11月
絵が上手くかけないいいいい
11月1日 雨のち晴れ
ヴァルフィンとヴィンティルは今日も一緒に遊んでた。レースだけじゃなくて、一緒にお昼寝もしてたよ。ヴァルフィンはゼーラーゴの魚たちの長だけど、すごく子供っぽいからお似合いなんだ。
日記を読み返して気が付いたんだけど、ヴィンティルが女の子だって書いてなかった。鳥の時だと性別はよくわからないけどね。
エレインはそんな二人を見てうんうん頷いてたけど、何を言いたかったのかな?
11月2日 晴れ
サンディーヴァの鳥達のおかげで定期的に雨が降るって言っても、来たいときにヴァルフィンが来れないのは不便だと思ったから、道を造ってあげた。
ゼーラーゴの湖から一直線にファイオリアの花畑の近くまでね。
ちゃんと流れてくれるか心配だったんだけど、ゼーラーゴの魚達とシャンブルの蝶達で何か話し合ったと思ったら、しっかり繋がったんだ。
魚達と蝶達は言葉がわかるんだなぁ。
11月3日 晴れ
ゼーラーゴの湖の水は、ベルやファイオリアの花達も気に入ったみたいで、ピカピカ光ってた。ファイオリアの花弁に銀色のラインが入ったみたい。
よくみてみたら、シャンブルの蝶達にも銀色のラインが、ゼーラーゴの魚達には黄色のラインが入ってた。何か話し合ってた時に交換したのかな?
ゼーラーゴの水とは別に、しっかり僕も水をあげる。
あげすぎでも根は腐らないってファルタに聞いたからね。
11月4日 彩虹粉
今日はすごくきれいな物をみた。
ファイオリアの花達から、いろんな色の光の粉が巻き上がったんだ。
ファルタやバティは花粉だっていってた。花の粉。そのまんまだね。
白色、桃色、緑色、青色、黄色、銀色、金色。
ベルをくるくると廻るように巻き上がった粉は、そのまま遠くの空へいっちゃった。
きれいだったなぁ。
11月5日 晴れ
昨日の天気を彩虹粉って名付けてみた。ふふん、最近名付けを求められることが多くて、楽しくなってきちゃったんだ。
バティによると、これからもこういうことは起きるらしい。バティはファイオラ並にファイオリアの花に詳しいな。
シャンブルの蝶達とファイオリアの花は家族の様なものなんだって。
11月6日 曇り
ヴィンティルとヴァルフィンがなんだかいい雰囲気だった。もしもの時の為に、お祝いを用意しておこうかな。
オルキディアや姉妹達は花冠を造ってた。この子たちはそれぞれ自分の花があるんだって。オルキディアの花はきれいな青色の花だった。
お祝い何にしよう。
11月7日 霙
今日は白い雨が降った。多分近くに亀がいると思う。僕は大丈夫だけど、シャンブルの蝶達が寒そうだった。サンディーヴァの鳥達みたいに話を聞いてくれるといいんだけど。
明日は亀を探そうと思う。ゼーラーゴの魚達にも協力してもらおうかな。
バティ達には、サンディーヴァの葉をシャンブルの鱗粉で包んでその中に避難してもらった。あったかいからね。
11月8日 霙
この白い雨は霙っていうらしい。エレインは物知りだなぁ。
霙を降らせていた亀は、ゼーラーゴの湖のほとりにいた。ヴァルフィンが知らせてくれたんだ。
僕が湖に着いた時には話が終わっちゃってて、サンディーヴァの鳥達みたいにここに住みたいって言って来た。
名前をあげるのも、住むのもいいんだけど。雪はどうしても降ってしまうらしい。
どうしようかな?
雪は霙がふわふわしたものだって。
11月9日 雪
話し合った結果、降らせてしまいそうになったら一か所に集まることを約束してくれた。
幸い、雪を降らせてしまうのは冬の間だけらしい。集まる場所はゼーラーゴの湖だ。それも、この場所から一番離れた所ね。そこならギリギリ雪の降る範囲に入らないみたい。
亀達は、水色の霙をくれた。ファルタがいうには、氷っていうらしい。
早速ベルの横に置いて水を上げたら取り込んでくれた。うんうん、段々わかってきたぞ。
11月10日 雨
シュネクレーヴェ。シュネクレーヴェの亀達。そう決めた。
シュネクレーヴェの亀達は、群にして個なんだって。意味はわからないけど。
ファルタがわかりやすく言ってくれた。
シュネクレーヴェの亀達は、みんなで1人ってことらしい。よくわかんないや。
11月11日 雨
シュネクレーヴェの亀達は、サンディーヴァの鳥達と昔対立してたらしい。
昔の話で、今は特別仲が悪いわけじゃないんだって。なかよしが一番だよね。
シュネクレーヴェの亀達は、身体がとっても冷たかった。
11月12日 晴れ
そういえば、ここに住むことを許可したのに、あんなに遠い湖のほとりでいいのかな?
