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1、始まりの洞窟


薄暗い洞窟の中、さほど入り口から離れていなく歩漏れ日が差し込むほどの場所。

そこに、気を失い倒れていた一人の少女が今、少しずつ意識を覚醒させ初めていた…。

そして、天井から今まさに少女の額目掛けて水滴が、ピチョンッと、滴った。


「んっ…、冷たっ!」


反射的に上半身だけ手をついて起き上がってしまった。『べちょっ』っと、音が鳴ったわけでも無いのに、そう聞こえてきそうな嫌な感覚と共に。そして、


「えっ、きゃーーーッ!!」


悲鳴のような声が洞窟の中にこだました。



数時間前


「もー、何でこの子達言うこと聞いてくれないのよ(涙)」


「はいはい、カラオケ行くんでしょ?私ら先に行ってるから、愛空あいかもそんなの適当に終らせて早く来なね。」


はぁーっと、涙目になりながらため息を吐きシャーレや白金耳を片しながら、友達たちが出ていった教室の扉を眺める愛空の姿があった。


この高校は、埼玉県の大宮にある農業工業一貫校で、三年になると研究等を行い卒論のような物を提出しなければならなかった。


愛空は、身近な菌の培養と特徴、について研究しようと培養していたのだが、ここ最近何故かコンタミしてしまい培養が立て続けに失敗しているのであった。

そんな、落ち込む愛空に、今日はカラオケでも行ってリフレッシュしよぉっ!と、誘ってくれてたのである。


片付け終え、友達が待っている駅前まで行くため全速力で自転車をこごうと、何時もは通らない人通りの少ない道を走っていた。

しかし、こういう時にかぎって突然、子供が飛び出してきたのだった。

けれど、愛空は自転車のスピードを緩めなかった、緩められなかった。むしろ速めることにした。

そして、バァーンッ、愛空は宙に舞っていた。乗っていた自転車と共に。


『良かった…間に合って…。あーぁ、カラオケ…行けなかったな……。てか、あのトラックな、んな、のょ…』


アスファルトに転がりながら四肢が折れ、薄れ行く意識のなかで何故か、焦ることもなく落ち着いた状態でそんな事を愛空は考えていた。それは、助からないとさとったが故に諦めていたからなのか本人さえも定かではない…。


十字路、右から子供が飛びだし、正面から何故かスピードを落とさず直進するトラック。子供が助かったのは奇跡としか言えない状態だった。


『はぁ、バドミントン部…入って…て、初めて…よかっ…たって…おも…えた……。』


そんななか、意識を手放す瞬間、女とも男ともとれる声が直接心に語りかけてきた


『君の行動は優しく勇敢で素晴らしい行いだったよ。見捨てることも出来たのに…。ご褒美と言ったら君は怒るかもしれないけど、残っていた寿命がだいぶあるから、ここよりも少し過酷な世界に転移することにするね。時間がないから後は、あっちの世界で話すから。またね』


「なん…じゃ…そりゃ…」


死ぬ直前とは思えぬ声の大きさで紡いだ言葉は、愛空の地球による最後の言葉となった。


そして、現在、


「えっ!きゃーーーッ!!」


悲鳴のような声と共に、眼を輝かせて自分の手のついた物を眺めている愛空がそこにいた。

そこに、


『えっと…、興奮してるところ悪いんだけど、目が覚めたみたいだからさっきの話の続きをしたいのだけど…いいかなぁ?あと、質問とか返しは喋らなくても心に願ってくれたらこっちに伝わるから、よろしくね。』


『あー、あー、マイクのテスト中』


『マイクって…大丈夫聞こえてるよ』


『おお!すごいねこれ!!…っで、あなたの名前は?ここはどこよ?』


『切り替えはやっ!まぁ、話が早くて助かりますけど…私の名前は運命神が1人、クロートーよ。改めてよろしくね。で、今あなたがいる場所はメリア洞窟。大陸の南東、海岸近くにある、王都からちょっと遠い場所にある…バルザー王国の端っこね。』


『神様実在したんか…。ちょっと遠いとか、端っことか妙に気になるけど…』


『まぁまぁ、細かいことは気にしないで、ここからが重要だからしっかり聞いといてね。』


『んー?誤魔化されたような…。で、重要なことってなんですか?』


『えーと…、その世界にはステータスがあって、レベル、職業やスキル等が確認できます。えー、又、表示されている数値により身体能力等に影響が出ます。と、こんな感じだね』


『いやいや、うん、なんと無く理解したしけど、1つだけ突っ込ませて…、何故に棒読みやねん!!?』


『それは、説明書を読んでるからしょうがないよ。元々私の管理する世界じゃないからね。ちなみに、私忙しいから今日はこの辺でバイバイね。』


『そうなんですか。わかりました。…ってなるか!まてっ!』


『………』


「もう、切れてるっ!…しょうがない、ステータスの確認でもしてみるか…。」


愛空は、モヤモヤする気持ちのなか取り敢えずステータスの確認をしてみることにした、しようとした。


「開けっ…?ステータスオープンっ…?何で?」


声の大きさに強弱をつけてみたりして試してみるが、ステータスが開かれる気配が全くない。

そこで、試しにさっきの運命神クロートーと会話した時のようにステータスを意識してみると、ボァンッと、これまでの苦労が嘘の様に簡単に開いた。

読んでいただきありがとうございます。

初めての投稿なので、たどたどしい所があると思いますが、何卒宜しくお願いします。

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