いの力の恵みがあるからこそだった。


 オリエンスの剣を弾き飛ばし、できた隙へとさらに斬り込む。


「喰らいなさい! これがわたくしたちの力ですわ!」

「くっ、鬱陶しい!」


 ギリギリの所で防御魔術を発動させ、攻撃を防ぐオリエンス。だが、それも瘴気を元に発動した力。ただの一撃を受けただけで使い物にならなくなる。


「このままではジリ貧か……」

「あら、降参ですの?」

「まさか」

「お嬢様!」

「っ!」


 頭上から突如として降り注ぐ闇の魔力。ロロットの警告を受けてすぐ様飛び退いたカレンディナはなんとかその直撃から逃れることができた。


 躱した魔術は地面に着弾すると激しい爆発を巻き起こす。


「無詠唱どころか、このわたくしに魔術の気配すら感じさせないなんて……」

「年季が違うのだ。小娘にこの私が遅れをとるわけがないだろう。その力すら我がものとしてくれる」

「何を……!」

「リリス」

「はい、我が主。偉大な魔王様」

「……!!」


 突如背後から聞こえた声に驚き、カレンディナが振り向くと空間が歪んだかのように揺らめき、そこから1人の女性と1人の男性が現れた。女性の方は翼に角、それに尻尾と明らかに悪魔の容姿をしていたが、男性は人間のように感じられた。


「魔王の仲間ですの!?」

「……!? させないわっ!」


 そこにいた女性……サキュバスの姿を捉え、その気配からベルが何かに気付き【堕落鎌(レイジネス)】を振るい、襲い掛かった。だが、そこに割って入る者がいた。


「いきなりじゃねぇか。まだこっちの要望を通してもらってねぇんだ。やめてもらえねぇか?」

「何を……!」


 ベルの攻撃を受け止めたのはA+級の元冒険者レイル・アーガイックだった。


「その者が?」

「はい。不十分だった力を補充するのにぴったりですわ!」

「ん? おい、どういう意味――っ!」


 いつの間にか後ろにいた魔王。リリスと魔王の会話に不穏な空気を感じたレイルはそれを問いただそうとするが、途中で言葉が途切れる。


「魔王様に失礼な態度をとるなんて……」


 リリスと呼ばれたサキュバスによって【魅了(チャーミング)】にかけられたのだ。対象は異性の1人に限られるものの、効果はレイルの【誘惑(テンプテーション)】を上回っていた。同系統とはいえ、レイルにはその力に抗うことができなかった。


「さぁ、魔王様。今、ひとつに……」

「ダメっ! あなた達も、止めなさい!」

「え? ですが……」

「くっ!」


 ベルが再度止めに入ろうとするにも、またもや空中に無数の闇の魔力が生成されていく。それをベルやカレンディナ達に向けて無造作に放つ。


「あぁ、我が力はこれでさらに次の段階へと昇華される」

「や……やめ……ろ……」

「あなたもしつこいですわね」

「……っ!」


 【魅了】を完全に効かせる為にリリスはレイルに口づけをかわす。レイルがそれに驚き目を見開いた瞬間、バクン、と2人がいたその場所を何かが呑み込んだ。


「くっ、間に合わないなんて……」


 ベルはこの後起きる未来に抗う為に対抗処置を施していく。


「あなたたちも逃げなさい!」

「何故ですの? 私たちの目的は魔王を倒すことですのに」

「はい。逃げる理由がありません」

「そんなこと言ってる場合じゃ……嘘でしょ?」


 カレンディナが持つ剣の剣先はしっかりとベルへと向けられていた。視線も固定され、逃がすまいと身構える。ロロットもそのサポートに回る。


「冗談は……やめなさいよね……」

「ふ、ふふふっ。ふははははっ! 勇者の従者とはいえ、流石に抗えなかったか! 【色欲(ルクスリア)】の欠点もここに解消された。後残すは【怠惰(アケーディア)】のみ。大罪の力は手にすれば多かれ少なかれ性格に影響を及ぼす。それ故に計画に支障がでないように後回しにしていたが、それも終わりだ。ベルフェゴール」

「ほんと、嫌になるわね。早くしなさいよ、フェニックス……」


 ベルの頬にツーっと、一筋の汗が流れた。


次回12/2更新予定

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