そのよん 愛、鉄分と朝食の関係。にんにん!
さて、中に入っているのはなんだろうな?
「ごまかすな。お前は何が入っているかわかっているんだろう?」
剣治から渡された箱。
「・・・天使、聞きたい事があるんだ。」
しかしあえて今回は話しをかえたいと思う。
「なんだ?」
「契約は別に・・・その、あれだよ。ブチューてしなくていいんだよね?」
うーん、と唸りながら頷く天使。(やった!箱の話しからそらすことに成功したみたいだ!)
「・・・そうだな。今のお前なら・・契約する時は紙で大丈夫だが・・・。出来れば相手と何かしら触れたほうがいいな。」
話しの内容は適当である。悪いがこれは囮作戦、天使が箱から興味を無くしてくれれば大成功!
「へーっ、じゃあやっぱりその・・・・あれは一応したほうがいいのかな?」
「出来ればな・・・うーん、なんか話してたら眠くなったなぁ。」
天使は静かに姿を消し、残ったのはガッツポーズの僕と箱、そして僕にしがみついている瀬里奈さんだけである。
時間帯は早朝。僕は朝の空気が吸いたくなったので外に出て散歩に行くことにした。
静かな一人街を歩く僕。始めは快調だった足も今は重い。
・・・・・・・見られている気がしてならない。
今は高いビルの上から僕を見ている。飛んで確認すればいいが、間違いだったら相手にわるい。それにもうすぐマンションだから僕が我慢すればいいのだ。
気配が僕の後ろに回る。
「?・・・・・!?」
気配が今度は前に行く。目の前に現れたのは敵対心剥き出しの大きな竜だった。
「僕にはムツゴ○ウさんみたいにどんな動物とも仲良くなる自信はないよ。」
竜に説得を試みる。そして竜に言葉が通じるか謎だ。・・・・・文字を書いて渡したら解るかもしれない。
竜は僕の身長の二倍ぐらいだ。色は青い。
「・・・・うーん、しょうがないな。」
無駄な戦闘はしたくないし竜と戦いたくもない。もしかしたら誰かの竜が逃げ出したのかもしれない。
『我は、悲しみを背負い込みし天使。』
僕に紅い羽が生える。
歩いて散歩したかったがどうやらお空の散歩になりそうだ。襲いくる竜を避け、空に羽ばたく。
「悪いけど飼い主さんと遊んでくれないかな?そろそろ瀬里奈さんが起きるから。」
竜は背中に生えていた羽を使い空に舞、僕をおっかけてきた。
「鬼ゴッコか。悪いけど君に構ってる暇はないんだよ?頼むからさぁ。」
「きしゃああああ!汽車あああああ!」
・・・・今、汽車といったような?気のせいかな?
「とにかく、また今度遊んであげるからね?」
以前追い掛けてくる。
「・・・・しょうがないな。悪いけど眠ってもらおうかな?」
光剣を召喚し、襲い掛かる竜にみねうちを与える。
「てやっ!」
「きゃっ!」
竜が墜落するのを受け止め、近くの広い場所に置いてあげる。
「・・・・ごめんね、お詫びに林檎を置いとくから食べてね?」
管理人さんに練習用に渡された林檎を竜の隣に置く。
「じゃままたね?」
僕はマンションに向かい飛び立つのであった。
瀬里奈さんが手を振りながら僕に何かいっている。
「おはよー時雨君!昨日はよく眠れたかなぁ?(この言葉の裏には私の身体を見たぐらいで鼻血ぶーなんて・・・・エッチな時雨君。という意味が含まれている。)」
「昨日は夢の中で天使に説教された夢を見ました。」
ふーん、と口からなんとなく不満げな声が出される瀬里奈さんだった。
部屋の中は美味しそうな臭いがしていた。
「・・・実はあさごはんつくたんだ!」
へぇー瀬里奈さんが?
