表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖悪戦争  作者: Douke
2/2

パート01

「……暇だ」

 くたびれたベッドの上に寝転がり、ところどころに建物を支えている壁が崩れて中の鉄線が出ているのを見つめる。窓ガラスはすでに割れており、中にある物は全て壊されているためもはや部屋として役に立たないが、それでも広さだけは良かったので、拠点代わりに使おうと仲間と一緒に決めたのだ。

 ガラスのない窓から外を見てみると、そこには灰色の空が広がるだけ。かつては綺麗な青い空が見えていたらしいのだけれども、そんなものは一度も見れたことはない。

 やる事もないので自分の荷物の中からいつも持ち歩いている本を取り出す。誰が撮ったのか分からないけれど、この本には様々な写真が載っており、その大半が空を撮っていた。雲が一つもない真っ青な空。赤い空。黒い空の中にある白い点。場所にも寄るがこんな空が本当にあったんだろう。けれども、この本にある空を僕はどれも見たことはない。

 いつかは見てみたい。それがいつになるかは分からないけれども……。

「デビルさんとカノンさん、いつ帰ってくるかな……」

 食料と情報を探しに出て行った二人はまだ帰ってこない。それまで二人の荷物とこの拠点を守るのが僕の今の役目だった。

 とはいえ、この建物の周りにはカノンさんが仕掛けてくれた罠があるし、いざとなれば地下に逃げ道があるからそこまで気を張らなくていい。それよりも優先ないといけないのは、自分の体を次の戦いまでに休めることだった。

 もし休んでいる間に奴らに襲われたりしたら、今の僕には太刀打ち出来ないだろう。

「……でもこの建物、結構高く作られてたっぽいから、襲ってくるとしたらこの窓からかな」

 確か、確認した時は五階まであったから相当な高さになる。地上からは襲ってくるまでに時間がかかるけれども、空から襲われたら逃げる暇もない。

 そう思って再び窓を見てみると、何かがとてつもない速さで飛んできた。武器を構える暇もなく、元々壊れていた窓をさらに破壊しながら建物の中に飛び込んで、彼女は僕に抱き着いてきた。

「ソウちゃ――――ん!!」

「カノンさ……ぐえっ!」

 カノンさんの飛びつきに耐えきれるはずもなく、僕はカノンさんと一緒に地面を転がる羽目になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