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カンガク  作者: HAL姉
9/10

第9議論(3:2)

声劇台本(3:2)

男性3人、女性2人、計5人用声劇台本です。

シリーズ物ですが、単発でもご使用頂けます。

全話とリンクしている部分が多少ありますので、宜しければそちらもどうぞ。


所要時間20分前後


キャスト

男1:

男2:

女:

後輩1(男):

後輩2(女):



男1

「んなっ…何だ、今日は…」


男2

「やっと来たかぁ。

ふふん、2人(そろ)ってとは…どうやら順調に愛を(はぐく)んでいる様だな。

まぁ2人とも座れ、今日はいいニュースだぞ」


男1

「ニュース…だと…!?」


「ちょっ、ちょっと、その前に、あ、愛がどうとか…あんたそこちゃんと突っ込みなさいよ!」


男1

「何故だ!?

事実ではないか!!」


後輩2

「うわぁ…先輩方、そうなんですね、そういう関係になったんですね!

ふふ、これはあたし達にとってもいいニュースです」


男1

「おお、キミは確か……ええと…」


後輩2

「ちょっ、確かって何ですか。

今日も職場で会いましたよねぇ、先輩」


男1

「お?

おぉ、そうだったそうだった!」


後輩2

「どんだけ記憶力(とぼ)しいんですか…

常に新鮮でいいですねぇ」


男2

「え、何お前ら、一緒の職場なのか?」


後輩2

「えぇ、そうなんです。

超氷河期の就職活動を乗り越えて入社した会社に、伝説…かどうかは分かりませんが、あのカンガクサークルの発起人(ほっきにん)である先輩の姿を見付けて、あたしは何とも言えない気持ちになりました」


男1

「おい、それはどういう意味だ!?」


「言わんとしてる事は分かる。

てか、じゃあ…私とも同じ大学出で尚且(なおか)つ同じ職場って事よねぇ?

今まで見掛けた事無い様な気がするけど」


後輩2

「えぇと、あたし経理なんです。

先輩みたいに営業の方はよく出入りされますけど、秘書課の方は縁が無いですもんね」


「あぁ、なるほどね」


男2

「しっかし、今でも不思議に思うわ。

コイツに営業なんて(つと)まんのか!?」


男1

「余計なお世話だ!

これでも営業成績はーー…」


「お察しの通りよ。

特定の、ごくごく一部のお客様にだけはウケてるみたいだけどね」


男2

「そうだろうな、言わなくても分かるからもういい」


男1

「んんんっ……えー、こちらの青年は?」


後輩1

「あ、ええと…初めまして。

いや、実は俺も何でここにいるのかよく分かってないんすけど…」


後輩2

「先輩には、やっぱりきちんとご報告しなきゃかなーと思って連れて来たんです。

彼、あたしの彼氏でして」


男1

「ほう!

そうかー、彼氏が出来ないとよくボヤいていたが、とうとう出来たか!

そりゃめでたいな!」


後輩2

「一言余計な上に何でそこは覚えているのか謎ですが、有難うございます、と言っておきます」


男2

「いや、それでな。

彼氏っつーコイツが俺の部署の後輩なんだよ」


「えっ?

それ、どういう繋がりなの??」


後輩1

「実は、上司に見合いの話を持ちかけられまして…で、恋人がいるのでお断りした所を見付かって、それはもう根掘り葉掘り聞かれたんす」


男2

「人聞きが悪いな。

可愛い部下の為を思って、じゃないか。

はっはっは」


「うわぁ、気の毒に…」


男1

「んで、何故この集会を(かま)えるに至ったんだ??」


男2

「そこだ。

いやぁ、俺も驚いたんだがな?」


後輩2

「あっ、そこはあたしの方から話をさせて下さい。

実は、彼と付き合う事になったキッカケがカンガクだったんですよ」


男1・女

「何…だと…!?」


男2

「おっと、また随分と毒されたなぁ。

そんなとこまでハモるとは」


「それでそれで!?」


男2

「って、何だ、いつもの拒絶反応無しか?」


後輩1

「うわぁ、目の色が変わるってこういうのを言うんすね」


後輩2

「で、ちょっと皆さんに相談事があって今日集まって貰ったんですよ」


「うんうん、で!?」


後輩2

「それがーー…」


男1

「待てーい!」


「ちょっ、何よ急に!