「じゃあ遠慮なくいただきますね?」
まずみそ汁に手をつける。・・・・?鉄の味がするような気がする。
「?鉄分の味がするような・・・・」
「あはははっ!貧血起こさないように鉄分いれたんだ!」
へぇー成る程
僕が帰ってくる前、瀬里奈さんは目を覚まし僕がいない事に気が付く。僕が床に残して行った手紙を見て、決心をする。
『散歩に行ってきます。帰って来たら朝食を作りますからゆっくりしてていいですよ。 時雨』
「・・・時雨君がいないから私が朝食を作ろう!」
無論彼女が料理をしたことは皆無であり、それからは血の記憶となり彼女はその事を忘れる事はないと思う。
みそ汁
「いたっ!血がみそ汁に沢山入っていっちゃった!・・・・ばれないよね?」
目玉焼き
「またやっちゃった!黄色と白と赤が混じっちゃった・・・・うん、綺麗だからいいよね?」
そんな事があったのだ。
「瀬里奈さん、顔青いよ?・・・大丈夫?」
あれだけ血を流したのだから青い顔になるのは当然である。(しかし、どうやったら目玉焼きで血をながすのだろう?)
「う、うん。少し疲れたかな?今日は私達じゃないからゆっくり寝てるね?」
そういって瀬里奈さんは部屋に戻って行った。
一人になり暇になった僕は先程置き去りにしてきた竜を思い出した。
「・・・ちょっとやりすぎたかな?」
外に出ようとしたらインターホンがなった。
ピンポーン!
「あ、はい!今行きます!」
扉を開けるとそこには青い布をまとった一人の少女が立っていた。
「あの〜どちら様ですか?」
「ふん、朝貴様に気絶させられた竜だ!貴様に仕返しにやってきた!」
竜の仇返し。
「あ、そうなんだ!・・・・・人間の格好してますが?」
見た目美人、肌も透き通るぐらい白い。髪はあの竜の肌と同じくらい青いし、腰の部分まで伸びている。そしてこっちであった女の人のなかで二番目にあれがでかい。(一番は管理人さんである。)
「貴様!どこ見ている!」
はっ!しまったばれた!
「・・・・とにかく!今すぐ私と一緒に来い!決着を付けるぞ!先程は手加減などしおって!」
僕は竜の彼女に連れ去られ大会本部の地下に連れてこられた。
「・・・行くぞ!本気でこい!」
悪いが僕には戦う理由はない。話しを聞くかぎり多分僕が悪い。
「・・・あの、朝はゴメン!急いでたからさつい・・・・。帰っていいかな?」
「貴様は何故本気をださない?昨日見ていたぞ?あれも手加減していたな?貴様は帰っていい訳がないだろう?」
天使が現れ、僕に交代するようにもちかける。
「時雨、あの竜は本気だ。多分、お前をバーベキューにしてぱくっと食べてしまうにちがいない。・・・・・今すぐ俺と変われ、いや変わらせてもらおうか?」
僕には抵抗する力無く身体を乗っとられた。だが、いつもと違い意識はなくならなかった。
『じゃあ始めようか?』
「やっとまともな顔になったな、いいだろう!」
竜さん(仮名)はどこからか竜の鋭い羽を出し目の前に構えた。すると羽は大きな斧になった。
「・・・貴様はあの武器を出さないのか?」
『・・・ルールを決めていいか?』
相手の質問に答えずに天使はルールを決める気だ。
『お前は俺を倒せばいい。だが俺はお前を倒さない。』
「また手加減か?」
『いいや、違う!・・・・・俺の剣がお前の頭に当たったら俺の勝ちでいいだろう?』
天使はそういって右腕に光る何かを召喚させる。
(は、ハリセン!)
神々しい程に光るハリセン。
『・・・それでは始めようか?』
両者一緒に動いたと思ったら次の瞬間にはハリセンが竜さんの頭にヒット!
すぱあぁぁん
『俺の勝ちだな。』
うーん、もうちょっと苦戦してもいいんじゃないかな?
