第7議論(0:3)
女性3人用、声劇台本です。
単発でも問題はありませんが、シリーズを通して頂くとより楽しめます。
お好きな様に楽しんで頂ければ幸いです。
使用される際に連絡を頂ければ喜んで聞きに参ります。
録画を残せる媒体を使用される場合は、是非お願い致します。
(所要時間17分)
キャスト
女
同僚
後輩(女)
同僚
「へぇ、お洒落な喫茶店ね〜。
モダンだし、椅子の座り心地もいいし」
女
「でしょでしょ!
この間プラッと散歩してて見付けたんだけど、雰囲気もいいし、ある程度のプライバシーも尊重される感あってさぁ」
後輩
「えーと…
あ、先輩〜!
はぁ、はぁ…すみません、ちょっと迷っちゃって…」
女
「こっちこそ急に呼び出してごめんね〜。
でも、走ってこなくたって良かったのに」
同僚
「…この子は?」
女
「ほら、前に話した事あるじゃない?
大学時代の後輩なんだけど…ちょっとね、今日は多角的な意見が聞きたくて」
同僚
「来るのは彼女だけ?」
女
「うん、これで全員揃った!」
同僚
「ふうん…
じゃあ今日は、女子会、って訳ね」
後輩
「先輩、こちらの方は?」
女
「あぁ、こっちはあたしの同僚なの。
中立的な考え方の持ち主でね、色々と頼りになるのよ〜」
後輩
「へぇ、そうなんですね。
今日は宜しくお願いします」
同僚
「こちらこそ」
女
「立ち話もなんだし、座って話しましょ」
後輩
「そうですね。
あー、喉乾きましたぁ」
女
「と思って、キミの分も注文しといたよ。
いつもので良かったよね?」
後輩
「さっすが、先輩分かってますね!」
同僚
「んー…っと、じゃあ、人も揃ったんだし、そろそろ本題に入って貰っていーい?」
女
「え?
あ、そーね…ううん、どう話せばいいのかな〜…」
同僚
「勿体ぶらないでよ」
女
「そういうつもりじゃ…
あ、ちょっと聞きたいんだけど、あんたってどういうのが好み?」
同僚
「は?」
女
「だからぁ、どういうのがタイプなのかなーって」
同僚
「…はぁ?」
女
「だーかーらーー…」
後輩
「あー、あの先輩、それ余りにも漠然な質問ですよ?
質問するならちゃんと、具体的にしないと」
女
「へっ?」
同僚
「そうよ。
何のジャンルの好みを聞いてるか、それをちゃんと提示してくれないと答えようがないじゃないの」
後輩
「そういう事です。
好きな本とか、好きな食べ物とか、好きな映画とか、ちゃんと具体的にお願いします」
女
「へっ!?
え、映画っ!?」
同僚
「ちょ、どうしたのあんたらしくもない。
声ひっくり返ったわよ?」
後輩
「先輩、流石にこの店で恥ずかしい事しないで下さいよ…
どうしたんですか、映画が何か?」
女
「えっ、あ、そのぅ…
と、取り敢えずそこは気にしないでちょーだい、うん」
同僚
「心の底から気になるけど、まぁいいわ。
で、あんたが今聞きたいのはー?」
女
「えっと…だ、だからね…?」
後輩
「…先輩?」
女
「その…うあっ!
ダメだ、もうダメあたし…」
同僚
「…ピーン!」
後輩
「ふぇっ!?」
同僚
「私、閃いた」
後輩
「…あのぅ…閃いたのは分かりましたけど、擬音を声に出すのやめて貰っていいですか?
何事かと思ったじゃないですか」
同僚
「しょうがないじゃない、今頭の上に電球がこう、現れてパッと光ったんだもの!」
後輩
「いつの時代の漫画的手法ですかそれ…
あー、で、何を閃いたんですか?」
同僚
「まぁまず、安易に答えを出す前に、状況を整理しようじゃないの」
後輩
「まだ始まってもない気がしますけど…はい、聞きましょう」
女
「はー、もうあっつい…
何であたしよりにもよってホットドリンクなんて頼んじゃったのかしら…」
同僚
「まず、ここはお洒落な喫茶店であり、客層はほぼ女性のみ」
後輩
「そうですね」
同僚
「尚且つ、呼ばれた我々も勿論性別は女性である。
これだけでも、相談したい事柄についてほぼ7割は確定したと言っていい」
後輩
「おおっ、何だか名探偵みたいです!
