1章 1話
「……またお前らか」
「……すみません」
高二も終わりの二月某日、全校生徒の頂点に君臨する権威ある生徒会長であるはずのこのオレ、大倉翔吾は、職員室で怒られていた。
「あのなぁ大倉。お前、仮にも生徒会長だろう。生徒の模範になるべきお前が問題を起こしてどうする」
「はぁ……すんません」
「まぁなぁ、俺は別にお前が間違ったことをしたとは思ってないし、責めるつもりもない。困った人を助けてやるのは立派なことだし、むしろ褒めてやりたいところだ。しかしなぁお前、病院送りは流石にやりすぎだ。」
「いやまぁ……はい。すみません……」
だってしょうがないじゃないか。知り合いの女の子がチンピラどもに絡まれてたりしたら、見過ごすわけにはいかない。それに、実際に相手連中をボコったのはオレだけじゃない。主にトラのアホが加減せずにやるからだ。だのになんで俺だけが怒られなくちゃならない。理不尽極まりない。
「だいたいお前らは普段からなぁ……」
生活指導担当の笹本、話長いんだよなぁ……。このメガネ、そんなだから三十過ぎても独身なんだよ。つかちょっと暖房効きすぎだろ職員室。あちーよ……。なんて内心愚痴ていると
「おい大倉。ちゃんと聞いてんのか……?」
「っすみません!」
このあと更に二十分、こってり絞られた俺はヘトヘトになり職員室を後にした。