あんたは黙ってて!」


男1

「いいや、ここは黙っちゃおれんな。

その相談事だが…ここは一つ、カンガクの議題にしようじゃないか!」


男2

「げっ、出たよ…」


後輩1

「うわぁ、コイツから散々聞かされてたんすけど、ホントだったんすねぇ。

何でもかんでもすぐにカンガクにするって。確か、大いに議論するって意味でしたっけ」


男2

「そうそう、侃侃諤諤(かんかんがくがく)、の略だな。

でもまぁ、何だ、相談事って言ってんだし、流石にカンガクの議題にすんのはーー…」


後輩2

「いいですよ」


男2

「いいんかーい!」


後輩2

「えぇ、きっと先輩の事ですから、そう言ってくると想定済みでした」


「そこまで読んでたって事ね」


男1

「よし、カンガクだカンガクだ!

(すみ)やかに議題を提示してくれたまえ!」


後輩1

「うわぁ、水を得た魚の様だ…」


後輩2

「では、本日の議題を発表します。

『結婚前は同棲(どうせい)すべきか(いな)か』、です!」


「きゃーっ!

何なに、もう2人はそこまで話が進んでるの!?」


後輩1

「え、いや、その…」


男2

「何だ、歯切れが悪いな」


後輩2

「それがですねぇ…

聞いて頂けますぅ?」


「うんうん!」


後輩2

「実はーー…」


男1

「ちょーっと待ったぁ!!」


「えぇい、うるさいっ!」


男2

「何だ?

ねるとんか?」


後輩1

「えっ、ねるとんって何すか」


「何なのよさっきから、話の出鼻(でばな)(くじ)くんじゃないわよ!

黙ってろって言ったでしょ!?」


男1

「いーや、これは黙っちゃおれんな、ぱーとつーだ!

何だかこのままじゃカンガクが成立しない空気ではないか!

それは断じて許さんぞ!」


「はぁ!?」


男1

「いいか、あくまでもカンガクの議題として話を進めて貰わないとだな、俺の立場が無くなるだろう!?」


男2

「お前の立場なんかどうでもいいよ」


男1

「な、なん…だと…!?」


後輩1

「あのぅ、ねるとんって…」


「あぁ、コイツは無視していいわ。

で、どういう事な訳?」


後輩2

「はーい。

えっと、実は先日付き合って半年経ちまして。

で、あたしとしてはそろそろ一緒に住んでもいいかなって思ったんですよ」


男1

「お、おおっ!?」


後輩1

「ねるとん…いいや、後で検索しとこ…」


「それでそれで?」


後輩2

「そしたら、彼がそれは出来ないの一点張りでして」


「えぇ〜、何で!?

いいじゃない同棲!」


後輩1

「えぇっ、いや、うーん…」


男2

「何ださっきからハッキリしねぇな。

あ、もしかしてやましい事でもあんのか?」


男1

「何っ、やらしい!?」


男2

「やらしいのはお前の頭の中だけにしとけ。

ついでに耳掃除も(おこた)るな」


後輩2

「まさしくあたしが声を大にして言いたいのはそこ、そこなんですよ!」


「なるほどねぇ。

で、この場でハッキリさせようって事か。

そこんとこどうなの?」


後輩1

「えぇ…何なんすか、皆そんな(さげす)む様な目で見ないで下さいよぉ」


男1

「一緒に住む…ドウセイ、か…」


男2

「そこ、また何か勘違いしてそうだが…

まぁいい、放っておこう」


後輩2

「男でしょ、この際ハッキリしたらどうなの?

ていうか、あたしとは遊びだった、とでも!?

はたまた実は妻子(さいし)がいるとか!?」


後輩1

「ちょっ、何でそんなに妄想(こじ)らせてんだよ」


「これは君の責任よ。

ちゃんと答えてあげなさい」


後輩1

「えぇ〜…カッコ悪いんで言いたくないだけなんすけど…」


男2

「大丈夫だ、既にかなり格好悪いぞ」


後輩1

「そんなぁ…」


男2

「ここは腹割って話そうじゃねぇか、ん?」


「あら、何だか私より食い付いてるわね」


後輩2

所詮(しょせん)、あたしは日陰の女って事なんですよ…

こんな事ならあの時カンガクなんてするんじゃなかった…

そしたらこんな思いせずに済んだかもしれないのに…」


男1

「おい待て、カンガクなんて、とは聞き捨てならんぞ!

崇高(すうこう)なカンガクを何と心得る!」


「そう思ってんのはあんただけよ。

さぁ、吐きなさい。

何故同棲は不可なのか!」


後輩1

「取り調べ室っすか、ここ」


男2

往生際(おうじょうぎわ)が悪いぞ〜。

ほら、枝豆やるからさっさと吐け!」


後輩1

「そこはせめてカツ丼にして下さいっす」


男2

「どこの居酒屋にカツ丼が置いてあるってんだ?」


後輩1

「いや、あの、詰め寄って来ないで下さいよ…ただでさえいかつい風貌(ふうぼう)なのに、(すご)まれたらシャレになんないっすよ」


男1

「ううむ、何だか良く分からないが、吐かせればいいのか?