で、それは一体…」
女
「すいませーん、ビールってありますー?
あ、無い?
あはは、そうですよね〜……」
同僚
「キミ、まだ分からないの?
女子会と言えば、定番の話題があるでしょ」
後輩
「はっはっは、やだなぁ。
分かってて聞いてるに決まってるじゃないですか。
それは勿論ーー…」
女
「ちっ、違うからっ!」
同僚
「…何あんた、まだ言い逃れる気?
とっとと腹括りなさいよ」
後輩
「その通りですよ先輩、往生際が悪いです。
観念して下さい」
女
「……何この、まるで崖に追い詰められた殺人犯的な状況…」
同僚
「私には分かるわ。
あなた…苦しんでいたのね」
後輩
「何でもっと早く言ってくれなかったんですか?
自分と先輩の仲じゃないですか!」
女
「あ、いや…だからね?」
同僚
「まぁ、何となーく前から察してはいたけど…
何で彼な訳?」
後輩
「や、やっぱりそういう話ですよねっ」
同僚
「なぁに、キミ分かってないのに分かった振りしてたの?」
後輩
「いえいえ、ちゃーんと、分かっていましたとも!」
同僚
「怪しい…」
女
「……くっ、ここはもう諦めるかっ…」
同僚
「そうよ、もう全部吐いちゃいなさい?
大丈夫、ぜーんぶ受け止めてあげるから」
女
「次の店は絶対居酒屋にするわ…
やっぱりあたしにはお洒落な喫茶店なんて似合わないのよっ!」
後輩
「あ、諦めるってビールの事ですか!?」
女
「それ以外に何があるっていうの?
だってさ〜、もう、シラフじゃ無理だもの〜。
柄じゃない、うん」
同僚
「柄じゃないってのは同意するけど」
女
「うっ…自分で言うのはいいけど、人に言われると流石に傷付く…」
後輩
「まぁまぁ、とにかく、先輩が自分達に聞きたい事っていうのは、要するに男性の好みのタイプだったんですね!」
女
「うっ………うん…」
同僚
「ここまで来るのに何分使ってんのよ」
後輩
「ホントですよね。
先輩って、いつもはもっとしっかりしてるのに、こうも恋バナに弱いとは思ってませーー…はっ」
女
「…やめて、その目。
哀れむ様な目をしないで!
お願いだから!」
同僚
「うるさい!
こほん、とにかく…ここは奢りだって話らしいから、サクッと答えときましょ」
女
「え?
言ってない言ってない!」
後輩
「わぁい、先輩、ゴチになりまーす!」
女
「ぐっ…」
同僚
「んんー、好みのタイプ、ねぇ…
私ってあんまり異性をそういう目で見た事無いのよね」
後輩
「えっ、そうなんですか?」
同僚
「うん、愛でるのは好きだけど」
女
「…ちょっと待って?」
後輩
「え、何ですか先輩」
女
「あんた…まさかだけど……腐女子だったの…?」
同僚
「うん」
女
「即答かよっ!
ま、マジかぁ…
相談する相手間違えたかも…」
後輩
「えーと…先輩、ちょっと教えて欲しいんですけど」
女
「…何?」
後輩
「婦女子である事が、何か問題でもあるんですか?」
女
「んん?
いや、だからね?」
後輩
「そんな事言ったら、自分だってれっきとした婦女子ですよ?」
女
「えぇっ!?
嘘、キミもなの…?」
後輩
「はい、当然です」
女
「そんな…
最近は確かにオープンな人が増えてるって聞いてたけど…まさか、今日集まったのが腐女子ばっかりだったなんて!
不覚っ!!」
同僚
「やぁね、偏見よあんた。
腐女子でも、ちゃんと恋バナには答えられるわよ!」
後輩
「ちょっと待って下さいよ。
先輩だって、婦女子ですよね?」
女
「へっ?
いやいや、あたしは違うわよ?
もっと普通のーー…」
後輩
「先輩はどこからどう見ても、婦女子ですよねぇ」
同僚
「なーんだ、実は隠れだったのー?
大丈夫、ここには同士しかいないんだから、恥ずかしがる必要なんてないのよ」
女
「いやいやいやいや、ホントに、あたしは違うからっ!
べ、別にそういう世界があって、好きな人がいる事に偏見なんて無いけど断じてあたしはっ!」
後輩
「先輩、婦女子を否定するって事は、ま、ま、まさかっ…!?
