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ファンタジー・MMO(R-15含)

ダンジョン×宇宙人

作者: 雪陽炎
掲載日:2026/10/24




「ワレワレハ宇宙人ダ」

 ある日突如として飛来した宇宙船から声がする。

「ワレワレノ支配下ニ入ルコトヲ光栄ニ思タマエ」

 そう言うと宇宙船は攻撃を開始する。

 応戦する各国。

 

 しばらくして地球は焼け野原となった。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 (視点:モブ)

 

「水道もガスも電気もインフラはすべて消えた……」

 焼け野原になった荒野で人々立ちすくむ。


「俺たちに残された道はふたつ」

「宇宙人が用意したダンジョンで日々の糧を得るか」

「それとも人から略奪して生計を立てるか、だな」

「ひとまず冒険者ギルドに登録しに行くぞ」

「ダンジョン攻略すれば活路があるって言ったしな」

 何人かの人々が建物に向かっていく。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★

(視点:宇宙人のボス)

 

「んー愉快愉快。そう思うだろう?」

 指揮を執るボスがさも楽しげに言い放つ。

 傍(そば)に控えた宇宙人が肯定するとボスは愉悦(ゆえつ)に浸る。

「細々と暮らす人々の様子もそう」

 ボタンを押してモニターの映像を変えていく。

「ダンジョンに挑み散っていく者たちもそう」

「イエスボス。ダンジョンを中継しておりますゆえ」


 ボスはワインに似た飲み物をくるくる回す。

「希望に満ちた顔が絶望に歪む様を見たいのだよ」

 そういってボスはぐびぐびと飲んでいく。

「酒のつまみにはもってこいだろう?」

「イエスボス。Aの3とEの2はどうなされます?」

「ん?おお攻略を順調に進めておるな。なら」

 

 ボスはそう言ってポチッとボタンを押す。

 冒険者たちの足元が急に開き落下していく。

 傍の宇宙人はゴーグルをかけ静かに目を閉じた。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★

(視点:モブ)

 

「おい聞いたか!?ダンジョン突破したってよ!」

「マジか!」

 すさんだ人々の心に希望がともっていく。


「おうよ!それも二つ!アメリカとイギリスだ!」

「めでたいな!突破したらどうなった?」

「なんでもと宇宙人倒せる武器が手に入るらしいぜ」

 アメリカとイギリスが先陣を切る。

 その後にフランスとドイツとEU(欧州連合)が続く。

「こりゃひょっとしたらひょっとする?」

「ああいけるかもな!」

 カナダが攻略したと連絡が入り光明がさしかかる。

 

「すまんな。言い忘れがあった」

 盛り上がっている所に宇宙人のボスが映る。

「我々のいる宇宙船に乗れるのは7チームまでだ」

「はあ!?なんだよそれ!」

「きたねえ!後出しだぞ!」


「だから言い忘れたといっておろう!」

 宇宙船からビームが飛ぶ。

 文句を言った人々の地域が焼き払われる。

 

「なんなんだよ!」

「完全におもちゃだな俺たち……」

「今は突破してくれるチームが出ることを祈ろうぜ」

 絶望感が漂う中誰かが叫ぶ。

 

「出たぞ最後のチーム!」

「どこだ!?」

「日本だ!」

 ダンジョンから日本のチームが姿を見せた。

 大歓声が沸き上がる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★

(視点:日本人チーム)


「そうか俺たちは遅かったのか……」

「私たちたちの分まで頼むわよ!」

「武運を祈ってるぜ!」

 インドやオーストラリアやチリのチームが見送る。

 

「責任重大だなこりゃ……」

「かけられてた言葉と期待が重い……」

「まあここまで来たんだ。やるだけやろう。な?」

 仲間に日本チームのリーダーが言葉をかける。

「おっ合流地点が見えてきたぞ」

 日本チームを乗せた車両は荒野を走りぬけていく。

 

「HAHAHA!ようこそ日本チーム!」

「これより先すべての希望を捨てるんだぜ!?」


「最終チームの日本です。よろしくお願いします」

「HAHAHA!もっと柔軟に行こうぜ!」

「戦場で生き延びるのなら柔軟性も大切ですからね」

 先に来ていたチームと日本は言葉を交わす。

 

「大丈夫かよ日本チームは。そんなガチガチで」

「平和でしたからね日本は」

「そんなんで銃撃てるのか?指導してやろうか?」

「本当ですか!?ぜひお願いします」

 カナダとドイツチームの提案に日本は乗っかる。

「OKOK。なら手分けしようか」

「HEY!EUチームも手伝ってやってくれYO!」

「こっちは戦後どうするか決めときますんで」

 アメリカとイギリスとフランスは会話を始めた。


(もう先のことまで考えてる……早いなあ)

 日本チームのリーダーはそっと手のひらを見る。

(俺たちは今で手一杯なのに……)

 うつむきかけた顔をあげ手のひらを握り拳を作る。

(いつか追いつこう!今やることは特訓だ!)

