天使の園 1話
初めまして。イルと言います。
小説はこれが初投稿です。
よろしくお願いします。
-人間は神の子供である-
これは、この世界に伝わるお話の一文。最も古く、広く知られているらしい。
まだこの世界が「楽園」だった頃、神は天使という物を作った。
天使は楽園の中で、神の下に生きていた。
でもそれは間違っていた。その中での幸せは、作り物だった。
天使の一人が、楽園から逃げ出した。
神は、その者を堕天使と呼んだ。
神は、天使に命じた。堕天使を殺すように。
堕天使は願った。この世界を神から取り戻すと。
-この世界には、神がいる-
俺が生まれてから物心がつくまで意識もしない、この話は、親から何度も聞かされて今では
記憶の中を反響するまでになっている。
この世界には、神と呼ばれる存在を信じる考えが深く根付いている。
それは、俺を始め他の大人たちも見たことは無く、けれど、「いない」等と口にした日には
親父から鉄拳を食らう程、当たり前のように信じられていた。
「フィート、起きてきなさい。いつまで寝てるの」
扉の向こうから、俺を呼ぶ声が聞こえる。母親の声だ。
朝から煩いぐらい響き渡るその声で、微睡ながらも起きかけていた俺は、すっかり目が覚めたようだ。