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庭の庭の庭の綻び

丸がある。何色か表現し難い色一色に染まった空間。


その空間の色とは異なった、黒、というには明るくて灰色というには


濁った色をした、目に見えて大人のこぶし大の丸がそこにあった。


その丸は前後左右、上からも下からも丸に見えて、どれだけ近づいてもどれだけ離れても


その見えている大きさに変化は起きない。その空間にはそんな丸だけが見えている。


『・・・?』


声、というより音。というよりハッとした吐息がおきる。


 『どうした?』


声、というより音。のようなどこから聞こえたのかどこから発しているのかわからない声が


その吐息に聞くようにその空間に響く。


『我々と同じものを中で感じた・・・』


空間にただ一つある丸がゆっくりと回った、気がした。


 『この中にか?』


『この中の・・・中の・・・中・・・だな』


 『この庭の・・・者たちの庭の・・・庭か。どこかはわかるか?』


『・・・細かすぎてわからない。とても小さい綻び・・・だが確かに感じた』


 『それで・・・それが?』


『・・・かの方のお言葉・・・』


 『我々を挟んで消す。だったな。それがこれだと?』


『わからない。だがあのような下の次元で我々と同じものがある。これは確かだ』


 『調和が崩れる時間のほころび、それが今。だということか』


『それもわからない。この調和を崩す時間のためのほころびにしては小さすぎる』


「いや、当たってるよ。あれは調和を崩すほころびだ」


会話のような音の響く最中、はっきりと声とわかる声が大きく、しかし穏やかに空間に聞こえた。


『あなたか。形ある者』


「今はその半身だけどな」


 『二つ身に分けられたと言っていたな。そのもう一つが要するに・・・』


「そういうことだ。お前達を消すために。その半身の命がその心を見つけた」


『我々は消えるのですね』


「・・・ああ」


 『・・・なぜ消える?』


「さあな」


 『お前が身を二つに分けてここと下の次元より我々をはさんで消すのだろう?


理由を知らないということはないのではないか?』


「勝手に分けたのはアレだ。そしてお前たち二つを消すと言ったのもアレだ」


『かの方の意志が全て。と・・・そうですね。我々はそこにそう在ればいい。


そしてそうなるのならそうなるべきなのでしょう。』


 『・・・そうだな。それもそうか。我々が思いを巡らせてもしょうがない』


『しかし、この中はとても調和がとれています。時という概念でどれだけを経た今も


それぞれの庭にそれぞれの動きがあろうと、その調和そのものが崩れる事はありません』


「それについてはこれから起きるのだろう。アレがなぜ私を二つに分けて


一番下の次元に置いたのか?その理由も思惑も含めてな」


 『確かに、形あるものの半身に気づく者が庭の中にいないとは思えん』


「庭に生をなす者は庭の外に出ることはない」


 『だが庭の中ならば庭に手を出すことはできる』


『我々がたまに、ごくたまにその中のものと接触することがある。


それをその中の者たちも・・・ということですか?』


「その中の者たちは我々に接触することはできない。しかしその逆はできる。


その中の者たちもそのことを知る者がいる」


 『特に我々との接触ができるこの中の者はその者たちの庭はおろか、


その庭の庭にまで手を出そうとする者もいる』


『そういう流れを、時に崩し、時に直し、調和を保っていたのが我々、なのですが・・・』


「・・・」


 『我々が消えて、その先はどうなる?』


「・・・」


『・・・そうですね。我々がいなくなるだけ。ですね』


 『時々、なぜ我々はいるのか?を考えるが・・・見つけられない物しか持たぬのに


見つかるわけがない。という気づきを繰り返すだけだ』


『それはきっと、なぜ我々は消えるのか?という問いも同じことなのでしょうね』


「あの次元に目覚めた私の半身は、一生命体としてそこにあるようだな」


『ええ、今ならはっきりわかります。とても小さな、しかしとても力強くそこに。


しかし、その次元の中のものにはその生命体としての認識しかできないでしょう』


 『他の次元ならば目立ってしまうかもしれないな。なるほど、これが調和のほころびか』


「あの半身にはこの場にまで来てお前たちを消すという目的がある。だが、


あの次元からでは、一生命体ではとても可能だとは思えないな」


 『だが、かの方のやったことである以上疑う余地はない』


『あの形ある者の存在に気づいた他の次元の者達が今までにない調和の崩壊を起こすでしょう。


我々ですら直せないほどの・・・それを登ってくるのでしょうかね』


「・・・」


 『かの方は我々を挟んで消す。と言った。しかし、抗うな。とは言わなかったな』


「そうだな・・・」


『・・・何を考えているのですか?』


 『私はお前だ。お前の考えていることそのものが私の考えていることだ。


調和は崩れようとするだろう。我々はそれに手を出す・・・それだけだ』


『ど


「どう出すかはお前たちで考えろ。私は私、お前たちはお前たちだ」


『ふふふ、かの方はどうお思いになられるでしょうかね?』


「お前達がアレにどう思われるとかを気にしたところで止まることはないだろう。


それに・・・それもまたアレの思惑通りだろう」


『そうなのでしょうね。しかし、我々が積極的に動くわけにはいきません』


 『あの形ある者の半身は目覚めたばかりのようだ。あれほど下の次元にあって


あれほどの力は、知る限りならすでに次元そのものが割れていていいのだが』


「何かあるんだろう、我々にもわからない何かが」


『だからこそ何かが起こらないはずがない。ですね』


 『私の中にある、命あるものから集まってくる「欲」が先程からざわついてきている・・・』


「慌てずに取っておけ。その欲を解放する時はきっと来るだろう。


運命、といったか?運命の時まで何を、どうするにせよ、自分の役割は忘れてなならない」


『『心得ています』』


「では、また来る・・・」


声が消えた。空間には丸が佇んでいる。


 『お前はどう思う・・・?』


『何も、かの方の意思のままにあろうとするだけです』


 『そうだな。かの方の意思のまま・・・その時にその時のことをしよう。ふふふ』


会話する音。最後に聞こえた笑い声のような音はとても楽しそうで、


どこか冷たく空間に響いた。そして・・・音も消えた。空間には丸が佇んでいる・・・。

申し訳ありません。読みづらい表現や読解に苦しむ文章があるかもしれません。

筆者の語彙力の低さのせいです。それでも読んでいただければ幸いです。

彼らが何者なのかはもっともーっと先になります。

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