表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Soul Blame-ソウルブレイム-  作者: 偽座イル
2/3

天使の園 2話

重い体を起こし、むず痒い頭を手で搔きながら部屋を出る。そして一階へ下りる。毎日やることだが


億劫になるな。


階段を下りていくと、美味しそうな匂いがしてきた。母親が作った朝食の匂いだろう。


さすがに腹が減る。ほんの少し早足で食卓があるリビングに入ると、目が合い苦笑いとも苦笑とも


言えない笑みを浮かべた母親が朝食の準備をしていた。


「やっと起きてきた。全く。早く食べちゃいなさい」


促され自分の席に座る。空席はあと二つ、一つは母親のでもう一つは父親が座る。


家は三人家族だ。父親は見当たらない、俺が遅く起きているというのもあるけど、いつも父は早く食べて


仕事に行ってしまう。


と言っても父の仕事は装飾職人だとかで、家に隣接した作業場にいつもいるから、今日もそうだろ。


「フィートが起きるの遅いからお母さんまで食べるの遅くなるんだからね」


母はいつも、俺と一緒に朝食をとってくれる。俺に一人で食事をさせたくないのだろうか、


正直、寂しいという気持ちはないのだが、そうしてもらえるのは幸せなんだろうな。


「もう、寝ぐせもとらないで起きてきて。貸して、やってあげる!」


母が徐に俺の髪を引っ張り、寝ぐせを直そうとする。母譲りの栗色の髪だが、髪質は似なかったようで


俺のは少し硬く、寝ぐせ等も付きやすい。きちんとセットしても母からは「狼みたい」と言われる始末だ。


「しっかりしてよね、もう私がなんでもやってあげる訳にはいかないんだからね」


「ああ、分かってるよ」


寝ぐせを荒く直し、言う母に、少ない言葉で答えた。



確かに、もうこんなやり取りもできなくなるだろう。




この家にいられなくなる。家族とも離れなきゃならない。





俺は、天使なのだから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