第0話 キッカケのキッカケのキッカケ
誰かが言っていた。宇宙・・・それは最後の開拓地。
開拓地かどうかは知らないが広大すぎる宇宙には地球人類の知らない生態系、技術、銀河が
これまた数え切れないほどあるかもしれないし、実はそこそこな数くらいなのかもしれない。
この物語は、地球の技術とは比べ物にならない宇宙空間航行が可能な技術を持った文明の
ある星の、宇宙探査空母から始まる。
巨大な円盤の中心から円錐を3段くびれて伸ばし、それが上下に付いているような形。
イイモデッド星系シナニクト星探査船団、旗艦空母シナーナである。
その巨大空母から前方にレーザービームが伸び宇宙空間だからなのか距離感は分からないが
肉眼でやっと確認できる距離にその空母の四分の一くらいのサイズの宇宙船がビームでつながっている。
よく見るとその宇宙船の先にもビームが伸びておりそのさらに先に、その宇宙船と同じ形の船が
またつながっている。それらは最終的に空母から八隻がつながっていた。が・・・
「第七より通信!第八探査艇の生命反応消失!こちらも確認できました!」
空母の艦橋の乗組員はその通信をどよめきながら、悲しみに落胆しても
その姿勢をそれぞれの任務に向けている。
「やはり無理だったか・・・。全探査艇へ通信、帰還せy →
「第7から通信!第8の隊員より通信が来ました!!」
船長らしき男性の言葉を遮り狂喜に近いトーンで通信使が割り込んできた。
一同のどよめきは先ほどのものと違い驚きと喜びが多い。だが船長と一部の人間は
[生命反応消失]の事実が、事実である事を疑う余地がないことを知っていた。
もちろん今喜んでいる者たちにも、その冷静な結果が波のように広がった。
『生命反応がない船から通信・・・?』一同に悪寒が走る。
この探査空母を有するほどの文明の人類にも喜ぶものがあれば恐怖するものがある。
どことなく新しく感じるほど綺麗な外観の空母だが実はその太陽系の文明星系では
歴戦の探査船団と知られており、今回の任務の過酷さはクルーの全てが自覚しているのである。
人体の復元、蘇生もその人間の意識を留められているなら可能なほどの医療技術を有しており
目下、今この船団の任務であるこの現状も、超高度な技術を持つ文明ならではの任務であった。
それほどの任務を課せられた空母の乗組員たちが恐怖に駆られる事態。この任務とは、
空母の目の前には・・・ケーブルビームで繋がった探査艇、その探査艇の連なる先、
第四探査艇のビームの先にいるのであろう第五探査艇の姿は見えない。
宇宙空間、そこは暗黒の中、宝石のような星星に彩られた宇宙空間にさらなる闇の空間、宇宙の墓場、
通称「サルガッソー」その最奥部に到達する事、その最奥部の情報を得ることがこの船団の任務であった。
空母船内、
「第七の通信をすべての船と繋げろ。ただし応答はこっちと第七、八だけにしろ。」
「了解。回線を更新します」
迅速な通信の更新を終え通信使が船長に合図した。
「第七のチーフ、モブルだな。第八の生命反応はないとあるが第八からの通信とはどういうことだ?」
「はい、だ、第八の探査艇は全壊しました。我々の第七艇の位置がサルガッソーの超重力場の
範囲外ギリギリのようです。第八艇は我々の距離から発光体を発見、シールドの強化を施して
予定の位置に再前進しました。そして我々の視認範囲を越えたあたりから第八の乗組員から
「もう戻れそうにないが、現在超重力場を確認できない場所にいる。
我々はシールドを軽装型に変え独立して最奥部を目指す」と」
「待て!それを何故この段階でいう!判断は私がやる。なぜ私に報告しなかった!」
「超重力場は我々の強化したシールドでも数分持てばいいという結論を第八で出していました。
しかしそれを言えば現状ではそれ以上無理だという結論になり探索中断になる。
しかし重力場を超えれば発光体に近づくことができる。と・・・」
「当たり前だ!まずクルーの安全を考慮することが最優先だぞ!生きていればまた再探査できる!」
「船長!我々は探検家です!!」
船長以上の声量の音声が空母の艦橋、各探査艇に響き渡る。
「可能性が目の前にあるならリスクを恐れず前に進む。たとえその時失敗しても、
その失敗という情報から成功への可能性を手繰り寄せる。そうすることで失敗は成功になる」
「・・・私の言葉だ」船長が興奮して立っていた膝を折りため息混じりにそう言って座る。
「私の説得にも、誰一人応じず・・・彼らは通信を切りました。その直後生命反応全て消失、
探査艇の反応も消えていました。ですが、ケーブルビームの反応は健在。
そこから今も通信が来ています」
「そういうことか、船が壊れて生命反応が感知できないだけなのか。
重力場のない場所があればそこに避難してそこから通信が来ている。ということか。
サルガッソーの超重力場の中心圧力は情報の更新が必要か、亡くなった者たちの
ことを今悲しむより、彼らのおかげで生き残ったその隊員を助けることを考えよう。
ケーブルビームの供給出力をこちらからオーバーチャージしよう。
そうすれば第七のシールド強化と移動距離を一時的に上げられるだろう。
どうにか生き残ったその隊員に接触し直ちに第八の生き残っている隊員を救助してくれ」
「それが、ですね・・・その隊員、モブリーというんですが・・・」
「第八の隊員の情報は把握している。モブリーは生きているんだな?」
「い、いや・・・えっと・・・死んでるそうです」
「!!!!!!!」
[全生命反応消失]した全壊の探査艇からきた通信の発信者は・・・?
サルガッソーの最奥部、モブリーの生死はその中にある。かもしれない。
ほかの完結していない小説もありますが、
なんとなく面白そうなのが浮かんじゃったんで書き始めました。
ご都合な「力」を宇宙の知らなそうなところから引っ張ってきて
その「力」にはある思惑があってその思惑のまま、何もしらない
そのへんの人間にくっつけてしまうとどうなるかな?
って感じで始まります。
他と同じく不定期ですがなるたけ更新していきたいと思います。
よろしくお願いします。
なお知識の誤認は小説ということで見逃してください!><
ちなみに、まだ物語冒頭にも差し掛かってなかったりします・・・。