「・・・・これが貴様の本気か・・・。」
竜さんは片膝を地面につけ泣いていた。
「・・・やはり姉様が負ける程はある。」
僕の知り合いに竜の知り合いはいない。
「煮るなり焼くなり好きにしろ。」
『だそうだ。時雨後はお前が決めろ。』
身体が僕の言う事を聞いてくれるようになった。
竜さんは僕を潤んだ瞳で見つめている。
「・・・えー、ゴホン。貴方はなんで僕を狙ったんですか?」
「・・・・貴様が大会に出ているから再起出来ないようにしようとしただけだ。」
物騒な話だなぁ。
「そういえば林檎食べましたか?」
「・・・・まぁ、一応はな。礼を言う、ありがとう。」
さて、聞きたい事はもうないからなぁ。
「じゃあ僕は帰りますね?大会頑張ってください。」
帰ろうとすると服の裾を掴まれた。
「ま、待て!まだ貴様は私に何もしてないではないか!」
「え?ちゃんとしたじゃないですか?質問に答えてもらったし林檎のお礼もしてくれました。」
再度帰ろうとしたが結果は同じだった。
「ま、待て!普通何か無理な事を命令するだろう?」
いや、言ってるいみがサッパリわかりませんな。
「・・・・何言ってるんですか?」
ううっと唸る竜さん。
「ほら!身体で働いてもらうとか、後は・・・」
なんだこの人?
「竜族は倒された相手の言う事聞かないといけないのだ。」
はっきり言って迷惑である。こうなったら逃げよう。
「あ、あんなところに・・・・・」
竜の気を引きそうな物はなんだろう?
「何かが飛んでる!」
「え?」
振り向く竜さんを置き去りにして走りだす僕。かなり本気で走ってます!もう少しで建物から出る事が出来る!
出口が何か黒い影が塞いでしまった。
「く、やはり何かじゃ駄目だったか。」
「さぁ!私に何か命令しろ!」
影の主竜さんはまたもそう告げる。こうなったら適当に命令しよう!
「・・・これから好きなように動いて結構だよ!」
この命令完璧だ!・・・・・しかしこれは大変な間違いであった。
「・・・それではいまから自由に動かせてもらう。」
近付く竜さん。
「貴様の名前は何と言う?」
「時雨だよ?名字は天道時。」
「そうかでは今日から私は時雨殿を護る影になろう。」
竜さんが?そういって竜さんは消えてしまった。まるで忍者だ。
「・・・帰ってお風呂にはいろうかな?」
湯舟に浸かる。疲れがなくなっていくようだ。まだ時間帯は早いのだがさっきから身体を動かしてばかりなので汗をかいてしまった。
「・・・・身体を洗おうかな?」
ザバァ。
「きゃあ!」
上から声が聞こえる。
「・・・・なんで貴女がいるんですか?」
天井にくっついている竜さんを見つめる。
「・・・それは・・時雨殿を護る為に・・・」
「・・・いえ、結構です。貴方は帰っていいですよ。」
ここで帰さないと僕は毎日この人に見られている生活を送る事になるだろう。
「だいたい、浴室で服着たら濡れますよ!直ちに家に戻りその服を乾かしてください!」
「・・・わかった。」
渋々出ていく竜さん。
「・・・・はぁ。」
ガチャ。
「時雨殿!ちゃんと服は脱いで来たぞ!」
タオルで隠してはいるが焦る!
「そういう事じゃなくてさ!」
「成る程、タオルも取れということか!」
タオルを剥ごうとする竜さんを急いで止めた僕は諦めた。
「・・・冷えますから湯舟に浸かって下さい。」
ここの浴槽は狭いので僕は只今身体を洗っている。
「時雨殿!私が洗いましょうか?」
「・・・いえ、結構ですよ。」
世の中わからないものだ。さっきまで本気で戦っていたのに今は全く違う。そういえば竜さんの名前を知らないな。
「そういえば貴女の名前はなんですか?」
笑う竜さん。
「影に名前はありませんよ。」
うーむ、どこかで聞いた台詞だなぁ。
「・・・・じゃあなんて言ったらいいんですか?」
「影とでも読んでくれ。時雨殿。」
ふーむ?困ったな名無しさんか。
「じゃあ・・・シャドさんでいいかな?」
無論彼女が忍者みたいだからである。
「時雨殿が良ければ私は別にいいよ。」
お風呂から出るとシャドさんはいなくなった。忍者なんだろうなぁ。朝襲われた時も凄かったし、竜みたいな形と人間になれるし。
うーん、僕は紅い羽を生やすのが精一杯のようだ。
箱とテレビが置かれている部屋に行くと驚愕の出来事がそこにひろがっていた。
「は、箱が開いてる!?」
ダンボールはパッカリ蓋を開けており、中身は消えている。
・・・・何処だ!中に入っていたはずのメイドは何処にいった?
いたーっ!冷蔵庫漁ってる!
