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1カ月後

 1週間後、正式にトーマは留学生として授業に参加することとなった。参加すると言う告知は、当然ない。勝手にやってきたっていうぐらいで、あとは噂で広まって行くだけだ。


 トーマという、ドイツ人の魔術師がやってきたという話も、あっという間に学校中に広がった。だが、それも1か月ほど経つと、沈静化した。同級生の一人という意識の程度で、すでに、みんなの話に上がることも少なくなっていた。

「こうやって、教室移動するのは面倒だけどねぇ」

 私が、そうやって一緒にいる友達にぼやく。

「しかたないよ。それに、キャンパス移動しないだけ、まだましだし」

「まぁねぇ」

 手野大学は4つのキャンパスがある。1つは附属学校や短大用なので除外。つまり3つは主に手野大学用のキャンパスになっている。キャンパス移動がでてくるのは農学部だけではあるが、それ以外は入学から卒業まで、1つのキャンパス内で行うことになる。しかし、一応ではあるが、1時間に1本の割合で、キャンパス間を結ぶシャトルバスが出ている。授業の都合で、もしもキャンパスをまたいで移動する必要があるならば、このバスに乗って行くことが前提になる。バスは大型の観光バスのようなものであるが、それでも人が入り切らないこともままあったりする。それが大変だと、友達は言ったのだ。

「ところで、次の授業って何だっけ」

 トーマが私に聞く。だが、答えたのは、膳所だった。

「次は、魔術師免許講座さ。魔術師試験を受けるための心構えとか、そのあたりを話してくれるのさ」

「あ、あそうだった」

 すっかり忘れていたという感じのトーマであったが、なにか膳所は私に触れてほしくないと言う気持ちがあるように見える。なんだろう、なんだかすっきりしない、心のモヤモヤだけが、はっきりと残った。

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