まだ(たい)して酔ってはいなさそうだが…

よし、俺とトイレに行くぞ」


「もーマジであんた黙ってて、邪魔!」


男1

「なっ…邪魔者扱い…!

カンガクは俺のモンだぞ!」


「いつどこで、何であんたのモンになったって言うのよ!」


男1

「それは、先週の金曜日、居酒屋で、お前の同僚から命じられてお前が俺のモンになったんだろう!?

まさか忘れーー…」


「だぁっ!

何でそう話がすり変わんの!

このお馬鹿っ!!」


男1

「ぐふっ……い、いい…右ストレートだ……ガクッ」


後輩2

「…あの、もう、いいです」


「えっ!?」


後輩2

「議題、取り下げます。

今日は忙しい中お集まり頂いて有難うございました」


男2

「お、おい…」


後輩2

「申し訳ありませんが、先に帰らせて頂きます…」


「ちょっとちょっと、待って!?

ごめんね、ちゃんと話そう?」


男2

「そうだぞ。

それに、そんな顔の女をこのまま帰す訳にはいかん」


後輩2

「もういいんです」


「良くないって、ちょっとーー…!」


後輩1

「ごめんっ!!」


後輩2

「だからもういいってば」


後輩1

「頼む、聞いてくれ。

今更虫が良過ぎるかもしれないけど、このまま別れるのは嫌だ」


「おおっ!

何という胸キュン台詞(ぜりふ)!」


男2

「うん、お前もちょっと黙って見守ろうな」


「あ、そ、そうね、うん」


後輩1

「実は俺、借金持ちなんだ!」


後輩2

「……えぇっ!?」


後輩1

「だからまだ同棲は出来ない。

したくない訳じゃないんだ。

1年待ってて欲しい」


後輩2

「ええと…借金?」


後輩1

「うん」


後輩2

「それって……いくら?」


後輩1

「それは言えない。

けど、1年で完済(かんさい)させる」


後輩2

「何の借金?」


後輩1

「それは…それこそカッコ悪くて言えない」


後輩2

「まさかギャンブル…あっ、女に(みつ)いでたとか!?」


男2

「ダメだダメだ、こりゃ随分と(こじ)らせてんぞ。

格好とかは置いといて話してやれよ」


後輩1

「……俺…オタクだったんだ!」


男1

「オタク…?

あ、お宅様はどちら様ですかぁ…」


「やだ、もう起きたの?

まだノビてていいわよ〜」


男1

「ぐふっ…ちょ、チョークスリーパーはやめ……ガクッ」


後輩2

「オタク…ですって…!?

因みに何オタク?」


後輩1

「…ガムダン」


男2

「んん?

それって確か、いわゆるガノタとかっていうオタクって事か。

いやでも、借金する事になった過程が分からんぞ?」


「えっと、ロボットアニメよね。

確かに…そんなにお金がかかるグッズとかがあるの?」


後輩1

「俺、プラモデルが好きなんす。

新作が出る度に60分の1スケールとかガンガン買っちゃうタイプで」


男2

「あー、万は超えるヤツだなぁ」


「えっ、プラモデルってそんなに高いの!?」


男2

「あぁ、プレミアもんだと倍率ドン!

更に倍!」


「ひえ〜、そんなにするんだぁ」


後輩1

「でも、コイツと付き合う様になってからは足を洗ったんす!

だから1年ーー…」


後輩2

「今からあんたんちに遊びに行く!」


後輩1

「え」


後輩2

「なぁんだ、あんたもガノタだったなんて〜。

そんな素振(そぶ)り無かったから知らなかったわ。

早く教えてくれれば良かったのに。

それに、足を洗う必要も無かったのに〜」


後輩1

「え、ちょっ…えぇ!?」


後輩2

「先輩方、今回は本当にお騒がせしましたぁ!

ここの支払いはしておくのでこれで失礼しますねっ!

ほら、早く早く!」


後輩1

「いって、んな引っ張んなって!!

あ、あの、ホントすんません…」


後輩2

「うふふ〜、歴代のガムダン勢揃いかしら〜。

ショア大佐のもあるかな〜」


「……え…何これ…」


男2

「俺にもサッパリ分からん」


男1

「ドウセイ…どないせいっちゅーねん!

ぐふぐふ」


「あれ、コイツ白目向いて何言ってんのかしら。

さむっ」


男2

「お前がさっきチョークスリーパーでオトしたんだろ…

女って怖ぇな、色んな意味で……」


男1

「締め…締めはやっぱりラーメン…」




-end-

有難うございました!

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