表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖悪戦争  作者: Douke
1/2

プロローグ

「ヒャッハー!」

 大地を震わせるほどの爆音が響くのと同時に、それに負けないぐらいの大声で叫ぶ一つの人影。その両手には炎がまとっており、腰には火薬を包んだ筒に導火線がついている、いわゆる爆弾を持っていた。

 その遠くまで聞こえるその音は、作戦開始の合図でもあった。

 爆破されたその建物からはおよそ五人ほどの人が、白い衣装を着て背中には四角い機械を背負っていた。そこから透明な羽を出して逃げようとするが、飛ぶよりも先にその人影は一瞬で近づいて次々と背中にある機械を壊していく。

「どうしたどうしたぁ! どんどんかかってこいや!」

 機械を壊された者は、逃げることを諦めて腰に差してあった様々な武器で立ち向かうが、実力に圧倒的な差があるからかあっという間に殴り飛ばされていく。味方が犠牲になっている隙に、まだ壊されていない一人がその場から逃げようとしたが、どこかから飛んできたレーザーによって羽を壊されそのまま地面へと落下して激突した。

『撃墜~。ねえ、案外早めに終わりそうじゃない?』

 たった今レーザーで落とした報告をしに、無線から若い女性の声が聞こえた。

『こいつら研究員だからか弱いぞ。さっさと終わらそうぜ』

 それに応えるかのように、たった一人で五人を相手に戦っているにも関わらず無線を通して聞こえてきたのは、野太い男性の声と戦場でしか聞こえない騒音。

「まだ油断しないで。もしかすると新手が来るかもしれないから」

『相変わらず謙虚だね~』

『そんなんだから、いつも時間かかるんだろうが』

「慎重、って言ってくださいよ」

 無線越しで聞こえる仲間の声。言っている内容には余裕が見えるが、それでも幾つもの修羅場をくぐってきているので突然の乱入にも耐えられるよう、周りに気配を配っているはずだ。

 今もなお、わざと大声を挙げて挑発をし乱闘を演じている仲間。どこかの建物で逃がさないように敵を打ち落とす仲間。

 そして――戦力が足りなくなったときに、隠し玉として待機している自分。

 このたった三人での作戦。人数は少ないが、戦略さえあれば最高のチームだと自負している。

 今回の作戦は、今まで行ってきた作戦とは全くと言っていいほど重要性が異なる。失敗は許されない。

 だからこうして待機している間の時間を無駄にしないように、最後の最後まで武器に不具合がないかどうかの確認。もしも何かあった時のためにすぐに動けるように、体がなまらないように動かし続ける。

 作戦がこのまま順調に進めば、何も問題はないのだが……。そこまで現実は甘くない。

『ちっ。まだ中に奴らが三体もいやがった。しかもこいつら……戦闘タイプみたいだ』

『こっちも目視で確認したよ~。でも斜角が悪いから撃っても当たらない、かな』

「じゃあ、僕が行きます。もしかすると増援呼ばれてるかもしれないので、そのまま待機しててください」

『うん、気を付けてね』

 気遣ってくれるその声を聞きながら、隠れていた物陰から飛び出して戦場へと乱入する。見ると、確かに爆破した建物から新たに、さっきの奴らとは違う装備をした敵が三体いた。

「どっちが二体やるんだ?」

 手にまとわせる炎の加減を落とすことなく、一度体勢を整えるために引いていた野太い声が特徴の男性と肩を並べる。

「まだ暴れたりなさそうなので、譲りますよ」

「そら助かる。まだ体が暖まってすらなかったからな」

 その返答に苦笑しながら、武器を構えてなんの合図もなく同時に突撃していった。


 この作戦をすることになったのは、今から二日前に遡る――。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