1/7
プロローグ
人生何があるのか分からないものだな、と目の前で取り押さえられる男をぼやける視線で見た。何日か前。テレビに映っていた通り魔というやつだった。歪んだ狂気に満ちた顔をしていた。近くに居るかもしれないと聞いていたが、まさか現実に居て自分の体を複数個所刺すなど誰が想像できただろう――
げほっ…!と咽せかえる。意識が遠いていく血みどろの中で思った事は、もっと生きていたかったなとやり切れなさや後悔。
大学生で苦学生。バイト掛け持ちして大変だったけど、割と充実してたし来年は卒業で社会人だったのに……私の青春てか人生返せよっ!!くそ野郎!!もう見えなくなった男に心で叫んでいた。
次に意識が覚めた時。自分のいた所は異世界だったという。