いやでもそんな馬鹿な…
何て事隠してたんですか!」
同僚
「社会人になってからなかなか同士に出会えなかったんだけど、まさかこんな身近にいるなんてね〜。
今日はなんて良い日なのっ!」
女
「だーかーらー、ちっがーーーーーうっ!!!」
間
後輩
「はぁ…何でこんな事に…」
女
「くぁーっ!
ビールをこんなに美味しいと思う日が来るなんてっ!」
同僚
「バカっ!」
女
「いった!!
何で叩くの!?」
同僚
「喫茶店追い出されたの、あんたのせいでしょうが!
初見で出禁喰らうとか有り得ない!」
女
「えぇっ、あたしのせい?
あたしのせいなの!?」
後輩
「ううーん、どうでしょう…
ここは連帯責任って事でいいんじゃないですかね。
自分も大声出しちゃいましたし」
同僚
「うっ…
ま、まぁ、私もついつい喜びのあまり興奮してしまったけれども…」
後輩
「でも残念ですねぇ。
あそこのマスター、渋めで素敵なオジサマでしたよね〜」
同僚
「おっ、さっすが同士!
目の付け所が違うわね。
んー、私の見立てだと、彼は言葉巧みに惑わす攻め…いやでも、年下の生意気な子からの下克上も捨て難いわぁ」
後輩
「……責め?
下克上???」
同僚
「例えば、夜はバーになるとかでぇ…きっと閉店間際に現れた彼との情事が…うふふふふ」
後輩
「ジョージ…?
え、異国文化的な???
すみません、何の話をされてるのか…」
同僚
「あぁ、異国…身分違いの恋も捨て難いわよね〜」
後輩
「もしもーし、トリップしないで帰ってきて下さい〜」
女
「全く、あいつのせいで素敵な出会いともう別れる羽目になるなんてっ!
だってさぁ、急に映画行きたいとか言われたら…あーもうっ!
これが呑まないでいられるかって話よ!
ビールおかわりっ!」
同僚
「はっ!
いけないいけない、つい妄想の世界へ誘われる所だったわ…」
後輩
「大変ですよ、今、先輩から問題発言が飛び出しましたよっ!」
同僚
「えっ、聞いてなかった!
何、何なの!?」
女
「ういっく」
後輩
「ちょっ、先輩もう酔ってるんですか?
ペース早過ぎです!」
同僚
「ねぇ、どんな発言が飛び出したの?」
女
「ちくしょ〜、何であたしがこんなに振り回されなきゃなんないのよ〜…」
後輩
「あーあーもう、先輩、突っ伏さないで下さいよ!」
同僚
「ねえっ、説明してよ!」
後輩
「いや、だから…
んんっと、素敵な出会いがあったんだけど、別れる羽目になって、でもって映画に誘われたって事ですよ」
同僚
「はぁ?
ちょっと待って…何か順番おかしくない?」
後輩
「え?
あぁ、そういえばそうですね…」
同僚
「…ピーン!」
後輩
「おおっ、名探偵、また閃きましたか!」
同僚
「うむ。
まぁ聞きなさい」
後輩
「はいっ!」
同僚
「つまりはこうよ。
彼女は最近、とある素敵な男性と出会った。
まさに恋に落ちる瞬間!
2人の仲を割く様に別の男が現れた!」
後輩
「ふんふん」
女
「ったく…てっきりあたしはいつもの様に、カンガクの誘いだと思ったのに…不意打ちよ…」
同僚
「私の勘では、邪魔者は奴よ」
後輩
「えっ…奴って、誰ですか?」
同僚
「あら、察しが悪いわねぇ…
キミも良く知る人物の筈よ?」
後輩
「さ、察しが悪い…そんな、あの人じゃあるまいし…」
同僚
「そう、察しが悪い男よ!」
後輩
「んえっ!?
ちょ、ちょーっと待って下さい…混乱してきました…」
女
「しかも恋愛映画とか…柄じゃないってのよ…
大体あたしはアクション映画の方が…」
同僚
「うふふふふ…これは面白くなってきたわね」
後輩
「自分にも分かる様に説明して下さい、名探偵!」
女
「あんたはカンガクだけやってればいいのよ…ういっく」
同僚
「よし、ここは調査に行くわよ!
キミも着いてきなさい!」
後輩
「え、ちょ、どこ行くんですか!?
いや、先輩を1人残していく訳には…」
女
「そうよ…カンガクだけ……すー…すー…」
同僚
「カンガクはこれまで!
これからは名探偵、私のターンよ!」
後輩
「えぇーーーっ!?」
-end-
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