ファルタがいうには、そこ含めて僕の家扱いらしい。僕の家、コレだけだったはずなんだけどなぁ。
エレインやバティもうんうん頷いてたし、まぁいっか。
11月13日 晴れ
明日から3日間、またアレを出さなきゃだから眠ります。
基本的な事はこの前のと同じだけど、シュネクレーヴェの亀達にもちゃんと伝えてあげてね。
それとヴィンティルに伝えておいて。奥の部屋には入っちゃだめって。
11月16日 晴れ
今回はいつもより多くアレが出た。蛇を食べたからかな? ファルタ、オルキディア達、サンディーヴァの鳥達にシャンブルの蝶達、そしてシュネクレーヴェの亀達に上げてきた。
みんなスゴク嬉しがってくれたよ。
一番大きいのは勿論ベルにあげるけどね。
11月17日 晴れ
ヴィンティルとヴァルフィンが結婚するらしい。
11月18日 曇り
昨日は忙しくて一文しか書けなかった。お祝いはずっと考えてあったけど、やっぱり準備万端で祝福したいからね。
その事で、ベルの前で結婚の儀をしてもいいかって僕に聞いてきたんだ。
勿論、良いに決まってるよね。
11月19日 彩虹粉
今日は色々あったけど、全部書こうと思う。重要:寝ないようにすること!
お日様が真上に昇る前に結婚の儀は始まったんだ。真上に昇った瞬間に儀を交わすためらしい。
正直、僕にはなにをしてるのかよくわからなかった。けど、とても大事な事だっていうのは伝わってきたよ。
お日様が真上に昇った時、ヴィンティルとヴァルフィンはキスをした。姿を変えてね。
その瞬間、色々な事が一気に起きたんだ。
まず、ベルが光った。いつもの光とは違って、ベルが取り込んできた全部の色を光らせた。まるで祝福しているみたいに。
更に、ファイオリアの花達が一斉に彩虹粉を振りまいた。そのタイミングを知ってたみたいに、サンディーヴァの鳥達とシャンブルの蝶達が泡を出したんだ。サンディーヴァの鳥達が小規模な雨を降らせて、シャンブルの蝶達の鱗粉に浸けたんだね。
すると、泡に彩虹粉がくっついて、それがふわふわーって空に舞い始めた。きれいだったよ。
その泡をシュネクレーヴェの亀達が凍らせて、一斉にパリン! って割った。
色の海に揺られているみたいだった。
ヴィンティルとヴァルフィンがキスを終えると、オルキディアと姉妹たちが花冠を被せてあげたんだ。ファイオラを起こしてもう一つ作ってもらったらしい。ファイオラ、お疲れ様。
ファルタは、ちっちゃな白くてきれいな丸い石を二つあげてた。ヴィンティルとヴァルフィンが凄く驚いてたけど、なんだったんだろう。
最後に、僕がプレゼントを上げておしまい、にはならなかった。
結構長く生きてる僕だけど、初めて見たよ。
蛇が立った所を。
立った蛇は、その頭をこっちに向けたんだ。多分。頭がアレなのかは知らないからね。
そしたら、ヴィンティルとヴァルフィンの身体が淡く光ったんだよ。遥か昔、見たことがある。アレは多分祝福だね。本当の祝福。
そんな事があったけど。無事に結婚の儀は終了。
僕があげたプレゼントの正体は2人には言ってない。ここに書いて読んじゃうともったいないから、書かないでおこう。
11月20日 晴れ
ヴィンティルとヴァルフィンは、これから子供を創るらしい。だから5日くらい外に出られないんだって。頑張ってね。
それで、生まれてくる子に名前を付けてほしいって言われた。
祝福を受けた二人の子供なら、自然と名前は出てくるから大丈夫。
11月21日 曇り
ベルの大きさが僕の腰辺りまで来ていた。最近は忙しくて測ってなかったけど、こんなに伸びたんだ。もうすぐ越されちゃうかもなぁ。
ファイオリアの花達も、その範囲を少しだけ広げていた。サンディーヴァの樹と被るくらいにね。ファルタによると、ファイオリアの花にも、サンディーヴァの樹にも知性があるんだって。植物同士で話し合いをしたらしい。ファルタはすごいなぁ。
