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「さて、トオルも来てくれた事だし、今日の作戦を説明する。幹部は集まってくれ。」

十数人が前に出てきた。

「いいか、知っての通り、フランクリン通りの倉庫にロミオのチームが今日集まることになってる。どうせうちを潰すとかそういう相談に決まってる。奴らが来る前にこっちから出かけていって一気に叩き潰す。段取りは、マイク、お前が説明しろ。」

「作戦は簡単だ。奴らが集まる倉庫には表口と裏口がある。チームを三分の一と三分の二の二つに分けて、三分の一の方が表口から襲い掛かって騒ぎを起こす。奴らの気をそっちに引き付けてから、裏から残りの三分の二が突入して一気に挟み撃ちにする。」

マイクと呼ばれる男は参謀なのだろうか。それにしてもあまりにも単純な作戦だ。そんなことで本当に成功するのか?それより、今日のことは向こう側には漏れていないのだろうか。

心配する俺をよそに、ボビーが号令をかけた。

「よし、それじゃ行くぞ!」


俺たちは何台もの車に分乗して、時間差で出発した。沢山の車が一気に押しかけるのはまずい。中には金属バットや棒のようなものを手にしている奴もいるが、半分は手ぶらだ。きっとポケットにナイフや銃を隠し持っているに違いない。

俺はボビーの車に乗せられた。俺もボビーもほとんど口を開かなかった。タバコばかり吸っていた。

現場近くなると、いつの間に指示したのかごく自然に二手に分かれていく。

俺とボビーは表口の方に居た。

ロミオ達の居る倉庫からは見えない位置に車を止めて集まった。


「よし、じゃあ、まず一人が車で表口をあおる。注意を引きつけたところで一気に襲い掛かる。その方が騒ぎが大きくなるし、総攻撃をかけているように見えるから、挟み撃ちの効果が上がるだろう。誰かその役をやりたい奴はいるか?」

ボビーが周りの奴らの顔を見回すが、なかなか誰も名乗り出ない。

「俺が行くよ。」

俺は自分から手を挙げた。

皆一瞬びっくりしたような顔をしたが、考えてみたら車であおるだけだから、一番危険が少ないじゃないか。一度あおって、皆が襲い掛かったら一番後ろに隠れていればいい。

「皆、聞いたか。さすが俺の兄弟分のトオルだ。一番危ない役に自分から名乗り出てくれた。やっぱりこいつは大した男だぜ。」

え?ちょっと待って。この役、危ないの?俺、もしかしてとんでもない勘違いしてた?


今さら挙げた手を下ろすわけにはいかなかった。

「よし、じゃあ、このカマロを使ってくれ。カリカリに改造してあるから馬力がある。なに、奴らの目の前で一発スピンターンでも決めてやれば腰を抜かすさ。」

スピンターンなんてできないって。

「トオル、これを持って行け。」

ボビーが銃を取り出した。

「いや、要らない。」

持って行ったとしても、俺は銃の撃ち方を知らない。

それより、どうしようか。倉庫の前まで行ってクラクションを二、三回鳴らして逃げてしまおうか。この車は馬力があると言うから、結構スピードも出るだろう。そのまま真っ直ぐ走っていけばいい。そうだ、そうしよう。

ボビーが携帯電話で連絡を取っている。これからトオルが一番で切り込んで、すぐに皆で騒ぎを起こす。始まって五分位したら裏から突っ込めとか言っている。

「よし、じゃあトオル、頼む。」

俺は半ばあきらめた。もう行くしかない。行って、何とか一番目立たないところに逃げ込もう。


エンジンをかけて、ライトをつける。アクセルを踏み込む。

ものすごい音をたててホイールスピンする。おお、確かにすごいパワーだわ。でも、こんなに大きな音を立てたらやばいよ。目立っちゃう。

少しアクセルを緩めると、車は走り出した。しかし、まだパワーが余っていて、後輪側を左右に振りながら進んでいく。

やばい、見張りに見つかったらしい。こっちを向いて何か叫んでいる。早いところ通り過ぎなきゃ。

うわ、いきなり銃を撃ってきた。そんなのありか?当たったら死んじゃうぞ。

俺は頭を下げて隠れるようにして何とか車を走らせた。止まったらお終いだ。早く通り過ぎますように。心臓がドキドキしていた。

車にガクンと衝撃が走った。何だ?ハンドルが取られる。まずい、コントロールが利かない!タイヤを打ち抜かれたのか?

うわああぁぁ!

車はそのままどこかに激突し、俺は気を失った。



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