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★

(視点:宇宙人のボス)

 

「まさかダンジョンを突破されるとはな……」

 宇宙人のボスはいらいらした様子で爪を噛(か)む。

「まあ良い。幹部たちよ準備はできているな?」

「イエスボス!」

「チームごとに分散するよう船のフロアを変える!」

 部下の返事にボスは声を高らかに張り上げる。

「わが銀河帝国の強さを見せつけてやるのだ!」

「イエスボス!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:宇宙人幹部)


「いつも通りっスねボスは」

「ああ。俺たちは基本『イエスボス』と返すだけだ」

「で?どうします?誰がどこに行きます?」

 幹部たちの視線がゴーグルの宇宙人に集まる。

 

「そうだな……くじで決めるか」

「オイラわざと負けていいっスか?」

「せっかくなら自分が作った武器と戦いなあ」

 幹部たちがやりたいことを好き放題口にしだす。

「それも含めてくじだ。戦い方は任せる」

 ゴーグルの宇宙人は部下を尊重しくじを作る。

 

「承りました。では僭越ながら自分からくじを」

 幹部たちはそれぞれくじを引き始めた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:日本チーム)


「宇宙船に乗り込んだら道が分かれてますね」

「全部で7つ……どうします?」

「HAHAHA!右から順にクリアした国がGO!」

「となると俺たちは一番左かな」

「全員配置につきましたね?」

 各国のチームが通路の前に立ち合図を待つ。

「それじゃLET’S GO!GOOD LUCK!」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:宇宙人ボス)

 

「ええい忌々しい!この船で戦闘とは――そうだ!」

 宇宙人のボスはほくそ笑む。

「幹部がやられたらその区画ごと爆発してしまおう」

 ボスはそう言うとパネルの捜査を始める。

「ん?待てよ?わが銀河帝国の人材はすべて優秀だ」

 少し手を止めてボスは考える。


「体力が減ったもしくは長期戦も爆破に入れておくか」

 そうつぶやくとボスは再び手を動かす。

「右から順に強いのが来るなら右からやるかな」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:日本人チーム)

 

「そりゃあ!」

 掛け声とともにボスのいる扉が吹き飛ぶ。

「さすが物質破壊特化の斧モードだ。扉が一発とは」

「なに!?もう来ただと!?」

 6つ目のエリアの操作を終えたボスが振り向く。

 そこには日本チームの姿があった。

「もう年貢の納め時だな」

「リーダー武器武器」

「あ。Change Ka(変形!刀) Mode(モード)!」

『OK!Transform(変形完了)』


 リーダーが持っている斧から薬莢(やっきょう)が飛び出す。

 その瞬間斧は刀に姿を変えていた。

「万事休すの袋の鼠。万策尽きたなら投降してほしい」

「はあ?この私が?投降!?」

「そうだ。戦いはもう終わっただろう?」

「まだ私がいるのだぞ!この司令官たる私が!」

「Change Mi(変形!峰)neuchi Mod(うちモード)」

 リーダーの持つ刀の刃と峰がひっくり返る。

 

「ふん!誰が白兵戦など!」

 ボスがガトリングガンを亜空間から取り出す。

「くっ!Change Sh(変形!盾)ield Mode(モード!)!」

 逆刃の刀が大きな盾に変化する。

 ガトリングガンを乱射から仲間たちを守る。


「ええい!もう少し遅ければ完成していたのに!」

「完成?なにが?」

 はじかれる弾丸を見てボスは射撃をやめた。

「トラップがだよ!」

「幹部が倒されたら部屋ごとドカンとか?まさかね」

「そのまさかだよ!」

 ボスの言葉に日本チームは言葉に詰まる。

「わが銀河帝国にいるのは有能な人材のみ!」

「いい加減にしなさいよね!」

 日本チームの女性が銃を撃つ。

「音波銃(ソニックライフル)か!銃口を見ていれば避けれるわ!」

 ボスはさっと身をひるがえす。

 音波はそのまま機械に当たる。


「もう一度聞く。部屋を爆破するつもりなのか?」

「そうだ!勝って当然なのだよ!我々ならば!」

「仲間がいるのに?」

「銀河最強の我々に手こずる部下など必要かね?」

「だってさ。どうしますみなさーん?」

 日本チームの女性が声を張り上げた。

「は?」

「そこにマイクあったからさスイッチ狙っちゃった」

「なっ!」

 

☆ ☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:海外チーム)

 

