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入学式

 手野大学。それは、皇国における唯一の国立魔術教育学部を擁する大学。今日、私はこの大学の学生となった。


 4月1日、手野大学全学部の入学式が挙行された。といっても、1学年で学部、短期大学部合わせて5475人という定員がある。さらに、ここに大学院や附属学校やらの人数が加わるとなると、とうてい1か所では間に合わないため、4つあるキャンパスに分散して同時に行われることになっていた。

 私がいたのは、第3キャンパスの体育館だ。1階はジム、2階はシャワールームと屋内プールがある。その3階が体育館だ。ちなみに、4階部分に観客席のような雛段がある。ここで、魔法学部と文化学部という2つの魔術系の学部の入学式が行われる。授業としては農学部の2回生以上も第3キャンパスで行われることのなっていたが、彼らは1回生を第2キャンパスで過ごすことになっているため、入学式も向こうで行うそうだ。

 退屈な入学式が終わると、ようやく私は背伸びをすることができた。パリパリと、何かがハマるような音が、背骨から聞こえてくる。スーツはきついし、早く帰りたいところではあるが、まだまだ予定がある。

東洛(ひがしらく)さん?」

 家に帰ったらどうしようかと考えていた時、声をかけられる。ちょっと離れたところからではあったが、かなりはっきりと聞こえる。

 私はそちらを振り向くことなく、椅子の並びを崩さないようにして、周りの速度と合わせ、一旦体育館から出た。そして、そのすぐ後ろに、私へ声をかけた張本人がいた。楽市膳所(らくいちぜぜ)だ。

「どうしたの?」

「いや、たまたま見つけたから。声かけてみよかなって」

「それだけ?」

 膳所とは幼馴染だ。楽市流魔術宗家二男の彼は、魔術学部西洋学科に入学した。私と同学年と言うことになる。家が近所と言うだけでなく、魔術流派も、実は近い。まあ、その辺りはややこしい話だ。別の機会ということにしよう。

「それだけだよ」

「そっか」

 私は、膳所へと簡単に返事をした。これが、私の大学生活の第一歩。何もかもの始まり。

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