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初めての授業

入学式からの1週間は、あれよあれよという間に過ぎていった。キャンパス内旅行、スタンプラリー、学校の説明、第1から第4キャンパスへの行き来など。昔からの友達もいたし、とても楽しかった。そして、最初の授業日となった。

4月7日。第3キャンパスにて、私は最初の授業を受けていた。これは、魔術学部と文化学部と言う、手野大学の魔術系学部の合同授業で、必ず最初に受けなければならない授業になっていた。魔術という特殊な行為を行うため、それに対する心構えを話すための授業らしい。


「おはよー」

私がやってきたのは、1時限目が始まる5分前。教室には、もうかなりの人が座っていたが、私は友達どうしで連絡をとりあって、席をあらかじめ確保してもらっていた。その友達の中には、楽市の姿はない。代わりにというほどでもないが、小学校からの友人である鈴屋上野(すずやあがの)がいた。

彼女は、鈴屋流魔術の使い手で、これはドイツから明治時代に入ってきた魔術流派の一つだ。元々は、トーマ魔術と呼ばれていたらしい。それが、上野のひいおじいちゃんが日本に輸入してきて、鈴屋流という魔術へとしたそうだ。ちなみに、彼女は福岡県出身で、私の家に下宿をしている。今日バラバラに教室へ到着したのは、私が、キャンパス内の生協に寄ってきたからだ。

「おはよう」

上野は、その短い髪の毛を、おしゃれにまとめていた。ピンク色と赤色の2つの髪飾が、仲良く並んでいて、前髪を横へと流している。そのおでこは、輝いているようにも見える。彼女はまだ髪がしっかりと生えているが。

「ほら、これ。席取りのお礼」

「ありがとうね」

ペットボトルを受け取らせ、私はとってもらっていた席へ座る。荷物を空いている席へとおいて、ノートやシャーペンを取り出して、授業を受ける準備をした。


ちょうど9時になると、先生が入ってきて授業が始まった。壇上へ上がる前に、プリントを配って回って、それから壇上に上がり、プリントが全体にいきわたるのを待っている。私のところへと、そのプリントが回ってきた時、それにざっと目を通す。

題字には、魔術の心得と、筆のようなフォントで書かれていた。

「まずは、聞きあきているとは思うが、入学おめでとう。魔術学部3学科、文化学部2学科の合計625人がここに勢ぞろいしているのは、おそらくこれが最後だろう。では、最初の授業をはじめる」

先生はそれだけ話、黒板をパンと平手打ちする。そうすると、ふわりとチョークが舞い上がり、文字や図形を描き出した。書き終わると、チョークは自然と元の場所へと戻り、先生はさらに続ける。

「私は、魔術学部学部長の工藤健一(くどうけんいち)だ。ここでは、現代魔術学を教えている。さてと、だ」

図形の一つを指示(さししめ)しつつ、工藤先生が話を続けた。

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