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いよいよ決行日が来た。今日の戦いは恐らく新聞でもテレビでもトップニュースになるだろう。それぐらい大きな戦いだ。ロサンゼルス暴動以来、こんなに大きな騒ぎはなかったはずだ。

ポリスとやり合って体力を消耗するのは出来るだけ避けたいので、キャサリンに言って警察の警戒を緩めにしておいてもらった。その代わり、こちらからもちょっとした情報を渡しておいた。警察に借りを作りたくないし、キャサリンの立場も悪くしたくない。


情報は集めるだけでなく、うまく使えば武器にもなる。

俺を狙った奴の情報を集めた時のルートを使って、今度は逆に情報を流した。

今日俺達がバーバンクを襲撃することは奴らに伝わっているはずだ。

奴らもそれなりの準備をして待ち構えていることだろう。

ただし、奴らには、バーバンクには真ん中のアラメダ通りから入るということにしておいた。

もちろんこれは嘘だ。

今回の戦いは奴らの縄張りが戦場となるので、まともに行っては当然奴らに有利になる。

通りが広いアラメダなら信憑性があるし、奴らと正面衝突するにはうってつけに見える。

しかし実際は北側のウェスト・ビクトリー通りから入る。

奴らが俺の流した情報を半分しか信じていなかったとしても、わざわざ遠回りになるウェスト・ビクトリー通りを使うとは思わないだろう。


「トオル、そろそろ行こう!」

ロミオが声を掛けてきた。

一瞬だけ迷った。

これまでは何となく巻き込まれたり、向こうから仕掛けられた戦いだった。だが、今回は初めて俺が自分から仕掛ける争いだ。

この争いに行ってしまったら、俺はもう普通の世界には戻れないかもしれない。

今ならまだ引き返せる。引き返して日本に帰れば、あとは何事も無かったかのように以前のような普通のサラリーマンに戻れるかもしれない。

ひょっとしたきっかけでこんな所まで来ちゃったけれど、ここが分かれ目かも知れない。

しかし、もうどうにもならなかった。

俺は声の限りに叫んだ。

「行くぞ!気合入れて行け!」


何十台もの車やバイクが、ハリウッドから一斉に北を目指す。地響きのような音を立てながら。表向きはちょっとスピードが出ている程度だが、どの車も定員一杯に乗り込み、武器を携えている。目立つなと言う方が無理だ。

バイク隊が先に出て交差点をふさぐ。

信号などお構いなしに全車両が列をなして進んでいく。その通り道は一時であるが俺達に蹂躙された。


バーバンクには予定通り、北側のビクトリー通りから入っていく。

俺は皆に指示を出した。

「まず街の北側のドラッグ工場を叩く。徹底的に叩き潰せ!」

工場は街外れの使われていないビルの地下にあった。今日の戦いに備えたのだろう、見張りが十人程度いるだけだ。

突然現れた大人数の俺達に、十人程度の見張りが抵抗するはずも無い。俺達の姿を見るとすぐに逃げ出した。恐らく本体に連絡するだろうから、すぐに奴らもこちら側に向かうことだろう。

工場のドアを叩き破ると、俺はまずいきなりマシンガンをぶっ放した。マガジンが空になるまで打ち続けた。それは、今までの生活に別れを告げる花火のようだった。

あとは、とにかく二度と工場を使えないように、全部壊した。最後に火をつけた。これでここも終わりだ。

「よし、このままバーバンクの奴らを叩くぞ!」

勢いに乗った俺達は街の中心へと方向を変えた。


「トオル、街の反対側の倉庫はどうするんだ?あそこも潰さないと、奴らはまたドラッグをさばき出すかも知れないぜ。」

ボビーがたずねてきた。

「大丈夫だ。向こうの倉庫は今頃ポリスの手入れにあってるよ。」

そう、俺は今日のポリスの警備を緩くしてもらう代わりに、奴らのドラッグ倉庫の場所を警察に教えておいたのだ。

工場さえ潰してしまえばもうドラッグは精製できない。倉庫にあるものを警察に処理してもらえば、奴らのドラッグもお終いと言うわけだ。

そうこう言っている間に奴らが集まっている姿が見えてきた。予想外の方向から予想外の展開で俺達が現れたから、浮き足立っているに違いない。

あとは本体さえ叩いてしまえばバーバンクも壊滅となる。

街に平和は来ないだろうが、少なくともこの辺のドラッグはなくなるだろう。



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