オルキディア達は一旦家に帰ったよ。
11月22日 晴れ
シュネクレーヴェの亀達は湖のほとりで日向ぼっこしているらしい。ゼーラーゴの魚達が寝言が面白いって言ってた。
それを聞きつけたサンディーヴァの鳥達が、シュネクレーヴェの亀達を見にいったんだけど、やっぱりあの2種族は仲が悪いのかなぁ。
バティ曰く、似た者同士、らしい。
11月23日 晴れ
実際に対立していたのは、サンディーヴァの鳥達じゃなくてサンディーヴァの樹らしい。
ファルタが説明してくれた。サンディーヴァの樹は熱さを、シュネクレーヴェの亀達は冷たさを象徴する種族なんだって。なんでそんなことまで知ってるんだろう。
そういえばファルタって、何を司ってるんだろう。
11月24日 曇り
思い切って聞いてみた。ファルタは何を司っているのかって。
ファルタはにっこりと笑って、僕を指さした。
ファルタは、僕を司っているの? そもそも司るってなんだっけ?
11月25日 晴れ
ヴィンティルとヴァルフィンの子供が生まれた。
子供は二人。女の子と男の子だ。何故わかるかというと、鳥の姿でも、魚の姿でもなかったから。ファルタ達と同じ姿をして生まれたらしい。
名前は、すぐに解った。
男の子がアールヴァル。女の子がエルフィン。
僕がそう告げると、男の子にはオレンジ色の光が、女の子には赤色の光が備わったよ。
これが、僕の祝福。
11月26日 晴れ
ファルタが、二人のベッドを作ってくれた。
サンディーヴァの樹の枝で編んだ籠に、何故か萎びていないファイオリアの花弁を敷き詰めたベッド。サンディーヴァの樹の枝はいつまでも暖かいし、ファイオリアの花弁は命の源だから、生まれた子には最高の環境だと思う。
ベルがこっちに来てとばかりに光ってたから行ってみると、根本にベルと同じ色の、でも石じゃないやわらかいものが落ちてた。土が着くことも、水に濡れる事も、割れたりすることもない不思議なモノ。これがベルからのプレゼントなのかな。
アールヴァルとエルフィン、二人の横に置いてあげると、ひしっと抱き着いた。
かわいいな。
11月27日 晴れ
ヴィンティルが子守歌を歌って、ヴァルフィンが籠をゆらゆら揺らす。
もうすっかり二人ともお母さんとお父さんだ。
エレインはそんなヴィンティルを見て号泣してた。
11月28日 曇り
そうえいば、アールヴァルもエルフィンもサンディーヴァの鳥達の子のはずなのに、カミナリが降らなかったね、ってファルタに聞いてみたら、しっかり答えが返ってきた。
そもそもサンディーヴァの鳥達の子供が生まれるときにカミナリが落ちるのは、熱と熱がぶつかって生まれるからなんだって。よくわからないけど。
それで、今回はヴァルフィンが相手だったから熱がぶつからず、カミナリは落ちなかったんだって。
僕は全く理解できなかったけど、ヴァルフィンが相手だったからってのはわかったよ。
11月29日 雨
僕がベルに水をかけてると、ヴィンティルが水を少しくれないかって頼んできた。アールヴァルとエルフィンに飲ませてあげたいんだって。
一応、ファルタに大丈夫か聞いたけど、いいらしい。
飲みやすいように加工して明日持っていこう。
11月30日 雨
飲みやすいように加工するのが難しかったから、シュネクレーヴェの亀達の様に水を固形にしてみた。アールヴァルとエルフィンは美味しそうに舐めてたよ。ヴィンティルとヴァルフィンに、のどに詰まらせそうになったら二人の水を通してあげてねって伝えておいた。そうすれば簡単に溶けるからね。
ベルの水遣りはオルキディア達がやってくれた。
水晶の……水晶の書き方を教えてクレメンス……