 ボスと日本チームの会話が流れる。

 部屋は静まり返っていた

「HAHAHA!YOUも大変だNE!」

 ゴーグルの宇宙人は立ち尽くして静観している。


「どうしマスか?続けマスか?やめマスか?」

「|Dead or Aliv《 生 か 死》eの意味でか?」

「んー惜しいデース」

「惜しい?」

「栄光ある死か無様な生かどっち選びますか?」

 ひょうひょうとした態度が消え真顔で宇宙人に問う。

 その姿にゴーグルの宇宙人は言葉を失った。

 

☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:日本チーム)

 

「センサーに反応!全チームがこちらに来ています」

「全員?」

「各チーム+1人ですね」

「おのれ裏切りおったな!」

「どの口が言うっスかねえ……」

 声に振り替えるとそこには幹部の一人がいた。


「あれ?確かリーダーが電光石火で倒した人?」

「そっス。峰打ちモードで気を失っていたっスよ」

「もうやめよう。な?」

 日本のリーダーが憐(あわれ)れむ様子でボスに声をかける。

 

「ええい!まだだ!まだ私にはこれがある!」

「それは救援ボタン兼自爆ボタンっス!」

「なんだって!?」

「ふはははは!つかの間の勝利に酔いしれておけ!」

 ボスは高らかに笑いながら話を続ける。

「銀河帝国が本隊がこの星に攻め込んでくれるわ!」

「この期に及んで虎の威を借る狐かよ!?」

「ふはははは!銀河帝国に栄光あれ!」

 ボスは高らかに笑い続けボタンを押した。


☆ ☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:日本チーム)


「ここは……地球?」

「ダンジョンと副産物の効果だよ」

 日本チームのリーダーにゴーグルの宇宙人が答える。

「つまりどういうこと?」

「磁石みたいに引かれあい呼び戻された感じだな」

「えーとひとまず助かったでいいのかな?」

「HAHAHA!それならまず通信が必要デース」

 日本が一息ついていると元気な笑い声が響く。

「通信をするには薬莢が飛び出す可変武器がいる」

「ひょっとしてこれか?」

 宇宙人の説明に日本のリーダーが武器を見せる。

「そうそれ――ってよく持ってたな」

「あ!それあっしが作ったやつ!」

「まずは通信を入れましょうか。どうやれば?」


 話を修正し目的に向かい海外チームは舵を切る。

「ああ。まずはコアモードに変えて」

「Change Co(変形!コア)re Mode!(モード!)」

「そこにダンジョンで手に入れた武器を重ねる」

 丸い球体にダンジョンの武器が積まれていく。

 ある程度積まれると武器の山が光り形を変える。

「それで通信機。赤いボタンが起動スイッチだ」


☆ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:日本チーム)


『全世界の皆さん聞こえているでしょうか?』

「白いボタンで相手の声が聞こえるぞ」

「これですか?」

 白いボタンを押すと歓声が機械からあふれ出す。

 その様子を日本チームは少し離れて見ていた。

「見てるだけで良いんです?」

「ん?ああ。俺たちは最後のチームだったし」

「訓練してもらえたし」

「ボスとも戦ったし」

「これ以上はできすぎだからできる人に任せるよ」

 宇宙人の質問に日本チームは口々に返す。

 

「なるほど。ところでどうしでしたあの使い勝手は」

「よかったよ。ただひとつ疑問がね」


「どんなです?」

「どうして変形すると薬莢が飛び出すんだい?」

「?かっこいいしょ?そっちの方が」

 その言葉に日本のリーダーは二の句を失った。

 

『この勝利は我々に味方した宇宙人がいたから――』

「半分は本当なのよねー」

「ほんと弁が立ちますねえ」

 宇宙人が暮らせるよう手配しているのだろう。

 日本チームは静かに演説に耳を傾けていく。

 

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

(視点:銀河帝国本星)

 

 一方で遠く離れた惑星で動きがあった。

「閣下。宇宙に飛び出した第4267部隊から――」

「第4267部隊?」


 閣下と呼ばれた玉座に座る宇宙人が言葉を返す。

「『我々銀河帝国の戦闘力は宇宙1――』」

「ああ。勝手に出ていきおった連中か。それが?」

「救難信号を最後に連絡が途絶えました」

 玉座に座る宇宙人は額に手を当て大きく息を吐く。

 

「いかがなさいますか?」

「確か第4267部隊だったな」

「御意」

 少し間をおいて玉座に座る宇宙人は言葉を紡ぐ。

 

「そんな部隊あったかな?」

「……この件は後日改めて報告させていただきます」

 言葉の意味を汲み報告する宇宙人はそう答えた。


「うむ。今日も銀河帝国は平和である」

「御意」

 二人の宇宙人はそう短く話す。

 そして次の議題へと話は変わっていった。


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