第5議論(2:2:1)
男性2人、女性2人、不問1人、計5人用声劇台本です。
シリーズ物ですが、単発で完結しております。
使用される場合は連絡頂ければ喜んで聞きに参りますが、特に規約は設けておりませんのでご自由にどうぞ♪
(所要時間15分)
キャスト
男
女
先輩(男)
後輩(不問)
同僚(女)
先輩
「…何だ、今日の面子は…」
後輩
「えっ、聞いてないんですか先輩!?
何も知らずに来たって事は…まさか単なる呑み会だと?」
先輩
「いやまぁ、どうせアレだろ…想定済みだ」
男
「おっ、来た来た!!
おーい、こっちだこっち!!」
女
「ちょっと、店の中で大声出さないでくれる?
恥ずかしいでしょ!!」
同僚
「うわぁ…既に帰りたい…」
後輩
「あれ、どなたですか?その人…」
女
「コイツが女の子1人連れて来いって言うから、急遽捕まえてきた私の同僚。
なかなか中立的な考えの持ち主でね、議論するにはうってつけかと思って確保したの」
男
「おうおう、じゃあ全員揃った事だし、飲み物は各自好きなタイミングで勝手に注文するとして!
始めるぞ、カンガク!!」
先輩
「出たよ…やっぱりこれか。
何となーく嫌な予感はしてたんだよなぁ」
後輩
「いつもの事ですもんね。
あ、ビール下さい〜、5つ!
それと、枝豆に鶏軟骨の唐揚げもお願いしまーす!」
同僚
「勝手に全員分注文された!?
えっ、勝手に注文ってそういう事?
各自って言わなかった??」
女
「ごめん、これもいつもの事だから…諦めて?」
同僚
「うわぁ、横暴…」
男
「は、じ、め、る、ぞ!」
先輩
「わーったわーった!!
カンガクだろう?」
後輩
「あ、カンガクっていうのはですね。
侃々諤々っていう四字熟語の略で、大いに議論するって意味です」
同僚
「説明どうも…
一応、話は聞いてたけど…何について議論するの?」
男
「よくぞ聞いてくれた!
本日の議題は………ズバリ、『デート代はどちらが支払うべきか』だっ!!」
先輩
「お前ちょっとボリューム落とせ!
店中の視線集めんな!!」
後輩
「先輩も充分視線集めてますよ〜。
痛い男2人、大注目ですよ〜?」
女
「ははーん、なるほどね…
それで、私以外にも女子の意見が欲しいって訳か」
後輩
「じゃあ自分は進行役務めさせて頂きますね。
では、カンガク、『デート代はどちらが支払うべきか』スタート!!
まずは男性陣の意見を聞いてみましょうか」
男
「俺は勿論、デート代は全て、男が払うべきだと主張するぞ!
女に払わせるなんて男が廃るってぇモンだ!」
先輩
「はぁ?お前古風過ぎんだろ。
時代はなぁ、移り変わってんだよ。
時代が変われば男女の関係も変わる、収入だって格差が無くなってきている昨今にその考えは古い!」
男
「外見が昭和臭プンプンの先輩に言われたくねぇ〜」
先輩
「うるせーよ!
あー、俺は、こんな時代だからこそ、デート代は割り勘を主張するな」
後輩
「割り勘…それって、どれ位までですか?」
先輩
「あ?
どれ位って??」
後輩
「えーと、例えば会計が3000円だとして、男性が2000円、女性が1000円っていうのだって割り勘じゃないですか。
それともキッチリ半分こです?」
先輩
「んん〜…難しい所だが、ケースバイケースだな。
こういう呑み会なんかの飲食関係は男の方が多く出すべきだし、カラオケやボウリングなんかの娯楽関係はキッチリでもいいんじゃねぇか?」
男
「うっわ、コイツセコいわ〜」
先輩
「ほほう…貴様、大学の先輩に対してその発言、万死に値するぞ!」
男
「卒業したらそんな上下関係抹消!抹消!」
先輩
「貴様、表へ出ろ!」
男
「へっへ〜ん、やなこった!」
先輩
「決闘を申し込む!」
男
「なっ、手袋を投げ付けるなんて、正式な決闘申請じゃないか…って軍手かよっ!!」
後輩
「………では、気を取り直して女性陣の意見を伺ってみましょう」
女
「放っといていいの、これ?」
後輩
「いつもの事じゃないですか」
女
「そうね、じゃあいいかぁ」
同僚
「えっ、いいの!?」
後輩
「大丈夫です、日常茶飯事なんで。
で、どうですか?
デート代はどちらが支払うべきだと思います?」
同僚
「あ、あたしから?」
女
「ゲストさんから意見を伺いましょう、って事でしょ?」
後輩
「そうです」
同僚
「えー、えっと…あたしは、男性に支払って貰うのは嬉しいけど…毎回だと申し訳ないから、交代交代で、かな」
女
「交代交代って?」
同僚
「んとね、例えばデートで映画館に行くとするでしょう?