「・・・あの、すいません!眠って下さいっ!」
ボカリ!
不意打ちで悪いがメイドさんを気絶させダンボールに詰める。
「シャドさん!」
「なんだ?」
「今すぐこのダンボールを宅急便で人間界に送って欲しいんだよ!宛先は霜崎剣治。」
「わかった。」
ダンボールを持ち、静かに消えるシャドさん。竜なのに忍者みたいな人である。
「時雨いいのか返して?」
「・・・・うん、いいよ。」
未練がないと言ったら嘘になるが今はメイドさんは要らない。
「かわったな。お前は自分で立とうとしている。」
昔はメイドさんに世話してもらった気がする。
「変わってないよ。」
僕はテレビを眺めながら色々と考えたが瀬里奈さんがなかなか出てこないので様子を身に行った。
「大丈夫ですか?瀬里奈さん。」
「うーん、大丈夫だよ。」
ベットに寝ているのは瀬里奈さんではなかった。まず身長が高い。そして首の下辺りが瀬里奈さんより膨らんでいるのだ。
「・・・貴女は誰ですか?」
「ははっ!何言ってるの?時雨君、私よ瀬里奈。」
「嘘つかないで下さい!瀬里奈さんはそんなに胸ないです!」
固まる瀬里奈さん?
「・・・しまった!寝言で天使化しちゃったか。」
白い羽が生えている事に気が付いたが白い羽は消えてしまった。そしてベットの上には瀬里奈さんが乗っている。
「ごめんね、時雨君。びっくりさせたかな?」
「・・・・はい。」
瀬里奈さんはかなり強い天使らしい。だが、力が強いので普段は力を抑えて生活しているそうだ。
「だから本当の姿はあっちなのよ。・・・・ふふっ、大きかったかな?」
うーん、確かに大きかったなぁ。
雑談をしているとシャドさんが戻ってきた。
「始末は終わったぞ。」
そういって静かに消えるシャドさん。
「・・・時雨君、まさか忍竜なんか飼ってるの?」
忍竜?
「忍竜とはなんですか?」
「忍者みたいな竜よ。竜は一般的に大きくなったら人間みたいになるの、ちなみに好きな食べ物は林檎よ。林檎を与えるとなつくし、情けをかけられたら情けをかけてくれた人の命令を聞くの。」
厄介な人を連れ込んだなぁ。
「時雨君、あまり野良は拾ってこないでね?」
・・・・前にもそんな事言われた気がする。
テレビでは大会の事を言っているようだ。
『・・・・今回のゲストはハデスさんです。ハデスさん、よろしくお願いします。』
『おにーちゃん!見てる?ハデスだよっ!』
『・・・・・それでは昨日の試合を見てみましょう!一番凄かったのはやはり時雨選手ですね?倒れた相手を助ける心を持っていますから。』
『優しいからね!私がおにーちゃんを襲った事があったけどその後私を家に泊めてくれたんだよ。』
『・・・・優しいんですね。今度私も泊まろうかな?』
「・・・時雨君、当然あの子とは別の部屋で寝たわよね?」
うーん、少し記憶が曖昧なんだよなぁ。
「・・・いや、一緒に寝たと思うよ?」
『そしたらおにーちゃんね、私を『ピーーーーー』してねそれから『ピーーーーー』をしてたの!』
「・・・・時雨君、それは本当かな?」
間違いなくそんな事した記憶は全くない。
「いや、そんな事した記憶はないですよ。」
『・・・・嘘でしょう?ハデスさん』
『嘘です!おにーちゃんはそんな強引な事しません。』
『時雨選手の嫌いな物はなんですか?』
これでは僕の番組みたいだな。
『嘘が嫌いです!』
『・・・ハデスさん、貴女はさっき嘘つきましたね?』
『あわわわわわっ!おにーちゃんごめんなさ〜い!』
「・・・ふ、ざまあみなさい。」
そして、それから僕の個人情報はどんどん魔界のお茶のまにながされていった。
まぁ、最近時雨君をボケから突っ込みにしたい気がします。剣治が消えてしまったので誰も止めてくれる人がおりません。さて、今回は時雨君が戦う事が多かったですね。そして箱が開いてしまいましたが時雨君は送り返しました。変わりましたね。この場を借りて評価してくださってありがとうございます。