昇り竜の末路でも見届けてあげましょう
てめえは昇り竜の恐ろしさを知らねえ。だが、本当に恐ろしいのは知っているか知らないかの違いだぁ。てめえらには忠告しておくが、昇り竜っちゅうのは高さを知らねえ。知らねえことが恐ろしい、だがあいつはそれを強みにしようとする。強引に。僕はそれを口ずさんでやる。
なんと悲しき竜なのだろうか。僕は思わず残飯を分け与えてあげたい気持ちになる。
そのうえでまたいつかに聡明な白玉の元。自然多きこの異世界の果てで、しまいにはクラス替えでもするのだろうか。僕は密かにそれを願っていた。
鋏で切り刻む姿を想像すると何とも言えぬ優越感のそばに嗚咽雑じりの怒号と悲鳴が交差する。
忠犬のようなその仕草を自慢したい。家に持ち帰って残飯にでもしてしまいたいと願うような欲望や野望にも似た自動巻きの時計が気づけば午後八時二十八分をぴったりと指していた。どうでもよいと思えるようなコーンスープのにおいがツンと鼻をさしていた。今日の夕食はステーキだろうか。竜ステーキ。彼女はなんともためらうような顔をして、僕の帰宅を待っていた。
知らぬが仏と言うなれど、レトルト食品に敵いやしない。その決めつけが命取りになるとは露知らず。
知るか知らぬかで人生大きく変わるものですよ