そこで男性がチケット代を払ってくれたら、次に飲み物とかポップコーンを買う時はこっちが支払う、みたいな」
後輩
「なるほど、交代交代ってそういう事ですか」
同僚
「会計時にお互い財布を出してその都度割り勘してたら、後ろに並んでる人にも迷惑だし」
女
「そうね、それにスマートだわ〜。
大人のカップルって感じ!」
同僚
「スマートかどうかは分からないけど、デートでお互いまごつくのはカッコ悪いし」
後輩
「男性を立てる時は立てて、出る時は出るって事ですね」
同僚
「うーん、そこまで考えてる訳じゃないけど…それがあたしには合ってるかなって」
女
「ふんふん。
あ、私はねぇ、年齢によるかも!」
後輩
「年齢、とは?」
女
「男が私より年上だったら、お会計は任せる。
でも、要求されたら自分の分は払う」
同僚
「年下だったら?」
女
「私が全部払う!!」
同僚
「おお〜、男前!!」
後輩
「いやいや、年下でもそこは男としてのプライドがですねーー…」
女
「そんなモノは知らん!
私に着いてこい!!!」
同僚
「あ、カッコイイ〜!
付き合いたい!!」
女
「はっはっは、よし来い!」
後輩
「あれっ、何か違う方向に話が…
軌道修正!軌道修正求めます!!
ちょっと先輩達、いい加減戻ってきて下さいよ〜」
男
「うるさい!
これは男同士の真剣勝負なんだ、邪魔するな!」
先輩
「いい度胸だ…さぁ、かかってきやがれ!」
後輩
「……また出禁、喰らいたいんですか…?」
男
「はっ、それはまずいな…カンガクの運営に関わる!」
先輩
「カンガクの運営とかは興味無ぇが、出禁喰らうのは勘弁だな…って、お前出禁された店あんの!?」
男
「その話はしたくない…」
後輩
「あ、後で自分が説明させて頂きますね、懇切丁寧に」
男
「せんでいい!!」
先輩
「うるせっつの!
店員睨んでるだろ!」
男
「ちょっ、何も殴る事無いじゃないか!」
先輩
「ゲンコツで済んだだけ有難いと思え。
俺が本気出したらお前なんかボロ雑巾だぞ?」
後輩
「先輩って空手5段でしたっけ…ボロ雑巾で済めばいいですね…」
男
「うぇぇ……コホン、ではっ、き、気を取り直してカンガクの続きをしようじゃないかっ」
女
「とっくにしてたわよ〜?」
男
「何だと!?
聞いてなかった…」
後輩
「ここは進行役の自分の出番ですね。
要約すると、女性陣の意見は交代制、年齢により都度対応、との事でした」
先輩
「要約し過ぎて意味不明だぞ」
後輩
「そこは察して下さい」
先輩
「そいつぁ無理難題ってモンだ」
男
「いや、俺は察したぞ?
つまり、交代制とは、会計の度に財布を交互に出す。
年齢により都度対応とは、男が年上なら男持ち、年下なら女持ちって事だろう!?」
女
「何て事…普段察しの悪さで有名なこの男が、こんな要約で理解した、だと…!?」
先輩
「おい、何かお前口調がコイツに似てきてるぞ?」
女
「嘘っ!
嫌よそんなの、もう腐れ縁切る!」
男
「そこまで言うかぁ?」
先輩
「はっはっは、これも致し方ない事だ、諦めろ」
同僚
「えっ、何、この2人ってもしかして付き合ってるの?」
後輩
「さぁ、そんな話は聞いてませんけど…そんな事はどうでもいいです」
同僚
「ど、どうでもよくは無いんじゃないかな〜?」
後輩
「えー、全員の意見が出揃いましたが、如何ですか、議題主としては」
男
「お?
おぉ…そうだな…4人の意見がバラバラっていうのが、意外で俺は驚いたぞ。
誰かは被ると思っていたんだが」
先輩
「そういやそうだな…
あ、そういやお前の意見をまだ聞いてねぇぞ?」
後輩
「えっ、自分…ですか?
いや、今回は進行役を買って出た手前、意見は控えようかと…」
男
「まぁまぁ、参考までに聞かせてくれよ。
進行役として全員の意見を踏まえた上で、でもいいし、個人的な意見でもいいぞ」
同僚
「うんうん、聞きたい!」
女
「私は暫く流浪の旅に出るわ…」
同僚
「口調が似てるって言われてショックなのは分かったから、戻ってきて!」
女
「分かってない…分かってないよ……」
同僚
「よしよし」
女
「うぅ〜…本気で嫌…」
男
「全く失礼な奴だ!
何故俺に似てそんなにショックなんだ!
長年の付き合いがあれば、それは至極当然の結果じゃないか!!」
女
「はぅっ!」
先輩
「おい、もう傷口に塩を塗り込んでやるな」
後輩
「えー、では僭越ながら、意見を述べさせて頂きます」
同僚
「どうぞどうぞ」
男
「よし来い!」
先輩
「ん?
何かそのフレーズ聞き覚えがあるぞ…ついさっき耳にした様な…」
女
「やめて、私のライフはもうゼロよ…」
後輩
「コホン、では…
自分は、デート代は各自勝手に判断し、尚且つ円滑に支払うべきだと思います!!
という事で、本日の会計は自分が払うべきだと主張した、議題主にお任せ致しまーす!!」
男
「なっ、ここ全部俺持ち、だとっ!?」
先輩
「異論無ーし!」
同僚
「異論無し!」
女
「異論無しっ!!」
後輩
「では、本日のカンガクはこれまで!
さぁ皆さん、今夜は大いに飲み食いしましょ〜!」
男
「い、異論大ありだちくしょーーっ!!」
-end-
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